著者
岡田 彩
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-54, 2020 (Released:2020-07-31)
参考文献数
32
被引用文献数
2

人々の関心をいかに惹きつけ,寄付やボランティアをはじめとする自発的な行動へと促すか.すべてのNPOに共通するこの課題に対し,多くの団体は,マーケティングのノウハウを用いて戦略的な情報発信を行っている.本研究は,効果的・効率的な情報発信のヒントを探るべく,NPOの広告を目にした人が,提示された情報のどの要素に着目し,活動や団体への印象を形成しているのかを検証するものである.大学生895名を対象に,ある有名NPOが実際に用いたことのある,特徴の異なるオンライン広告を複数提示し,「最も心に響くもの」を選んだ上で,選択の理由を自己分析し,自由回答形式で記述してもらった.これをデータとした計量テキスト分析から,写真の登場人物が誰であるか,その登場人物がカメラ目線であるかどうか,具体的な数字が提示されているかどうか,またその数字が問題を表現しているかどうかが,広告の構成要素として重視されていることが明らかとなった.
著者
佐々木 周作 河村 悠太 渡邉 文隆 岡田 彩
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Special_issue, pp.S9-S12, 2021 (Released:2022-03-18)
参考文献数
5

個人寄付の促進施策は,寄付金控除やマッチング寄付などの金銭的インセンティブを用いる施策から,過去の寄付者や有名企業・著名人の寄付情報といった提供情報の内容や表現を工夫する施策まで多岐に渡る.行動経済学研究を含む学術研究によって施策の有効性が実験で確認されているものも多いが,非営利組織の実務で活用されるかどうかは資金調達業務を担当するファンドレイザーが施策を効果的と評価しているかどうかに依存すると考えられる.本研究では,282名の現役ファンドレイザーにアンケート調査を独自実施して,12種類の施策の,寄付を促進する効果と寄付者満足度を高める効果に対する主観的評価を測定した.ファンドレイザーの回答傾向を相対化する目的で,497名の寄付者にも同様の調査を実施した.結果として,いくつかの施策に対する評価が二者間で大きく異なることが分かった.例えば,ファンドレイザーは「間接経費無し・振込み手数料の負担無し」の施策を12種類の施策の中で相対的に寄付を促進せず,寄付者満足度を高めないと評価したのに対して,寄付者は,寄付を促進し寄付者満足度も高めると真逆の評価をしていた.
著者
平井 仁智 石黒 龍司 島原 直樹 岡田 彩 清水 慶子
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;オランウータンは,東南アジアのボルネオ島とスマトラ島のみに生息する樹上性の大型類人猿である.生息している島によって,ボルネオオランウータン <i>Pongo pygmaeus</i>とスマトラオランウータン <i>Pongo abelii</i>の 2種に分けられる.雌の寿命は,53歳以上で,霊長類の中では最長の 6.1~ 9.3年間隔で子どもを出産し,母親が単独で子を育てることが報告されている.このことが主要因となり,個体数の減少が始まると歯止めをかけるのが難しい.野生下では 50歳での出産報告があるにも関わらず,飼育下では,40歳を過ぎると年老いた個体とされているため繁殖に用いられない.この理由の一つとして,いつ繁殖不可となるのかの基礎データがないことがある.また,本種においては妊娠した個体や若い個体を対象とした生殖生理学的研究はあるが,老齢個体を対象とした研究はほとんどない.<br>&nbsp;現在,日本国内においてボルネオオランウータンは 12園館で 34頭( ♂ 19頭, ♀ 15頭),スマトラオランウータンは 5園館で 11頭( ♂ 5頭, ♀ 6頭)が飼育されているが,本研究では飼育個体数が多いボルネオオランウータンを研究対象とし,2012年 8月~ 9月に多摩動物公園にて,雌ボルネオオランウータン 4個体(推定 57歳,47歳,推定 42歳,39歳)を対象として糞尿の採取をおこなった.酵素免疫測定法により,糞尿中性ホルモン代謝産物を測定し,年齢不明の個体の生殖状況の推定が可能になり繁殖計画の基礎データとなることを目的として,加齢に伴い変化する生殖内分泌動態について考察をおこなったので報告する.
著者
岡田彩夏 鈴木麗璽 有田隆也
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.501-502, 2014-03-11

感情は適応進化により獲得されたとみなす説がある.我々はゲーム論的状況を用いて感情の適応性を検討している.負感情で利得が減少したように錯覚して自分の行動を変え,それが相手の行動の変化に繋がり,結果として利得が増加する状況である.本研究では,先手の二選択肢の片方の先に後手の二選択肢がある木で表される逐次手番ゲームを用いる.まず,このような状況に相当するケースを合理的なプレーヤーを想定して探索した後,相手の行動履歴に基づいた期待値にしたがって行動選択するエージェントを用いた計算機実験の結果と比較検討する.
著者
西辻 直之 古藤 真実 福澤 洋一 矢吹 義秀 上谷 公之 久保 宏史 吉野 浩和 長井 博昭 中曽根 隆一 矢島 正隆 岡田 彩子 有吉 芽生 曽我部 薫 菊地 朋宏 宮之原 真由 山田 秀則 村田 貴俊 野村 義明 花田 信弘
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.89-93, 2017

<p> (公社)東京都港区芝歯科医師会は,JR新橋駅西口SL広場において,事前の告知や当日の呼びかけに応じた成人男女250名を対象に,「歯周病予防のための新唾液検査事業」を5年間にわたり4回実施した.事業目的は,歯周病のスクリーニング可能な唾液検査の受診を契機に,受診者の歯周病への理解を促し,検診の重要性を啓発することである.</p><p> 各受診者から採取した唾液を用いて生化学検査を行い,結果を受診者に郵送した.また,事後アンケートを実施し,「受診したきっかけは何か」,「唾液検査は簡単か」,「唾液を採取することに対して抵抗があるか」,「次回の検査も受けたいか」,「検査結果票はみやすいか」,「検査結果をみて歯科を受診するか」,「検査結果をみて歯周病について関心が深まったか」の7項目への回答を求めた.</p><p> 事後アンケートで回答者(回収率;年平均22.1%)の9割が選択した項目は,「この検査が簡単だと感じた」,「次回も受けたいと思う」および「検査により歯周病に興味をもった」であった.以上より,唾液検査は歯周病への関心を高めるとともに,受診契機の一要因となることがわかった.</p>
著者
森山 美知子 岡 美智代 大津 美香 宮薗 夏美 宇佐美 しおり 佐野 眞理子 岡田 俊 木原 康樹 岡田 彩子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

医療人類学的研究手法を用いて、糖尿病、慢性腎不全、心筋梗塞、慢性心不全、COPDの患者学習支援型教育プログラムと補助教材を作成し、臨床試験を実施した。まず、フィールド調査を行い、患者のセルフマネジメント行動の習得に向けたプログラムの構造と内容を決定し、動機づけ、行動の維持、生理学的データの改善とQOLの向上に向け、プログラムの展開方法を決定した。臨床試験では、介入群においてセルフマネジメント行動が強化され、各種指標が改善した。