著者
小秋元 段
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、17世紀初頭の約40年間に流行した日本の活字出版(古活字版)の展開の様相を明らかにしたものである。主な研究成果は、第一に、慶長年刊の角倉家のネットワークが古活字版の出版活動に広く影響を与えたことを明らかにしたこと、第二に、高野山における古活字版出版の経緯を書誌調査を通じて明らかにしたことである。そして、第三に、近年、古活字版の起源をキリシタン版に求める学説が強まっているが、その問題点を学界に提起したことも、重要な成果であると考える。
著者
石坂 悦男
出版者
法政大学
雑誌
社会志林 (ISSN:13445952)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.14-25, 2001-12
著者
秋田 成就
出版者
法政大学
雑誌
社會勞働研究 (ISSN:02874210)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.146-160, 1958-12-25
著者
金子 智行
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞内に蓄えられた後天的情報を定量化するために、モデル細胞として拍動心筋細胞を用い、細胞に摂動を与えたときの緩和過程を測定した。まず、外部から摂動を与えるための電気刺激プロトコールを改良することにより拍動周期の制御を可能にし、心筋細胞の拍動周期と細胞外電位を同時測定する系を確立した。次に、電気刺激により拍動周期を固定すると、イオンチャネルの活動状態がその周期に依存して対数関数的に変化した。このことから拍動周期という後天的情報の表現型は後天的情報であるイオンチャネルの活動状態を変化させ、拍動周期と相関した活動状態まで対数関数的に変化することが示唆された。
著者
小林 ふみ子
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

天明狂歌壇において重要度の高い狂歌師について、その伝をまとめた。すなわち、狂歌壇第2 世代のいわゆる「狂歌四天王」の一人であるつむり光、また狂歌壇史についての資料をまとめて今日の研究者に提供してくれた山陽堂山陽の研究が主要な成果といえる。また狂歌壇の最重要人物である大田南畝についても、寛政の改革期の資料を新たに見出し、新知見を加えた。
著者
中野 久松 三牧 宏彬
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果:アンテナ素子を電磁気的バンドギャップ(EBG)反射板上に極超低姿勢状態で配置し,この場合のアンテナ放射特性を明らかにした.(1)スパイラル素子2線式スパイラルアンテナをEBG板表面上から0.07波長以下の高さに配置.EBG表面とスパイラルとの間を誘電体で満たし,アンテナを75%以上に小形化することに成功.(2)カール素子カールアンテナをEBG板表面上から0.06波長の高さに配置.給電部付近のストリップ幅を変化させることにより,50Ω給電線とのインピーダンス整合に成功している.(3)逆Fアンテナ素子2素子逆F素子をEBG板表面上から0.03波長の高さに配置.これらの素子が,同相及び逆位相で給電された場合の放射特性を明らかにしている.電圧定在波比帯域は,同相給電で約10%,逆位相給電で約21%である,との結論を得ている.(4)折り返し線状素子折り返し線状アンテナをEBG板上から0.06波長の高さに配置.完全導体板上の折り返し線状アンテナと比べ,放射抵抗が増加することを明らかにしている.(5)パッチ素子円偏波パッチをEBGパッチで囲んだ場合の放射特性を検討.EBGパッチの効果により,直交偏波成分を低く抑えることに成功している.さらに,EBG板の短絡ピンの有無について,利得の観点から考察を加えている.意義:アンテナ素子と金属反射板との距離(アンテナ高)は,従来、1/4波長が標準となっていた.アンテナ高を極超低姿勢化すると、アンテナ特性は劣化する.本研究では,EBG反射板を用いて,アンテナ特性を劣化させることなく,極超低姿勢を実現した点に意義がある.重要性等:アンテナの超低姿勢を実現したことにより,アンテナ構造体の体積を極端に小さくすることが可能となった.小形化は搭載スペースが限られている移動体へのアンテンナ設置を容易にしている.
著者
後藤 浩子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、Chateau du Bignon(Loiret, France)に残るA・コンドルセ・オコナーの未公刊の手稿"Memoirs"のトランスクリプションとデータ入力という史料編集作業を行った。また、理論的作業の面では、18世紀末ブリテン思想史研究の分析概念を整理し、「ラディカリズム」を有用性と利益の語彙による法権利の語彙の置き換えとして定義しなおすことで、T-ペインやオコナーの思想の特徴を映し出すことができる新たな思想分類の-カテゴリーを提示した。
著者
尾谷 昌則
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、近年の日本語における文法変化について類推ネットワークモデルの観点から分析するため、昭和中期から後期にかけて出版された小説(主に文庫本、約700冊)をスキャンし、テキスト化して簡易コーパスを作成した。主に書き言葉であったため、口語の変化を研究するに十分なデータが得られたわけではなかったが、国会会議録検索システムなども併用しながら、接続助詞から接続詞化した「なので」や、「V+ません」から「V+ナイデス」への変化を中心に、様々な事例を研究した。
著者
大場 誠介
出版者
法政大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

遺伝子のシグナル伝達と転写調節を通して核膜構造とクロマチンの機能の相関関係を明らかにするために、新規の活性操作系を用いた多様な生命現象の制御を可能にする有用な実験系を確立した。これは、エストロゲン受容体との融合タンパク質を活用したもので、この実験系を活用することにより、炎症の調節に関わる重要な転写因子、IkB-z自身の転写後制御に従来では知られていなかったシグナル伝達系を明らかにした。
著者
川口 衞 千葉 義尚 阿部 優 吉田 長行 立道 郁生
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究業績をまとめると以下の通りである。A.並進振り子原理に基づく免震システムの有効性を検証した(1)振り子免震の免震効果は上下動の影響をほとんど受けない。上下動と水平動を分離して設計できるのは,免震システムとして大きなメリットがある(2)振り子によって実現される長周期免震システムに必要とされる減衰は,軽微なもので充分である(3)「並進振り子型免震装置」を応用した免震床の実施例の挙動を実験的に明らかにした(4)並進振り子の支点間距離を利用した,免震周期のコントロールに関する知見を得た。また,この性質を利用し,かつ支持構造物の回転運動を生じない「対称2点吊り振り子型免震構造」を考案した(5)地震時に質量偏心がもたらすねじれ振動め影響を明らかにしたB.転動振り子の原理に基づく免震システム(パドル免震)の有効性を検証した(1)「パドル免震」を提案した。「パドル免震」は免震層の高さを長周期免震の場合でも可変にできることが極めて有利な点である。(2)パドル免震の模型実験を行ない,所定の免震効果が得られることを確認した(3)パドル免震装置の実用化検討の基礎として発生する応力分布を解析により把握できた(4)パドル柱自身の質量が免震効果に及ぼす影響を振動実験などにより明らかにした(5)この時,パドル免震装置自体の形状を工夫することによって,目的とする固有周期を得られることを確認したC.振り子免震の適用による空間構造の長周期免震の効果を検証した(1)球殻の薄肉ドームの支持部に,振り子免震を設けた場合について効果を検討した。この結果,屋根の応答を下部構造の剛性に関らず,地表入力波形の応答スペクトルで推定することが可能であること,トラス材軸力など多くの部材で長期応力を支配応力とできる可能性を示した。(2)さらに,パドル免震の原理の効果的な応用として,円形ドームの円周方向のみに復元力を有し,半径方向には拘束のない一方向免震の有効性が確認できた。
著者
濱中 春
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

18世紀後半のドイツの物理学者・著述家ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(1742-99)の諸活動(美術史、観相学、自然科学、スケッチ、雑誌メディア)を通して、この時代の知の形成と伝達における言語とイメージの相互作用を考察した。近世から近代への移行期のヨーロッパにおいては多くの領域で知の枠組みの変化や転換が起こったが、それは言語とイメージの機能および相互関係にみられる多様性と変動の中で展開したものであることが明らかになった。
著者
森 實
出版者
法政大学
雑誌
社會勞働研究 (ISSN:02874210)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.63-74, 1987-01
著者
馬場 敏幸 苑 志佳 相澤 龍彦 河村 哲二 近藤 章夫 兼村 智也 折橋 伸哉 佐藤 隆広 田中 美和
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今年度はブラジルサンパウロ、ジョインビレ、カシアスドスルを訪問した。ジョインビレとカシアスドスルはこれまでの調査で判明したブラジルの金型クラスターである。ジョインビレはドイツ系移民による工業都市であり、ブラジル第一の金型集積地である。ブラジル金型工業会もジョインビレに位置する。ジョインビレの金型技術は大手配管メーカーと大手家電メーカーの部品成形およびそれらの成形のための金型作成を核として形成されていった。やがて蓄積された技術をもとにして自動車など他産業向けの金型作成も盛んに行われるようになった。ジョインビレでは金型メーカーおよび中核企業である家電メーカーの金型部門を訪問した。金型はドイツ・マイスター風の金型製作手法がとられ、製作される金型品質はグローバルレベルであった。カシアスドスルはプラスチック射出成形が盛んなイタリア系の移民都市である。金型製作はイタリアカロッチェリア風の金型手法がとられ、製作される金型品質は高かった。今年度の訪問により、これまでの企業のグローバル化および企業の成立・調達・技術系製などの経営学的・工学的知見に加え、ブラジル金型産業クラスターの成立という経済地理的観点からも大きな知見が得られた。特に興味深かった点は、金型クラスターごとに異なる形成経緯である。すなわち、コスモポリタン的な形成がなされたサンパウロABC地域は1950年代以降の自動車産業振興に伴って金型クラスターはコスモポリタン的に形成されたが、ジョインビレ地域はドイツ系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成され、カシアスドスル地域はイタリア系移民のもちこんだ工業蓄積と共に形成された。ブラジルの金型産業の形成・発展に「移民」のキーワードが重要であるとの点が明らかになった。これはアジア地域の地場民族による金型産業・クラスター形成とは異なるタイプの金型産業・クラスター形成であり、大きな発見であった。
著者
喜多 藍
出版者
法政大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度の最大の成果は、これまでの研究をまとめた博士論文が受理されたことである。本稿では、中国古典文学に描かれる厠と井戸の描写を分析し、古代中国の人々が厠や井戸をどのような場所と認識していたかを考察した。中国の厠については、主に六朝から唐代まで、どのような場所と考えられていたかを論じ、中国には多種多様な厠神に関する記述があり、出会っただけで人間に死をもたらす恐ろしい神と、富貴を与える神との二種類に大別されることが判明した。これは、日本の厠神が、不敬な行為を行わない限り禍をもたらすことのない、穏やかな神であるのとは大きく異なっている。また井戸については、文言小説に描かれる井戸がこの世と異界を繋ぐ境界であることが指摘されている以外、ほとんど研究が行われていない現状を踏まえ、従来取り上げられたことのない多くの文献を対象として、中国における「井戸観」を探求し、以下の三点について指摘した。1. 文言小説に加えて中国古典詩歌を検討し、詩歌では「境界としての井戸」は描かれず、詩歌と小説では井戸の何処に注目するかが異なっているとする新たな見解を提示した。2. 井戸で使われる釣瓶や轆轤に注目し、釣瓶は人間の魂の入れ物であり、釣瓶を上下させる轆轤は人の運命をもてあそぶものという象徴的意味があることを明らかにした。3. 唐・元稹「夢井」に「遶井(井戸をめぐる)」いう語が二度現れることを端緒とし、ものの周囲をめぐるという行為の民俗学的意義を考察し、中国では先秦時代から現在まで、死者を安置した棺や墳墓の周りをめぐるという死者を弔う習俗が途切れることなく行われてきたことを指摘した。以上を踏まえ、元稹「夢井」および李賀「後園鑿井」の新たな解釈を提示しつつ、李白「長干行二首」では井戸に関する習俗や婚姻儀礼における旋回の意義に基づいて、従来提起されていた多くの議論の中からひとつの結論を導いた。
著者
安田 彰
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,従来の3相モータの各コイルを複数に分割し,この分割したコイルを我々が提案しているデジタル調節駆動技術を用いて駆動することにより,低電圧電源で高出力・高効率なモータを実現した.また,分割した各相のコイルをノイズシェーピング・ダイナミック・エレメント・マッチング法(NSDEM)を適用することで,コイル間の素子値や位置ばらつきの影響の低減を実現した.さらに,回転磁界を発生させる際に,各相全てのコイルすべてを選択対象とする新しいNSDEMを提案し,各相間のばらつきの影響も低減することを実現した.これらにより,低トルク変動のモータを実現することが可能となった.
著者
今泉 裕美子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

①日米政府の刊行・未刊行史・資料、聴き取りから、信託統治への移行期に関する統治及び政策の全体像の提示、②米海軍が収集した日本の統治に関する情報が極めて限定されており、アメリカ文化人類学者の植民地社会分析を日本による統治の実態と突き合わせて検討、③信託統治への移行過程は、米軍の南洋群島占領統治から検討すべきこと、非現地住民引揚げまでで時期区分する必要性を提示、④米の極東政策と信託統治政策との関係を日本兵と非現地住民の帰還政策から分析した。但し⑤新たな史・資料を収集しえたが情報が僅少で、改めて今後の調査方針をたて、⑥当時10代後半以後の中等教育を受けたインフォマントからの情報の重要性を確認した。
著者
山本 真鳥 棚橋 訓 豊田 由貴夫 船曳 健夫 安井 眞奈美 橋本 裕之
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

・研究実施計画は、平成11年度については、若干の変更の後に、ほぼ予定通りに遂行された。平成12年度は、日程調整を行い、調査の足りない部分を補いながら全体の計画が遂行された。・芸術祭の事前に各国を訪れることによって、準備状況を観察し、また異なるジャンルの芸術の全体的な存在様式を観察することができた。・ポリネシアでは、「伝統」芸術の様態が観光と深く関わる部分がある一方、人々にとってそれらはアイデンティティに関わるものとして、社会生活のなかでも大きな意味をもつ。しかし、それぞれの社会で細部の事情は異なる。・パプアニューギニアでは、もともときわめて多様なエスニック文化が存在するなかで、それら伝統文化を織り交ぜながら、新しいアイデンティティのよりどころとなる「伝統の創造」が生じている。ダンスのみならず、多様な芸術の分野でも、ニューギニアらしさを出しながら、しかも特定の部族に直結しない芸術の創造が好まれる。・ミクロネシアは、芸術祭では後発のパフォーマーであり、ダンスの演技が観光と必ずしも結びついていない。その意味で、伝統的なダンスとは何か、伝統的な芸術とは何か、それらを芸術祭でいかに見せるかを、現在追究している段階である。・各国の芸術祭のリプリゼンテーション、つまり送り込む代表団をどのように選定するか、それら代表団がいかなる演技を見せるか、ということは、それぞれの国の国内事情や文化状況、国家としての様態などとさまざまな絡まり方をしていることが解釈できる。それらを明らかにするのは、個別社会の事情に通じた研究である。既に明らかになったことは、研究成果報告書のなかで論じている。・さらに芸術祭を主催すること自体が、それぞれの国の国内事情や文化状況と深く関わっている。それらが、個々の芸術祭のあり方を規定する大きな要因である。ニューカレドニアの第8回芸術祭に関していえば、フランスからの独立の可能性の生じてきている今、カナク文化をニューカレドニアのアイデンティティの正面に据えることは、先住民であるカナクにとって大きな意味を持っていた。
著者
岡松 暁子
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

北極海における船舶起因の海洋汚染問題については、沿岸国のうちカナダが、1970年に「北極海汚染防止法」を制定し、その適用範囲を200海里にまで拡大、通航の際の事前通告をvoluntaryからobligatoryに変更する等、自国法による規制強化を図る実行を重ねている。これに対して、アメリカは、当該水域を「国際海峡」であると主張し、国際海峡制度に関する規定を援用しながらカナダの一方的行為に抗議している。しかし、排他的経済水域内のうち他国により国際海峡との主張が行われていない水域においては、カナダ法は対抗力を獲得する状況に至っていると考えられる。