著者
宮本 順二朗
出版者
帝塚山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

給与・賞与といった報酬割合が依然として高く、金額的にはまだまだ低いといわれるわが国企業において、ガバナンスを変えるための方策として、報酬体系・支給方法をただちに英米化するとは想定し難い。本稿では[1]タイム(1期)ラグ付きの役員報酬対企業業績回帰モデルよりも同時方程式モデルの方が説明力は高いこと、[2]'海外法人等持ち株比率'が取締役報酬と最も関連性が強いこと、[3]取締役報酬は、株価関連指標の中では'株価収益率(またはその変化率)'と正の相関、会計的指標の中では(対数変換)総資産額自己資本利益率と正の相関があり、'負債比率'と負の相関があることが判明した。さらに説明力を高めるためには、一方で、入手が比較的容易な会計(決算)数値データや株価関連データのみならず、(企業間異質性を示す)その他諸変数(例:役員の年齢・在任年数・員数)や(厳密には算出が難しい)フリー・キャッシュフローや、(乱用は慎まなければならないだろうが)適切なダミー変数などを利用するといったことも一考を要するだろう。また他方で、被説明変数(「経営者報酬」代理変数)として、取締役一人当たり平均報酬額を用いることに、再検討の余地は大いにあるだろう。
著者
杉崎 貴英
出版者
帝塚山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、奈良の地において古代に成立した宗教彫像が、その後、中世を通じて改めてどのように受容され、新たな意味づけを付与されたのかを探ることを目的とした。新薬師寺本尊薬師如来像、長谷寺本尊十一面観音像、興福寺南円堂本尊不空羂索観音像などを対象として調査研究をおこない、制作以後の履歴、信仰の様相、神仏習合との関係、言説の形成やその絵画化、模像の制作などについて、具体相の把握を進めた。
著者
深見 良子 山崎 緑
出版者
帝塚山大学
雑誌
帝塚山短期大学紀要. 人文・社会科学編・自然科学編 (ISSN:1344915X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.210_a-197_a, 1996-03-01
被引用文献数
2

本学短大生の肥満の頻度をBMIと体脂肪率から調べ, 1の結果を得た。痩せ願望をもつ女子のダイエット法は, ダイエット本来の主旨である蓄積した脂肪を重点的に減らして, 健康体をつくるという目的に沿っていないものが多い。そこで, ダイエットの実態および食生活と体調に関する調査を行い2∿10の結果を得た。1. (a) BMIによる肥満の判定 本学学生のBMI(体格指数)の平均値は20.2であり, 内訳は痩せ傾向群(BMI≦19.9)は43.8%, 正常群(20.0≦BMI≦22.9)が45.3%, 肥満傾向群(BMI≧23.0)は10.8%の比率であった。(b) 体脂肪率による肥満の判定 同女子学生の体脂肪率の平均値は23.3で, 内訳は痩せ傾向群(20%未満)が15.1%, 正常群(20%∿25%未満)は53.2%, 肥満傾向群(25%以上)が31.7%であり全体の1/3が肥満傾向群に属する結果となった。また体脂肪率ではBMIによる判定よりも約3倍の人が肥満傾向にあると判定された。体脂肪率25%以上の人がBMI痩せ傾向群に16.0%, 正常群に39.7%, 肥満傾向群に60.0%みいだされた。即ち, 体型から見てスリムであり肥満でない者のなかにも体脂肪率が25%以上の脂肪体質の学生が多いことが判った。(c) 学生が理想とする体重 学生が望んでいる体重は現在の自分の体重を下回り, 肥満傾向群では100%体重減少を望み, 正常群で98.8%, 痩せ傾向群でさえ51.9%の人が体重減少を望んでいる。2. ダイエット経験者は全体の59.6%もおり, 開始年齢は, 15歳が18%, 16歳が24.6%, 次いで17歳, 18歳がそれぞれ19.8%で主として中学3年生, 高校生・短大1年生時代に行っている。体重が減って成功したと答えた者はダイエット経験者全体の38%で, 体調に異常を感じないで体重が減少した者は全体の24.6%であった。3. ダイエットの方法としては食事, 運動, 薬の服用やこれらの併用もある。特定食品やダイエット食品を用いる方法には雑誌などで報道され話題になったものもある。成功したと答えたひとの方法としては運動と食事を併用したものが48%に達し, 最も高かった。4. ダイエット期間は1週間から1ケ月が30%で最も多く, 実施期間の回数は1∿5回が38%で最も多く, 繰り返し実行している場合のあることがわかる。5. ダイエットによって体に生じる異常は, 疲れやすい21.6%, 便秘12.0%, 生理停止9.4%, 貧血7.2%, 吹き出物がでる6.6%, 味覚障害6.1%, 精神不安定4.9%が主なものである。ダイエット後の体重リバウンドは14%もあった。6. ダイエットによって生じた良好な結果は, 体重の減少36%, 体部のサイズ減少11%, 味覚が敏感になった8%などである。7. ダイエットが失敗した理由としては, 持続性に乏しい, 体の不調, 精神的不安定, 反動としての食欲の増加などが挙げられる。8. 学生の体験より考えついた理想的なダイエット法は次のようなものがある。短期間に大きな体重減少を望まないこと, バランスよく食べながら体重を減らすこと, 長続きする方法であること, ダイエット中健康を損なわない事, できるだけ運動量を増やすことなどである。9. 日常の食生活を省みて, 食べ過ぎていると思う食品を問うたところ, 菓子類42.8%, 油もの33.6%, 嗜好飲料23.6%, パン類22.1%, 肉類20.3%などは摂り過ぎていると考えており, もう少し摂った方がよいと思う食品, および殆ど摂れていない食品にはいずれも上位に緑黄色野菜, 大豆類, 海藻, の食品群を挙げており, もう少し摂った方がよい食品には乳製品26.1%を挙げ, 殆ど摂れていない食品には魚介類11.4%があり近年の若者の食生活の偏りが示されている。学生の1日の食品摂取品目数は平均20.2品目で30品目にはほど遠い。朝食の欠食状況は, 1週間のうち1∿3欠食のある人は22.3%で, そのうち全く摂らない人は6.4%であった。朝食の内容は主食と副食を摂っている人は40.6%でその他はバランスのとれていない不備なものであった。10. 学生の体調, 便秘の有無, 生理の状態, アレルギーの有無, 歯の健康状態などについても調査し, 食生活の内容と合わせて考察した。
著者
川合 悟
出版者
帝塚山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

持ち上げ時に知覚される物体の重さへの慣性力の影響を検討した。慣性力は指先の物体接触面から物体までの距離(作用点-重心)および軸周りの質量分布に影響される。故に同じ質量で大きさ(3水準)および距離(3水準)が異なる9種類の竿付立方体を用い、これら刺激から知覚される重さの変化から、距離(実験1)および大きさと距離(実験2)の影響を調べた。実験1からは距離の増大は重さの増大を生じた(p <.05)。実験2からは距離の増大+大きさの減少は重さの増大(あるいはその逆)を生じたが、両要因の拮抗関係が崩れると重さは複雑に変化した。そこで複雑な両要因の影響を量的・組織的に説明できるモデルを提案した。