著者
森 武夫
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.12-22, 1966

<p>Y-G test was performed to 224 adolescent boys between 14 and 19 years old. The results were analysed by ages and 4 criminal types, that is, larceny (L), bodily injury and violencies (V), extortion (E) and sexual misconducts (S). (Table 2)</p><p>We made "A" and "B" scales for discriminating the 4 types. "A" scales made of responses of over 50 % to every type. (Table 3) "B" scale made of the responses statistically significant to every type. (Table 4) Each scale gives 4 scores; L-score, V-score, E-score, and S-score per a delinquent.</p><p>Both scales discriminated the types with fairly good level, namely, the highest score tended to point out his misdeed. (Table 5 & 7)</p><p>This suggests that there is a new type of criminal theory which depends on the idea of vector.</p><p>In the future, the other types of criminal behaivor, as vectors, will be added to this study.</p>
著者
出海 光子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.33-41, 1990 (Released:2018-12-29)
参考文献数
15
著者
羽生 和紀
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.1-12, 2006 (Released:2018-08-07)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The purpose of this study was to examine the mechanism of the circle hypothesis, an important theory in geographic profiling. 478 arson cases committed by 40 criminals in Japan were analyzed. The analysis on the spatial data of the arson cases revealed that there are few buffer zones and proper crime distances in Japanese serial arsons. More importantly, the results showed that as crime scenes scattered farther and wider, the distance between the spatial average point of crime scenes and the home of the criminal separated farther away. Although the original circle theory assumes that the home of a criminal tends to locate around the center of a circle, the phenomena presented by this study did not support this assumption when the distributions of crime scenes were larger in scale. An alternative model for this phenomenon was proposed.
著者
半澤 利一
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-12, 2011

<p>MRIモデルを活用した少年事件調査3例を検証することで,少年調査における理解と,その過程でなされる保護的措置におけるシステムズ・アプローチの用法について検討した。いずれの事例においても保護者が少年の自立を求め,叱責や罰など不適切な働きかけを繰り返したことで,少年に苛立ちや抑圧感などがうっ積し,被害者意識が醸成されたものと理解した。このように親子の言動の背後にある動機や思い入れを探ることが,少年のあり方や保護者の信念,相互の力動関係を把握する要点となる。</p><p>また,親子関係の悪循環を行動水準でとらえることで,少年の問題行動を解決しようとする保護者の努力自体が問題の持続を招き,それが再び保護者の不適切な働きかけを引き起こすという偽解決を把握することにもなる。いずれの事例でも,リフレイミングにより行動の意味付けを変え,具体的で受け入れやすい課題を提示して介入することで,審判までの短期間に問題が改善した。MRIモデルは,問題を具体的に明確にすることを治療の端緒とするなど少年調査と近似する部分もあるが,非行や少年についての説明が求められる少年調査とは目的が異なるので,時機と局面を見極めて活用したい。</p>
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.31-43, 2008-05-31 (Released:2017-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
3
著者
野村 和孝 安部 尚子 嶋田 洋徳
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 2014

<p>本研究の目的は,集団認知行動療法 (CBGT) に基づく形式,および薬物依存からの回復者が主導するself-helpミーティング (SHM) に基づく形式の薬物依存離脱指導に参加することが,覚せい剤使用者の再使用リスクに及ぼす影響について検討することであった。累犯刑務所に服役しており,覚せい剤使用のため薬物依存離脱指導対象となった者をCBGT群 (<i>n</i>=19),SHM群 (<i>n</i>=10),およびwaiting list群 (<i>n</i>=23) に割り振り,刑事施設における薬物依存症者用評価尺度(山本ほか,2011; C-SRRS)を用いて検討を行った。その結果,CBGT群のみ,薬物依存離脱指導の実施前後において「薬害・犯罪性の否定」因子得点が有意に減少していることが確認された。また,薬物依存離脱指導の前後におけるC-SRRSの下位因子得点の変化量とデモグラフィック項目(年齢,IQ, 施設入所回数,暴力団組織への関与の有無)の関連性を検討した結果,CBGT群において,年齢が低い者,また入所回数が少ない者ほど,「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。一方で,SHM群においては,IQの低い者ほど「薬害・犯罪性の否定」因子が改善していることが示された。これらのことから,「薬害・犯罪性の否定」因子の強さの結果として,覚せい剤再使用に至る可能性の高い者には,CBGTに基づく形式を実施すること,そして年齢,IQ, 施設入所回数に基づくアセスメントに応じてSHMに基づく形式を併用することが肝要であると考えられる。</p>
著者
山崎 修
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-93, 2009-07-31 (Released:2017-09-30)
参考文献数
17
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-58, 2014-08-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では,Baumeister et al. (1996)の自負心脅威モデルを参考にしながら,状態自尊心や状態不安が,怒り表出に至るプロセスを検証することを目的とした。286名(男性118名,女性168名,平均年齢19.89歳)に自己報告による調査が実施された。他者の面前で自身が否定的に評価された仮想状況での結果からは,(a) 状態怒りは怒り制御と怒り隠蔽に加えて怒り表出に直接影響を及ぼすが,この状態怒りは状態不安から正の影響を受けること,(b) 状態自尊心の低下は状態不安を高めること,(c) 状態怒りは怒り制御に負の影響を与えるのに対して,状態不安は怒り制御と怒り隠蔽の双方に対して正の影響を与えること,(d) 怒り隠蔽は怒り表出に正の影響を与えること,が示された。
著者
森 丈弓 花田 百造
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.1-14, 2007 (Released:2018-06-29)
参考文献数
36
被引用文献数
2

A follow-up survey was conducted to identify risk factors that influence recidivism. We analyzed the recidivism of 520 delinquents who were released from a Juvenile Classification Home. The analysis was performed by using split population model that was one technique of survival analysis. As a result, the following risk factors were revealed to be significant predictors of the recidivism, low age at commitment, low IQ score, property offense, the violation of the Road Traffic Law, robber and broken home. This paper clarified risk factors of delinquents released from a Juvenile Classification Home with the evidence by using a statistical model. An empirical research of risk factors of the recidivism is very few in Japan, so the technique used in this paper and the obtained findings are important. It will be thought that a more detailed, more objective risk assessment becomes possible, by accumulating variables and building findings.
著者
藤野 京子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.47-58, 2014

<p>本研究では,Baumeister et al. (1996)の自負心脅威モデルを参考にしながら,状態自尊心や状態不安が,怒り表出に至るプロセスを検証することを目的とした。286名(男性118名,女性168名,平均年齢19.89歳)に自己報告による調査が実施された。他者の面前で自身が否定的に評価された仮想状況での結果からは,(a) 状態怒りは怒り制御と怒り隠蔽に加えて怒り表出に直接影響を及ぼすが,この状態怒りは状態不安から正の影響を受けること,(b) 状態自尊心の低下は状態不安を高めること,(c) 状態怒りは怒り制御に負の影響を与えるのに対して,状態不安は怒り制御と怒り隠蔽の双方に対して正の影響を与えること,(d) 怒り隠蔽は怒り表出に正の影響を与えること,が示された。</p>
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-20, 2010-08-25 (Released:2017-09-30)
参考文献数
27

本研究の目的は児童相談所で出会う身体的虐待被害児における知能の偏りを調査することである。児童相談所のケース記録から抽出された身体的虐待群58名と,マッチング法により性別(男児41名,女児17名),年齢(月齢139カ月),全検査IQ(平均86)を統制された対照群58名のデータにおけるWISC-IIIの下位検査プロフィールを比較分析した。まず身体的虐待群の全下位検査評価点がノルムよりも低いことを1サンプルのt検定で確認した。その後,多変量分散分析によって10の下位検査における全体的な群間差が検出された。つづいてボンフェロニーの修正を施したpaired-t検定,ロジスティック回帰分析,判別分析の結果,いずれにおいても絵画完成と絵画配列における群間差が示された。対照群に比べて身体的虐待被害児は,絵画完成課題で高く,絵画配列課題で低い評価点であった。最後に全下位検査評価点の平均値と2つの下位検査評価点を比較すると,身体的虐待群で絵画配列が低く,対照群で絵画完成が低いという有意傾向が得られた。本研究知見の臨床実践上の意義について,身体的虐待被害と絵画完成および絵画配列に関する知的能力との関連,身体的虐待と非行との関連という観点から考察した。
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-11, 2013-10-31 (Released:2017-07-30)
参考文献数
22

児童虐待の被害児が示す知能プロフィールの発達的変遷を記述することを目的に調査を行った。最終的に義務教育課程の児童データ493名分を収集した。虐待群と対照群を,それぞれ小学校低学年,高学年,中学生の3つの学齢に分類し,横断的方法により発達変化を分析した。WISC-IIIの検査結果に対して多母集団同時分析で因子構造の相違を調べ,被虐待児特有の潜在的な知能特徴をいくつか検出した。引き続き,クラスタ分析で各学齢における下位分類を行い,群指数に基づくいくつかの典型的なパターンを示した。以上の結果を被虐待児の発達的変遷という観点から考察し,方法論上の限界ゆえに平均値としての知見にとどまることを踏まえたうえで,一定の臨床的参照点が得られたものと結論された。
著者
速水 洋
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.11-27, 1993 (Released:2018-12-06)

As the consequence of the vulnerability of the self, defensive and compensatory structures of the self are built up in early childhood. These are the tendency to exhibitionism, grandiosity of the self, self-stimulation of body and narcissistic rage. Narcissism is the defense against the vulnarability of the self and the sense of shame. Kohut described narcissistic personality disorder in the case of the failure of the compensation of the vulnerability by the identification with the idealized self-object and narcissistic behavior disorder in the case of the failure of the defense of the vulnerability by exhibitionism and grandiosity of the self. Delinquency is the consequence of acting-out and is considered from the view of narcissistic behavior disorder. In oter words, it is not the consequence of over indulgement but the consequence of over vulnerability. For example, motorcycle gangs try to heal their vulnerability by their grandiose power, exhibitionism and self-stimulation gained by reckless driving. In the psychotherapy with delinquents, it is more important to provide them with mirroring-function than idealizing-function of self-object.
著者
毛利 真弓 藤岡 淳子
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-46, 2018-08-27 (Released:2018-09-19)
参考文献数
50

アメリカ合衆国における,薬物乱用者のための刑務所内TCは,刑務所再入率を下げることがいくつかの研究で示されている。本研究は,対象者を薬物乱用者に限らずに実施した日本のA刑務所内TCが,再入率低下効果を示しているかどうかを検証する。対象者は,2009年2月から2015年3月までにA刑務所を出所した2,665名である。TC受講群148名とTC非受講群2,517名とに分け,統計的補正である傾向スコアによるマッチングを行って交絡因子の調整を行った上で,再入所の有無への効果を検討した。結果として,TC受講群の方が非受講群に比べて再入所率は有意に低く(p=0.020),再入所に至るまでの期間も長かった(p=0.009)。多様な受刑者の再入所を低下させる治療共同体アプローチの意義が示された。
著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.37-48, 2015-08-05 (Released:2017-03-23)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本邦における犯罪心理学の実態を明らかにするために『犯罪心理学研究』の論題をテキストマイニングにより分析した。半世紀にわたる原著および資料の研究論文326本から抽出されたキーワードの関連性を多重対応分析で探索し,研究テーマの時系列による変遷ならびに領域による相違を調べた。総じて,本邦の犯罪心理学は多様化してきており,伝統的な矯正領域に加え,警察領域や児童領域の研究テーマが増え,大学でもさまざまな研究が行われている実態を描き出すことができた。