著者
春名 徹
出版者
田園調布学園大学
雑誌
調布日本文化 (ISSN:09171169)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.六七-八三, 2000-03-25
著者
柴崎 智恵子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.125-143, 2006-03-17

先進諸外国においては,疾病・障害を抱える親,きょうだいあるいは祖父母などサポートを必要とする家族のケアを担う児童が一定数存在することが明らかになっており,そのような家族ケアを担う児童のニーズ把握や支援のあり方が新たな児童福祉問題として注目され始めている。本稿においては,早くからこのような児童の問題に着手し,調査・研究・支援を体系的に行っているイギリスの児童介護者調査報告書を取り上げ,家族ケアを担う児童の生活状況についてレビューを行った。イギリスにおいて「ヤングケアラー(Young carer)」と称されるこのような児童たちは,家事援助や身辺的介助のみならず,要援護者の精神的サポートや与薬の管理,年金や保険の受け渡しまで担う。また,少数民族に属する家庭では,要援護者の通訳の役割を果たすこともある。ヤングケアラーはそのケア責任のため,友人関係や学業を犠牲にし,学習面での困難を抱えることも少なくない。また特に,ひとり親家庭,少数民族,要援護者である家族が精神疾患の場合,ケアを担うことによる影響が多岐に渡ることなどが報告されている。本稿における考察を踏まえ,今後はイギリスのみならず,このような児童による家族ケアを課題としているアメリカ,オーストラリア等の研究動向を参考にしつつ,我が国の現状についても言及していきたいと考えている。
著者
中山 幸代
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.2, pp.97-112, 2007

介護福祉士の養成教育が始まってから19年が経過した。しかし「介護福祉学」の内容はいまだ定まったとはいえない。本研究では,介護福祉学における「関連領域との共通性と介護福祉の固有性」について,文献研究を通してその内容を検討し考察を加えた。関連領域としては,看護・社会福祉・家政学・ターミナルケア・宗教哲学・性との関係を取り上げた。介護福祉の固有性としては,日常生活障害の理解,生活障害への援助について検討した。また介護実践の基盤となる利用者理解と自己覚知,「聴く」ことのできる力についても考察を加えた。
著者
加固 理一郎
出版者
田園調布学園大学
雑誌
調布日本文化 (ISSN:09171169)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.一五五-一七一, 1998-03-25
著者
佐藤 芳子 林 和子 坂井 忠通
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.29-40, 2007

麻疹は小児にとって,重症度の高い疾患であるが,最近成人(15歳以上)の発症も多くなってきている。国立感染症研究所の調査によると,近年患者数増加傾向にある年齢群は定期接種対象年齢を超えた20歳代前半での増加が見られていると報告している。2007年1月以降,東京都では高等学校や大学などで集団感染するなど,罹患患者が増え都内の多くの大学では休講になり,教育実習シーズンを迎え学生が各地に散らばるため,大学では麻疹対策に追われるという状況になった。また各大学では,感染防止のため抗体検査やワクチン接種を行なわなければならなくなり,そのうえ試薬やワクチン不足に直面する状況であった。田園調布学園大学では2名の罹患者にとどまり,集団感染は免れ,休講にはならなかったが,各施設実習や病院実習の時期にかかり,抗体検査やワクチン接種の必要性にせまられ,各病院やクリニックに連絡するなど,対応におわれた。幸い教職員の協力で,全学生及び教職員は抗体検査がおこなわれ,また抗体陰性の学生にはワクチン接種を行なうことが出来た。そこで抗体検査の結果などを元にその現状と今後の方向性などについて考察を加えたので報告する。

2 0 0 0 OA <論文>長寿譚

著者
藤澤 益夫
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-104, 1999-12-30

すでに日本は高齢社会に深く踏みこみ,まさに超高齢状況を迎えようとしている。そこで,先人の詩文が描きだす老年観・老人論を尋ねて,その移り変わりを探るとともに,人の延命願望を象徴する東西の永寿伝説や,真偽とりまぜての古今の長命記録を拾い集め,老齢問題を考える視界をひろげる。さらに,エルダー比重増大にともなう余弊としての社会の不活性化不安と,そのなかで見え隠れする元老支配懸念への批判をふくんで,高齢者階層の社会経済的位置づけをこころみる。
著者
藤澤 益夫
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.5-20, 2003-03-25

フランス革命のさなか市民社会の揺藍期にあって,早くもコンドルセは,公正な理想社会実現の基礎条件として,賃銀システムの不確実性を補う社会保険の不可欠なことを予測し情熱をこめて制度を構想唱道した。いま,成熟した高度産業社会のひずみに対抗して,社会秩序の総体的なバランスを回復するために,現代の社会保障政策を考えるとき,その大きなポイントは,惰性と勢力に支配された政治算術をあやつることではなく,転換期の社会形成にかけたコンドルセの確かなロゴスにささえられた熱いパトスを継ぎ,福祉政策の目的と機能を明示して,そこに公平性確保の精気をよみがえらせ,新しいこれからの社会統合の土台をつくりだすべきことを考察した。
著者
坂井 忠通
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.177-188, 2000-12-30

本論文は情報システム開発におけるソフトウェアの品質管理手法の改善を実践的な立場から考察,提案するものである。情報システム開発における上流工程(設計,作成工程)で作り込まれたバグ(プログラムのミス等)を下流のテスト工程で確実に摘出/修正して品質向上を実現するために,広く採用されているPB曲線活用方法の限界とその対策をテスト作業者のマインドに着目して改善する提案とその適用事例について述べる。
著者
中原 篤徳
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.305-317, 2016-03

本稿では,子どもの造形における塑造制作について,これまでの筆者の取り組みを振り返り,具体的な造形方法,その意味内容を改めて考えていくこととした。塑造制作には長い歴史があり,明治期に受容された西洋式の塑造は,幼児教育の最初期に取り入れられた経緯がある。しかしながら,今日,保育・幼児教育の分野で,粘土による塑造は,造形活動の中で主流とはいえない状況となっている。そこで,塑造制作そのものについて考え,また,筆者が研修会の講師を務めた一般財団法人川崎市保育会特別対策委員会「造形班」での実践的な研修内容から,保育者による塑造制作における援助の仕方,制作の意義について考察した。また,「造形班」による研究発表や,これまでの研修の中での保育者の意見,感想等から,保育現場において触覚や皮膚感覚に訴える塑造制作によって,造形活動がより充実する可能性を見出すことができた。また,保育者と子どもの思いが共鳴する造形内容を,塑造は持っていることが改めて理解され,今後,実践の中での具体的な造形の援助の仕方について研究していくこととした。
著者
石川 由美
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.14, pp.125-143, 2020-03

1987 年に介護福祉士国家資格が創設されて30 年以上経過した今日,介護福祉現場は深刻な人材不足と,従事者の専門職としての質が問われている状況にある。本稿は,介護福祉士資格創設時の経緯と,関係者による専門性に関わる議論を振り返り,今日まで続く状況の引き金となった問題について整理・考察を行った。当時の実践現場の関係者からは,寮母の資質についての問題意識,専門職としての社会的地位の向上,老人保健施設創設に関わる危機感などから資格制度を望む声が聞かれていた。厚生省は、高まる介護需要に対するマンパワー不足を補うため,シルバーサービスを容認し,それを規制するために資格制度創設を推し進めた。社会福祉関係団体は,長年の悲願であった社会福祉専門職資格の創設に向けて,政府とともに「資格制度創設ありき」で動いた。さらに,隣接職種である家政婦団体と日本看護協会から,介護福祉士資格制度創設についての猛然とした反対があったことや,それにまつわる関係者の軋轢などが,介護福祉の専門性の明確化を阻んだ。その結果、介護福祉の専門性についての十分な議論や立証は置き去りにされ,資格創設当初の躓きは今日まで繋がり,介護実践の関係者が望んだ資格制度とは異なるものとなった。
著者
寺沢 英理子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-en Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.16, pp.71-84, 2022-03

20代後半に「生きづらさ」を自覚してサイコセラピーを求めるクライエントの中には,幼少期から安心感のない養育環境に置かれて,親の精神安定に多大なエネルギーを注いできた人々がいる。彼らは広義のヤングケアラーということができ,そのサイコセラピーから得られた知見は,狭義のヤングケアラーのケアを考える上でも重要な示唆を与える。そのひとつは,スクールカウンセラーの役割の再認識である。広義のヤングケアラーは虐待や経済的困窮の渦中にはいないので,福祉のアプローチでは発見される可能性が極めて低い。しかし,学校で彼らに接する機会が多いスクールカウンセラーなら,「離人」を手がかりに広義のヤングケアラーを発見できる可能性がある。その際,非言語的表現の中に現れた持続的空想を察知することが助けになると考えられる。また,発見したヤングケアラーの母親をスクールカウンセラーがサポートできれば,養育環境の安定化も期待できる。狭義のヤングケアラーでも,社会的支援に次いで精神的ケアが必須であるが,非言語的表現方法を使いこなすスクールカウンセラーが,この部分を担うことができれば,セーフティネットの強化につながるであろう。
著者
高橋 順子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02875268)
巻号頁・発行日
no.33, pp.39-46, 2001
著者
一瀬 早百合
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.10, pp.199-210, 2015

障害のある子どもをもつ親のメンタルヘルスの実態を「保護者のためのこころのケア相談」における語りをKJ法にて分析し,明らかにした。障害のある子どもの出現は,一旦決着がついていた過去の解決されていない問題,原家族との関係やトラウマを再燃させることになると考えられる。子どもの出生以後の過度の疲労や傷つき体験が手当てされていないこと,さらに現在の生活における家族,特に夫との関係やママ友や所属集団での生きづらさがメンタルヘルスに負の影響を与えることになる。それらが長期化すると,自分自身のふるまいに不安を感じ,無価値な存在なのではないかという自己否定感が強まり,メンタルヘルスが危機的な状況となる。一方では,その焦りが子どもへの虐待へ向かう場合もある。メンタルヘルスサポートには現在の生活における家族や所属集団での「生きづらさ」だけではなく,過去からの様々な「傷つき体験」へのケアというライフヒストリーの視点が必要である。
著者
外池 昇
出版者
田園調布学園大学
雑誌
調布日本文化 (ISSN:09171169)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.四一-六一, 1996-03-25