著者
片岡 祥二 加藤 尚裕
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The journal of Kyoei University (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.165-182, 2017

これまで行われた諸調査によって、方位磁針の適切な操作方法を身に付けていない子どもたちが多いことが指摘されている。本研究では、その要因と考えられる問題点を克服することを目的とした教材を開発するとともに、それらを活用した指導方法を考案し、授業実践を通してその学習効果について検証した。その結果、開発した教材ならびに考案した指導法は方位磁針の操作方法についての指導に有効であることがわかった。一方、正しく操作できているにもかかわらず方位を正しく読み取れないなどの課題があることがわかった。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = 共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.15, pp.237-252, 2017-03-31

『古事記』仲哀記の香坂王・忍熊王の反乱物語における息長帯比売軍の二つの策略-品陀和気を喪船に乗せる「死」の偽装と、息長帯比売の偽りの「死」の布告-は、『日本書紀』にはない。この『古事記』独自のプロットにより物語は、天皇空位期における異母兄弟の争いにおいて皇統上劣位にある品陀和気・息長帯比売母子が、擬似的な「死」を潜り抜け、次代の天皇とその母としての地位を確保した物語となる。文脈と表現の検討から「赴喪船将攻空船尓自其喪船下軍相戦」は、忍熊王は喪船には品陀和気の遺骸と息長帯比売が乗ると見、息長帯比売を討ち取ろうと攻めたが、息長帯比売は予め喪船に軍兵を乗せており両軍の戦闘となった、という状況を表現したものと解釈される。「赴」はおもむく意の自動詞、「空船」は軍兵を乗せない船と解する。忍熊王が喪船に攻めかかった目的は、上記行文に先立つ「待取」という表現の検討から、息長帯比売を討ち取り殺すことと解する。
著者
田蔵 奈緒
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.83-94, 2018-03-31

日本のプロ野球選手の中で現役選手引退後の生活に不安を感じている選手は,2013 年調査で71.5%,日本のプロサッカー選手では,2000 年の調査では76.2%であり,大半の選手が,引退後のセカンドキャリアに不安を感じているという結果であった。プロスポーツ選手に訪れる引退というキャリアトランジションにおけるセカンドキャリアの支援の在り方について,セカンドキャリア支援体制を確立したJ リーグの設立迄の経緯とJ リーグよりも以前から制度を確立している海外のプロサッカー選手のセカンドキャリア支援事業について事例調査を行った。日本サッカー界は,プロサッカー選手のセカンドキャリアのノウハウをJ リーグ内部で留めるのではなく,外部に対して提供し,スポーツ選手全体のセカンドキャリア支援に貢献できる経験と資格とその責任があるのではないだろうか。J リーグは1993 年からスタートし,この24 年間で国内に多くの功績を残してきたが,その繁栄や若干の陰りが見られるとはいえ,まだまだプロスポーツ界をリード出来る力を持っていると考える。プロスポーツの人材はその競技の中だけでなく,競技の枠,産業の枠を越えて活躍することによって,プロスポーツの中長期における発展があるはずであり,J リーグにはその人材を輩出する土壌と仕組みがある。この点において他スポーツ団体もJ リーグに学ぶ点はあるのではないかと考える。
著者
井ノ口 和子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学教育学部研究紀要 (ISSN:24334367)
巻号頁・発行日
no.2, pp.57-72, 2018-02

アール・ブリュット(art brut)はフランス語で「生(き)の芸術」を意味する言葉であり,現在では「美術教育を受けていない人の美術」,「障害者の美術」と理解されている。本研究は「武蔵野アール・ブリュット2017」における鑑賞者アンケートの回答と記述を分析・考察し,鑑賞者がアール・ブリュット作品から何を感じとるのかを明らかにすることを目的とする。その結果,鑑賞者は「自分の価値観の広がり」や「アートを身近に感じることができた」という印象をもつことがわかった。アール・ブリュット作品を鑑賞することは,従来の美術の枠組みに縛られず,自分なりの新しい価値を創造する可能性をもつものである。
著者
田蔵 奈緒
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The journal of Kyoei University (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.83-94, 2018

日本のプロ野球選手の中で現役選手引退後の生活に不安を感じている選手は,2013 年調査で71.5%,日本のプロサッカー選手では,2000 年の調査では76.2%であり,大半の選手が,引退後のセカンドキャリアに不安を感じているという結果であった。プロスポーツ選手に訪れる引退というキャリアトランジションにおけるセカンドキャリアの支援の在り方について,セカンドキャリア支援体制を確立したJ リーグの設立迄の経緯とJ リーグよりも以前から制度を確立している海外のプロサッカー選手のセカンドキャリア支援事業について事例調査を行った。日本サッカー界は,プロサッカー選手のセカンドキャリアのノウハウをJ リーグ内部で留めるのではなく,外部に対して提供し,スポーツ選手全体のセカンドキャリア支援に貢献できる経験と資格とその責任があるのではないだろうか。J リーグは1993 年からスタートし,この24 年間で国内に多くの功績を残してきたが,その繁栄や若干の陰りが見られるとはいえ,まだまだプロスポーツ界をリード出来る力を持っていると考える。プロスポーツの人材はその競技の中だけでなく,競技の枠,産業の枠を越えて活躍することによって,プロスポーツの中長期における発展があるはずであり,J リーグにはその人材を輩出する土壌と仕組みがある。この点において他スポーツ団体もJ リーグに学ぶ点はあるのではないかと考える。
著者
中村 哲也 丸山 敦史 陳 志鑫
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The Journal of Kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.18, pp.65-81, 2020-03-31

本稿では,香港の食とエネルギーの選択行動を事例として,統計的に分析した。香港では中国の原発建設反対運動が起こり,食の安全性が問題視されていた。香港は深圳市にある大亜湾原発から電力を依存しているが,8 割の市民が原発から電力を依存することに不安を感じていた。他方,香港に輸入される農産物は中国産が圧倒的に多いが,9 割に市民が不安を感じていた。大亜湾原発反対の署名運動については,若い市民が関心を持っていた。そして,女性は原発依存率の高さや,大亜湾原発と香港との距離,そして大亜湾原発の放射性物質漏れ事故を不安視していた。大亜湾原発の放射性物質漏れについては香港の全地域住民が不安視していた。また,女性や世帯員数が少ない者,子供がいない者,最終学歴が高い者は食の安全性に興味があり,日本産や自然農法米,植物工場レタスを購入した。電力構成別に価格を提示した場合,経済負担が大きい者は,CO2 の排出量が少ない第2 案より原発による依存が増える第3 案を選択した。他方,コメの価格を提示した場合,日本産と新界産のコメの購買選択行動は似ていた。また,日本産の結球レタスと香港産の植物工場レタスの購買選択行動も似ていた。香港産植物工場レタスを購入する者は高学歴者であり,香港の高学歴者は,植物工場レタスの栽培方法やその用途を正しく理解し,植物工場レタスを購入することが明らかにされた。
著者
和井田 節子 小泉 晋一 田中 卓也 Setsuko Waida Koizumi Shinichi Tanaka Takuya
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The journal of Kyoei University (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.193-216, 2016

共栄大学教育学部では、2 年次必修演習科目「教育学基礎演習」(半期・1 単位)の中で「知的思考力」と、協同的に問題解決をする「社会的能力」の育成を目的に、教育政策的なテーマで、チームによるディベートを行っている。本研究では、2015 年の授業記録とアンケート結果から、ディベート学習の教育的効果と課題を検討した。その結果、「知的思考力」の向上は認められたが、「社会的能力」に関しては有意な効果は認められなかった。しかし、説得力のあるディベートができたチームには、協同的に準備ができたという感想を持つ傾向があり、チームワークのスキルを学ばせる必要も示唆された。
著者
井ノ口 和子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.143-153, 2018-03-31

本研究では,図画工作・美術科教育において大きな課題の一つとなっている「図画工作科の教科観(図工観)」の転換に着目した。本研究の目的は,質問紙調査への回答と記述内容の分析から,初等教科教育法(図画工作)の受講学生の「図工観」の変容について考察することである。その結果,以下のような結論を導いた。第一に,「作品中心の図工観」,「作品を作らせるための指導観」から子どもの「発想」や「造形活動の過程」を重視した「図工観・指導観」に変容した。第二に,教科の目標や評価規準についての理解を深め,「教科」としての位置付けを理解した。第三に,図画工作科を指導することへの不安は低下したが,子どもの造形の特徴や明確な指導法の理解が十分ではなく,実践的指導力への不安をもっている。学生に子どもの造形の特徴や具体的な指導法を十分に理解させるための実践が今後の課題である。
著者
田中 卓也 Takuya Tanaka
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The journal of Kyoei University (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.167-191, 2016

「たのきん」と呼ばれる3 人の男性アイドルは、『平凡』誌上最後のアイドルとして、人気を誇った。ファン等はこぞって同誌の読者投書欄に投書を寄せ、「その思い」を伝えた。たのきん人気が去ってからは、読者投書欄は読者同士の文通や交流、誌面でのやりとりが中心となった。いつしか読者等は目には見えない読者共同体を形成していった。それはやがてアイドルを標榜する読者の集いから、彼等読者が日常通学する学校ヘと目が向けられた。それは「校則」への批判、反発というかたちで、読者個人の思いが投影されるものとなっていった。それは『平凡』誌の読者欄が彼等ヤング(若者)の居場所であり、そこで作られる主義主張などは、「ヤング共同体」としてのディスクールを有した。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.201-214, 2018-03-31

『記』『紀』のオケ王(仁賢天皇)・ヲケ王(顕宗天皇)兄弟の物語には,王統上重要な二王の即位の正当性を語るとともに,王統譜においてとりわけ重要な位置にあるオケの正統性を語る狙いがある。『古事記』は,ヲケとシビの歌垣と,それに続く二王によるシビ討伐のプロットを物語に組み込むことでこの狙いを達成した。二王がシビを武力討伐し,さらにオケが王位継承を宣明することで,二王の即位の正当性とオケの正統性を示している。また,二王の姨・イヒトヨ王の,二王の即位への関与は抑制的に記される。二王はシビ討伐により自らの力で王権を掌握したのであって,そこに日継を知らす王として認められていたはずのイヒトヨ王の関与をみることはできない。
著者
ニコラス A バフトン スティーブン ロイド
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.247-254, 2012-03-15

本論文は、2009 〜 2011 年に共栄大学国際経営学部(IBMD) に入学した学生の英語の能力の低下について述べたものである。本論は、クラス分けテストの得点と毎年の傾向を議論した上で、英語のカリキュラムが大きく変わっ現在でも、これ迄同様のクラス分けテストの存在意義、必要性について述べている。又、クラス分けの不適合は、学生の、(授業が簡単すぎたり難しすぎたりしての)退屈な授業の受講、学習意欲の消失、幻滅、無断欠席、と一連の流れに陥り最終的に退学という最悪の結果にもなりかねない事も書き加えている。
著者
今村 信哉
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.179-193, 2018-03-31

選挙権年齢が18 歳に引き下げられた影響もあり,選挙が近付く度に「主権者教育」の必要性が語られることが多い。しかし,平和で民主的な国家の形成者として必要な資質である主権者意識や主権者として判断する力等は小学校段階から身に付けるべきものと考える。そこで,本論文では,小学校の主権者教育はどうあるべきかを具体的な実践事例から明らかにしようとしたものである。主権者教育の実践の多くは高等学校で行われている。また,校種を問わずに社会科で実践されていることが多い。知識・理解は社会科で学ぶべき事ではあるが,「主権者」として必要な判断力,実際に行動する力は教育課程上,道徳と特別活動で培われるものである。ここでは,道徳に焦点を置き,「ぶらんこ復活」(わたしたちの道徳3・4 年生:文部科学省)の実践を元に法教育の視点も入れて「主体的に生きる子供を育てる主権者教育」の在り方を論じている。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = Journal of kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.16, pp.201-214, 2018-03-31

『記』『紀』のオケ王(仁賢天皇)・ヲケ王(顕宗天皇)兄弟の物語には,王統上重要な二王の即位の正当性を語るとともに,王統譜においてとりわけ重要な位置にあるオケの正統性を語る狙いがある。『古事記』は,ヲケとシビの歌垣と,それに続く二王によるシビ討伐のプロットを物語に組み込むことでこの狙いを達成した。二王がシビを武力討伐し,さらにオケが王位継承を宣明することで,二王の即位の正当性とオケの正統性を示している。また,二王の姨・イヒトヨ王の,二王の即位への関与は抑制的に記される。二王はシビ討伐により自らの力で王権を掌握したのであって,そこに日継を知らす王として認められていたはずのイヒトヨ王の関与をみることはできない。
著者
壬生 幸子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = 共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.15, pp.237-252, 2017-03-31

『古事記』仲哀記の香坂王・忍熊王の反乱物語における息長帯比売軍の二つの策略-品陀和気を喪船に乗せる「死」の偽装と、息長帯比売の偽りの「死」の布告-は、『日本書紀』にはない。この『古事記』独自のプロットにより物語は、天皇空位期における異母兄弟の争いにおいて皇統上劣位にある品陀和気・息長帯比売母子が、擬似的な「死」を潜り抜け、次代の天皇とその母としての地位を確保した物語となる。文脈と表現の検討から「赴喪船将攻空船尓自其喪船下軍相戦」は、忍熊王は喪船には品陀和気の遺骸と息長帯比売が乗ると見、息長帯比売を討ち取ろうと攻めたが、息長帯比売は予め喪船に軍兵を乗せており両軍の戦闘となった、という状況を表現したものと解釈される。「赴」はおもむく意の自動詞、「空船」は軍兵を乗せない船と解する。忍熊王が喪船に攻めかかった目的は、上記行文に先立つ「待取」という表現の検討から、息長帯比売を討ち取り殺すことと解する。
著者
名畑目 真吾
出版者
共栄大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究課題の目的は,単語や文の意味的な関連が日本人英語学習者のテキスト理解とどのように関わっているのかを明らかにすることである。本課題における意味的な関連とは,言語コーパスと統計分析に基づいて算出・評価される,単語や文が表す概念間の類似度を指す。研究期間1年目である本年度では,本課題の基盤となる実証研究及び教材分析研究を行った。実証研究では,2文1組の英文を先行研究に基づいて複数作成し,実験材料とした。これらの英文は文間の意味的な関連度の高低が操作されており,潜在意味解析 (latent semantic analysis; LSA) によってその関連度の違いが数値として評価された。実験では,協力者である大学生がこれらの英文をコンピューター上で1文ずつ読解し,読解後には1文目を手掛かりとして2文目の内容を想起する筆記再生課題が行われた。文の読解時間及び再生課題成績を統計的に分析した結果,全体としては高い意味的関連度を持つ英文ほど素早く処理され,読解後の記憶にも残り易い傾向が示された。この結果は,コーパスと統計分析に基づいて評価される文間の意味的な関連度という指標が,日本人英語学習者の少なくとも2文1組のテキスト処理と記憶に影響を及ぼす要因であることを実証するものであり,英文読解における意味的な関連度の影響を今後の研究においても追及する意義を示すものである。教材分析研究では,英語初学者向けに作成された物語文教材を対象として,文間の意味的な関連度を指標とした分析を行った。その結果,これらの教材の文間の意味的関連度は大人の英語学習者を対象とした教材を分析した先行研究の値よりも高く,学習者の発達段階によって変化する教材の特徴の1つに,文間の意味的関連度が含まれる可能性が示唆された。今後はこの可能性を確証するために,さらに分析対象の幅を広げた検証を行っていく必要がある。
著者
金森 純
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-105, 2016-03-31

これまでに一過性のイベントを契機としたスタジアムの開発は批判の対象となってきた。これは近年、ワールドカップを開催したスタジアムでも問題となっており、その活用方法や採算性が問題となっている。また、J リーグの試合では、スタジアムを満員にできない状況にある。そこで、J リーグ発足とワールドカップ招致という取り組みにおけるJFA の活動理念を踏まえて、JFA 発行の「サッカースタジアム標準」の変遷に着目する。ここからスタジアム開発の意図を掴み、その課題について考察を行った。この考察から、以下の点が明らかとなった。 (1) J リーグ発足とワールドカップ招致は、サッカー及びスポーツの普及と同時にスタジアムの整備を目的に進められてきた。 (2) スタジアム標準は、イベントを契機として変化してきた。 (3) 一過性のイベントを契機とした開発は批判の的となってきた。そこで、建設基準は、巨視的に設定されなければならない。
著者
土屋 渉
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-85, 2014-03-31

最近、わが国を訪れる外客者数は、2011 年の東日本大震災による影響によって大幅に落ち込んだが、大幅に回復し、2013 年には1,000 万人目の外客を迎え、政府の目標を達成した。本稿は、特に伸び率が大きいASEAN 主要国からの訪日旅行者について検証したものである。 ASEAN 主要国は、日本から距離的にも比較的近く、アニメ等のサブカルチャーや和食に対し強い関心を持つなど、訪日旅行市場としての有望性が高いことから、GDP 成長率推移、可処分所得、宗教別人口、日本語学習者、日本在留者、日本への留学生、日本企業への留学生の就職状況、外国旅行、訪日旅行、日本における旅行の実態等の入手可能なデータを集め、今後のASEAN 主要国からの訪日旅行の動向を取りまとめたものである。
著者
堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.121-140, 2012-03-15

本研究は、看護師の離職防止対策の示唆を得ることを目的として、1)自己効力感、達成動機、キャリアレジリエンス、キャリアパースペクティブの各要因が組織コミットメントに対してどのような効果を持っているのか、2)組織コミットメントは職業継続意思にどのような効果を持っているのかをキャリアステージ別に検討する多母集団解析を実施した。調査は、801 名の女性看護師を対象に実施した。分析の結果、中期キャリアにある看護師の組織コミットメントを規定する要因は他のキャリアステージのそれとは異なっていることに加えて、組織コミットメントが低い傾向が見出された。以上の結果から、中期キャリアにある看護師の離職防止を強化する必要性が示唆された。
著者
高田 智之
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2013-03-31

『満蒙』という76 年の歴史を持つ筆者の実家の老舗鮮魚店の屋号と、実家に保管されていた戦前の写真グラフなどを通して、内地の日本人として祖父と父が満洲(現・中国東北部)に対してどのような理解を得ていたかを考察した。一方、実家の店以外にも満洲にちなんだ屋号を持つ商店や旅館があることが分かり、それらの屋号の由来について経営者に聞いた。その結果、筆者の祖父や父を含め、彼らが満洲に対して繁栄、希望、懐古といったシンプルかつ独善的なイメージを抱いていたことが確認された。そのようなイメージは日本の傀儡国家・満洲国に代表される当時の満洲の実態とはかけ離れたものであるが、今日の尖閣諸島問題のような日中間の歴史認識の隔たりを理解する手掛かりを提供してくれる。
著者
内田 学 平田 博紀 堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.93-106, 2013-03-31

現在、家電量販業界では、熾烈な戦いが繰り広げられている。本稿ではその中でマーケットリーダーのヤマダ電機と人材教育に定評があるヨドバシカメラを採りあげる。ヤマダ電機とヨドバシカメラの戦略はマイケル・E・ポーターの3 つの基本戦略に照らし合せると、現在のところ、それぞれコストリーダーシップ戦略、差別化戦略を採って成功している。本論文では、両社のそれぞれの戦略について詳述し、さらに今後の激変する環境の中で両社が採っている戦略をどのような変化させていくのかを検討する。