著者
伊藤 綾夏 杉浦 絹子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.189-197, 2010-04
被引用文献数
1

本研究では,女子大学生が月経周辺期にどのようなポジティブおよびネガティブな心身の変化を経験しているのか,またそれらの変化と月経に対するイメージとの関連はどうであるのかを明らかにし,月経教育のあり方について考察することを目的に無記名自記式質問紙調査を実施した。看護学を専攻する女子大学2,3年生129名の回答を分析した結果,以下のことが明らかとなった。1.1項目あたりの平均尺度得点の比較では,ポジティブ変化尺度得点はネガティブ変化尺度得点に比べ有意に低かった(p<0.001)。2.ポジティブ変化尺度は,因子分析の結果,「気力因子」と「活動性因子」の2因子で構成されていた。1項目あたりの平均得点の比較では,「活動性因子」が「気力因子」よりも有意に高く(p<0.001),「活動性因子」の項目である「食欲が増す」と「便秘が解消する」は他の項目に比べて高得点であった。3.ネガティブ変化尺度の1項目あたりの平均得点は高いものから「下腹部痛」「腰痛」「いらいら」「疲れやすい」「肌荒れ」「憂うつ」の順であった。4.月経イメージ尺度は,因子分析した結果,「肯定的イメージ因子」と「否定的イメージ因子」の2因子で構成されていた。1項目あたりの平均得点の比較では,「肯定的イメージ因子」が「否定的イメージ因子」よりも有意に高かった(p<0.001)。5.ポジティブ変化尺度得点と肯定的イメージ下位尺度得点間には有意な相関はみられなかったが,ネガティブ変化尺度得点と否定的イメージ下位尺度得点間には有意な強い相関がみられた(p<0.001)。以上より,この年代の女性に月経周辺期におけるポジティブな変化に関する情報を伝え,これらの変化を意識化する働きかけをしていくことの重要性が示唆された。
著者
松村 惠子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.98-111, 2004-04-01

本研究の大きな目的は,母性意識を解明する1つの試みとして「母性に関する認知」と「乳幼児に対する関わり意識」をおのおの分析し,属性別の特徴を比較検討の上,両者を統合して母性意識の構造を類型化し説明することである。今回は,乳幼児を初めて子育て中の母と父における母性意識の構造について,実態を分析し特徴を明らかにした。その結果,母性に関する認知では,「自分以外の命に対する慈しみの心」と「わが子だけでなくすべての子どもに対する愛情」の2項目で有意差がみられた。乳幼児に対する関わり意識では,「かわいいので抱きしめたい」「よく泣くので関わりたくない」「オムツ交換など汚い世話はしたくない」「乳幼児よりも自分のことに関心がある」「乳幼児は元気に育ってほしい」の5項目で有意差がみられた。母性意識の構造を説明するために設定した母性意識の因果関係モデルは,母では《育児肯定》が低いと《育児不満》を規定する要因となるが,父では《育児否定》が低いと《育児不満》が規定されることなどが明らかになった。
著者
水野 千奈津 山本 栄
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.549-555, 2009-01
被引用文献数
1 1

妊娠に伴う身体の変化は,身体の保持をすることが難しいことが知られている。本研究は,妊婦の歩行時における特有な姿勢調節のメカニズムを明らかにする。そこで,妊婦体験ジャケットを着用した被験者に3次元運動分析装置を用いて妊婦の歩行を調べた。つまづきに関係するToe Clearance(以下,TC:床面〜つま先間距離)に着目し,履物のヒール高の違いとTCについて検討した。本実験では妊婦体験ジャケットを健康な日本人女性である被験者15名(20±1.1歳)に着用することで,妊娠後期と想定し実験を行った。妊婦体験ジャケットの着用時では,全被験者においてTCが小さくなり,さらに,ヒールが高いほどTCが小さくなった。歩幅においても同様に狭くなった。頭部の上下の揺れは,着用時ではヒール高を問わず3.0cm台でほぼ安定していた。しかしながら,非着用時にはTCおよび歩幅の減少とともに頭部の上下の揺れも減少していた。結果より妊婦は歩行をする時,床面からあまり脚を挙げず,歩幅を小さくすることによって,歩行時の安定を作り出していることがわかった。
著者
植村 裕子 榮 玲子 松村 惠子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.107-113, 2008-04

少産少子の現在,看護学生にとって身近な赤ちゃんの存在は稀少となっている。そのため,学生は母性看護学における対象の理解が困難な状況である。そこで,今回は赤ちゃんの特徴の理解を促す演習教材として育児擬似体験人形を活用し,その学習効果を明らかにすることを目的とした。体験人形の活用前後で赤ちゃんイメージの自記式質問紙および活用後の変化を調査した。その結果,体験人形活用後は肯定的イメージが有意に高く,項目別では肯定的な「かわいい」などで高かった。一方,否定的な「怖い」は低かった。活用後の変化の内容分析では,6サブカテゴリーから【技術の向上】【対象の理解】【愛着】の3カテゴリーが抽出された。このことから,学生は赤ちゃんを肯定的に受容することで,苦手意識を克服することができ,看護実践の際の自信になるといえる。また,赤ちゃんの身体的,生理的な側面だけでなく,母親の気持ちも理解していた。さらに,看護技術を自身で確認しながら実践することで技術を向上させることができたと考える。ゆえに,体験人形を活用することは実習につながる有用性の高い演習であることが明らかになった。
著者
泉澤 真紀 山本 八千代 宮城 由美子 岸本 信子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.347-356, 2008-07
被引用文献数
2

わが国の学校教育では,小学校で行われる初経教育から高等学校まで継続した月経教育が実践されているが,教育現場における時間数,教育内容の問題などが指摘されている。そのため,月経のメカニズムの理解や月経時のトラブル,月経痛への対処の知識の不十分さ,月経をネガティブにとらえる生徒への課題がある。本研究の目的は,学校現場における月経教育の実態と,「月経痛」「月経知識への満足感」「月経知識への関心」と関連ある内容を明らかにすることである。中学および高校の女子生徒216名に質問紙を配布し回収,協力の得られた210名の結果を分析した。「月経痛」は,「月経痛緩和法の知識」「友達と話すことがある」「月経知識への関心」「月経痛があるのは当然とする考え方」と有意に関連があった。また,「月経知識への満足感」は「学年」「薬の服用」と,「月経知識への関心」は「学年」「基礎体温の知識」「低用量ピルの知識」「月経痛と病気との関連の知識」「相談者の存在」「薬の服用」と有意に関連があった。さらに「月経知識への満足感」「月経知識への関心」の両者も強い有意な関連性を示した。これらから月経教育の課題が明らかになった。
著者
吉田 倫子 篠原 ひとみ 兒玉 英也 成田 好美 杉山 俊博
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.472-480, 2012-01

味覚センサにより,乳腺炎を発症した母親の母乳の味の変化について検討した。母乳育児中で産後2ヵ月まで乳房トラブルのない母親18人(対照群)と,乳腺炎で外来を受診した産後1年以内の母親14人(乳腺炎群)を対象とした。対象から採取された母乳は,味覚センサ(味認識装量SA-402B)を用い,酸味,塩味,苦味,旨味,渋味の5種類の味覚項目について分析した。対照群の母乳の味は,初乳から成乳への移行に伴い苦味の増加(p<0.01),塩味と旨味の減少(p<0.01,p<0.05)がみられ,成乳となってからは変化がなかった。乳腺炎群は対照群と比較すると旨味の増加(p<0.01)と渋味の低下(p<0.01)が認められた。また,患側の母乳は健側に比べて塩味と旨味が増加(p<0.05,p<0.01)し,酸味が低下(p<0.05)していた。そして,治癒後には苦味と渋味が増加(p<0.01,p<0.05)していた。以上より,乳腺炎時の母乳は塩味や旨味が増加し,酸味や苦味,渋味が低下することが考えられる。乳腺炎群の8割の児に授乳を拒否する行動が観察され,児は鋭敏にこのような味の変化を認知していると推定された。
著者
白井 瑞子 内藤 直子 益岡 享代 真鍋 由紀子 山本 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.87-97, 2004-04
被引用文献数
3

本研究では,高校生(男女)が月経をどのようにイメージしているかを,初めての月経教育時に抱いた月経観,印象に残っているトピック,および女子の月経痛との関連から調査した。提示した月経イメージ10項について因子分析を行い,困難因子(つらい,いやなもの,腹立たしい),成熟因子(女性の特質,大切・必要なもの),嫌悪因子(暗い,病気のような,汚らわしい,怖い)が抽出された。3因子の平均は,困難因子3.52±0.99,成熟因子4.01±0.94,嫌悪因子2.19±0.84であり,困難因子点は,女子の中では月経痛レベル4以上で高かった。初めての月経教育で,男子は月経を肯定的・中立的に,女子は否定的・両価的にとらえる者が多かった。また,初めての月経教育が印象深いと,月経を肯定的に受け止め,成熟因子点が高く,困難因子点,嫌悪因子点が低かった。この結果をふまえて,高校生に対して月経を健康のバロメーターとして,および性行動か活発化している現状に役立つ教育を行う必要があることを提言した。
著者
斉藤 早苗 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.571-581, 2007-01
被引用文献数
1

就労女性を対象に性感染症(STI)に関する知識・意識について,無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答410名(有効回収率41.3%)を分析した。STIの知識は,1)正答率50%以下の項目は,HIVに関して27.3%,HIV以外のSTIに関して42.9%あった。2)20代以下は30代よりも知識得点が低かった。3)HIV,梅毒,淋病,クラミジアは70%以上が「感染する」と回答したが,他のSTI疾患の認知度は低かった。STIに関する意識は,4)自己のSTI感染の可能性について「まったくない」「非常に低い」と認知している者が,HIVは76.3%,HIV以外のSTIは70.0%あったが,健康に対するSTI感染のおそれについては「かなりおそろしい」「非常におそろしい」と認知している者が,HIVは68.7%,HIV以外のSTIでは49.5%と差があった。5)未婚群は既婚群より,STI感染の可能性,健康に対するSTI感染のおそれとも認知度が高かった。6)STIに関して情報希望,相談や学習会参加希望などのニーズが存在した。以上の結果から,就労女性に対してSTI予防活動を積極的に推進する必要性が示唆された。
著者
大平 肇子 町浦 美智子 斎藤 真 村本 淳子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.497-504, 2013-01
参考文献数
31

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は多くの女性が経験し,女性のquality of Lifeを低下させている。PMS症状はストレスと関連するため, PMS症状の緩和にはストレス反応を和らげる方法の1つであるリラクセーション法が有効であると考えられる。本研究の目的は, PMS症状を有する女性(以下, PMSの女性とする)に対する呼吸法のリラクセーション効果を明らかにすることである。20〜38歳のPMSの女性(呼吸群20人,対照群20人)を対象に,呼吸法の実施前後に生理学的および心理学的指標を用いリラクセーション効果を測定した。なお,測定は1月経周期(約1ヵ月間)の呼吸法の練習期間を経た後に行った。その結果,呼吸法実施後は,実施前に比べ副交感神経活動の指標であるHFが有意に増加し(P=0.006),ストレス指標である唾液コルチゾールは有意に低下した(P=0.010)。気分状態を示すMOODの「緊張と興奮」「爽快感」「疲労感」「抑うつ感」「不安感」では全因子において有意な変化がみられた(P=0.000)。とくに呼吸群の「爽快感」は対照群と比較して有意に増加した(P=0.036)。以上の結果からPMSの女性に対して呼吸法は,リラクセーション効果をもたらすことが明らかとなった。
著者
竹原 健二 野口 真貴子 嶋根 卓也 三砂 ちづる
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.275-285, 2008-07
参考文献数
31
被引用文献数
4

【目的】本研究の目的は助産所および産院で出産をした女性における,「豊かな出産体験」を具体的に記述し,そのような体験をした者の割合を明らかにするとともに,施設問の差を検討することとした。【方法】2002年5月〜2003年8月に,調査対象施設(助産所4,産院1)で出産した女性の中から,経膣分娩により出産していることなどの条件を満たした女性1,165人(助産所386人,産院779人)を本研究の対象者とした。出産数日後に調査員が質問票を用いた直接面接を実施してデータを収集した。【結果】対象者の80〜90%が,お産の姿勢が"自然と"決まったり,何か大きな力に"動かされている"ように感じたり,考えるよりも先に身体が動いたりするなど,自分自身の身体をコントロールできなくなるような体験をしていた。約30%の女性がお産の直後に,また産みたいと思っていた。出産体験に関する45項目中39項目で,産院で出産した女性よりも豊かな出産体験をしていることが明らかになった。【考察】従来の「満足なお産」「快適なお産」といった概念では表しきれないような豊かな出産体験や,先行研究で用いられてきた「コントロール」の概念とは異なる,理性を超越したような体験を多くの女性が体験していることが明らかになった。今後は豊かな出産体験につながるような要因を明らかするような研究が望まれる。
著者
木村 静 阿曽 洋子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.531-539, 2009-01
参考文献数
26
被引用文献数
1

女性への足裏マッサージによる排便促進効果を明らかにすることを目的とし,実験研究を行った。被験者は,9名の女性(平均年齢31.3±8.29歳,平均BMI22.7±2.94)であった。すべての被験者が2日間同一条件にて実験を行った。マッサージの内容は,研究者が施行した15分間の足裏マッサージであった。測定項目は,自律神経としてHF(副交感神経成分)とLF/(HF+LF)(交感神経成分),腸音,皮膚温であった。分析方法は各測定区間間と2群間でフリードマン検定とウィルコクスン符号付順位和検定を行った。結果,HFではマッサージ後3区間目に介入群が対照群より高く(p=0.051),LF/(HF+LF)では両群で差は認めなかった。腸音では介入群においてマッサージ前と比べマッサージ後に有意な増加があり(p<0.0125),2群の比較ではマッサージ後1〜3区間において介入群が対照群よりも高く有意差があった(p<0.05)。皮膚温では,介入群においてマッサージ中に低下し,マッサージ後上昇した。以上より,足裏マッサージには,リラックス効果,腸音の増加に伴う排便促進効果があることが考えられた。
著者
我部山 キヨ子 岡島 文恵
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.198-206, 2010-04-01
参考文献数
12

医療の進歩および看護・助産の知識や技術の向上に対応し,今後の助産師の卒後教育のあり方を探る目的で,京都府下の産科関連30施設の勤務助産師254人を対象に,卒後教育が必要な理由,卒後教育の時期・内容・問題,助産師免許更新制度などについて自記式質問紙調査を実施し,以下の結果と示唆を得た。1. 99.2%の勤務助産師は,「自身の能力の維持・向上」「本や資料で得られない知識・技術を学ぶ」などの理由で卒後教育が必要と考えていた。教育内容では,70%以上の人が「産科救急」「乳房管理」「新生児蘇生」を重要と答えた。とくに全年代が重要としたのは「異常や救急」,20歳代では「診断や技術」,30歳代以上では「助産管理・医療安全教育・職業倫理」などであり,年齢層や経験に即した卒後教育が重要であることが示唆された。2. 卒後教育で重要な時期は「1年目」が最も多く,74%が3年以内と答えた。3. 卒後教育上の問題は,「時間がない」61.8%,「受講料が自己負担」45.7%であった。これらの結果から,重要と考える教育内容は年齢層で異なるため,助産師の経験や専門性を考慮した教育内容が重要であることが示唆された。また,助産師数は看護師数に比べると極めて少ないことから,「卒後教育のための時間確保」や「受講料の援助」などの卒後教育環境の整備も必要である。
著者
斉藤 早苗 町浦 美智子 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.223-230, 2007-07

未婚就労女性221名を対象に,Beckerの保健信念モデル(Health Belief Model:以下HBM)を基盤にし,社会的認知理論の自己効力感を用いて,性感染症(sexually transmitted infections:以下STI)予防のためのコンドーム使用の自己効力感に関連する要因を分析した。対象者の平均年齢は27.5±5.02歳,性交経験率は82.4%であった。避妊をいつも実行している割合は47.5%で,最も多い避妊法はコンドーム法71.9%であったが,91.0%がコンドームを携帯したことがなかった。過去1年間にSTI予防でコンドームを使用した割合は30.1%であった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感ありの女性の割合は71.5%であった。しかし,そのうち88.8%がコンドームを携帯していなかった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感は,STIへのおそれの認知,コンドーム使用の負担感,一般性自己効力感,性交経験の有無,STI目的でのコンドーム使用と関連があった。本研究の結果,未婚就労女性に対して,効果的なSTI予防活動を実施するためには以上の関連性を考慮した看護介入の必要性が示唆された。
著者
半藤 保 小林 正子 久保田 美雪
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.21-28, 2007-04

大学生381人(男子100人,女子281人)に無記名アンケート方式により,性行動,性感染症に対する現況と知識,および意識について調査した。その結果,以下の点を明らかにした。1)初交年齢のピーク:男子16歳,女子17歳。2)18歳までの性交経験率:男子78.9%,女子76.1%。3)複数人の性パートナーをもつ割合:男子52.7%,女子56.4%。4)性感染症(STI)の種類について回答者の50%以下しか知らなかったもの:性器ヘルペス,淋病,B型肝炎,C型肝炎,尖形コンジローマ。5)性交時,必ずコンドームを装着するもの:約2/3しかなく,1/3は「ときどき」あるいは「全く」装着しなかった。しかも,装着は避妊目的であって,STI予防を目的としたものは約20%にしか過ぎなった。6)STI予防のためコンドーム装着の必要性を自覚するもの:男子55%,女子80%。7)STI罹患疑いのとき,性パートナーともども病院を受診するとしたもの:39%。