著者
加藤 信哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.743-752, 2009 (Released:2009-01-01)
参考文献数
11

図書館で購読する電子ジャーナルなどの電子情報資源が増加するにつれてライセンス契約は図書館と出版社の双方にとって大きな問題となっている。NISO (National Information Standards Organization) のSERU(Shared E-Resources Understanding)は著作権法と購入発注書に依拠することにより,ライセンス契約を結ぶ代わりに出版社と図書館の共通理解に基づいて電子ジャーナルの利用を行う代替手段である。本稿では,SERUの背景,成立の経緯,概要および現状について紹介する。
著者
林 和弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.198-206, 2009 (Released:2009-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 1

日本の学術出版におけるオープンアクセス活動の状況について,日本の学協会ジャーナルを中心に紹介と考察を行う。日本化学会ではオープンアクセスオプションを採用した結果,オープンアクセス選択/非選択によって,ダウンロード数には明確な差が表れた。被引用数にも一定の差が見られたものの,審査期間の影響が強くオープンアクセス化の影響とは言い難いことがわかった。また,その他欧米のようなオープンアクセス対応を行っている学会は日本では少なく,多くが電子ジャーナルを無料で公開しており,機関リポジトリに対する方針を決めていないところも多い。この状況は日本の特殊な論文誌事業体制に由来すると考えられるが,欧米のように論文誌出版活動で大きな利益を得ていないことが,オープンアクセスの実装を本格的に試すには好条件であることを認識し,状況に応じて出版関係者は研究者とともに積極的に活動すべきである。
著者
林 和弘 中谷 敏幸 太田 暉人
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.902-913, 2009 (Released:2009-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2 1

電子出版では電子ジャーナルサービスを支える,XMLなどに代表されるメタデータを作成することが必須である。日本の主な学術ジャーナル出版では冊子製作後に電子ジャーナル用データを作成することがまだ多く,速報性に欠けるなどいくつかの電子ジャーナルの利点を生かせていない。日本化学会では国際標準的な電子出版を目指してSGML,TeXなどのメタデータを利用したさまざまな手法を経験した。それらのメリット,デメリットと国際状況を考察し,その結果を踏まえて改良し2009年から開始した国際的にも通用する新しいXML出版体制を紹介して運用と課題を考察する。この体制では,eXtylesというツールを利用してMS-Wordから直接NLM-DTD準拠のXMLを作成し,できたXMLを利用して版下を作成後,著者校正が終わり次第すぐに電子ジャーナル公開が可能になる体制となった。
著者
サイエンスポータル編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.20231703, 2023 (Released:2023-12-27)

世の中には科学技術があふれ、日々の暮らしを豊かにし、また自然界のことを知る喜びを与えてくれています。その発展によって、未来がより明るいものとなるよう、私たちは願っています。 「Science Window(サイエンスウィンドウ)」は、一人でも多くの方にとって科学技術が少しでも身近になるよう、分かりやすく楽しい情報を発信するウェブマガジンです。 【特集】今に息づく 和の伝統 日本に伝わる昔ながらの文化や工芸を、研究や製作の現場から科学技術の観点でひもときます。そこで得られた知見は、伝統を将来に受け継ぐ活動へどのように生かされつながっていくのでしょう。 【目次】 CHAPTER 01 日本独自の和鉄 復元と分析の研究に迫る CHAPTER 02 都市化で変わりゆく米作り 最適な水利用に地域の理解を CHAPTER 03 天然の接着剤 工芸品から医療まで用途が広がる CHAPTER 04 日本や世界で受け継がれてきた藍染め COLUMN 校外にも学びはたくさん 防災と私たちの暮らし COLUMN 一家に1枚 子どもたちに新たな学習の機会をつくる COLUMN ミニ知識 世論調査の移り変わり ※高解像度のPDFファイルを提供しています。「Science Portal」のお問い合わせフォーム(https://form.jst.go.jp/enquetes/inquire)よりご連絡ください。
著者
西垣 通
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.887-890, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
2

インターネットという情報の巨大な伝送装置を得,おびただしい量の情報に囲まれることになった現代。実体をもつものの価値や実在するもの同士の交流のありようにも,これまで世界が経験したことのない変化が訪れている。本連載では哲学,デジタル・デバイド,サイバーフィジカルなどの諸観点からこのテーマをとらえることを試みたい。「情報」の本質を再定義し,情報を送ることや受けることの意味,情報を伝える「言葉」の役割や受け手としてのリテラシーについて再考する。連載の最終回は,「情報学的転回」を取り上げる。20世紀に社会的価値観の変容をもたらした「言語学的転回」を踏まえ,情報学的転回は情報という概念を中心にして知の枠組みそのものを変える。AIブームに沸くいま,改めて真の情報教育の必要性を説く。
著者
大黒 岳彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.192-195, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)

インターネットという情報の巨大な伝送装置を得,おびただしい量の情報に囲まれることになった現代。実体をもつものの価値や実在するもの同士の交流のありようにも,これまで世界が経験したことのない変化が訪れている。本連載では哲学,デジタル・デバイド,情報倫理史などの諸観点からこのテーマをとらえることを試みたい。「情報」の本質を再定義し,情報を送ることや受けることの意味,情報を伝える「言葉」の役割や受け手としてのリテラシーについて再考する。第1回は,情報によって構成される新たな社会的「現実(リアリティ)」,そしてその階層化について,大黒岳彦氏が考える。
著者
中村 桂子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.293-300, 1987 (Released:2012-03-23)

本稿は, 第22回日本科学技術情報センター丹羽賞の授賞式における特別講演の収録である。生物を一つの情報システムと見なし, その仕組みを説く。例えば, 遺伝子でたんぱく質をつくると, 出来たホルモン, 酵素といった「物」自身がすべて情報を持つ。遺伝子は動くことなく, 情報を持った「物」が体中を巡ることにより, 生物のシステムは動く。このような生命科学の視点から, 情報を「心」と「物」とを結びつけるものとして考え直す必要があろうと問題提起する。
著者
独立行政法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.4-7, 2005 (Released:2021-02-10)

今年は国連が定めた「世界物理年」である。我が国でも、日本物理学会をはじめとする諸学会にJSTなども加わって世界物理年日本委員会が組織され、さまざまな活動を展開している。4月23、24日には、その中でも最大の「春のイベント」が東京で開催され、活動は佳境に入った。
著者
山崎 茂明 中山 健夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.666-672, 2003
被引用文献数
1 1

背景:構造化抄録の重要性は,EBM(エビデンスに基づいた医療)の普及とともに認識されつつある。しかし,英語文献では普及が進んでいるものの,非英語文献では十分浸透していない。方法:PubMedを使用し,1987年から2001年までの,EBM実践のうえで有用となる臨床試験文献群を対象に,非英語文献の構造化抄録採用状況を調査した。結果:各国語別の構造化抄録付与率について,全調査対象期間での平均値と,かっこ内に1999年から2001年の値を示す。ドイツ語は17.3%(48.2%),フランス語は16.1%(45.1%),イタリア語は21.3%(76.3%),スペイン語は44.7%(74.9%),ロシア語は4.9%(17.4%),中国語は21.3%(100%),そして日本語はわずか3.5%(10.4%)であった。さらに,構造化抄録付与率を基に各国語別の雑誌ランクも作成した。考察:構造化抄録は,非英語圏の雑誌において普及が進んでいるが,日本語文献では改善が示されていない。日本におけるEBM実践のために,研究者,臨床家,編集者,情報専門家は構造化抄録の重要性を認識すべきである。
著者
サイエンスポータル編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.20221602, 2022-10-21 (Released:2022-10-21)

世の中には科学技術があふれ、日々の暮らしを豊かにし、また自然界のことを知る喜びを与えてくれています。その発展によって、未来がより明るいものとなるよう、私たちは願っています。 「Science Window(サイエンスウィンドウ)」は、一人でも多くの方にとって科学技術が少しでも身近になるよう、分かりやすく楽しい情報を発信するウェブマガジンです。 【特集】ダイバーシティーで目指すもの 私たちは未来に向け、さまざまな課題を克服しながら 歩む必要があります。世の中のあらゆる人々が加わり、 互いを尊重し、多様な視点を活かすことは、豊かな 社会を築いていく新しい活力になりそうです。 【目次】 CHAPTER 01 イノベーション加速の原動力に《行木陽子さんインタビュー》 CHAPTER 02 障がい者の埋もれた能力を掘り起こそう CHAPTER 03 ポジティブな出産、適切な情報提供が後押し CHAPTER 04 人と生き物の関係を問い直す CHAPTER 05 世界で学んだコンビ、水中ドローンを開発 COLUMN 企業のダイバーシティー&インクルージョンを評価 ―独自指数で「何をすれば良いか」に挑むアワード― ※高解像度のPDFファイルを提供しています。「Science Portal」のお問い合わせフォーム(https://form.jst.go.jp/enquetes/inquire)よりご連絡ください。
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.1-40, 2012-10-01 (Released:2019-03-07)

目次 【特集】 音を知り 音を使う p.06 僕にとって良い音、好きな音を求めて(松任谷正隆) p.08 振動が「音」に聞こえる不思議 p.10 マイクロホンとスピーカーの仕組み p.12 音を記録する技術の歴史 p.14 音の特性を利用したテクノロジー p.16 音地図ではぐくむ 耳を澄ます感性 p.18 音から見直す私たちの暮らし p.22 サマー・サイエンスキャンプ― 作り出す臨場感への驚き REPORT 【連載】 p.02 似姿違質:ヤマノイモ VS ナガイモ p.20 人と大地:スイス/アルプス山脈 p.24 いにしえの心:日本の太鼓 林英哲 p.25 タイムワープ夢飛翔:オーディオ/発明王は蓄音機がお気に入り p.26 動物たちのないしょの話:ベルーガ(鴨川シーワールド) p.28 科学でなっとくクッキング:焼き魚 p.29 カタカナ語でサイエンス!:ステンレスは「錆(さ)びない」!? ~台所のカタカナ語~ p.30 写真でよむ随筆の世界:茶碗の湯 p.32 かがくを伝える舞台裏:『すイエんサー』収録現場を訪ねて p.33 サイエンスのお仕事図鑑:音環境デザインコーディネーター p.34 イチから伝授実験法:電気の授業で盛り上がる! p.36 発見!暮らしのなかの科学:ヘッドホンはどう鳴っているの? p.38 せんせいクラブ p.40 人と大地 解説:アルプホルン