著者
岡田 恵美
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.13-23, 2019 (Released:2020-04-02)
参考文献数
25

本稿では, 近年, なぜインドの若年層を中心に北インド古典音楽の学習者が増加しているのか, という問題を三つの要因から検証した。第一の要因は, 若年層対象の古典芸術の普及活動が興隆し, 学校公演を通して古典音楽に触れる環境が若年層に興味・関心を萌芽させていること, 第二の要因として, インドの経済成長に伴う教育熱の高揚によって, 放課後のお稽古事として北インド古典音楽の学習が拡大している点を指摘した。幼少から親しむ映画音楽が学習契機の媒介となり, 毎年の古典音楽資格試験が, 学習継続の動機として機能している。また第三の要因として, 古典音楽の学習が大学進学受験とも関連している点を指摘した。インド最大の中等教育統一試験CBSE試験では, 北インド古典音楽の科目受験者の増加が顕著であり, その学習内容が前述の古典音楽資格検定試験のカリキュラムを踏襲し, 受験対策が幼少からのお稽古事と関係していることも明らかとなった。
著者
藤波 ゆかり
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-11, 2007 (Released:2017-08-08)
参考文献数
26

本研究は, 箏曲教習における楽譜普及の過程を, 雑誌『三曲』誌上の楽譜をめぐる論をたどる中から, 明らかにしようとするものである。箏曲教習における楽譜の使用は昭和10年頃には普及し, 昭和13年には近い将来に箏も楽譜での習得が慣例となることが予測されていた。組織的・体系的・効率的教授が必要な学校教育の中で楽譜が用いられるようになったことが楽譜普及の一要因となった。また楽譜が学校以外の場にも普及した要因としては, 晴眼の箏曲家が増えたことも挙げられる。地歌箏曲家の大勢が視覚障害者から晴眼者に移行していく過程と楽譜が普及していく過程は, 重なり合っている。 昭和期には, 楽譜を使うことにより生じる弊害として, 安易に教授の効率化が図られること, 楽譜に頼りすぎることによって仕上げが疎漏になること, 楽譜を用いた教授と従来の教授法が噛み合わないこと等が論じられた。楽譜の普及のための課題としては楽譜知識の普及と, 記譜法の整理統一という課題も挙げられた。
著者
伊藤 直美
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育実践ジャーナル (ISSN:18809901)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.86-91, 2008 (Released:2018-04-11)
参考文献数
1