著者
福田 雅幸 高橋 哲 高野 裕史 永井 宏和 山崎 嘉幸
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.52-55, 1998-06

野生動物の襲撃は, 時として致命的である。われわれは, 致命的な熊の襲撃を受けた患者の治療を経験したので報告する。患者は, 69歳, 男1生で野生の熊に遭遇し, 刺創および咬創を受け, 当院救急部に担送された。直ちに, 処置が施され, 一命をとりとめることができた。現在, 最終の手術から, 1年6か月が経過したが, 経過は良好である。
著者
菅原 準二 木村 和男 曽矢 猛美 三谷 英夫 川村 仁 茂木 克俊 junji Sugawara Kazuo Kimura Takemi Soya Hideo Mitani Hiroshi Kawamura Katsutoshi Motegi
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 = Tohoku University dental journal (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.7-22, 1990-07-10
被引用文献数
5

上顎骨にまで変形が及び咬合平面の左右傾斜をきたしている重度の顔面非対称症に対しては, Le Fort I型骨切り術と下顎枝骨切り術を併用した上下顎同時移動術(Two-Jaw Surgery)が有効かつ確実な治療法である。本稿においては, 我々が日常的に行っている顔面非対称症の臨床的評価方法と, Two-Jaw Surgeryの適応症について述べるとともに, 具体例としてTwo-Jaw Surgeryを適用した3治験例についてそれらの診断および治療内容を報告する。第1症例は, 15歳11ヵ月の女子で, 咬合平面の左下がり傾斜と軽度のClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。第2症例は, 23歳3ヵ月の女性で, 咬合平面の右上がり傾斜と軽度のClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。第3症例は, 16歳6ヵ月の女子で, 咬合平面の左上がり傾斜と過大な下顎骨によるClassIII顎関係を有する顔面非対称症例である。顔面非対称の臨床的評価方法においては, 1)顔面正中線の設定, 2)歯列正中線の偏位, 3)根尖歯槽部正中線の偏位, 4)オトガイ正中線の偏位, 5)上顎咬合平面の左右傾斜度, 6)Smiling Lineにおける歯冠露出度などが重要な検討項目である。我々は, このような評価結果に基づいて, Two-Jaw Surgeryの適応症を3つのカテゴリーに大別しているが, 今回報告する3症例は, いずれも上顎咬合平面の左右傾斜が著しく, 矯正治療単独による修正が極めて困難な部類に属する患者である。
著者
中村 雅典 Masanori Nakamura
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 = Tohoku University dental journal (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.9-17, 2002-06-01

破骨細胞が骨破壊の主たる細胞であることはいうまでもないことであるが, 他の細胞による骨破壊が完全に否定されているわけではない。ビスフォスフォネート(BP)は破骨細胞による骨吸収・破壊を特異的に抑制する薬剤である。そこで, 我々はBPを投与したコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウス, 並びに重症慢性リウマチ性関節炎(RA)患者の骨破壊機構についてFlow Cytometryと形態学的に解析を行った。CIAマウスでは, BP投与・非投与に関わらず著しい骨破壊が認められた。非投与群における骨破壊部位には活性化した破骨細胞はなく, 多くの好中球が集積し, 一部はruptureし, この部位の骨基質からコラーゲン線維が消失していた。RA患者腸骨骨髄では, 著しい顆粒球造血, 特に未熟好中球の増加が認められた。この未熟好中球は骨梁表面に集積しており, CIA同様に一部はruptureし, 骨基質からコラーゲン線維が消失していた。以上の結果から, 関節炎の骨破壊時には好中球造血の異常な亢進が起こり, この好中球による骨破壊が強く示唆される。近年, また, 関節炎だけでなく, 歯周疾患のような骨破壊を主体とする他の疾患(歯周疾患など)においても同様な造血異常が報告されてきており, 造血という全身に立脚した骨破壊性疾患の解析が期待される。Osteoclasts are the main cells responsible for bone destruction and resorption However, whether cells other than osteoclasts destruct bone remains controversial.Bisphosphonates(BPs)are specific inhibitors of bone resorption by osteoclasts.We examined the effects of BPs on bone destruction in mice with collagen-induoed arthritis(CIA).Severe bone destruction was confirmed in BP-treated CIA mice, indicating bone destruction by cells other than osteoclasts.Histological and flow cytometrical studies showed Increased granulopoiesis and bone destruction by neutrophils.Similar results were obtained in studies of patients with severe rheumatoid arthritis. In this paper, we describe the process of and data derived from our experimental strategy and review possible mechanisms of bone destruction by neutrophils.
著者
舟山 眞人 山田 文夫 Masati Funayama Fumio Yamada
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-17, 1987-06-01

当教室において身元不明として剖検された死体の中から, 歯科所見を基に身元が確認された最近の3事例を報告する。第1例は220mの海底から引き上げられた男性死体で, 付近海域に沈没した海洋調査船の乗組員の可能性があった。死体上顎の一部に歯列不正(転位歯)がみられ, これがこの調査船の一人の乗組員の顔写真にも写っていた。更にパノラマ写真などとも照らし合わせた結果, 身元が確認された。第2例は山の沢で発見された若い女性の死体で, 3年間手懸りが掴めなかった。しかし, 県内に住む人からの娘の捜索の届出が発端となり, この娘が受診したことのある2歯科医の診療録と剖検時の観察所見とを照合したところほぼ一致したため, この人の娘であると確認された。第3例は外国人専用旅館の焼け跡から発見された焼死体で, 歯科所見と歯型の石膏模型を大使館経由で疑いが持たれた人の国に送ったところ, その人を治療した歯科医によって一致していることが確認された。
著者
笹野高嗣 庄司 憲明 栗和田 しづ子 三條 大助 Takashi Sasano Noriaki Shoji Shizuko Kuriwada Daisuke Sanjo
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.46-52, 1995-06
被引用文献数
1

微小循環系の組織血流の測定にレーザードプラー血流計が広く応用されている。この方法は, 水素ガスクリアランス法など従来の血流測定法とは異なるいくつかの利点を有している。しかしながら, この血流測定法は血流の絶対値を表示しない。そこで本研究では, レーザードプラー血流計を臨床における病態診断システムに応用するための基礎的実験として, 歯肉血流の測定値を水素ガスクリアランス法と比較し, レーザードプラー血流計の表示値の意義について検討した。実験にはネコ4匹を用い, 下顎歯肉の同一部位の血流をレーザードプラー血流計および水素ガスクリアランス法で測定した。歯肉血流を人為的に変化させる方法としては頚部交感神経の電気刺激を用いた。この結果, レーザードプラー血流計では複雑なプリパレーションを行うことなく, 非観血的に歯肉の血流を持続的にリアルタイムでモニターできたのに対し, 水素ガスクリアランス法では, 観血的で, 血流の測定は断続的であり, 瞬時の血流変化には対応できなかった。異なる個体間で測定された測定値については, レーザードプラー血流計の値(mV)と水素ガスクリアランス法の値(ml/100g/min)との間に相関は得られなかった。一方, 各々の血流測定法で算出された血流の変化率については, 両者の間に相関が得られた。以上の結果, レーザードプラー血流計の測定値を絶対値に変換することは困難であるが, 血流の変化率は評価できることが確認された。
著者
室野井基 大家 清 清水 良央 Motoo Muronoi Kiyoshi Ooya Yoshinaka Shimizu
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.157-161, 1995-12
被引用文献数
2

歯に関連する諸構成物の不調和は, 身体諸部位の調和をくずすといわれている。症例は, 35歳の男性で, 腰痛とよく噛めないとの主訴だった。臼歯部の不良補綴物で咬合の乱れが生じていた。直立姿勢で右肩が低かった。メタル・オクルーザル・スプリントを下顎臼歯に施行し, またマイオモニターと鍼治療が疼痛緩和に加療された。3週間後に上記の障害は除去された。本症例は, 咬合の調和が歯の構成物の十分な機能を発揮するのと同時に良い姿勢を保つのに必要であることを示唆している。
著者
枡 武彦 安藤 良晴 飯塚 ふみ子 飯塚 芳夫 手島 貞一
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.49-52, 1984-08-15

ヤマカガシ咬傷後, Defibrination syndromeからDIC症候群に移行して重篤な出血傾向に腎不全を合併し, 交換輸血と血液透析を施行して救命された。受傷後2ヵ月目に当科を受診したが, 両側下顎骨骨体部下縁に著明な骨添加による膨隆を認めた。これはヤマカガシ咬傷後の歯肉出血にともなって下顎骨骨体部骨膜下に形成された血腫が器質化後骨添加によって生じたものであると考えられた。3年4ヵ月後の現在, 添加骨は吸収されてきており, 皮質骨は平坦になってきている。
著者
木村 和男 菅原 準二 三谷 英夫 Kazuo Kimura Junji Sugawara Hideo Mitani 東北大学歯学部 東北大学歯学部 東北大学歯学部 Department of Orthodontics Tohoku University School of Dentistry epartment of Orthodontics Tohoku University School of Dentistry epartment of Orthodontics Tohoku University School of Dentistry
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 = Tohoku University dental journal (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.51-61, 1989-06-30
被引用文献数
5

頭部X線規格写真は, 時を変えて同一個体を撮影する場合, 頭部固定を全く同一条件に設定することが難しい。とくに正面写真では, 耳桿を中心とした頭部の上下方向の回転によりX線像が著しく変化するという欠点を有する。すなわち, 中心X線軸とフランクフルト平面が一致している場合のX線像と, そうでない場合のX線像とでは, 顎顔面頭蓋を構成する各骨影像の位置および形態が変化し, 読影を困難にしている。正面頭部X線規格写真に関する研究で, 頭部回転に伴うX線像変化について述べた報告は, 本橋ら1)のものをみるのみであり, 顎顔面頭蓋を構成する各骨について, 詳細に検討した報告例は見あたらない。そこで本研究では, 耳桿を中心とした頭部の上下方向の回転により, 顎顔面頭蓋を構成する各骨が, 正面写真でどのようなX線像変化をおこすのかを解明することを目的として, ヒト乾燥頭蓋骨のX線像解析を行った。研究は, ヒト乾燥頭蓋骨1体を用い, 個々の骨を各縫合部において順次分離し, その度ごとに中心X線軸とフランクフルト平面が平行な場合と, フランクフルト平面を上・下10^^。ずつ回転させた場合の正面頭部X線規格写真撮影を行った。それらを順次重ね合わせ, 消失した影像を追跡することにより各骨の影像を認識し, 頭部回転に伴う各骨の位置および形態変化を分析した。
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.55-57, 2011-12-28 (Released:2012-08-02)