著者
米山 直樹
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.130-136, 1996

4羽のハトを用いて、並立連鎖スケジュール下での2種の分割選択肢間の選択行動を調べた。第1リンクでは2つの独立した変動比率60秒、切り替え遅延2秒のスケジュールを適用し、第2リンクでは左右の選択肢をそれぞれ30秒に固定して、一方の選択肢には連鎖固定間隔15秒固定間隔15秒のスケジュールを配し(固定分割選択肢)、もう一方の選択肢には連鎖固定間隔X秒固定間隔Y秒のスケジュールを配した(変動分割選択肢)。このうち変動分割選択肢における分割比率であるX : Yの比率は1 : 5、1 : 2、1 : 1、2 : 1、そして5 : 1と5段階に変化させた。実験の結果、変動分割選択肢に対する選択率は、Xの比率の増加につれて最初から半ばまでは減少し、半ば以降は逆に増加するというV字型の変化が3羽の被験体において示された。ただし残る1羽には最初の減少は見られず、半ば以降の増加のみが認められた。以上の結果は、Xの比率が減少した際の変動分割選択肢への選択率の増大が1番目のコンポーネントの刺激の嫌悪性によって説明され、Xの比率が増大した際の変動分割選択肢への選択率の増大は2番目のコンポーネントの刺激の条件性強化力によって説明されることを示唆している。
著者
島宗 理
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.46-57, 1996-08-05

どんなテクノロジーでもそれが活用されるためには、まず採用されなければならない。スキナーは行動分析学の基本的枠組みと、それを社会問題の解決に役立てるための指針を示した。これを21世紀に活かすためには、テクノロジー普及に関する研究と実践が欠かせない。本論文では普及に成功した行動的プログラムの例と失敗した例を分析し、普及に関する実験的・理論的研究と、さらなる実践についての提言を行う。
著者
小野 浩一
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-44, 1990-09-30
被引用文献数
1

Four types of research on superstitious behavior in humans and nonhumans were reviewed and discussed from the perspective of recent developments in this area. The first type explains the effects of periodic delivery of food on pigeons' superstitious responding in terms of stimulus substitution or species-specific appetitive behavior. Though this type of research is sometimes said to replicate Skinner (1948)'s experiment, this statement may not be accurate because the experiments emphasize the effects of contingencies in steady-state performance. The second type examines whether or not idiosyncratic and stereotyped patterns of behavior develop under response-independent contingencies with attention to accidental response-reinforcer contiguities. The third type includes a variety of studies examining the effects of response independence, such as delay of reinforcement. The fourth type studies superstitious behavior under response-dependent contingencies. It is suggested that further studies should be designed to examine more precisely the effects of response-reinforcer contiguity, aversive control, accidental reinforcement under response-dependent schedules, and verbal control over human superstitious behavior.
著者
野田 航 松見 淳子
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.13-25, 2010-01-30

研究の目的本研究では、児童の漢字の読みスキルの保持・耐久性・応用に及ぼす流暢性指導の効果を検討した。研究計画個体内実験計画を用いた。場面公立小学校の特別支援学級の教室内において行われた。対象児公立小学校の特別支援学級に在籍する5年生の男児1名が参加した。介入まず、対象児は100%正しく漢字を読むことができるようになるまで、離散試行手続きによる漢字の読みの指導を受けた。その後、半分の漢字については流暢性指導、もう半分の漢字については正確性指導による指導を受けた。流暢性指導では、速く正確に漢字が読めるように30秒タイムトライアルによる指導を行った。正確性指導では離散試行手続きによる指導を行った。正確性指導における試行数はヨークト手続きによって統制した。行動の指標正しく読めた漢字の数と間違った漢字の数を指標とした。結果流暢性指導を行った漢字は、正確性指導を行った漢字よりも、漢字単語の読みを短文内の漢字の読みに応用できるようになっていた。結論流暢性指導によって、漢字の読みの応用を促進することができた。