著者
小林 和子
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.121-129, 1998

ヨーロッパ大陸のほぼ中央に位置し,周囲をドイツ語,フランス語,イタリア語の三つの大言語文化圏に囲まれたスイスは26の州から成る連邦制の多言語国家である。13世紀末の3州の同盟に始まる建国以来,連邦の機能はあくまでも強大な近隣大国の支配を排除するための政治的結束であった。強い自治権をもつ州や,この下の小さな地域共同体が文化的同一性の基盤となりそれぞれの歴史・伝統を形成してきた。このような国家の形成原理に加え,高い山々,河川・氷河・湖などの自然地理的障壁が言語を含む各地方の独自の文化の保存を促した。四つの言語圏に分かれ,三つの公用語を制定し,しかも主要言語内の方言格差が大きく必ずしも相互理解が容易でない,といった複雑な多言語状況に加え,近年の産業構造の変化,経済のグローバル化などに伴う他の諸言語の使用拡大といった社会言語的変化も見逃せない。本稿では,今日の多言語国家スイスの言語状況を分析するとともに,学校教育における言語教育の課題と動向を考察する。考察の焦点は特に初等学校段階で必修とされている第二言語教育と近年早期導入の実施や検討がなされている英語教育にあてられる。
著者
中村 加枝 林 和子 中尾 和子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.149, no.1, pp.40-43, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
9

セロトニンは,ドパミンと並んで我々の精神機能を支えている重要なモノアミン系神経伝達物質である.しかし,その具体的な機能,特に報酬と罰のいずれの情報処理を担っているのかさえ不明であった.行動課題を行っている動物の脳から個々の神経細胞の発火パターンを記録する単一神経細胞外記録は豊富な情報をもたらす.そこで我々は,報酬獲得行動および古典的条件付け課題を行っているマカクサルにおいて,セロトニン細胞が多く分布する背側縫線核の単一神経細胞の発火を記録した.報酬を期待して行う眼球運動課題においては,背側縫線核細胞は,課題の遂行中その時々の期待される報酬価値を刻一刻と持続的に表現していることがわかった.さらに,嫌悪刺激情報処理への関与を明らかにするため,報酬および嫌悪刺激が与えられる古典的条件付け課題における背側縫線核細胞の神経活動を記録した.その結果,持続的・短期間両方の発火パターンが観察された.持続的な反応で,まず,「罰が与えられるかもしれない」情動的なコンテキストを表現していた.さらに,条件刺激への反応など短期的な反応は,ドパミン細胞と同様,報酬の確率や予測の程度に従って変化したが,罰についてはそのような反応の変化は稀であった.以上より,背側縫線核細胞は,持続的な情動の区別と,異なる情動下での報酬獲得行動の制御に必要なイベントの価値情報の表現の両方に関与していると考えられた.
著者
尾林 和子 増山 茂
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.537-542, 2018
被引用文献数
4

<p>The impacts of robots and ICT in care settings have not been sufficiently evaluated, particularly in relation to workers' workload. The purpose of this paper is to evaluate quantitatively the effects of introducing communicative robots on night shift duties of nursing facility workers. The subjects are five late-night care workers, looking after elderly people to whom communicative robots with an infra-red radiation monitoring system was introduced. We investigated fatigue level using the 'method for checking subjective symptoms". Assessments were conducted at the beginning of the night shift (16:30), before dinner (20:00), before nap (00:00), after nap (02:00) and at the end of the night shift (09:50) before and 4 weeks after introduction. The effects of the system on the nighttime work burden and frequency of accidents were compared. During the fourth week, compared with the pre-introduction phase, the total fatigue level was improved before nap (p < 0.05), after nap (p < 0.05), and the end of the night shift (p < 0.001). Along with this improvement, the accidents especially the trauma accidents decreased. The introduction of a communicative robot with a monitoring system significantly improved the total fatigue level of late night nursing care workers and alleviated the nighttime work workload. </p>
著者
小林 和子
出版者
茨城女子短期大学
雑誌
茨女国文 (ISSN:0915468X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.29-37, 2003-03-18
著者
神谷 健一 田原 憲和 柿原 武史 三浦 由香利 堂浦 律子 川口 陽子 井上 昭彦 黒田 恵梨子 金 善美 高木 美菜子 池谷 尚美 齊藤 公輔 有田 豊 寺尾 美登里 林 和子
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題は9言語15名から成る共同研究プロジェクトであった。最終的に冊子版の研究成果報告書を作成し、主に大学で初習外国語教育に携わる関係者に配布した。PDF版は http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/gk-fires/ からダウンロードできるようになっているので参照されたい。
著者
佐藤 芳子 林 和子 坂井 忠通
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 (ISSN:13477773)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.29-40, 2007

麻疹は小児にとって,重症度の高い疾患であるが,最近成人(15歳以上)の発症も多くなってきている。国立感染症研究所の調査によると,近年患者数増加傾向にある年齢群は定期接種対象年齢を超えた20歳代前半での増加が見られていると報告している。2007年1月以降,東京都では高等学校や大学などで集団感染するなど,罹患患者が増え都内の多くの大学では休講になり,教育実習シーズンを迎え学生が各地に散らばるため,大学では麻疹対策に追われるという状況になった。また各大学では,感染防止のため抗体検査やワクチン接種を行なわなければならなくなり,そのうえ試薬やワクチン不足に直面する状況であった。田園調布学園大学では2名の罹患者にとどまり,集団感染は免れ,休講にはならなかったが,各施設実習や病院実習の時期にかかり,抗体検査やワクチン接種の必要性にせまられ,各病院やクリニックに連絡するなど,対応におわれた。幸い教職員の協力で,全学生及び教職員は抗体検査がおこなわれ,また抗体陰性の学生にはワクチン接種を行なうことが出来た。そこで抗体検査の結果などを元にその現状と今後の方向性などについて考察を加えたので報告する。
著者
佐藤 芳子 林 和子 坂井 忠通
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University
巻号頁・発行日
no.2, pp.29-40, 2007

麻疹は小児にとって,重症度の高い疾患であるが,最近成人(15歳以上)の発症も多くなってきている。国立感染症研究所の調査によると,近年患者数増加傾向にある年齢群は定期接種対象年齢を超えた20歳代前半での増加が見られていると報告している。2007年1月以降,東京都では高等学校や大学などで集団感染するなど,罹患患者が増え都内の多くの大学では休講になり,教育実習シーズンを迎え学生が各地に散らばるため,大学では麻疹対策に追われるという状況になった。また各大学では,感染防止のため抗体検査やワクチン接種を行なわなければならなくなり,そのうえ試薬やワクチン不足に直面する状況であった。田園調布学園大学では2名の罹患者にとどまり,集団感染は免れ,休講にはならなかったが,各施設実習や病院実習の時期にかかり,抗体検査やワクチン接種の必要性にせまられ,各病院やクリニックに連絡するなど,対応におわれた。幸い教職員の協力で,全学生及び教職員は抗体検査がおこなわれ,また抗体陰性の学生にはワクチン接種を行なうことが出来た。そこで抗体検査の結果などを元にその現状と今後の方向性などについて考察を加えたので報告する。
著者
韓 海 渡来 仁 小林 和子 保田 立二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1109-1114, 1997-12-25
参考文献数
29
被引用文献数
2

リポソームを経口ワクチンへ応用するために, pH2.0, 膵液ならびに胆汁存在下でも安定なリポソームの脂質組成を検討し, 経口投与後のIgA抗体産生能について調べた. 経口投与リポソームは, dipalmitoylphosphatidylcholine (DPPC) とcholesterol (Chol) からなるもの, DPPC, dipalmitoylphosphatidylserine (DPPS), Cholからなるもの, distearoylphosphatidylcholine (DSPC) とCholからなるもの, DSPC, DPPS, Cholからなるものを作製し, Tris-HCl buffer (pH2.0), 10%bovine bileならびに2.8%pancreatin液中での安定性を調べた. その結果, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソーム, DSPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームならびにDSPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2あるいは1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0, 10%bile液ならびに2.8%pancreatin液中でも安定であったが, DPPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームとDPPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0ならびに10%bile液中で不安定であった. 安定なリポソームのうち, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成からなるリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与し, 血清中のganglioside GM1に対するIgA抗体の産生について調べた. その結果, ganglioside GM1に対する抗体はIgA型抗体のみ産生され, IgG型ならびにIgM型抗体は産生されなかった. さらに, アジュバントとしてmomophosphoryl lipid Aをリポソームに組み込み経口投与した場合, IgA抗体の産生がさらに増強された. 一方, 不安定なリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与した場合には, IgA抗体の産生は誘導されなかった. これらの結果から, 酸性溶液中 (pH2.0), 胆汁中ならびに膵液中で安定なリポソームは, 経口投与によりIgA抗体を効果的に誘導できることが明らかとなり, リポソームを応用した経口ワクチンの開発の可能性が示された.
著者
小林 和子 中村 宗亥 藤原 耕三
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.32-48, 1964-07-01

調理した食物6種(煮タコ,椀種用塩茹でハモ,塩茹でレバー,塩茹でエビ,茹で卵,チキンカレー)を電気冷蔵庫(品温3±2℃)とフリーザー(品温-23±2℃)に8週間貯蔵してその味の変化を検討した。得られた結果を要約すると次の通りである。1. 6種食物を冷蔵車内に貯蔵した場合は,貯蔵可能日数は7日位であったが,フリーザー内で貯蔵した場合は8週間に亘る実験期間を通じて食べられる状態に貯蔵できた。2. フリーザーに貯蔵した場合,味の変化の起る程度は各食物により異り,6種食物中煮タコ,塩茹でハモ,塩茹でエビ,塩茹でレバーは貯蔵中味の変化の少いものであった。これに反して,茹で卵は特に白身が変化して,冷凍貯蔵では味が劣化した。良好な状態で保ち得た4種食物は,温度降下が速かであった事により,冷凍貯蔵では,貯蔵中に於けるよりも凍結時に於ける変化が重要である事が示唆された。3. フリーザーに貯蔵した場合の味必変化は,冷蔵庫に貯蔵した場合に較べて緩慢であったが,中でも特に香の変化が少いのが特徴であった。
著者
松浦 栄次 小林 和子 小池 隆夫
出版者
日本アフェレシス学会
雑誌
日本アフェレシス学会雑誌 (ISSN:13405888)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.167-175, 2004-05-31

Oxidative stress is thought to be etiologically related to atherosclerosis. Experimental evidence clearly demonstrates the presence of oxidized LDL (oxLDL) in the intima of arteries and that it contributes to the initiation and progression of atherosclerotic lesions. We have recently demonstrated that oxLDL interacts with β2-glycoprotein I (β2-GPI) to form complexes and that these complexes circulate in the blood stream of patients not only with systemic lupus erythematosus (SLE) and antiphospholipid syndrome (APS) but also with other systemic inflammatory diseases. Our in vitro experiments showed that oxLDL quickly interacts with β2-GPI via specific ligands generated by oxidation, in which the negative charge of oxLDL is neutralized by the complex formed. It was also shown that β2-GPI/oxLDL complexes are taken up by macrophages via lgG anti-β2-GPI autoantibody-mediated phagocytosis. Thus, IgG immune complexes with oxLDL and β2-GPI are thought to be atherogenic and β2-GPI/oxLDL complexes maybe implicated as autoantigens relevant in autoimmune-mediated atherogenesis in APS patients. In contrast, a set of reports indicated that natural antibodies (mainly of the IgM class) derived from hyperlipidemic mice reduced the incidence of atherosclerosis in experimental models. Further study should elucidate whether IgG and/or IgM antibodies induced to oxLDL and β2-GPI/oxLDL complexes in APS are pathogenic or protective, or are an epiphenomenon in the development of arterial thrombosis.
著者
済木 育夫 中島 松一 村田 純 小泉 桂一 林 和子
出版者
富山大学
雑誌
和漢薬研究所年報
巻号頁・発行日
vol.28, pp.38-48, 2002-04-20

I.癌および癌転移の抑止に関する基礎的研究1)癌および癌転移の抑制物質の探索(伝統薬物を中心に)2)癌の悪性化・進展モデルの確立とその分子機序の解析3)癌ワクチンを指向した免疫遺伝療法の開発と免疫力増強物質の検索4)同所移植性転移モデルにおける転移の臓器特異(選択)性とその機序の解析5)細胞接着の制御に基づく浸潤・転移の抑制6)基底膜分解酵素の転写・産生・分解レベルでの阻害物質の探索II.免疫抑制に関する基礎的研究1)アレルギー性/炎症性疾患モデルの確立と有効物質(抑制/増強)の探索2)免疫応答調節機構解明と和漢薬への応用III.細胞の機能制御とシグナル伝達機構の解析1)自己分泌型運動抑制因子の単離・精製とその構造解析2)細胞運動と細胞内調節分子の関連性の解析3)神経ペプチドによる細胞浸潤の制御と細胞内機能分子の関与