著者
平田 豊誠 多賀 優 吉川 武憲 小川 博士
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.383-389, 2020-11-30 (Released:2020-11-26)
参考文献数
10

深成岩が「ゆっくり冷えて固まる」とは一体どれくらいの時間なのか?という問いかけを小学校教員・中学校理科教員を対象に行った。本研究の目的は,深成岩の冷却固結の時間についての認識調査を小学校教員および中学校理科教員に行い,認識の比較検討を行い,冷却固結の時間に関する時間的スケールを獲得している状況を考察することである。調査は小学校教員41名,中学校理科教員155名を対象に認識調査・分析を行った。その結果,深成岩の冷却固結の時間の地質学的時間スケールにおいて,妥当な回答を行った小学校教員は7.3%,中学校理科教員は11.6%だった。中学校理科教員と小学校教員間での比較検討を行った結果,妥当な回答について有意差は認められなかった。また,中学校理科教員間での比較分析の結果,学生時代における地学専門だったかそれ以外だったか,および教員の使用している教科書会社の違いそれぞれについての有意差は認められなかった。
著者
貴治 康夫 沓掛 俊夫 中野 聰志 西村 貞浩 澤田 一彦 杉井 完治 多賀 優 竹本 健一 天白 俊馬
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.2, pp.53-69, 2008-02-15 (Released:2009-02-21)
参考文献数
67
被引用文献数
13 7

東西6 km・南北7 km規模の比叡花崗岩体は,琵琶湖周辺の白亜紀末山陽帯花崗岩体のうちで,最も西寄りに位置する.これまで琵琶湖コールドロン形成に関係した琵琶湖南部環状花崗岩体の西端部の岩体と考えられてきた.比叡花崗岩体は,中心相と考えられる中粒斑状黒雲母花崗岩とそれを取り囲むように分布している中粒等粒状黒雲母花崗岩からなる.両者は漸移関係にあり,活動時期は100 Ma頃と推定される.比叡花崗岩は,年代値,岩相,化学的性質において琵琶湖南部の他の花崗岩類とは異なるので,およそ70 Maの琵琶湖コールドロン形成に直接関与した環状岩体を構成するものとしては考えられない.本岩体中には,岩体西縁部で南北方向に貫入している花崗斑岩脈と花崗閃緑斑岩脈のほかに,優白質微花崗岩,流紋岩,玄武岩,ランプロファイアの小岩脈が岩体全体に点在している.そのうちの花崗斑岩と花崗閃緑斑岩の岩脈は,琵琶湖コールドロンの外縁を画する環状岩脈の一部であると考えられる.
著者
多賀 優 河野 俊夫 中野 聰志
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-12, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
30
被引用文献数
2

紫色レーザーポインターからの光線(405 nm)を照射することによって蛍光を発するコナラの枝を浸した水(コナラ水と呼ぶ)やウランガラスプリズムをそれぞれ方解石と組み合わせて方解石の複屈折現象を教材化した.本教材では,方解石への入射光路,方解石中の光路,方解石からの出射光路のすべてを紫色レーザー光励起による蛍光の輝線として連続して観察できる.開発したコナラ水やウランガラスプリズムを用いて,高校で光の性質(直進,反射,屈折)を示す演示実験を行った.その結果,光の性質についての認識が深まった.
著者
廣木 義久 多賀 優
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.159-164, 2018-04-30 (Released:2019-04-01)
参考文献数
42

小・中学校の地学領域で学習する科学用語に関連する日常用語として,石・岩・泥・粘土・土の意味について検討した.石・岩・泥・粘土・土の意味を明らかにし,これらの日常用語と混同されやすい科学用語(岩石・鉱物・礫,および,科学用語としての砂・泥・粘土)との違いを考察した.日常用語は人の生活における用途によって定義,使い分けされているのに対して,科学用語は物質の構成物の特徴によって定義されている.
著者
河野 俊夫 多賀 優 山下 信彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.17-21, 2011-01-25 (Released:2017-05-16)

Transparent euhedral crystals of quartz from Wad, Baluchistan, Pakistan include petroleum consisting of three phases. Yellowish inclusions in liquid phase exhibit bluish-white luminescence under UV-light excitation. The photoluminescence (PL) spectrum of yellowish inclusions under 360nm excitation consists of a broad band with a peak at 503nm. The emission peak exists at longer wavelength than that of crude oils from Wells in Joetsu and Chuetsu areas, Niigata, Japan. The PL excitation spectrum, obtained by observing luminescence at 520nm, shows the maximum luminescence efficiency under blue-light (450nm) excitation. It is inferred that the yellowish inclusions consist of a few aromatic hydrocarbons with different aromatic rings.
著者
周琵琶湖花崗岩団体研究グループ 橋本 勘 久田 義之 沓掛 俊夫 中野 聰志 西橋 秀海 西村 貞治 澤田 一彦 杉井 完治 多賀 優 竹本 健一 天白 俊馬 吉田 源市
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.380-392, 2000
参考文献数
22
被引用文献数
6

田上花こう岩体(東西方向約20km×南北方向約8km)は,後期白亜紀末の"琵琶湖コールドロン"形成に関わった環状花こう岩体のうちで最も南に位置する.田上花こう岩体は,粒度と組織から4つの岩相に区分される(中〜粗粒黒雲母花こう岩,中〜粗粒斑状黒雲母花こう岩,細〜中粒斑状黒雲母花こう岩,細粒黒雲母花こう岩).田上花こう岩体は,丹波帯のジュラ紀付加コンプレックスと新期領家花こう岩と考えられる観音寺花こう閃緑岩に貫入している.観音寺花こう閃緑岩を含む岩体の北西部に貫入している花こう斑岩岩脈は,雁行状配列を示している.同じく岩体の北西部では,湖東流紋岩類に属すると考えられる珪長質火砕岩を捕獲または伴う石英斑岩岩脈が産する.これらの岩脈群は,"琵琶湖コールドロン"形成時の環状割れ目を充填しているものと考えられる.主要・微量元素全岩化学組成上,観音寺花こう閃緑岩は田上花こう岩とは異なる特徴を持つ.岩脈類も,微量元素組成の点で田上花こう岩類とは異なり,特に石英斑岩は湖東流紋岩類の秦荘石英斑岩に似ている.田上花こう岩は,琵琶湖南部周辺の花こう岩類と密接な成因的な関係を有する.
著者
河野 俊夫 多賀 優 山下 信彦
出版者
益富地学会館
雑誌
地学研究 (ISSN:03665933)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.11-15,1, 2011