著者
日置 貴之
出版者
白百合女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度は、明治期を中心とした歌舞伎における戦争表象について、主に後発の演劇ジャンルである新派劇や絵画、小説といった隣接領域の諸芸術との比較の観点から研究を行った。その結果、幕末から明治初期にかけての歌舞伎と絵画(錦絵)が、実際の出来事や戦争、それに関わる人物の実名等をどのように朧化するか、といった点で、非常に類似した表現方法を採っていることや、実名による描写へと移行していく時期にも一致が見られることなどがわかった。また、研究の途中経過をいくつかの研究会等で口頭発表することで、近い分野の研究者からの助言等を得た。また、日本近代文学会秋季大会でのパネル発表においてディスカッションに参加し、同時代の文学諸ジャンルとの類似点・相違点についての考察を深めた。また、明治期の複数の歌舞伎・新派の戦争劇台本の翻刻を進めた(2019年度は勝諺蔵作「日本大勝利」、竹柴其水作「会津産明治組重」の翻刻作業を行った)。この作業は、2020年度も川上音二郎一座(藤沢浅二郎作)「日清戦争」等を対象として継続し、『明治期未翻刻戦争劇集成』(仮)として公表する予定である。また、直接に戦争を描くわけではないが、それと深く関わる作品である「島鵆月白浪」作中に描かれる靖国神社(東京招魂社)に注目し、明治期から昭和期に至る諸ジャンルにおける靖国神社の表象についても調査を進めた。その結果、今後さらに軍歌・紙芝居・ラジオといった昭和期のさまざまなメディアのなかで、歌舞伎の戦争劇・戦時劇を捉えていくことが必要であると考えるに至った。
著者
今井 福司
出版者
白百合女子大学
雑誌
白百合女子大学研究紀要 = The Fleur-de-lis review (ISSN:02877392)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.39-58, 2019-12

学校図書館を扱った大学の講義ならびに、学校図書館に関わる司書教諭の養成においては、情報技術に関する内容を取り上げることは不可欠である。本報告ではオープンデータの動きにおいて、今後の活用が見込まれるWikidataについて概要を示すとともに、「情報メディアの活用」においてWikidataを扱った授業の実践を行った。その結果、Wikidataの概略について受講生に伝えることができたものの、複雑な検索までは触れられないなど課題も残った。
出版者
白百合女子大学
巻号頁・発行日
2018

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
宮澤 健太郎
出版者
白百合女子大学
雑誌
白百合女子大學研究紀要 (ISSN:02877392)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.71-83, 2006-12
著者
大津 直子
出版者
白百合女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

最終年度にあたる今年、漸く谷崎の創作と『源氏物語』の翻訳とがどのように関わるのかという問題を、第一の訳〈旧訳〉を手掛けていた三年半の間で執筆した唯一の小説、『猫と庄造と二人のをんな』の中から検証した。現在は投稿・査読中であるため、詳細は省くが、三年かけてようやく谷崎が三度にわたり『源氏物語』を訳し続けたことの意義について論じるという入り口に立ったことになる。研究員着任直後に。中古文学の手法からのアプローチが作家の翻訳の検証に必ずしも有効に機能しないことが判明したため、より合理的に目的を遂行できるよう、谷崎の創作との連関を検証する方向に研究計画を変更し、創作と翻訳との連関を、國學院大學蔵『谷崎潤一郎新訳 源氏物語』草稿から発見するいう成果を得た。
著者
粂井 輝子 柳田 利夫
出版者
白百合女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

社会史的視点から、アメリカ合衆国においては、『新世界/新世界朝日』(1906~1940 年)、『日米』(1919~1932年)、『北米時事』(1916~1942)、『羅府新報』(1946~1952年)の文芸欄短詩型文学のデータ化、第二次大戦中の司法省管轄抑留所発行の短詩型文学の発掘・データ化、自由律俳句の指導者下山逸蒼の個人書簡閲覧解析を行った。ペルー共和国では、『ペルー新報』(1950~1980年)の短歌作品を収集し、ペルー日本人婦人会文芸部短歌研究会の活動を調査した。