著者
石原 敦 中原 真也
出版者
埼玉工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ペットボトル、ポリエチレン、アルミニウム、鉄、ニクロム線の身近な材料と酸化剤として酸素を用いた教材用小型ハイブリッド・ロケットを開発した。本小型ハイブリッド・ロケットを用いて、埼玉県熊谷市の公立中学校の通常理科授業時間と愛媛県松山市で行われた理科おもしろ教室で、ロケットに関する連携授業を行った。本教材用ハイブリッド・ロケットを用いた中学校と大学との連携授業は、理科授業と理科おもしろ教室の授業目的を達成したばかりではなく、中学生徒の工学や理科への興味を喚起させるために極めて有効であった。
著者
宮井 里佳 落合 俊典 本井 牧子
出版者
埼玉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

中国北朝後半期の道紀撰『金蔵論』は、中国、西域、日本に広く伝播した形跡のある重要な書物である。しかし早くに失われ、昭和初期に日本古写本の存在が報告されるまで、忘れ去られた存在であった。我々は、仏教学的見地から北朝後半期の仏教の様相を伝える貴重な書として、また国文学的見地から『今昔物語集』など日本説話文学に影響を与えた書として、『金蔵論』をはじめて総合的に研究することをめざした。時をほぼ同じくして、敦煌写本中に『金蔵論』の断片があることが報告され、我々も新たに敦煌写本中の『金蔵論』を数点見出した。これらと、日本伝存の興福寺蔵日本霊異記紙背書写の巻六、および大谷大学蔵(旧法隆寺蔵)長承三(1134)年奥書写本「衆経要集金蔵論」巻一・巻二合本とについて、できる限り実見調査を行った。同時に、現存『金蔵論』本文について、諸本を校勘し、かつ原拠や仏教類書ならびに『今昔物語集』などと比較検討して解読を進め、翻刻・校訂本文ならびに訳注を一通り作成した。こうして『金蔵論』巻一、五、六のほぼ全容を明らかにし、『金蔵論』の全体像に対する考察を深めることができた。その結果、大谷大学蔵写本巻二の問題点が明らかとなった。また『金蔵論』は仏教類書と類似した形式を持ちながら、類書とは異なる編纂意識に基づくものとして、それをいかに位置づけるかが新たな課題として浮かび上がった。また、『今昔物語集』などの日本仏教文学における『金蔵論』の影響がいっそう明らかになり、『今昔物語集』の編纂過程、また『今昔物語集』編者の意図を推測する手がかりを得ることができた。報告書においては、研究現況、『金蔵論』現存諸本の解題、および敦煌本の翻刻(巻五、六に相当)を掲載した。現在、大谷大学蔵写本における朱や墨で付された訓点の解読を進めており、すべての成果を影印・翻刻とともに近日公刊する予定である。
著者
久保田 顕二
出版者
埼玉工業大学
雑誌
Contexture : 教養紀要 (ISSN:09101233)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.23-45, 1993

This paper examines three main objections raised against James Rachels' claim that the distinction between killing and letting die has no moral significance. The first objection, which is based upon a rule-utilitarian position, holds that the current moral rules forbidding active killing have the highest “utility value" in the structure of our present moral code and therefore should not be abandoned. The second objection focuses on the interpretation of the AMA statement which Rachels attacks in his argument, and says that he misunderstands the statement because it does not concern itself with the distinction as he supposes. The third objection, which Philippa Foot makes, appeals to the concept of virtue. According to the objection, the killing / letting-die distinction is morally relevant because an unjustified act of killing is contrary to “justice" whereas an unjustified act of letting die is contrary to “charity".
著者
佐藤 由美
出版者
埼玉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

かつて日本の植民地であった台湾と朝鮮に公布・施行された教育令には、植民地教育の思想的な根幹が示されているはずである。しかし、日本政府が両植民地を視野に入れ、その教育方針を共通化したのは1922年のことだった。それ以前は両総督府の学務官僚により、それぞれの状況に応じた学校制度が整備されていたため、台湾では朝鮮と合わせるために制度が後退する事態にもなった。一方、第一次朝鮮教育令で示された綱領はその後、教育令の条文から姿を消すが、「忠良ナル国民ノ育成」は水面下で強化され続けた。
著者
佐藤 由美 玄 善允 弘谷 多喜夫 佐野 通夫 李 正連 宮崎 聖子 磯田 一雄 仲村 修 鈴木 常勝 前田 均 上田 崇仁
出版者
埼玉工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本統治下の台湾や朝鮮では、学校教育を受けることのできる子どもたちは限られていた。その機会に恵まれた子どもたちでさえも、その期間は限定されていたが、子どもたちは学校以外でもさまざまな学びを経験したはずである。そこで私たちは学校教育以外の場で、子どもたちがどのような学びを経験したのか、その様相に焦点を当て多様性を明らかにした。例えば、社会教育(伝統教育機関、夜学や国語保育園など)、サブカルチャー(児童文学、紙芝居、ラジオ、労働、遊び)の中での彼らの学びである。資料としては、当時の政策文書や新聞雑誌、インタビュー調査の記録を用いた。