著者
永田 治樹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.54-59, 2016

社会発展や,情報技術の急速な進展によって,図書館の価値がこれまでのように自明とはみなされず,その果たす役割が問われるようになった。本論は最初に,図書館のインパクトを紹介した国際規格ISO 16439:2014(図書館インパクト評価のための方法と手順)を取り上げる。次いで,学生の学習成果に関する分析事例を検討し,図書館の意義を実証するためのインパクト評価に,これまでのメトリクスだけでなく,種々の外部データを取り込んでデータにおける意味のあるパターンを発見・提示するというアナリティクスの適用を示唆する。
著者
Uyehara Cecil H 藤巻 美恵子 藤本 帝子 三浦 圭子 須永 雅子 山田 理子 山下 智久
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.85-92, 1990-02-01

ある一連の行動の方向や不活性を変えたり,行動の意識やその行動を強調しようとする意識を変えるには,大変な努力を要することはいうまでもないことである。過去10年間さまざまなやり方で日本の科学技術の脅威を十分に意識し,警戒する動きがアメリカ国内で勢いを得てきた。これらの活動のいくつかはおそらくアメリカの国外でよく知られているであろう。このペーパーは,この脅威に対する対応としてアメリカ国内で起こった活動を広範囲に記述し,評価するものである。これらの活動については以下の項目を立てて論じる:意識喚起活動,連邦政府の立法活動と国際協定,教育活動,日本の科学技術情報の流通,組織化,ライブラリーコレクション,日本の科学技術の評価,技術開発,日本の科学技術情報の利用調査,おわりに-
著者
永田 治樹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.352-361, 1994-07-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

学術情報は急激に増大している。しかし大学図書館などの財政がそれに合わせて拡大するわけではないから,外部情報を入手するサービスの必要性が高まっている。他方,技術革新により情報システムは大きく進展しつつあり,最近雑誌目次情報データベース(TOC)や画像伝送システムの充実により,エレクトロニック・ドキュメント・デリバリーの展望も開けてきた。そこでILLを含むドキュメント・デリバリー・サービスの実態(用語の吟味や調査結果による把握,TOCの動向,及び大学図書館でのILL実績)を確認し,大学図書館における今後のエレクトロニック・ドキュメント・デリバリー・システムについて考えた。新たな情報ネットワーク環境において展開されるドキュメント・テリバリー・システムは,大学図書館にとって,情報の収集並びに提供の両面で不可欠な役割を果たすものとなるだろう。また,今や多様化する情報を迅速,簡便,かつ統合的に提供できるサービスが求められている。
著者
井上 理穂子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.458-463, 2010-11-01

映像アーカイブを実施するにあたっては,アーカイブをしたい映像,そしてそれに含まれる著作物が何なのかについてまず明らかにし,それらに対して「誰の」「どのような」権利が関係しており,どのような許諾が必要となるのか検討し,さらに権利者に許諾を取る必要がある。本稿では,「誰の」「どのような」権利に対して,どのように許諾を取ったらいいのかについて,具体例をあげながら検討をし,明確にした。また,映像アーカイブに関わる権利制限規定について,現在(2010年8月)議論となっている日本版フェアユースの可能性とそれが映像アーカイブに及ぼす影響について明らかにした。
著者
長塚 隆
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.340-346, 1999-07-01
被引用文献数
1

インターネットの急速な普及により,データの編集物としてのデータベースのコンテンツが不正抽出されたり,再利用される恐れが広がった。このような中で,1991年のFeist判決は,従来米国の著作権法ではデ一タベースは「額に汗」論により保護されるとの考えを覆したので,ヨーロッパ諸国に著作権でデ一タベースの保護が十分できないのではないかとの大きな関心を引き起こした。EC委員会は,1996年に加盟国にデ一タベースの法的保護であるEUデータベース指令を発した。著作権を補うデータベースのコンテンツ保護である新たな権利(sui generis)を盛り込んだ本指令は,1998年までに加盟国での法制化を指示している。著作権によるデータベースの保護に加えてファクトの編集物の保護ための著作隣接権としての新たな権利(sui generis)はわが国における法制化の際にモデルのひとつとなっている。
著者
井下田 久幸
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.410-417, 2002-08-01

XMLと並んで有望かつ実用的な規格にXSLTがある。XSLTは,企業間におけるデータ交換において,微妙に異なる語彙やデータ構造の違いを吸収することができる変換の機能を有している。しかし実際のユーザーの環境では,さらに柔軟な変換機能や,より高速な変換を必要とする局面もあり,必ずしもXSLTが全ての解決策とはなっていない。XMLの利点と短所をよく理解して活用していくことが重要である。またXMLの本質は,人間を介在せずシステム間で直接データ交換を行うことにある。そのためXMLをプログラムで操作できるためのインターフェイスも,XMLを実用的に利用する上で重要なポイントになっている。
著者
高山 正也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.507-511, 2007-11-01

国立国会図書館の今後の改革についての指針を外部識者の見地からまとめた。現状における国立国会図書館の問題点は,国内外におけるそのプレゼンスの低さに集約できる。その理由の最大のものは,国立国会図書館員の内向き志向にある。そこで,当面,国立国会図書館が国立図書館として果たすべき機能と日本の国立国会図書館を取り巻く解決すべき主要な問題点を指摘し,その解決策の一端を,この問題が2006年春,国立国会図書館の独立法人化問題として生じた時に検討した図書館関係NPO法人での検討結果を紹介することで,示している。そこで示された解決策の提言とは次の4項目である。(1)国立国会図書館の経営刷新と強化のための外部者の活用,(2)館の職員人事の弾力化,(3)業務執行体制への民間活力の利用,(4)関係法令の見直し
著者
諏訪 秀策
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.306-312, 2008-06-01
被引用文献数
3

日本科学技術情報センター(JICST;現(独)科学技術振興機構:JST)が1976年(昭和51年)に開発したオンライン情報検索システムJOIS-Iは専用の通信回線と専用端末を用いた英字カナ検索,英字カナ出力のシステムであった。1978年には公衆電話回線と汎用端末機で検索できるようになった。専用端末での漢字出力は1979年には実現したが,公衆回線での漢字出力は1981年のJOIS-IIによって実現した。その後1990年サービス開始のJOIS-IIIでは後に漢字による検索も可能となった。さらにインターネット対応のJOIS-IVが1997年に開発された。2003年(平成15年)のJOIS-IVのサービス終了をもってJOISの歴史は閉じた。本文ではJOISの開発の主に初期,中期の事情について先人の足跡の一端を紹介する。
著者
北崎 義弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.175-184, 1973-06-01

電子計算機を用いた図書貸出管理システムについて述べた。従来のマニュアルカードによる管理にくらべ,代本板用紙,貸出図書返却督促状,図書利用統計の作成が容易になった。しかし現在使用している中型の電子計算機では情報検索や図書目録の作成に応用できない。
著者
豊田 恭子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.54-59, 2015-02-01

筆者が20年前に外資系金融機関で運営していたビジネスリサーチセンターでの仕事と,現在,広報エージェンシーで行っている仕事とを比較しながら,企業における情報専門職の役割が,情報収集から情報選択に移行していることを確認する。加えて,現在,アメリカで注目されているエンベディッド・ライブラリアンに光をあて,彼らが生まれてきた背景と,彼らを受け入れる利用者側の変化について考察する。最後に,これからの情報専門職の役割として,フィルターバブルに風穴をあけることを提言する。
著者
広瀬 容子 中澤 夏子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.396-403, 2007-08-01
被引用文献数
1

図書館は情報を選択,収集,管理し,それらの情報へのアクセスを保証するという普遍的役割を持つ。学術支援図書館において,ジャーナルのコレクション評価は,学術情報流通の中で重要な位置を占めるジャーナルが,適切に購入され利用者に提供されているかを判断するために不可欠である。論文の引用データは,これまでも蔵書評価手法の1つとして広く活用されてきた。本稿ではトムソンサイエンティフィックのCitation Index製品に収録される引用データを用いてのジャーナルコレクション評価の手法を解説する。