著者
廣木 義久
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.9, pp.699-705, 2019-09-15 (Released:2019-12-27)
参考文献数
5

This study investigated the usage of north symbols on maps in signboards, newspaper flyers, and textbooks of elementary, junior high, and high schools, and assessed the recognition of north symbols by university students as well as the effect of elementary, junior high, and high-school lessons on such recognition. Almost all students recognized symbols similar to the magnetic north symbol used by the Geological Survey of Japan as the appropriate sign for north, but very few students (around 5%) were aware that the iconic representations of true north and magnetic north were distinct from each other. North symbols used in signboards and newspaper flyers were varied. Students have not acquired accurate knowledge with regard to the differences in north symbols through lessons imparted to them in elementary, junior high, and high schools, suggesting that there is a need to improve instruction on the subject. Students specializing in geology should be taught the correct symbols denoting the notion of north.
著者
廣木 義久 藤井 宏明 平田 豊誠
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.119-128, 2016-03-31 (Released:2017-05-31)
参考文献数
18

岩石の風化作用による土砂の形成の理解における土に関する学習の効果を,中学生を対象に検証した.土には花崗岩の風化物である粘土質のマサを用いた.授業では,生徒は次の二つのことを学んだ.土はさまざまな粒径の粒子,すなわち,礫・砂・泥(粘土を含む)の混合物であること,土は岩石の風化作用により形成されること,である.単元終了直後には,89.3%の生徒が砂の形成を風化モデルで説明し,その割合は,単元終了から3カ月後でも70.7%と高い値を維持していた.
著者
廣木 義久
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.97-107, 2019-02-28 (Released:2019-11-13)
参考文献数
42
被引用文献数
5

流水による砕屑物からなる地層の形成を理解する上で非常に重要なユールストロームダイアグラムを解説した.ユールストロームダイアグラムは今から約80年前の1939年に発表されたダイアグラムであるが,水中における砕屑物の堆積を理解するのに,今でも有効である.このダイアグラムは堆積や侵食が起こるときの流速と堆積物の粒径との関係を示している.地層は流速が変化する中で,異なる粒径の粒子が堆積するために形成される.それぞれの堆積環境は特有の水理学的エネルギーを持っており,その環境の中で,流速変化が特有の範囲で起こるため,特有の粒径からなる地層が形成される.すなわち,粗粒(細粒)の堆積物からなる地層は高い(低い)水理学的エネルギーを持つ堆積環境において堆積される.
著者
廣木 義久 山崎 聡 平田 豊誠
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-56, 2011-07

砂の形成に関する小・中・大学生の理解を調査し,小・中学校における岩石の風化作用に関する学習の問題点を議論した。小学5学年の単元「流れる水のはたらき」の学習前の児童においては,砂の形成メカニズムに関する考えは極めて多様であるが,「流れる水のはたらき」の学習後は,侵食モデル(砂は川で石や岩が水流によって削れてできる)で説明する児童と,衝突モデル(砂は川で礫同士がぶつかり合って砕けてできる)で説明する児童が増加する(それぞれ29.9%,25.6%)。そして,中学校における単元「活きている地球」の学習後は,侵食モデルが52.5%と増加する一方,風化モデルで説明する生徒の割合は8.8%にとどまった。これらの結果から,侵食モデルと衝突モデルは小学5学年の「流れる水のはたらき」の学習で獲得され,侵食モデルは中学1年の風化・侵食作用の学習後に強化されていることがわかる。岩石の風化作用による砂の形成を理解させるための方策としては,中学校における岩石の風化作用の授業に土の学習を取り入れることが有効であると考えられる。
著者
廣木 義久 多賀 優
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.159-164, 2018-04-30 (Released:2019-04-01)
参考文献数
42

小・中学校の地学領域で学習する科学用語に関連する日常用語として,石・岩・泥・粘土・土の意味について検討した.石・岩・泥・粘土・土の意味を明らかにし,これらの日常用語と混同されやすい科学用語(岩石・鉱物・礫,および,科学用語としての砂・泥・粘土)との違いを考察した.日常用語は人の生活における用途によって定義,使い分けされているのに対して,科学用語は物質の構成物の特徴によって定義されている.
著者
廣木 義久 山崎 聡 平田 豊誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-56, 2011-07-05 (Released:2021-06-30)
参考文献数
26

砂の形成に関する小・中・大学生の理解を調査し,小・中学校における岩石の風化作用に関する学習の問題点を議論した。小学5学年の単元「流れる水のはたらき」の学習前の児童においては,砂の形成メカニズムに関する考えは極めて多様であるが,「流れる水のはたらき」の学習後は,侵食モデル(砂は川で石や岩が水流によって削れてできる)で説明する児童と,衝突モデル(砂は川で礫同士がぶつかり合って砕けてできる)で説明する児童が増加する(それぞれ29.9%, 25.6%)。そして,中学校における単元「活きている地球」の学習後は,侵食モデルが52.5%と増加する一方,風化モデルで説明する生徒の割合は8.8%にとどまった。これらの結果から,侵食モデルと衝突モデルは小学5学年の「流れる水のはたらき」の学習で獲得され,侵食モデルは中学1年の風化・侵食作用の学習後に強化されていることがわかる。岩石の風化作用による砂の形成を理解させるための方策としては,中学校における岩石の風化作用の授業に土の学習を取り入れることが有効であると考えられる。
著者
廣木 義久
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.117-128, 2019-05-31 (Released:2019-11-13)
参考文献数
38
被引用文献数
1

小学校理科で実施されている地層形成実験が小学校理科の教科書や小学校学習指導要領に示されている地層のでき方を再現するための実験となっているのかどうかについて検討した.小学校で扱われている地層は川のような流水のもとで形成される礫・砂・泥からなる地層である.しかしながら,小学校で実施されている地層形成実験は堆積物重力流,もしくは,砕屑粒子の沈降にともなう分級作用による地層形成を模した実験である.したがって,現行の地層形成実験は小学校の地層形成の学習には適していない.また,これまでに出版された学術論文の中にも小学校理科で実施するのにふさわしい実験は見当たらない.したがって,小学校理科で実施するのに適切な地層形成実験の開発が必要である.
著者
上島 昌晃 廣木 義久
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第5部門 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.59-74, 2009-02

仮説実験授業を実践したことのある教師の多くは仮説実験授業に対して肯定的な反応を示している。仮説実験授業はそれが提唱された後,教育現場へ急速に広がっていった。それは何よりも仮説実験授業が現場の教師にとって魅力のある授業であったからにほかならない。しかしながら,その広がりは1975年頃にピークを迎え,その後は,仮説実験授業から遠ざかっていく教師たちと仮説実験授業にひかれ仮説実験授業を実践し続ける教師たちとの二極に分化していった。現在の20代の教師のほとんどは仮説実験授業を知らない。一方,30代以上の教師の多くは仮説実験授業を実践した経験を持っている。しかし,仮説実験授業をかつて実践したことのある教師の多くは,現在仮説実験授業を実践していない。現場の教師にとって魅力的な仮説実験授業を今日の学校現場に活かすために,30代以上の教師に年に1回でもよいから仮説実験授業を実践してもらいたい。そのことにより,仮説実験授業を知らない20代の教師が仮説実験授業を間近で見る機会となり,それが仮説実験授業の学校現場での再普及につながる。Many schoolteachers who have experienced to practice the Kasetsu-Jikken-Jugyo (hypothesisand- experiment teaching method) have affirmative opinions to the method. A reason that the Kasetsu-Jikken-Jugyo has rapidly spread just after its proposal on 1963 is that the method was very attractive for schoolteachers. The trend, however, reached the peak around 1975 and the teachers divided into two groups: the teachers who continued to practice the method and the teachers who left off practicing the method. Almost all of present teachers in twenties know nothing of the method. Although many teachers over thirties have an experience to practice the method, they do not use the method now. The Kasetsu-Jikken-Jugyo has high potential to be acquired communication ability to children, which is one of the most important ability for the present-day children. However, a problem practicing the Kasetsu-Jikken-Jugyo is to need much time compared with another methods. Thus we hope teachers, especially over thirties, to practice the Kasetsu-Jikken-Jugyo once in a year.