著者
岩谷 佳美 加賀 勇治 芳賀 喜裕 荒井 剛 山田 文夫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.25-30, 2011 (Released:2012-09-20)
参考文献数
6

当院の冠動脈造影(coronary angiography; CAG)と経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)の年間総数は約7,000件であり, 循環器医師17名が左橈骨動脈アプローチで施行している. そのため, 術者個人の年間件数が多く, 被曝線量の増加が懸念される. そこで, 術者個人の被曝線量と件数から被曝状況を分析し, 問題点および防護対策について検討した. その結果, 個人の年間平均件数はCAG 280件, PCI 80件, 平均年間被曝線量は3.5mSvで, 被曝線量は件数に依存しなかった. 被曝線量の多かった術者は, 年間27.0mSvで, 職業被曝線量限度を超える危険性が生じた. この術者の被曝状況を分析した結果, 個人線量計を防護衣の前ポケット(布製)に入れていたため被曝したことがわかった. そこで, 正しく防護衣の内側に装着した場合の被曝線量をファントム実験で算定した結果, 被曝線量は3.7mSv/年と推定された. 術者は個人被曝線量計を正しい位置に装着する, きちんと防護用具を使用するなど, 常に被曝防護を意識し, 実践することが重要である.
著者
舟山 眞人 山田 文夫 Masati Funayama Fumio Yamada
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.13-17, 1987-06-01

当教室において身元不明として剖検された死体の中から, 歯科所見を基に身元が確認された最近の3事例を報告する。第1例は220mの海底から引き上げられた男性死体で, 付近海域に沈没した海洋調査船の乗組員の可能性があった。死体上顎の一部に歯列不正(転位歯)がみられ, これがこの調査船の一人の乗組員の顔写真にも写っていた。更にパノラマ写真などとも照らし合わせた結果, 身元が確認された。第2例は山の沢で発見された若い女性の死体で, 3年間手懸りが掴めなかった。しかし, 県内に住む人からの娘の捜索の届出が発端となり, この娘が受診したことのある2歯科医の診療録と剖検時の観察所見とを照合したところほぼ一致したため, この人の娘であると確認された。第3例は外国人専用旅館の焼け跡から発見された焼死体で, 歯科所見と歯型の石膏模型を大使館経由で疑いが持たれた人の国に送ったところ, その人を治療した歯科医によって一致していることが確認された。