著者
守山 正樹 柏崎 浩 鈴木 継美
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.22-32, 1980 (Released:2011-10-21)
参考文献数
110
被引用文献数
1 4 3

In Japan, the decline in the age at menarche after the Second World War has been repeatedly reported, but the observed period in the reports has not been long enough to evaluate the secular trend of it. More than a hundred reports of age at menarche of Japanese have been published from the year of 1886. More than half of these populations in the reports consisted of students or young workers, some of whom had not attained menarche at the survey, and the menarcheal ages were represented by the arithmetric mean for the menarche attained girls. Thus, ages at menarche of these reports have biases toward younger menarcheal ages which depend on the proportion of non-menstruating girls. The authors aimed to correct these biased menarcheal ages on the assumption that (1) menarcheal ages of a population distributes normally when all of the girls are menstruating; (2) when some girls are not menstruating, the distribution is censored sample of normal distribution. After eliminating these biases of historical sources, the trend of the menarcheal age in Japan (from the late 19th century to the present) was analysed.
著者
成 元哲 牛島 佳代 松谷 満 阪口 祐介 永幡 幸司 守山 正樹 高木 竜輔 田中 美加
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、原発事故が福島県中通りに居住する親子の生活と健康にどのような影響を与えているのかを明らかにし、必要な支援策を検討することにある。そのために、参与観察、聞き取り調査、調査票調査を通じで、原発事故後、中通り9市町村に暮らす親子は急激な生活変化を経験しており、それに適応できない母親は精神健康の低下を経験しており、それが子どもの問題行動につながっていることを明らかにした。親子への支援策は、経済的負担感と補償をめぐる不公平感を軽減し、放射能への対処をめぐる認識のずれを軽減する。また、保養・避難を選択できる環境にし、福島での子育て不安、健康不安を軽減することが必要である。
著者
守山 正樹 竹本 泰一郎 柏崎 浩 鈴木 継美 マリーナ ロバートM.
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.33-43, 1985 (Released:2008-02-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

初経発来への年齢,身長,体重の寄与を,1960-64年に出生の女子生徒275名で調査した。初経時の年齢,身長,体重の平均値はそれぞれ12.5 SD 0.89年,151.1 SD 5.7cm,42.3 SD5.8kg であった。初経時年齢と身長は有意な正の相関(r=0.406)を示し,「初経時年齢群別の平均身長は一定値をとる」とした松林(1932)の報告は支持されなかった。初経時年齢と体重の間には関連がないが (r=0.104),初経時の体重は身長よりもはるかに大きな変動を示し,「特定の体重,体構成への到達が引き金となって初経が起こる」とした Frisch と Revelle(1971)の仮説も支持されなかった。さらに,各暦年齢時での初経の有無(1/0)を被説明変数,身長•体重を説明変数として重回帰分析を行なったところ,体重のみが有意な寄与を示した。この結果より,初経発来にかかわる体格の閾値の存在が示唆された。
著者
守山正編著
出版者
成文堂
巻号頁・発行日
2019
著者
福島 哲仁 守山 正樹
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.209-216, 2003-07-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

日本の食生活などの生活習慣と健康との関わりを明らかにする目的で, 日本へUターン移住した日系ブラジル人21人を対象に健康状態の変化を調査し, 移住者から見た日本の生活習慣から, その関連を分析した. 日本の生活環境に適応できた者は2人に過ぎず, 10人が十分適応できず, 9人は不適応の状態であった. 適応できない理由として, 読み書きができない, 対人関係, 仕事環境などが挙げられた. 現在の悩みや不安では, 将来16人, 人間関係12人, 日本語9人, 仕事8人, 子供の教育6人などが上位を占め, 海外からの移住者に対して地域社会の受け入れに問題のあるケースが多いことがわかった. 一方, 来日後の食物摂取量の変化では, 塩分, 肉, 果実摂取量が減少し, 魚の摂取量が増加した者が多かった. 日本とブラジルの食生活に共通するもので, サラダや米食は, 健康によいと感じている反面, コーヒーは悪いと感じている者が多かった. 相違点では, 日本の食習慣で, 魚介類を多く食べることは健康によいと感じているが, 果物と豆料理が少ない点は悪いと感じている者が多かった. 現在の健康状態は, 何らかの問題を抱えている者が半数以上であった. 体重の変化と食生活の変化との関連を見ると, 砂糖の摂取量増加と体重増加との間に関連が認められた. 日本の生活習慣が健康に与える影響について, ブラジルと日本の食習慣などの共通点と相違点を元に, 引き続き追跡していく必要がある.
著者
牛島 佳代 成 元哲 守山 正樹 田中 美加
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、福島原発事故が母子の心身の健康に与えた影響を明らかにし、支援策を構築することである。分析には、2013年から毎年実施している福島県中通り9市町村の2008年度出生児の母親に対する社会疫学調査と面接調査データを用いた。結果、一貫してSQDで評価されるうつであった人は12.7%、うつ維持には低収入、放射能の対処をめぐる認識のずれ、経済的負担感が関連していた。また、うつ状態を脱した人も事故により生じた新しい日常への適応のあり方を模索していた。福島の母子がレジリエンスを獲得するためには、母親が抱く将来の健康不安に対して真摯に向き合い、継続的な医療補償システムを構築することが必要である。
著者
成 元哲 牛島 佳代 松谷 満 阪口 祐介 西崎 伸子 永幡 幸司 三上 直之 守山 正樹 荒川 雅志 石原 明子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

未曾有の原発災害における人間経験を生活変化と健康影響に焦点を当て長期的に追跡し、実態解明を行うとともに、社会的亀裂を修復するために次の二つの取り組みを行った。第1に、福島県中通り9市町村の2008年度出生児とその母親を対象に、原発事故が与える影響を生活と健康に焦点を当て継続的に記録するための大規模の調査票調査を行った。第2に、上記の福島県内の調査対象者への半構造化面接を行った。これは、当事者の語り部活動を行うための準備作業である。放射能の健康影響についての不安の度合いやリスク対処行動において温度差がある母親が、原発事故後の経験を広く社会と共有できることを目指している。
著者
守山 正樹 鈴木 継美
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1-2, pp.13-25, 1973 (Released:2011-10-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The gap between the accerelated physical growth and the stayed or relatively delayed mental development has become common in many countries. In this sense, the study on sexual maturation has to cover not only the physical but also the mental aspects. Age at menarche, the knowledge of sexual phenomena, and the behavioural pattern at counselling of sexual problems were the content of questionnaire. The subjects were girl students at Eiwa Junior and Senior High School in Yamanashi Prefecture. The results are summarized as follows: (1) Age at menarche has become younger annually. (2) Psychological reaction toward menarche differed dependent upon the age at it. (3) After menarche, students became more conscious to sexual phenomena, and tended to select persons other than parent as the counseller. (4) The amount of knowledge on sexual phenomena increased with the chronological age, but the understanding of underlying mechanism did not show a simply increasing pattern. (5) The age at menarche and the feeling invited by the menarche seemed to influence the increase of knowledge and the deepening of understanding. (6) By the content analysis of the answer to questionnaire, the development in intelligence was supposed to relate closely to the advancement of knowledge on sexual matters.
著者
西村 春夫 守山 正
出版者
日本評論社
雑誌
法学セミナ- (ISSN:04393295)
巻号頁・発行日
no.522, pp.113-116, 1998-06
著者
守山 正樹 鈴木 清史
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing = 日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-12, 2020-03-31

看護師にとって手の働きは重要であり、触れる技術としてのタッチは看護の基本技術と位置付けられる。しかし看護の初学者に対し、技術としてのタッチの教育を急ぐ前に、タッチの基礎となる「手で対象に触れ感じ考えることの意味」をどのように教育したらよいだろうか。国内外の文献を検索したが、適切な先行研究が見当たらなかった。そこで看護大学の初年次教育用に新プログラムを開発した。 開発に当たっては、筆者が1990 年代から医学生を対象に行ってきた視覚障害体験実習の1プログラム「身の回りの物体に触れて考える」を出発点とした。少人数の設定では、学生は様々な物体(複雑な日用品から人間の手肌まで)に触れて考えることができる。しかしこの設定を大教室に適用するのは難しい。大教室で実行するためには工夫が必要である。飽きることなく触れ続けられ、様々なことを考えられる物体は何だろうか?学生がその指先から"人間性"や"看護の概念"に至るまで、思考を拡げることは可能だろうか? 試行錯誤の結果、気泡緩衝材(通称プチプチ)に注目した。プチプチは独特なアフォーダンスを持っている。通常はプチプチを渡すと学生はすぐにそれを潰し始める。しかし「なぜ潰すのか?それを命と考えても潰せるか?」などの問いを投げかけると、学生は触れることの意味を考え始める。プチプチにナラティブな問いかけを組み合わせ、新教育プログラムとした。2019 年6 月、学生120 名に対して新プログラムを実施した。学生はプチプチを教材として受入れ、"触れることの意味"から"看護と人間性"に至るまで、自律的に思考を発展させたことが観察された。報告 = report
著者
守山 正樹 柏崎 浩 鈴木 継美
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.22-32, 1980
被引用文献数
4 4

In Japan, the decline in the age at menarche after the Second World War has been repeatedly reported, but the observed period in the reports has not been long enough to evaluate the secular trend of it. More than a hundred reports of age at menarche of Japanese have been published from the year of 1886. More than half of these populations in the reports consisted of students or young workers, some of whom had not attained menarche at the survey, and the menarcheal ages were represented by the arithmetric mean for the menarche attained girls. Thus, ages at menarche of these reports have biases toward younger menarcheal ages which depend on the proportion of non-menstruating girls. The authors aimed to correct these biased menarcheal ages on the assumption that (1) menarcheal ages of a population distributes normally when all of the girls are menstruating; (2) when some girls are not menstruating, the distribution is censored sample of normal distribution. After eliminating these biases of historical sources, the trend of the menarcheal age in Japan (from the late 19th century to the present) was analysed.
著者
守山 正
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.406-425, 2015-07-30 (Released:2020-11-05)
著者
鈴木 典夫 守山 正樹 福島 哲人 坂本 恵 永幡 幸司 丹波 史紀 山川 充夫
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.月1~2回の研究会及び学習会活動を行ってきた。2.中越地震被災地及び他地域の被災地(福岡市・神戸市など)でのヒアリングを行った。3.調査活動として、仮設住宅100世帯の面接による2年継続の「避難所及び仮設住宅における生活調査」、「生活のストレス調査」、「住宅再建に関する調査」、小学生を対象とした「震災体験・認識調査」及びワークショップを実施した。4.「被災住民の生活再建と災害復興に向けた課題」と題したシンポジウム、「もとめられる医療通訳者養成研修プログラムとは何か」の研究交流集会、「災害ボランティアシンポジウム」、他各調査の現地報告会を開催した。5.成果については、「日本音響学会」「国際騒音学会:Inter-Noise」「日本居住福祉学会」等において発表。論文としては、『厚生の指標』に「新潟県中越地震で被災した児童による避難生活で体験した出来事の評価」等を発表。その他、関連会合にて講演その他で公表した。6.中越沖地震が発生したため、再度ボランティアの調整、ニーズの拾い上げ等での情報収集をするとともに、研究成果を活かし、児童支援並びに地域復興支援にあたった。7.研究成果報告書(全159頁:80冊)を作成した。8.福島大学において、「災害と復興支援」という授業を開講した。
著者
守山 正樹
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.71-76, 2011 (Released:2012-11-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

IUHPEはWHOと共に発展してきたNPOである.IUHPEの動向を見極めるために,WHO戦略の理解は必須であり,その出発点がWHO憲章前文の健康の定義である.わが国ではこの定義を1951年に和訳した際,英単語Completeが本来持つ二つの意味(完全な,完結した)のうち前者を採用し,半世紀以上,その定義を使い続けて来た.本稿前半では,その翻訳によって,英語とニュアンスとは異なった理解がなされ,その結果,日本における健康やヘルスプロモーションの理解と実践が,英語圏とは異なる独自の方向に展開された可能性を論じた.また後半では,日本に住む私たちが,また健康教育学会が,今後も世界に先駆けて,健康教育やヘルスプロモーションの分野で,情報を発信し続けるための方策について論じた.国際交流無しに,わが国の健康科学は存在し得ない.私たちと健康教育学会にとって,IUHPE,中でも身近なアジア諸国のダイナミックなヘルスプロモーションの動きを肌で感じられるNPWPは,将来への発展ための必須の場,舞台装置である.
著者
福島 哲仁 永幡 幸司 嘉悦 明彦 守山 正樹
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

バリアフリーの視点で環境を整えることによって、痴呆を患っても、ユーモアのセンスと豊かな人間性が養われる事がわかった。デイケアにより、初期の不十分な状況の下で生じた不安または混乱から起こったトラブルが消え、彼ら自身と環境への自信が生まれていた。家族へのインタビューから、痴呆を患うことで、痴呆高齢者の隠された人間性が表に現れてくることが明らかになった。痴呆高齢者とその家族双方の「記憶障害」に対する受容は、家族間に生じるトラブルを防ぎ、痴呆高齢者の豊かな人間性を発展させる上で重要なプロセスと考えられた。ケアスタッフの視点、役割は、痴呆高齢者と家族の間のこのダイナミックなプロセスの進行にとって非常に重要である。幸福に今を生きることは、痴呆高齢者にとって重要であるが、将来への希望や豊かで人間的な生活への期待がさらに重要であることがわかった。痴呆高齢者の生活環境の改善について考える時、音の効果を無視することはできない。痴呆高齢者の生活環境に対する音の効果を明らかにするために、どのような種類の音が回想されるかを調べた。デイケアのリーダーが、擬声語を書いた大きなカードを示し、その擬声語を声を出して数回読み、その間に何を想像しているかを自由に話してもらった。この結果わかったことは、(1)一般的に、鳥の鳴く声や雨の音など自然にある音は、性を問わず擬声語から容易に回想される。(2)台所仕事の音は、女性によりよく回想される。(3)昔の生活習慣に関する音は、はっきりと回想される。(4)それぞれの生活史に関わる音は、深い感情を呼び起こし、鮮明に回想される。これらの結果は、痴呆症を患う高齢者が、痴呆を患う前に身近にあった音を容易に回想することができることを示している。
著者
守山 正樹 我妻 則明 齊場 三十四 福島 哲仁
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究の最終年度として、触知実験の手順をまとめ、実習書を試作した。同時に、触知などの保有感覚を生かして社会復帰をする過程を総合的に把握するため、中途失明を克服し、サラリーマンとして働いているS氏の事例研究を試みた。特に注目したのは、社会復帰後に失明前の仕事だけでなく、ボランティア活動までも行っているS氏のコミュニケーションである。2001年11月にA大学医学部の医学概論カリキュラムにおいてS氏が行った授業を分析し、S氏が周囲と人間関係を築く過程の解明を試みた。「S氏の授業の進め方は、他の講師の授業に比較して、どのような特徴を持つか」を、S氏の授業が終了した直後に、自記式の評価表により、学生に評価してもらった。評価表の作成に関しては、S氏が1998、99年度にも同様の授業をした際に、学生が述べた感想や、医学概論の全授業に臨席したスタッフの印象を参考に作成した。11個の評価項目のうち最初の三評価項目については、S氏の授業は他の授業に比較して有意な低値をとった。特に、「1、黒板を活用する」、および「2、スライドやOHPを活用する」の2項目はゼロであった。S氏の授業に際しては、S氏が職場復帰した様子を報じた新聞記事を資料として印刷し、学生に配布していたが、「3、プリントを活用する」においても、S氏の授業は4.2%と他の授業の82.1%に比較して、有意な低値とった。資料のプリントは講義後に読む参考資料と位置づけられ、プリント自体の解説をS氏が授業中には行わなかったことが、低値の原因と考えられた。4番目以降の項目については、その全てでS氏の授業は他の授業に比較して高値をとり、特に「5、全体の学生に語りかける」、「8、ひとり一人の学生に語りかける」、「9、ひとり一人の学生に問いかける」、「10、ひとり一人の学生の応答から話を発展させる」の4項目に関しては、差が有意であった。これらのことより、S氏の授業は、全体の学生に対しても、個別の学生に対しても語りかけ、問いかけることを、特徴とすることが明らかになった。