著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.802-809, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
被引用文献数
1

“本”を“本”たらしめている根幹は,紙葉を一定の順序で並べて固定化する製本という行為にある。EPUBでは,spine情報がこの製本という行為に相当する。本稿では,製本という行為の果たした役割を “本”の歴史と読文行為(文書を読むこと一般)の中で相対化することにより,電子化ネットワーク化された文書一般と電子書籍の関係を考察し,将来の電子書籍の在り方についての1つの可能性を示す。
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.176-184, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
2
被引用文献数
3

符号化文字集合を論じるうえで欠くことのできない,字体と字形という2つの言葉の意味を明確にしたうえで,利用者集団や目的によって字体を区別する粒度が異なることについて論じる。
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.147-156, 2012 (Released:2012-06-01)
被引用文献数
1 1

本稿では,日本における国際符号化文字集合を含む文字符号標準の変遷を,国語施策との関わりを軸に概観すると共に,人名の表記に用いる漢字の特殊性と情報通信機器に実装する際の問題点について述べる。
著者
大場 みち子 山口 琢 高橋 慈子 小林 龍生
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.67-73, 2016-08-15

大学ではレポート作成や卒業論文,学会発表原稿などで学習や研究成果を効果的にアウトプットする.これらの文章を効果的なものにするためには,論理的な文章作成力が求められている.我々は編集操作を記録する文章作成ツールを開発し,本ツールを用いたライティングプロセスに関する研究を実施している.本論文ではこの文章作成ツールを利用して、編集操作とアウトプット文章の評価との関係を分析した結果を報告する.論理的文章の修正前後の評価改善度と編集操作(修正操作)との関係性の傾向を予備実験の結果に基づいて説明する.
著者
小林 龍生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1099-1103, 2002-10-15

本稿では,日本の代表的な仮名漢字変換システムATOKの歴史に沿いながら,仮名漢字変換技術の変遷を概観する.全体を,黎明期(フレームワーク模索の時代),規範性追求期(ATOK監修委員会の時代),多様性追求期(多様なデバイスへの対応と方言対応の時代)に分けて記述する.
著者
小林 龍生
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-6, 2011-11-11

システムやソフトウェアの構築に当たっては,利用者側が要求する事項とそれを実現するために開発者側が提供する成果物との間に,程度の差こそあれ必ず差異が生じる.その多くは要求者側と開発者側の間の意思疎通の齟齬に起因する.また,要求者側が要求事項と混同して,自らの知見の範囲内でいわば場当たり的な解決策を提示した結果,開発者側が潜在的に提供しうる高い機能性が実現できないことや,開発者側が要求事項を字義通り鵜呑みにして実装を行った結果,要求者側の本来の意図が実現されないことが多発する.本稿では,主としてEPUBの最新仕様に日本語組み版に必要とされる縦組み機能やルビ機能を盛り込む過程を通して,要求事項の言語化とその要求事項に基づく実現方法のモデル化を試みると同時に,要求する側とそれを実現する側それぞれの留意点を手案する.In IT system development scene, gaps between requirements and solutions are frequently happens. The reasons are usually dis/mis-communication between requirement side and solution side. Especially, confusion between requirements and arbitrary solution in requirement side, and ad Hoc solution for requirements with "word by word solutions" in solution side, are very common and difficult issue. In this paper, a case study from the standardization of EPUB Japanese text layout functionality is reported and a hypothetical model for communication between requirement side and solution side is duscussed. With this duscussion model, some recommendations will be proposed.
著者
藤田 益伸 小林 龍生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PE-013, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

目的:教誨師とは刑務所等の矯正施設において受刑者の育成や精神的救済を目的とした講話や面接活動をする聖職者を指す。職業としての宗教教誨は一定の方法的自覚に基づき行われているが,教誨が心理学化していくとの指摘もある。本研究では対人援助の基本姿勢を比較しながら,教誨師の対面関係における態度の類似性と相違性について探究した。方法:2019年12月から3月に,教誨師1名を対象に半構造化面接を行った。面接は対面1回,電話4回で,所要時間は1回あたり1時間前後であった。調査内容は,教誨師としての活動状況,エピソード,心構え等である。得られたデータのうち対人援助能力に関連する内容を抽出,カテゴリー化してまとめた。倫理的配慮は所属機関の倫理規程を遵守し,秘密保持,個人情報の保護に努めた。結果:傷つき不信感をもった少年に対して,時所位・慈悲・灯明をもって接して感応道交へ至らしめていた。考察:教誨師の3姿勢が無条件の肯定的関心,共感,自己一致に対応していたことに加え,自他一如の価値観が根底にみられた点が特徴的といえる。
著者
三瓶 良祐 小林 龍生 小倉 正恒 田中 良弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101171, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】全身振動刺激トレーニングは、振動するプラットフォーム上で運動することによって身体機能を向上させるトレーニング方法である。トレーニング効果として、筋力増強、筋柔軟性の向上や神経筋協調性の改善に対する効果などが報告されている。脊髄腫瘍術後、深部感覚障害による脊髄性失調を呈した症例に対し、全身振動刺激トレーニングを実施し、身体機能に関する即時および長期効果が得られたので報告する。【方法】対象は、脊髄内腫瘍(Th2/3レベル、Cavernous angioma)、52歳の男性。H17年度より右下肢のしびれを自覚。H22年5月、右下肢の違和感、しびれが増強し、右下肢麻痺、両下肢感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害を認めた。H22年11月15日に他院にて腫瘍摘出術を実施。11月16日よりリハビリテーション開始。H24年4月全身振動刺激トレーニング開始時、MMT左右下肢とも5レベル。感覚は両下肢でしびれが強く、表在覚は両下肢とも軽度鈍麻、運動覚は右足趾で軽度低下、振動覚は右内踝7秒、左内踝9秒とともに低下。Romberg sign陽性。基本動作は自立しており、走行も可能なレベルである。全身振動刺激トレーニング機器であるPOWER PLATEを使用し、周波数35Hz、振幅2~4mmの振動刺激を用いて、スクワット姿勢など7種類の運動と2種類のストレッチを3回/週、14週間施行した。振幅、刺激時間は1週間ごとに振幅2mm・30秒、4mm・30秒、2mm・60秒、4mm・60秒と段階的にあげ、5週目以降は4mm・60秒で実施した。評価は1週間毎に、閉眼閉脚立位時間、開眼片脚立位時間(左右)、垂直飛びをPOWER PLATE 実施前後に計測した。各評価は3回試行し、即時効果はトレーニング実施前後に得られた最高値を、長期効果は全身刺激トレーニング実施前の平均値を採用した。統計学的検討として、t検定を用い、有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究を実施するにあたり、ヘルシンキ宣言に基づき症例に対し事前に十分な説明と同意を得てから研究を実施した。【結果】即時効果として、閉眼閉脚立位時間は、実施前16.3±8.8秒から実施後115.3±14.7秒で有意差を認めた(P<0.01)。開眼片脚立位時間は、実施前、右13.5±6.2秒、左16.8±8.6秒から、実施後、右23.4±15.0秒、左41.6±31.7秒で、両側で有意差を認めた(P<0.01)。垂直飛びは、実施前30.2±2.9cmから実施後35.6±1.2cmで有意差を認めた(P<0.01)。POWER PLATEを用いた運動後、すべての評価項目で即時効果を認めた。また、長期効果は、閉眼閉脚立位時間は初回、23.2±12.9秒から評価14回目で100.1±24.5秒、開眼片脚立位時間は、初回、右16.0±6.2秒、左18.2±12.5秒、評価14回目で右86.0±34.0秒、左68.8±49.5秒、垂直飛びは初回、33.3±2.3cm、評価14回目で34.8±0.5cmとすべての評価項目で長期的な改善効果の傾向が見られた。【考察】即時効果として、閉眼閉脚立位時間は、実施前16.3±8.8秒から実施後115.3±14.7秒で有意差を認めた(P<0.01)。開眼片脚立位時間は、実施前、右13.5±6.2秒、左16.8±8.6秒から、実施後、右23.4±15.0秒、左41.6±31.7秒で、両側で有意差を認めた(P<0.01)。垂直飛びは、実施前30.2±2.9cmから実施後35.6±1.2cmで有意差を認めた(P<0.01)。POWER PLATEを用いた運動後、すべての評価項目で即時効果を認めた。また、長期効果は、閉眼閉脚立位時間は初回、23.2±12.9秒から評価14回目で100.1±24.5秒、開眼片脚立位時間は、初回、右16.0±6.2秒、左18.2±12.5秒、評価14回目で右86.0±34.0秒、左68.8±49.5秒、垂直飛びは初回、33.3±2.3cm、評価14回目で34.8±0.5cmとすべての評価項目で長期的な改善効果の傾向が見られた。【理学療法学研究としての意義】脊髄腫瘍摘出術後に脊髄性失調を呈した症例に対し、全身振動刺激トレーニングを施行し、バランス能力と筋パワーの2つの異なる身体機能に改善を認めた。脊髄性失調の症例に対して全身振動刺激トレーニングにより改善効果のある可能性が示唆された。
著者
小林 龍生
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.404-408, 2020-05-18 (Released:2020-06-13)
参考文献数
5

運動器疾患の診療にもロボットが導入されつつある.人工関節手術ロボットは術者の技量によらず術前計画通りの手術を可能にする.リハビリテーションにおいても療法士の技量にかかわらずよいリハビリテーションを可能にするロボットが期待される.Honda歩行アシストは歩行練習に際し,療法士の技量にかかわらず,微妙な股関節の可動域の変化を数値として表示し,微妙なアシストを加え,動きの悪い患側の股関節の動きを健側とほぼ同じ動きに誘導する歩行練習が可能で有用性が期待できる.また,慢性期歩行障害患者の歩行速度,歩幅の改善にも有効であり,ロコモティブシンドロームやサルコペニアのリハビリテーションへの応用も期待される.
著者
小林 龍生
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.7-24, 2019-01-15

ISOやIEC,ITU-Tなどの公的規格(de jure standard)にせよ,W3CやIETFなどの業界規格(de facto standard)にせよ,情報規格の策定過程では,しばしば,国と国,企業と企業,文化と文化の利害が鋭く対立する.ISO/IEC 10646やUnicode Standardなどの符号化文字集合は,標準化の対象が自然言語に用いられる文字であるだけに,特に文化的な利害関係が先鋭化する場合が少なくない.本稿では,(独)情報処理推進機構が中心となり,官民一体で進めてきた文字情報基盤整備事業のうち,日本における行政システムの電子化(eGovernment)に不可欠な人名表記に用いられる漢字や変体仮名の国際標準化を成功に導いた戦略と戦術について論じる.なお,符号化文字集合に関する専門用語が頻出するが,それぞれの用語については煩瑣ともなり,本稿の目的からは逸脱するので,詳説しない.適宜,インターネット等で検索していただくか,文献[2]をご参照いただきたい.また,本文中敬称は省略した.
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.176-184, 2015

符号化文字集合を論じるうえで欠くことのできない,字体と字形という2つの言葉の意味を明確にしたうえで,利用者集団や目的によって字体を区別する粒度が異なることについて論じる。
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.147-156, 2012
被引用文献数
1

本稿では,日本における国際符号化文字集合を含む文字符号標準の変遷を,国語施策との関わりを軸に概観すると共に,人名の表記に用いる漢字の特殊性と情報通信機器に実装する際の問題点について述べる。
著者
小林 龍生
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.7-24, 2019-01-15

ISOやIEC,ITU-Tなどの公的規格(de jure standard)にせよ,W3CやIETFなどの業界規格(de facto standard)にせよ,情報規格の策定過程では,しばしば,国と国,企業と企業,文化と文化の利害が鋭く対立する.ISO/IEC 10646やUnicode Standardなどの符号化文字集合は,標準化の対象が自然言語に用いられる文字であるだけに,特に文化的な利害関係が先鋭化する場合が少なくない.本稿では,(独)情報処理推進機構が中心となり,官民一体で進めてきた文字情報基盤整備事業のうち,日本における行政システムの電子化(eGovernment)に不可欠な人名表記に用いられる漢字や変体仮名の国際標準化を成功に導いた戦略と戦術について論じる.なお,符号化文字集合に関する専門用語が頻出するが,それぞれの用語については煩瑣ともなり,本稿の目的からは逸脱するので,詳説しない.適宜,インターネット等で検索していただくか,文献[2]をご参照いただきたい.また,本文中敬称は省略した.