著者
田口 宣行
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.171-180, 2011 (Released:2011-07-01)
参考文献数
34
被引用文献数
1

出版社,代理店,購読機関の三者は,学術雑誌の購読契約を通じて,学術情報の流通という同じ目的に対して協力関係を構築した。ところが,出版社による学術雑誌の毎年の価格高騰によりこの関係が不安定なものとなった。本稿では,学術雑誌ビジネスの主たるステークホルダーである出版社,代理店,購読機関の関係を概観し,三者による新たな協力関係の構築の可能性を検討する。また,学術雑誌ビジネスの特異な市場構造を考察し,価格高騰が続く要因を示す。さらに,学術雑誌ビジネスの実態について,過去の状況を含めて概観し,学術雑誌ビジネスと学術情報流通の将来を予測する。
著者
宮入 暢子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.80-89, 2014
被引用文献数
2

Galaxy ZooやeBirdに代表されるシチズンサイエンスでは,基礎研究データの効率的な整備や新たな知識の生産に市民が直接貢献している。「開かれた科学」は17世紀後半の科学アカデミーの成立や学術誌の成立に端を発し,今日の科学研究の基本理念である(1)先駆性の確保,(2)科学の集約化,(3)第三者による正当性の担保,(4)著者による説明責任の確立,といった基礎を築いた。サイエンス2.0の到来によって,プレプリント,オープンピアレビュー,オープンデータリポジトリ,科学のソーシャル化によるネットワークを介したイノベーションなど,学術コミュニケーションの多様化が促進された。これまで論文とその引用という形でしか計ることのできなかった研究インパクトに,オンライン上の注目度を定量化するオルトメトリクスが加わり,各国政府の研究データのオープン化の方針が進む中,科学データ流通を促進するための情報基盤の確立は急務である。
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.13, no.S1, pp.1-44, 2019 (Released:2019-12-09)

目次 p.03 2030年の世界のあるべきかたち「SDGs」~より良い未来社会の実現に向けて、期待される日本の科学技術~ p.08 海洋プラスチック問題に立ち向かう~カネカが生んだ期待のポリマー~ p.13 ごみを見つめて、未来を変える~SDGs時代に求められるごみ対策を考える~ p.18 科学への探究心と自主性を育む試み~兵庫県立尼崎小田高等学校が主催する「高校生サミット」~ p.25 自立した地域資源を生み出す技術とは 岩手県山田町、静岡県浜松市ほか p.29 ベンチャー企業、養殖業者、役場、漁協、大学が一体となって日本の水産養殖業を救う! 愛媛県愛南町 p.34 水から見える世界と私たちのつながり p.40 世界は「食」でつながっている 未来のために科学がができること 私たちができること p.44 「STI for SDGs」アワード 受賞者決定!
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.2, no.8, pp.1-28, 2008-11-01 (Released:2019-04-12)

サイエンスウィンドウ2008 11月号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。 https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/28 目次 【特集】 遊びから見つけるタネの不思議 p.06 時空を旅するタネのふしぎ p.08 探そう! 遊べるタネ、楽しいタネ p.10 タネはどうやって旅をするのか p.12 遊んだ後に図鑑づくり p.14 おいしく食べたらタネをまこう p.16 貯えて利用、タネと人との共生 【連載】 p.02 似姿違質:ナナフシ VS 小枝 p.18 科学散歩 いにしえの心:『源氏物語』紅葉賀 p.19 本づくりの舞台裏:誠文堂新光社『子供の科学』編集部を訪ねて p.20 ふるさと食の楽校:藻塩 p.21 再発見!ZOO:身近な環境のバロメーター カエル p.22 イチから伝授実験法:校庭で宝探し 砂で遊ぼう p.24 発見! 暮らしのなかの科学:アルミニウムのマルチな才能 p.26 せんせいクラブ p.28 シリーズ 窓:米子水鳥公園ネイチャーセンター
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-37, 2019 (Released:2020-03-17)

目次 暮らしのごみ 地球の資源 p.03 2030年の世界のあるべきかたち「SDGs」~より良い未来社会の実現に向けて、期待される日本の科学技術~ p.08 ごみを見つめて、未来を変える ~SDGs時代に求められるごみ対策を考える~ p.13 とことんエコに包み込む ~包装の設計にかける環境への思い~ p.18 海洋プラスチック問題に立ち向かう ~カネカが生んだ期待のポリマー~ p.23 科学への探究心と自主性を育む試み ~兵庫県立尼崎小田高等学校が主催する「高校生サミット」~ p.30 【未来ビジョン】《山極壽一さんインタビュー》ゴリラたちから学ぶ~人間の本質と未来の姿~
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-40, 2015-07-01 (Released:2018-08-21)

サイエンスウィンドウ2015夏号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。 https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/80 目次 【特集】 自然災害の国に生きる p.06 日本の国土の成り立ちを知り、防災に生かす(池谷浩 砂防・地すべり技術センター) p.10 繰り返す南海トラフの大地震(金田義行 名古屋大学減災連携研究センター) p.14 諦めない気持ちを育む 一人ひとりへの個別避難訓練(矢守克也 京都大学防災研究所) p.16 みんなで作る天気予報 観測と「感測」から生まれる情報(ウェザーニューズ) p.18 過去の災害を調べて、作る防災マップ 学校と地域が協力して(防災科学技術研究所) p.22 国づくり神話の地・出雲 恵みと脅威のマネジメント思想(桑子敏雄 東京工業大学) p.24 私たちはリスクとどう向き合えばいい?(小林傳司 大阪大学ほか) 【連載】 p.02 共に生きる:ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミ p.26 タイムワープ夢飛翔:国際光年(上)/光の正体を追いかけて p.27 違いのわかるカタカナ語:ハザードとリスク p.28 空からジオ:南アルプスジオパーク周辺/長野県、山梨県、静岡県 p.30 動物たちのないしょの話:ゴマフアザラシ(新潟市水族館マリンピア日本海) p.32 自然観察法のイロハのイ:川原ウオッチング p.34 文学と味わう科学写真:火山と生きる p.36 発見!くらしの中の科学:汗を拭くときどうしてタオルがいいの? p.38 読者の広場:サイエンスウィンドウ カフェ p.40 空からジオ:解説
著者
古谷 実
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.155-161, 2007 (Released:2007-06-01)
参考文献数
4

「SIST 02-1997参照文献の書き方」と「SIST 02 suppl.-2003参照文献の書き方(補遺)電子文献参照の書き方」の双方を併せて改訂して1冊にまとめた新版『SIST 02-2007』が公刊された。記述ルールをできるだけ単純にすることを目指し,印刷媒体,電子媒体いずれの参照にも対応できるようにした。旧版からの主要な変更点とその考え方について説明し,参照すべき文献種類の多様化に対応して記述例を80に増やした。また,ある主題分野や一部学会で多年にわたり慣用されてきた参照ルールにも目を向け,残された課題や今後必要な作業について述べた。公刊する前にパブリック・コメントを徴し,それを取り入れたことも今回の改訂の特徴である。
著者
新井 紀子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.12-19, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

情報・システム研究機構国立情報学研究所では,研究者向けサイエンス2.0基盤サービスResearchmap.jpを公開する。本サービスは研究者に対して,研究ホームページを公開するための領域である「マイポータル」のほか,バーチャルなデスクトップの機能を果たす「マイルーム」,他の研究者と共同研究や委員会活動をするためのコミュニティーを提供する。マイポータルには研究者履歴(Curriculum Vitae)を公開するためのテンプレートのほか,研究ブログ,資料配布用キャビネット,動画配信ツールなどが備えられており,研究者はその中から自分を表現するためのツールを自由にチョイスし,効果的に情報発信を行うことができる。
著者
サイエンスウィンドウ編集部
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
サイエンスウィンドウ (ISSN:18817807)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-40, 2018-04-01 (Released:2018-05-09)

サイエンスウィンドウ2018春号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。 https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/94 目次 【特集】 自然の豊かさって何だろう? p.06 人間と自然が共存する里山に新たな価値を見出す(鷲谷いづみ 中央大学理工学部) p.10 コウノトリが舞う里のエコバレー構想~人と自然が共生するまちづくり(兵庫県豊岡市) p.12 遊んで学ぶ自然と多様性(井上満 日本シェアリングネイチャー協会) p.16 海とともに生きる~柏島で「里海」づくりの挑戦(神田優 黒潮実感センター) p.20 地域の固有性に育まれる生物多様性(五箇公一 国立環境研究所 生態リスク評価・対策研究室) p.24 生物多様性の基礎知識 Q&A 【連載】 p.02 かくれてるカモ?:ニホンアマガエル p.26 空からジオ:八峰白神ジオパーク/秋田県 p.28 動物たちのないしょの話:ライオン(群馬サファリパーク) p.30 タイムワープ夢飛翔:生物多様性/躍進と絶滅を繰り返して p.32 自然観察法のイロハのイ:「チバニアン」の地層に刻まれた地球の歴史を観察しよう p.34 科学写真の言霊:レイチェル・カーソンの言葉より p.36 発見!くらしの中の科学:モノが届くしくみ ー今と昔ではどのように違うの?ー p.40 空からジオ:解説 p.38 「サイエンスウィンドウ」の12 年の歩みを顧みて(室伏きみ子 サイエンスウィンドウ委員会)
著者
後藤 敏行
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.752-764, 2008 (Released:2008-02-01)
参考文献数
22

デジタル保存を担うリポジトリ(デジタルリポジトリ)の認証基準,およびデジタル保存の国際プロジェクトの動向を紹介,分析した。RLG・NARA合同タスクフォースはデジタルリポジトリの認証基準を2007年に刊行した。欧米の他のプロジェクトでも認証基準策定の動きが続いている。欧米の認証基準を参考にする場合,法律等のわが国固有の事情に留意が必要である。また,デジタル保存に関する動向として,複数国の機関が参加した国際レベルの取り組みが注目される。主なものにCASPAR,DPE,PLANETS,Alliance for Permanent Accessがある。従来の一国内でのプロジェクトが到達できなかった知見にどれだけ迫れるかが注目される。
著者
松本 優
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.804-815, 2004 (Released:2004-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

株式会社リコーで,知識コミュニティの元祖といわれるユニークなナレッジ・マネジメントDB&メルマガ「おじさん通信」を主宰し,定年後の現在も委託を受けてコンテンツ提供を続けている筆者が「ナレッジ・マネジメントの本質」について解説した後,筆者の元所属した株式会社リコーの販売部門におけるナレッジ・マネジメント実践事例を紹介。事例内容は,(1) 上記の1人ナレッジ・マネジメント「おじさん通信」の事例 (2) 営業の情報共有活用の仕組み「MA情報カードシステム」の事例および (3) その他の事例を紹介。さらに販売部門以外に設計・生産部門の事例,研究・開発部門の優れた事例にも触れる。
著者
金子 周司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.24-35, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
5
被引用文献数
5 4

ライフサイエンス辞書(LSD)とは,筆者が主宰するLSDプロジェクトが1993年以来作り上げてきた生命科学領域の電子辞書である。この辞書の最大の特徴は,英語および日本語のいずれも大量の学術テキストを計量的に解析した独自のデータに基づいていることである。本稿では現在,公開している辞書サービスの概要とLSDデータベースの構築法を紹介し,併せて現在取り組んでいる対訳オントロジーの構築作業から見えてきた英語と日本語の学術用語の相違点について述べたい。
著者
倉地 亮
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.690-700, 2018-01-01 (Released:2018-01-01)
参考文献数
13

近年,自動車はさまざまな機器と接続されることにより,新しい価値を生み出すことが期待されている。今後は自動運転に向けて,V2Xと呼ばれる通信機能の搭載が予想されており,ますますIoTとしての重要な位置づけとなる。しかしながら,一方で現在販売されている自動車の多くが,セキュリティー対策が不十分であることが指摘されている。このため,今後はセキュリティー強化が必要とされている。本論では,自動車を取り巻くIoTと情報セキュリティーの課題について概説する。
著者
国立研究開発法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.4, pp.3, 2019-04-01 (Released:2019-04-30)

従来のエレクトロニクスは電子の持つ電荷に注目して構築されてきたが、20世紀後半のナノテクノロジーの発展は、電子の自転であるスピンの利用を可能にした。スピンの流れ、すなわちスピン流の物理現象に世界に先駆けて着目し、スピン流の基礎物理法則を解明してきたのが、東京大学大学院工学系研究科の齊藤英治教授だ。スピン流を組み込んだ電磁気学の体系化とともに、新しいエネルギー技術の開発や次世代磁気デバイスへの応用を目指す。
著者
高木 尚哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.525-533, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)

特許庁と独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)は,「特許電子図書館」(IPDL)を刷新し,新たな特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム」(Japan Platform for Patent Information: J-PlatPat)を2015(平成27)年3月23日より提供している。本稿では,「ぷらっと」寄って,情報を「ぱっと」見つけられるユーザーフレンドリーなサービスであるJ-PlatPatのコンセプトや主なサービス,機能を紹介する。
著者
児玉 晴男
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.109-119, 2014-05-01 (Released:2014-05-01)
参考文献数
12

情報ネットワークとWeb環境において,著作物またはコンテンツが活用されている。それは,著作物(著作物を伝達する行為を含む)とメディアのかかわりから,アナログ環境とデジタル環境の諸相と対比される。わが国では,その権利の関係には,「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」と「著作権法」および「著作権等管理事業法」が関与する。それら3つの法律が対象とする権利は,「著作権」,「著作権と関連権」,「著作権等」と表記が異なっている。本稿は,著作権,著作権と関連権,著作権等の権利管理の対象の違いについて解説する。それら3つの権利と権利管理との関係は,わが国の著作権法における映画製作者の3つの権利の帰属に見いだすことができる。
著者
山崎 慎一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.335-344, 2011 (Released:2011-09-01)
参考文献数
13

高等教育機関が,教育研究の質の向上と,社会に対して説明責任を果たすことは,日本のみならず世界の先進国が共通に抱える課題である。この課題について,アメリカでは州立大学を中心に,2007年からボランタリー・システム・オブ・アカウンタビリティー(VSA)という取り組みが行われている。VSAは,大学情報の公開を通じて,大学改革を促し,同時に社会に対して適切な情報の提供を目的としている。そのために,共通化された大学情報のフォーマットであるカレッジ・ポートレイトを用い,高等教育界が自発的に問題解決を試みているものである。本報告では,VSAの取り組みの紹介を通じ,日本における今後の大学情報の収集および公開方法のあり方を検討している。