著者
酒井 健
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、20世紀フランスの思想家ジョルジュ・バタイユ(1897ー1962)の初期の活動、とりわけ総合的文化誌『ドキュマン』(1929ー1931)をめぐる活動を、当時の文化的背景に注目しながら解明した。視点としては文化多元主義(諸文化の多様性をそのままに肯定する立場)をとった。成果としてあげられるのは、前世紀からの西欧近代一元主義に膠着して危機的状況にあった同時代の西欧文化を、バタイユが、考古学、民族誌学、前衛芸術の最新の情報を呈示しながら、批判、相対化、活性化していった様を論文やシンポジウムを通して具体的に呈示できたことである。
著者
上林 千恵子 山下 大厚
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

外国人技能実習制度は成立後ほぼ12年を経て、受け入れ人数を増加し、その性格も変化してきている。当初の緊急的な労働力不足への対応策から、3年間に亘って安定的に雇用を確保できる派遣労働力という見方を企業がとり始めてきた。3K労働だから外国人労働力に任せる、という側面も確かに残っているが、それと同時に、派遣・請負労働が広く普及し利用されるようになったことを踏まえ、派遣労働力の一つの形態としてこの研修生・実習生をみなす企業も出てくるようになった。しかし他方、技能実習制度の創設経緯に生じた問題はいずれも残されている。技術移転の問題をどう解決していくかは未解決である。技術移転を建前でなく実質化していくのか、あるいは韓国のように,研修制度を雇用許可制度の中に解消して、単純労働者受け入れ制度に一元化するのか。またローテーション方式の問題は、技能実習制度の限らず、外国人受け入れ制度すべてに関係する大きな問題である。パスポートの取り上げ禁止、雇用主による強制貯蓄の禁止、研修手当て・賃金からの管理費の控除禁止など技能実習制度の運営主体である国際研修協力機構(JITCO)は様々な指導を受け入れ団体と受け入れ企業に行っている。あるいは失踪者が多く出た受け入れ団体には、将来の受入れを認めないという罰則もある。研修生・実習生への失踪防止が足止め策として、彼らの労働者としての権利を侵害する恐れがある反面、失踪者の増加は不法就労者の増加へと確実につながり、二律背反の問題となっている。以上、技能実習制度を検討すると、これが十全に機能した場合でも制度としての矛盾を抱えていることが分かる。今後、外国人労働者を合法的に受け入れる制度としてこの技能実習制度が活用されるとするならば、技術移転の問題、ローテーション方式(失踪予防)の問題、受け入れ先企業の変更の問題、などについてより明確な合意形成が必要とされよう。
著者
渡邊 弥生 小林 朋子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、大きく4つの成果を得た。1つめは、ソーシャルスキル教育をいかに学校に導入すればよいか、またその際の教師の生徒のアセスメント能力の向上方法について、いくつかの研究に基づいて示唆を得ることができた。2つめは、アメリカの研究者と共同でゲームタイプのアセスメントツールの開発を行い、日米での生徒のソーシャルスキルの文化差を確認することができた。3つめは、教師の介入の仕方がソーシャルスキル教育の効果に影響を与えることを明らかにした。最後に、感情リテラシーの育成に関する基礎研究を実施し、感情リテラシーをどのようにカリキュラム化すればよいのかについて知見を得た。
著者
舩橋 晴俊 寺田 良一 中筋 直哉 堀川 三郎 三井 さよ 長谷部 俊治 大門 信也 石坂 悦男 平塚 眞樹 小林 直毅 津田 正太郎 平林 祐子 金井 明人 仁平 典宏 土橋 臣吾 宮島 喬 壽福 眞美 池田 寛二 藤田 真文 鈴木 宗徳 羽場 久美子 茅野 恒秀 湯浅 陽一 須藤 春夫 佐藤 成基
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-05-31

本年度は, 年度途中で廃止になったが, それでも, 下記の研究実績を上げることができた。【公共圏とメディアの公共性班】法政大学サスティナビリティ研究所内の「環境報道アーカイブス」に蓄積した東日本大震災及び福島原発関連の映像に付されたメタデータの分析を行った。分析から, 震災・原発関連番組の論点の変化や報道対象地域の偏りなどを見出した。【エネルギー政策班】『原子力総合年表一福島原発震災に至る道』を2014年7月に公刊した(すいれん舎刊)。また, 青森県下北半島における核燃料サイクル事業の動向を把握するため, 『東奥日報』を基に詳細年表を作成し, 地域社会の長期的な構造変動を追跡可能な情報基盤を整えた。エネルギー戦略シフトに関し, 各地の市民団体の調査および支援を実施した。【年表班】英文環境総合年表(A General World Environmental Chronology)を刊行した。英文による包括的な年表は世界初の試みであり, 環境問題に関する国際的なデータベース構築の第一歩を記した。また, その年表の成果をもとに, 7月に国際シンポを開催し, 各国の研究者との交流を図った。【基礎理論班】2013年12月に開催した国際シンポと講演会を基に, 論文集『持続可能な社会に向かって―ドイツと日本のエネルギー転換(仮題)』(法政大学出版局, 2015年)の編集作業を継続している。並行して, 『ドイツ・エネルギー政策の形成過程1980~2014―資料集』(新評論, 2015年)の本文編集作業はほぼ終了し, 現在は巻頭論文を執筆中である。【食・農と包括的コミュニティ形成班】学内の「食・農」に関する社会的活動拠点でもある「スローワールドカフェ」の活動に関与しながら, 個別に研究を進めてきた。研究成果は, 社会学部授業科目「社会を変えるための実践論」と「多摩地域形成論」に一定程度反映させてきている。
著者
宇野 弘蔵
出版者
法政大学
雑誌
社會勞働研究 (ISSN:02874210)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.150-179, 1968-03-15
著者
田中 優子 小林 ふみ子 横山 泰子 小秋元 段 大木 康 王 敏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、次のことが明らかになった。第一に、江戸庶民が日本の領域を意識してきた、その経過と変遷である。第二に、歴史上の日本意識の高揚の理由や、国家と地域の齟齬という問題に気付くことになった。第三に東アジアにおける華夷意識が、日本においても国家と地域の関係に大きな影響を与えていることが認識できた。総じて、近世では近代とは異なる日本意識が様々な形で表現されていたことがわかった。また大学院博士課程の学生たちが、自らの研究の中で日本意識を考え、研究に取り入れるようになった。
著者
井上 大平 INOUE Taihei
出版者
法政大学
雑誌
法政大学大学院紀要 デザイン工学研究科編 (ISSN:21867240)
巻号頁・発行日
vol.2, 2013-03-31

The lighting used as an instrument that supports people's life as a light source and directs space is continuing changing the form by the new light source produced with the time. As new technology, LED is going to change our life now. The miniaturization of the light source progressed by LED and modeling which was not able to be realized in the conventional light source was attained. This research aims design and work of the ceiling light that incorporated the interaction and modeling by characteristic of a new light source called LED. Keywords: Design, LED, Ceiling light
著者
矢作 敏行 外川 洋子 岸本 徹也 浦上 拓也
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本型流通システムの特徴を、具体的な企業の実践行為レベルで分析するという研究目的に即して、長期財務分析、聞取り調査、企業アンケート調査を実施し、それに基づき、優秀小売企業を選び出し、小売業務、商品調達、商品供給の3つの下位システムで構成される小売経営において、持続的な競争優位性の基盤となっている組織能力は何かを導出した。中核的な組織能力は、事業分野の特性と歴史的な初期条件の2つの要因から大きな影響を受けているとの分析結果を得た。
著者
山本 真鳥
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

サモア諸島出身者は、主として環太平洋の諸都市に移民してコミュニティを形成し、今では本国の人口をしのぐほどとなっている。彼らが慣習によって本国の内外で盛んに行う儀礼交換は、互酬性を通じて本国へ現金を送り出す仕掛けとなっており、海外サモア人にとっては大きな負担であるが、サモア人のアイデンティティの徴としてきわめて重要になっているために、なかなか参加がやめられない。一方で、移民アーティストたちはそれに批判的で、参加していない者が多いが、それは彼らが儀礼交換に頼らずともアートにより自らのアイデンティティを作り出すことができるからである。
著者
堀場 清子
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究
巻号頁・発行日
vol.14, pp.387-424, 1988-03-05
著者
和田 多七郎
出版者
法政大学
雑誌
日本文學誌要 (ISSN:02877872)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.100-103, 1997-07-12
著者
荒井 弘和
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究1では、コレクティブ・エフィカシーを評価する尺度を開発し、信頼性・妥当性を確認した。研究2では、コレクティブ・エフィカシーの関連要因を検討した。探索的に実施した研究3では、ファシリテーションプログラムが、コレクティブ・エフィカシーを増強する可能性を確認した。追加で実施した、コレクティブ・エフィカシーの増強方略を収集した調査の成果も踏まえて、研究4では、コレクティブ・エフィカシーを増強するためのプログラムが備えるべき要素を提示した。
著者
森田 喬
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は地図学分野に大きな影響を与えてきたフランスの地図学者ジャック・ベルタン氏(2010年没)の地図学理論を系統的に整理することにより、デジタル化による地図制作という今日的なコンテクストの中で再評価しようというものである。地図学理論の文献収集については一般的な文献検索および研究所の年次活動報告書によった。体系化については、英国の地図学会誌に論文を掲載した。再評価については、ベルタン理論が強調する地図記号の一義性・多義性の区別の重要性を古代の岩絵地図まで遡って確認した。また、近年開発された作図システムによりベルタン理論のデジタル処理への親和性を確認した。ベルタン理論は一般化に向かっている。
著者
木村 純子 田中 洋
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

環境が急激に変わったとき、あるいは変化しないとき、人々はその変化をどのように受け止め、どのようにアイデンティティを変化させていくのであろうか。本研究は既存の消費文化と新たな消費文化が入り混じっている「文化の汽水線」を見ていった。対象として茶会という伝統的な消費者行動、および近年起こった大きな消費変容事態(event)の当事者としての原発避難民の消費者行動を取り上げた。(1)儀式に基づきながら中身を刷新していく伝統的消費者文化、および(2)消費によって自己同一性を維持することを強いられている難民の物質的消費者文化の2つのありようを見いだした。

1 0 0 0 OA 「洗象」考

著者
日原 傳
出版者
法政大学
雑誌
人間環境論集 (ISSN:13453785)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.A25-A39, 2001-12-25
著者
内原 英聡
出版者
法政大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、近世琉球弧におけるシマ社会-庶民生活-の諸相を明らかにし、その知的成果を、広く社会と共有することにあった。本件では主題を「近世琉球弧における経世済民社会の諸相一八重山諸島の民衆生活を事例として-」と設定、[1]近世琉球弧における自然と人々の関わり[2]庶民の相互行為一関係性の実態と変遷[3]災害時におけるシマ社会内外の取り決めごとの諸相、以上、3点のテーマについて解明を試みた。概要としては、「経世済民」「琉球弧」「シマ社会」といったキイワードをもとに、八重山諸島の「地理」「風水(風土)」「生業」「祭祀」について論考したものと表される。具体的には、近世琉球弧(文化圏)の庶民の暮らし、とりわけ八重山諸島の人々の生活が、現在に至るまでにいかなる変遷を辿ったか、検証する内容であった。特別研究員DC1の最終年度となる今期は、学位論文を完成させることに専念した。計画としては[1]諸論文の内容を目次に沿って仕分け再編する。ここに[2]別資料から得た新たな情報の加筆や、細部への修正を実施、[3]主題と全体の整合性を確認しつつ、徹底した検証を行う。そして[4]草稿を5月までに書き上げる。さらに[5]博士出願論文提出に向け修正を行ない、[6]学位論文を9月末(期限内)に完成させる、というものであった。計画は順次解消、9月には実際に仕上げた拙論「近世琉球弧における経世済民社会の諸相一八重山諸島の庶民の生活を事例として-」(語句を一部変更)を、法政大学大学院へ提出した。その後、口頭審査を経て3月24日に博士号(学術)を取得した。ちなみに今年度は『法政大学大学院紀要』に拙論(2本)が掲載された。さらに11月3日、仏国で開催された国際シンポジウムに出席、本研究に関連するテーマの報告を行なった(別項詳述)。またこれらの実績を踏まえ、2013年度は法政大学社会学部の[比較文化論]担当(兼任講師)も決定した。

1 0 0 0 OA 市町村制

著者
松浦鎮次郎 編
出版者
法政大学
巻号頁・発行日
1908