著者
林 和弘 門條 司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.441-447, 2003-09-01
被引用文献数
3

日本化学会の学術情報発信の近況を紹介するとともに,電子ジャーナルにおける取り組みを解説する。特に2002年よりJ-STAGEを本格的に利用することで広く読者に情報を提供することができ,他雑誌,2次データベースとのリンクを含む電子ジャーナルの標準的なサービスを実現しつつ,健全な事業形態を構築することもできた。また,日本のジャーナルにおける電子ジャーナル課金の難しさについても考察する。
著者
山中 秀夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.556-560, 2007-12-01
参考文献数
19

本稿では,和古書の特異性,重要性と組織化およびイメージ・データの有効活用について論及する。近年,和漢古書のための標準的な書誌記述規則が相次いで公表・制定された。日本の重要な文化遺産である和古書は,膨大でかつ多種多様な印刷資料と書写資料が現在まで伝存している。全体像が未だ充分になっていない現在,和古書の総合目録の構築は意義ある学術情報流通基盤整備事業である。有効な目録の構築を進めるための方法として,イメージ・データとのリンクを提案する。各機関が現在までに蓄積した大量のイメージ・データを網羅的に検索する手段はほとんどない。テキスト・データである書誌記述とリンクすることで,書誌記述の一部として利用者への効果的な情報提供が可能になる。
著者
武田 英明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.509-513, 2006-11-01

本稿ではWebの普及以来変化した情報流通のあり方について概観する。Webによって情報流通は従来のマスメディアによる集中かつトップダウン型情報流通から分散かつボトムアップ型へ変化した。この結果,一方でロングテールと呼ばれるかつてない多種多様な情報の流通を可能とし,一方でボトムアップな集約型情報流通も可能としている。このような情報流通を理解するには単に情報の収集,生成,公開といった情報利用活動だけでなく,人々の関係性に基づくコミュニケーションの活動も視野に入れて見ていく必要がある。
著者
木下 聡
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.60-64, 2005-02-01

大学改革の流れのなかで,大学はその存在意義を社会に対してアピールする必要から,ホームページによる広報活動を充実させている。大学図書館でもその一翼を担うように,サービスや学術情報コンテンツを,インターネットを通して大学の内外に広く公開するようになってきた。そのような活動の一例として,三重大学附属図書館でのポータルサイト構築の試みを紹介する。図書館のホームページにおける3つのポータルデスク(学生ポータルデスク,教官ポータルデスク,地域貢献ポータル)について,基本的な考え方や構成を解説するとともに,今後の課題についても考察する。
著者
酒井 清彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.183-189, 1994-04-01

学術情報センター目録システム(NACSIS-CAT)の総合目録データベースにおけるデータの作成方法及び同定方法について紹介した後,センターで実施している品質管理である重複レコード処理について,主に重複候補リストの出力,オンラインでの統合処理準備,重複統合処理の3点を紹介する。
著者
伊藤 真理
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.312-316, 2006-07-01

情報が多様な形態や媒体で分散して流通するようになり,情報への効率的なアクセスおよび入手のために,標準化に則った書誌情報(メタデータ)の提供がさらに必要とされている。また,利用者の情報の利用方法の変化への対応も求められている。より適切なメタデータ作成のために,目録の概念レベルのモデリングの検討が必要となった。本稿では,主要な目録概念モデルであるIFLAのFRBR, FRBRに基づいて検討された目録原則やオンライン目録のあり方,および書誌記述フォーマットや情報資源識別子について概観し,それらの利用について考察する。
著者
杉山 健
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.248-252, 2003-05-01

プロジェクト管理を単なるシステム開発上の手法,技術であると考えていないであろうか。プロジェクト管理という言い方は正しくないかもしれない。本当に必要なのは「プログラム管理」である。今多くの組織で陥っている課題にスポットをあて,最新の考え方に従って「あるべき姿」を想像してみることで,プロジェクトを成功に導くためのヒントを見つけていただきたい。また,筆者の現職での経験をもとに,多くの読者には謎の深い開発ベンダー側の舞台裏についても紹介してみる。
著者
田端 利宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.464-468, 2006-10-01
被引用文献数
12

電子メールの普及に伴って,SPAMメールと呼ばれる受信者の意図を無視して大量に送りつけられる電子メールが増加し,問題になっている。そこで,SPAMメールをうまく排除できる電子メールのフィルタリング技術が注目されている。特に,電子メールのフィルタリング技術の中でも,ベイジアンフィルタは,判定精度が良く,注目されている。ベイジアンフィルタは,ベイズ理論を応用したもので,受信者が過去に受信した電子メールの特徴を学習し,学習したデータに基づいて,新たに受信したメールがSPAMメールかどうかを判定する。本稿では,ベイジアンフィルタについて,学習と判定の仕組みを中心に解説する。
著者
棚橋 佳子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.297-300, 2000-05-01
被引用文献数
1

学術的な研究指向のWebのホームページを集めて体系化しようとする試みの中で生じた問題点と, その経験の中から産み出された評価基準について解説する。ISI社のWebのサイトを選択する基準は学術誌の厳選基準に準ずるものに加え, Webの情報であるがために考慮する8項目をあげている。学術誌の発展と同様, 価値あるWebのサイトも淘汰され, 重要サイトが確立されていく過程において確実に信頼できるWebサイトへの二次情報の成長も望まれている。
著者
天野 いづみ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.299-304, 2005-07-01

図書室の広報手段は, 紙媒体による方法から, ホームページやイントラネット, 電子メール等の電子媒体を利用する方法に移行しつつある。しかし, 院内アンケート調査によると, 従来の紙媒体での「図書室だより」は, 手軽に手に取ることができるため, 電子媒体よりも目に触れる機会が多いことが判明した。しかしながら, OPACの検索や電子ジャーナルへのリンク等, 電子媒体の必要性は年々高まっていることは事実であり, 他病院への広報アンケート調査でも, ホームページやイントラネット利用の増加の現状が明らかとなった。さらに今回, 広報のひとつとして, 利用者に対するオリエンテーションについても検討した。
著者
上田 修一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.226-232, 2007-05-01
被引用文献数
1

BMからEBP,そしてEBL/EBLIPへという流れの中で,新しく始めた共同研究「エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立」では,研究におけるエビデンスとは何かの解明を目標に,図書館情報学研究における研究方法の再検討のためのワークショップの開催,EBL/EBLIPの導入などの活動を行っている。EBMに始まる根拠に基づいた進め方は広い支持を得ている。けれども,実際の場になると,検討すべき課題は多く,またエビデンスに対する考え方も多様である。
著者
青山 裕大
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.9-13, 2006-01-01

電子情報を基にしたFAQの作成方法を通して, 電子情報の適切な取捨選択と蓄積について記述する。今日, インターネットの普及により日々膨大な電子情報が流通している。情報システムを駆使すれば膨大な情報を分析, 公開することが可能であるが, 膨大な情報をそのままの形で公開することによりコンテンツの品質低下を招き, ユーザからの信頼を損なう危険性がある。情報システムを駆使することによって膨大な作業でも短時間で処理できてしまう電子情報であっても, 全てを情報システムに頼ることなく, 情報システムとヒトとの作業配分を適切に行うことによって, 効率的でかつ効果の高いコンテンツを提供することが可能となる。