著者
松岡 知子 堀内 寛子 山中 亜紀 伊藤 倫子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.398-404, 2000-12-01
参考文献数
16
被引用文献数
5
著者
永松 美雪 矢野 潔子 原 健一
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.519-529, 2014-01

女子大生および既婚の就労女性とパートナーの避妊に関する要因を明らかにすることを研究目的とした。平成23年10〜12月までに,九州北部地域で,同意を得た女性466名へ調査を実施した。調査項目は,女性とパートナーの年齢,社会的立場,避妊行動,人工妊娠中絶の経験,避妊の意思決定,女性とパートナーの関係性,女性自身と女性からみたパートナーの平等主義的性役割態度,将来の避妊に対する自己効力感で,佐賀大学医学部倫理委員会の承諾を得て実施した。有効回答を得た241名のうち現在パートナーが存在する114名で,妊娠を望んでいる女性11名を除いた103名中,本研究の分析対象は20歳代未婚の女子大生40名と30歳以上既婚の就労女性44名とした。女子大生が避妊行動を実行できることは,避妊の意思決定ができること,女性とパートナーの関係性が良好で,将来の避妊に対する自己効力感が高いことが関連していた。避妊の意思決定ができることは,女性からみたパートナーの平等主義的性役割態度が高いことが影響していた。既婚の就労女性が避妊行動を実行できることは,避妊の意思決定ができること,将来の避妊に対する自己効力感が高いことが関連していたが,女性とパートナーの関係性や平等主義的性役割態度は影響していなかった。
著者
齋藤 祥乃 岡山 久代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.396-404, 2014-07

本研究の目的は,分娩後の女性において,骨盤ベルト(トコちゃんベルト)着用が子宮復古を促進し,マイナートラブルを減少させることを仮説とし,解剖学的に,また質問紙調査によって検証することである。対象は,正期産で単胎を経膣分娩した分娩後3〜7日目の褥婦とし,骨盤ベルトを着用する介入群30名と非着用の対照群11名に分類した。評価方法は,縦型オープンMRを用いて分娩後1週間, 1か月, 2か月の各時期の内子宮口を撮像し,恥骨尾骨ラインまでの距離を計測した。また,同時期のマイナートラブルの発症数を検討した。結果,内子宮口の位置は,介入群では分娩後1週間から1か月(p<0.01), 1か月から2か月(p<0.05)に有意な下降を認めた。同様に対照群は, 1か月から2か月のみに有意な下降を認めた(p<0.01)。分娩後1か月の時点では,介入群が対照群よりも有意に低くかった(p<0.001)。一方,マイナートラブルは,両群に差がないことが示された。介入群において分娩後1週間から1か月の内子宮口の下降が促進されたことから,分娩後1ヶ月までの子宮復古における骨盤ベルトの有用性が実証された。ただし,マイナートラブルに関しては,効果が検証されなかった。
著者
下敷領 須美子 宇都 弘美 佐々木 くみ子 井上 尚美 嶋田 紀膺子 藤野 敏則
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.171-179, 2006-04
被引用文献数
3 2

奄美群島は,南方文化の影響を受けつつ独自の文化的背景をもち,合計特殊出生率・第3子以上の出生割合が高率であるという特徴を有している。本稿の研究目的は奄美群島の子育て環境の地域特性について明らかにすることである。まず,母子保健事業と保育施策について実績値の分析を行い,さらに奄美群島全市町村の母子保健担当保健師と母親を対象に,子育て支援の実態と課題について聞き取り調査を実施した。その結果,以下の結論を得た。(1)母子保健事業の実態としては,28週以後の妊娠届出率が高いなどの課題をもつが母子保健推進員が整備活用されている。(2)保育所が整備され,待機児童は実質的に0である。(3)保育師からみた子育て環境の地域特性は,家族・親族近隣からの豊富な子育て支援,大らかな子育て観,「子は宝」という価値観などがあげられた。(4)母親からの聞き取り調査からも,子育てに関して地縁・血縁による支援を受けていることが明らかになり,その背景には受け手側も支援者になる支え合いが存在していた。(5)子育て中の一番の支援者は夫であったが,複数の支援者から臨機応変に支援を受けており,多くの母親が楽しみながら子育てをしていた。
著者
松崎 愛 本多 千恵子 布施 明美
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.390-403, 2005-07
被引用文献数
1

比較的高強度の運動を定期的に行う若年女性の月経随伴症状の出現傾向を年代間で比較検討することを目的に, 部活動で陸上競技を行う中学生(J群), 高校生(H群), 大学生(U群)について, 身体的, 競技的背景, 月経現象, および月経随伴症状について調査し, 以下のことがわかった。月経周期が正常である選手は, J群50.9%, H群59.1%, U群71.0%であった。月経随伴症状は, 「下腹部痛」の頻度が最も高く, J群45.0%, H群51.5%, U群61.3%で, 加齢に伴い明らかに高頻度を示した。J群とH群は月経2日目に症状が集中した。一方U群は, 月経1日目に高頻度を示す症状が多く, さらに「イライラ感」や「乳房痛」が月経前に高頻度でみられた。U群は他2群と比較し正常周期が高率であったことから, U群の年代で女性ホルモンの分泌が安定する選手が多くなると推測される。U群の諸症状が月経1日目に高頻度を示すのは, 症状が月経前から月経前期まで持続する選手の割合が高かったことが影響していると考えられる。以上のことより, 若年競技者は大学生を境に, 月経随伴症状の出現に変化が現われることが示唆された。
著者
藤岡 奈美 村上 彩乃 山科 尚子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.86-94, 2014-04

本研究は,男子大学生の性行動・避妊行動の実態,およびこれらに影響する性意識,性的態度との関係について明らかにすることを目的とし, A県内の男子大学生318人(有効回答数277)に実態調査を行った。この結果,対象の平均年齢は, 20.9±1.2歳であり,性交経験「あり」と回答した者は186人,初交年齢の平均は17.6±2.1歳であった。性交経験者のうち,現在のパートナーの有無について,その人数は,「1人」89.7%,「2人」4.3%,「3人以上(最大8人)」6.0%であった。避妊行動は,「あり」と回答した者は178人で,避妊行動の頻度は,「毎回」140人,「ほとんど」8人,「半々」5人,「ほとんどしない」8人であったが,その一方で,避妊行動の必要性について「必要だ」と大半が認識しているものの,実行が伴わない状況であった。性的態度は,性交経験の有無において,性交経験がある者が性に寛容であり(P<0.001),とくに初交経験が早い者のほうが寛容であることを示した。一方,避妊行動を実施している者が性の責任感は強く(P<0.05),とくに毎回避妊している者が高かった(P<0.001)。
著者
山本 浩世 田中 美樹 高野 政子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.110-117, 2009-04
被引用文献数
2

本研究の目的は,母乳不足感を訴える母親の認識と,その認識が母乳育児の中断にどのように影響しているかを明らかにし,母親のニーズに基づいた看護職の支援のあり方について示唆を得ることである。調査対象者は1ヵ月健診を受診した異常がない母親および乳児で,無記名の19項目からなる自記式質問紙を用いて調査した。母乳不足感がある母親のなかには母乳育児への強い思いや,医療職からの励ましにより母乳育児を継続できている人がいた。一方で,「母乳をあげても児が泣き止まない」「母乳が足りないと思いミルクを補足したら児が泣き止んだ」という体験をした母親は「赤ちゃんが満足するのはミルクではないか」や「ミルクをあげれば泣き止むから,母乳より簡単」というような認識をもち,その認識が母乳育児の中断に影響を及ぼしたのではないかと考えられた。今回の調査から,母乳不足を感じた母親がミルクを補足するかどうか不安になる頃の支援が重要であり,母乳育児を継続できるよう,産後1週間頃に看護職が電話で様子をたずねたり,産後2週間健診などの看護介入の推進が示唆された。
著者
武田 江里子 小林 康江 加藤 千晶
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.86-92, 2013-04

産後1ヵ月健診を受診した母親177名を対象に,「現在のストレス内容」について自由記述によるアンケート調査を実施した。有効回答の得られた166名(有効回収率93.8%)を分析対象とした。SPSS Analytics for Surveys 4.0を用いてテキストマイニング分析を行った。全体では【今後の心配】【夫の協力がない】【子どもが寝ない】【子どもの泣き・ぐずり】【家事が大変】【寝不足】【思いどおりにいかない】【情報の混乱】【母乳の不足感】【育児が大変】【自分に対するやるせなさ】【自分の時間がない】【自分へのねぎらい】【複数の子育て】の14カテゴリーが抽出され,そこに【初産】【経産】というカテゴリーを加え16カテゴリーとし,カテゴリー間の結びつきをみた。初産婦・経産婦で同じストレスは多く,そのなかでも【思いどおりにいかない】ストレスは両方に多くみられた。それぞれに特徴的なストレスもあるが,いずれのストレスにおいてもそのストレスのみでなく,他のストレスとの結びつきをみることで,ストレスの本質的なものが察知できると考えられた。
著者
佐原 玉恵
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.132-141, 2007-04
被引用文献数
1

本研究の目的は高校生の性に関する知識,価値観,行動について分析し四国A県の高校生の性の実態を調査することである。四国A県の高校6校に通学する高校生630名を対象に性交,避妊法,妊娠,人工妊娠中絶,性感染症についてアンケート調査を実施し565名から回答を得た。四国A県の高校生の性の実態調査の結果,知識面の特徴は,1.性に関する基礎的な知識が不足していた。価値観の特徴は,2.性交については全体の約6割の人が容認していた。3.人工妊娠中絶について全体の約8割が否定的な意見であった。行動の特徴は,4.女子の性交率は全国平均よりも高く,避妊率は低い結果であり,全国平均に比して女子は性行動が活発であるという特徴が示された。知識,価値観,行動の関係の特徴は,8.性に関する価値観と行動にはずれが生じていた。9.コンドームの使用法の知識について男女間の差はみられなかったがコンドームでの避妊の実施率は男子より女子が有意に低かった。以上のことより,性に関する基礎的知識の教育,女子に対する避妊法,避妊することを要求できる行動の教育が必要であると考えられた。
著者
井田 歩美 合田 典子 片岡 久美恵
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.427-436, 2013-01
被引用文献数
1

近年,核家族化や地域連帯感の希薄化による子育ての孤立が指摘されている。一方で,インターネットの急速な普及により,乳幼児の母親世代でのインターネット利用は日常化していると推察される。そこで,専門職者としての具体的な支援のあり方を検討するため,母親の子育て情報に関するインターネット利用の実態を調査し,その特徴と課題を明らかにすることとした。方法は,平成22年3〜4月に乳児を対象とした市町村主催の『子育てふれあい教室』に参加した乳児の母親を対象とし,無記名自記式質問紙を用いた実態調査研究を行った。調査内容は,対象の属性,インターネットの利用状況などである。131人から回答を得(回収率92.9%),有効回答数は127人であった。結果,子育てに関連しインターネットを利用している母親は約8割であった。その利用状況は頻度および時間ともに健全で,メリットやデメリットを理解したうえで利用していた。専門職者は,母親の多くがインターネット上で情報収集や意見交換をしている現状を認識し,積極的に関心を寄せる必要がある。さらに,今後は母親の望むインターネット情報について把握し,分析する必要がある。
著者
宮内 清子 望月 好子 石田 貞代 佐藤 千史
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.433-441, 2009-01
被引用文献数
1

目的:中高年女性の就業形態が更年期症状にどのように影響しているかを明らかにし,今後の健康支援において主たる対象とすべき集団の特性とその課題をみつけることを目的とした。方法:対象者は40〜65歳までの女性とし,都内および近郊に在住の某女子大学学生の母親および大学関係者から公募した。調査協力に同意の得られた220名を対象として,自己記入式質問紙調査を実施した。調査内容は,属性,生活習慣,健康情報入手方法,健康相談相手,将来の健康不安,更年期症状とした。更年期症状は簡略更年期指数(SMI)を用いて調査した.また,医学中央雑誌で先行研究を検索し,SMIの得点を比較した。結果:SMI得点は先行研究における一般女性とほぼ同様の結果であった。SMIの得点を就労形態別に5群で比較したところ,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた(p=0.049)。症状別にみると,自営業群は他の群と比較して「怒りやすくいらいらする」「くよくよしたり,憂うつになったりする」「頭痛・眩暈・吐き気がよくある」などの精神的症状が有意に高かった。結論:就業形態別に更年期症状を検討した結果,就業形態によってSMI得点に有意な差がみられた。特に自営業群の精神的な症状が,他の群に比べて有意に高かった。このことから自営業の中高年女性に精神面の支援の必要性が示唆された。
著者
葛西 佳奈 栗林 佳奈子 福島 洋子 大西 由希子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.161-170, 2006-04-01
被引用文献数
1 2

緊急に母体搬送を余儀なくされる産婦は,胎児のリスクが高く,緊急帝王切開となる場合も多い。特に,搬送入院直後に分娩にいたる産婦では搬送後の医療環境への適応準備が整っておらず,心理的にも非常に危機的な状況にあることが考えられる。今回,われわれは緊急母体搬送直後に分娩にいたった産婦10例の搬送前後の心理的傾向についての質的分析と搬送後の心理的回復過程の構造化を試みた。結果,8例は緊急帝王切開にいたり,搬送時の産婦の認識は「現実認識」「現実認識困難」に分かれた。「現実認識」はさらに「搬送が決まり安心」と「搬送への諦め」に,「現実認識困難」は「混迷状態」と「強度の防衛状態」に分かれた。母体搬送後の心理的回復の過程は,(1)「動揺・混乱」の段階を経て,次に(2)「混乱の自覚」,(3)「搬送時の混乱の表出と不安の解消」,(4)「予期的・具体的不安の表出」,そして最終的に(5)「母親役割行動への表現」の段階へといたることが明らかとなった。