著者
海宝 和子
出版者
日本女子大学
雑誌
史艸 (ISSN:02883066)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.40-48, 1978-11-10
著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 店田 博文 鈴木 均 三沢 伸生
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究ではこれまで看過されてきた戦時期日本の戦略研究としての回教・回教徒研究を積極的に再評価し、戦後展開した基礎的な地域研究としての中東イスラーム地域研究との断続性よりもそれへの継続性に力点を置いて検討することを目的とした。本研究による研究成果としては以下の四つの領域に分類することができる。第一に、アフガニスタン関係資料として、尾崎三雄家所蔵資料の整理・公刊である。第二として、戦時期日本の回教・回教徒研究に関しては、早稲田大学中央図書館に所蔵の大日本回教協会の映像資料「大日本回教協会関係写真資料(Photography of the Greater Japan Muslim League)Ver.1」のCD-ROM化、また、2006年1月にトルコ共和国アンカラにおいて行なったシンポジウム「戦時期日本のイスラーム政策」の成果の一端を『日本中東学会年報(The Annal of the Japan Association of Middle East Studies)』第23号の特集「第二次世界大戦前の日本と中東(Japan and the Middle East before World War II)」として刊行した。第三として、大日本帝国領に亡命していたタタール系ムスリムによって刊行されていたタタール語等の雑誌・新聞類の整理に関しては、第二次世界大戦中に旧満州国ハルビンで刊行されていたタタール語紙『ミッリー・バイラク』に掲載された写真を一枚のDVDにまとめた『Photography Collection of Milli Bayrak(Mukden,1935-1945)Ver.1』としてDVDを刊行した。第四として、戦前日本の回教・回教徒研究を推進・組織化した東亜経済調査局理事長であった大川周明が第一次世界大戦後に多くの論考を投稿していた道会雑誌『道』に掲載された大川周明の論考をデータ化してまとめた。
著者
関根 康正 杉本 良男 永ノ尾 信悟 松井 健 小林 勝 三尾 稔
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1990年代以降のインド社会において宗教対立が深刻化しているが、それが経済自由化と平行現象であることに注目した。本研究は、近年のグローバリゼーションの進展と「宗教空間」の変容をどのように対応づけられるのかを、具体的な日常現場の調査を通じて明らかにすることをめざした。この基礎研究によって、日常現場から見えてくるHindu Nationalistとは言えない「普通」の人々の宗教実践から、政治的な場やメディアなどでの「宗教対立」の言説を、正確に相対化し、「宗教対立」問題を見直すのである。明らかになってきたことは、生活現場の社会環境の安定性の度合が、「宗教対立」現象に関与的な主要因子である点である。要するに、それが不安定になれば上から「宗教対立」の言説に惹かれて不安の由来をそこに読みとってしまう「偽りの投影」に陥りやすくなるのである。逆に、安定性が相対的高い村落部では現今の「対立」傾向を知りつつも生活の場での「共存・融和」を優先させている現実が明らかになった。各地の現地調査から共通して見出された重大な事実は、そうした村落部でおいてさえ、都市部ではなおさらであるが、宗教のパッケージ化が進んできていることである。これは、生活文化におけるローカルな知識の急速な喪失を意味し、それと入れ替わるように生活知識のパッケージ化が進行し、宗教面においてもしかりである。宗教版グローバル・スタンダードの浸透現象である。これは、「宗教対立」を起こしやすい環境を整えることにもなる。その意味で、私達が注目した宗教の裾野や周辺現象(スーフィー聖者廟、女神信仰、「歩道寺院」、村落寺院、地方的巡礼体系、部族的社会様態など)への関心とそれに関する詳細な実態報告は、それ自体パッケージ化やスタンダード化に抗するベクトルをもつものであり、そうしたローカルな場所に蓄積されてきた知恵を自覚的に再発見する環境づくりを整備することが、「宗教対立」という言説主導の擬態的現実構築を阻止し解体のためにはきわめて重要であることが明らかになった。