- 著者
-
安田 彰
- 出版者
- 法政大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2004
デジタル直接駆動型スピーカを実現するにあたり必要な基礎的データの収集のための電気一音響変換素子(圧電素子)単体の特性を評価し、複数の電気一音響変換素子を用いた場合を鑑み、圧電素子の特性ばらつきの評価を行った。圧電素子を駆動するためのデジタル信号処理部をFPGAによる実装を行い,圧電素子の特性を考慮したドライバをCMOSデバイスで実現し,この評価を行った.この結果,従来に比較して提案するデジタル信号直接駆動型スピーカは低歪み特性を実現出来ることが確認された.●電気-音響変換素子圧電素子(圧電スピーカ)の基本特性の評価:周波数特性:圧電素子単体は平坦で良好な周波数特性を示したが、200Hz以下の低周波領域では音圧の低下が観測された,また,複数の素子間では10%以上の特性のばらつきが観測された.歪み特性:圧電素子は非線形特性を有するため歪みの発生が問題なる。高調波歪み特性の実験から比較的高い歪み率32%(3次歪み)が測定された。圧電素子をそのままアナログ駆動する場合には、歪みの影響を低減する方法が必要となる。●デジタル直接駆動スピーカの高性能化の検討ノイズシェーピング・ダイナミックエレメント・マッチング法(NSDEM)の検討:デジタル直接駆動型スピーカに適したNSDEMの実現方法検討を行い,この特性をシミュレーションにより確認した,また,これに基づき論理回路設計を行い,論理合成したもののシミュレーション,検証、FPGAへの実装を行った.このFPGAの評価から,従来方法と比較して20%以上小さいハード規模でNSDEMを実現出来ることを実証した.●提案するデジタル直接駆動型スピーカの総合評価FPGAを用いた駆動回路および高速圧電素子ドライバ回路に複数の圧電素子で構成した電気一音響変換器を接続した場合の総合特性の評価:サイン波を:入力した場合の特性を評価した.その結果,平面板にサブスピーカを配置した場合,それぞれのサブスピーカは,そのユニットのばらつきおよび配置によりサブスピーカ自体の特性にばらつきが生じるが,NSDEMの効果によりその影響が低減され,歪み率2%以下の良好な特性が実現されていることを実験により確認した.