著者
中野 孝教 荒矢 大輔 飯田 史哉 石本 達成 伊戸 康清 猪嶋 清文 今村 智子 江川 勇飛 小澤 弘幸 帰山 寿章 片瀬 靖規 酒井 元哉 佐藤 実 澤田 誠司 下島 浩平 野田 博幸 松田 智幸 松本 高志 山田 明弘 山田 佳裕 山下 勝行 岡野 修 岸本 圭祐 勝見 尚也 山中 勝 城間 吉貴 大河内 博
出版者
日本地学教育学会
雑誌
みんなの地学 (ISSN:24356441)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.10-15, 2020-06-30 (Released:2021-12-02)
参考文献数
10

人間社会は岩石や水,生物,大気などの様々な自然資源を開発し利用することで発展してきたが,それに伴い環境は変化し時に汚染や災害など生存にかかわる問題を引き起こしてきた.地学は持続可能な社会を支える必須な学問であるにもかかわらず,高校地学の履修者は少なく,教師も研究者も減少している.人間と自然の関係は複雑だがシームレスにつながっており,共に地域的な多様性に富むという特徴がある.地球環境研究は社会変革につながる学際研究,大学は地域貢献,自治体は地域創生が求められるようになってきた.ここでは健全な水循環の実現に向けて,大学と小学校が連携しながら,地域性が強い水資源を観測・調査している福井県大野市の例を紹介し,生徒の環境リテラシーの向上と地学研究を協働して推進する地学教育の可能性を考えてみたい.
著者
廣木 義久 多賀 優
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.159-164, 2018-04-30 (Released:2019-04-01)
参考文献数
42

小・中学校の地学領域で学習する科学用語に関連する日常用語として,石・岩・泥・粘土・土の意味について検討した.石・岩・泥・粘土・土の意味を明らかにし,これらの日常用語と混同されやすい科学用語(岩石・鉱物・礫,および,科学用語としての砂・泥・粘土)との違いを考察した.日常用語は人の生活における用途によって定義,使い分けされているのに対して,科学用語は物質の構成物の特徴によって定義されている.
著者
廣木 義久
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.117-128, 2019-05-31 (Released:2019-11-13)
参考文献数
38
被引用文献数
1

小学校理科で実施されている地層形成実験が小学校理科の教科書や小学校学習指導要領に示されている地層のでき方を再現するための実験となっているのかどうかについて検討した.小学校で扱われている地層は川のような流水のもとで形成される礫・砂・泥からなる地層である.しかしながら,小学校で実施されている地層形成実験は堆積物重力流,もしくは,砕屑粒子の沈降にともなう分級作用による地層形成を模した実験である.したがって,現行の地層形成実験は小学校の地層形成の学習には適していない.また,これまでに出版された学術論文の中にも小学校理科で実施するのにふさわしい実験は見当たらない.したがって,小学校理科で実施するのに適切な地層形成実験の開発が必要である.
著者
三好 雅也 畑中 健徳 吉川 博輔 藤井 純子 馬渡 秀夫 小林 暉 内山田 朋弥 山本 博文
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.57-69, 2019-02-28 (Released:2019-11-13)
参考文献数
19

恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークの小学校における火山教室の実践結果と効果について報告する.火山教室は,火山活動と大地の形成に関する講義および七輪マグマ実験で構成される.実験において,児童は溶岩の温度(約1,000℃)を赤外放射温度計で実測し,砂山斜面を流れる溶岩が爪楊枝を燃やす様子を観察した.授業後アンケート調査結果は,児童が溶岩の高温を実感し,勝山の大地の成因と火山活動との関係について興味・関心を持ったことを示した.
著者
土井 徹 匹田 篤 林 武広
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.41-52, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
19

小学校6年生を対象に,大気中の二酸化炭素濃度の日変化をどう考えるかについて調査した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)燃焼,生物の呼吸,植物の光合成による二酸化炭素の出入りについての学習を行う前は,「大気中の二酸化炭素が日中に濃く,夜は薄い」と考える児童が最も多く,学習後は「大気中の二酸化炭素が夜に濃く,日中は薄い」と考える児童が最も多くなる.(2)大気中の二酸化炭素濃度の日変化の仕方とその理由を考えさせる授業後は,多くの児童が二酸化炭素濃度の日変化の理由について既習内容と関係づけて理解するようになる.
著者
伊藤 信成 中川 友博
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.49-72, 2016

<p>2014年10月8日に起きた皆既月食をデジタルカメラで撮影し,その画像を用いて三重県内の都市の相対位置関係を求めるという試みを行った.この試みは,地上の位置関係が天球上に反転して投影されるという視差の特徴を利用したものである.都市の位置推定のためには,観測地点間での微小な月の視差を検出することが必要であり,県内各地で撮影された月食画像を集める必要がある.皆既月食当日,三重県内は曇天であったが,市民からの協力も得て県内各地から500枚以上の画像が集まり,そのうちの122枚が解析可能な画像であった.解析の結果,三重県の6都市のうちの3都市における月の視差を5″以下の精度で求めることができ,月食画像から推定した都市の位置は既存地図とほぼ一致した.この結果は月食画像を用いて県という狭い範囲内の都市位置を求めることが可能であることを示すものである.</p>
著者
平岡 瑞恵 岡村 聡
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.29-39, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
24

高等学校地学の教科書では,火成岩の多様性は結晶分化作用に重点が置かれ,それ以外の火成岩生成説の記述は不十分である.また,偏光顕微鏡を用いた薄片観察が扱われているが,その観察と火成岩の多様性とを関連づけた解説はなされていない.これらの問題点を解決するために,北海道有珠火山を題材にした学習プログラムの開発を試みた.学習プログラムには,結晶分化作用のモデルを検証するための各種火成岩の噴出量の見積もりと比較,マグマ混合モデルを検証するためのケイ長質岩の肉眼および偏光顕微鏡観察が含まれる.
著者
長谷川 敏
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.67-72, 2007-03-25
被引用文献数
1