著者
中川 隆太郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.509-514, 2015-12-01

2000年代半ば以降,欧米を中心として世界的にオープンデータ政策が活発化するなかで,著作権やEUのデータベース権などをめぐり,各国で様々なライセンスデザインの取り組みが重ねられている。本稿では,オープンデータとライセンスデザインというテーマについて,まず前提として,なぜパブリック・ライセンスが基本形となるか説明したうえで,議論の中心となるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスやEUのデータベース権について紹介しつつ,従前の状況を敷衍する。そのうえで,CC4.0の登場によりオープンデータとライセンスデザインの問題が新たな局面を迎えていることを指摘し,最後に「CC4.0時代」における今後の展望と課題を論じる。
著者
渡辺 智暁 野口 祐子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.151-155, 2010-04-01

本稿では,オープンアクセスの法的な課題として,著作権の利用許諾(ライセンス)の果たす役割について述べる。学術文献を共有し,情報の活用を促進する上では,著作権は障害になりかねない。これを解消する一つの手段がライセンスである。多様なライセンスが互換性を考慮しないままに開発・利用されると,再利用や複数の著作物の組み合わせによる利用の妨げとなるケースがあるため,ライセンスの標準化や互換性の確保が重要である。興味深いことに,再利用や組み合わせ利用に配慮することが特に重要な科学データベースについては,そもそも著作権を放棄し,パブリック・ドメインに帰属させることが望ましいとする立場も存在している。
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.190-197, 2004-04-01

長年その必要性が説かれてきたにもかかわらず,日本の大学図書館において,サブジェクト・ライブラリアンは未だ根付いているとはいいがたい。本稿では、主として英国の図書館員およびサブジェクト・ライブラリアンを概観することによって,日本の大学図書館におけるサブジェクト・ライブラリアン確立への課題と可能性について考察する。
著者
坂口 恵子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.350-355, 1998-06-01

会議情報は先端の科学技術分野の研究者にとって, 最新の情報が入手できる等情報の価値は高い。しかし販売部数が少ない, 通常の出版ルートで入手出来ない, 書誌事項に不備が多い, 主催団体, 開催などが一定でない等の理由から入手しづらい情報とされている。今回は情報を入手する立場からどのような検索ルーツがあり, どのような手段で入手できるかを主眼にまとめた。会議録情報として会議開催情報, 会議情報索引誌, 会議録所蔵情報について最新の情報検索ツールを中心にまとめた。また論文単位で入手する場合の方法についても述べている。
著者
和田 幸一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.208-212, 2001-04-01

図書館員は, 米国でさえ準専門職とされている。専門職の要件に沿って, 米国と日本の大学図書館員を比較したところ, 少なくとも教育, 資格, 自律性の点で明らかに日本の大学図書館員は, 専門職の度合が低いことがわかった。一方, 業務区分・何をもって専門職とするかの困難さ, 終身雇用制の存在, 社会奉仕の概念の欠如から, 日本の専門職化が困難であることを指摘した。そして, 筆者が目の当たりにした米国の専門職制の背景として, (1)専門職というラベルがポジションにつけられていること, (2)社会への大学図書館の奉仕, (3)図書館員が図書館界全体を育てていくという意識の存在を紹介した。
著者
丸山 高弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.161-165, 2006-04-01

山中湖情報創造館のデジタルライブラリアンとしての視点から,これからの図書館像におけるシステムライブラリアンの有り様についてなどを,日々の図書館業務の中から考えているいくつかの事柄についてまとめてみた。また,地域の情報拠点として図書館が進化する中で,必要なシステムライブラリアン像を描いてみた。
著者
西内 史 藤島 嘉幸 塚本 晶子 戸上 康弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.175-178, 2010-05-01

日本オンライン情報検索ユーザー会(Online Users Group:OUG)ライフサイエンス分科会は,製薬企業の情報調査部門の担当者や,代行調査会社の専門家の集まりであり,その研究活動はライフサイエンスの名前の通り,医学・薬学を中心とした幅広い分野の情報調査の手法や情報源を対象としている。また,本会は研究を目的とした場であると同時に人的交流の場でもある。筆者もまた,同業他社で同じ仕事をしている方達と問題点を共有し,相談ができる貴重な場として活用している。本稿ではライフサイエンス分科会の最近の活動内容を報告すると共に,今後の活動方針も合わせて紹介する。
著者
林 賢紀
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.424-429, 2015-10-01

リンクリゾルバのアクセスログを解析することで,よく利用されるサービスを把握でき,利用者の行動把握とサービスの改善に繋げることが可能である。本稿では,リンクリゾルバのログ分析による業務改善に資するため,SFXを例としたログ解析の手法を示した。具体的には,SFXが有する統計出力機能を使用して,利用者がどのような文献データベースから文献の入手を試みているか,また特定の文献データベースの検索結果から入手を試みたがオンラインでは入手できなかった雑誌タイトルの集計などを行った。これにより,電子ジャーナルの利用統計だけでは把握できない情報資源を連携させた利用の様態を明らかにし,業務改善に資することができる。
著者
入舩 康子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.300-303, 2011-08-01

図書館サービスを取り巻く環境変化や新たな課題に対応しつつ,キャリア形成の段階に応じて能力を発揮できるよう,横浜市立図書館司書職員を対象とした育成計画が策定された。この計画では,基本的な図書館業務を維持しつつ,「自らキャリアビジョンを構築,実現しつつ,本来の専門的能力を発揮し,高い市民サービスを提供できる人材」「図書館に求められるサービス・施策を企画・実施するとともに,将来的には図書館をマネジメントしていくことのできる人材」の育成を基本的な方向とし,(1)司書の企画立案,実行能力の向上,(2)専門的研修体制の再構築,(3)司書の人材育成のための体制・しくみづくりの検討に取り組むこととした。
著者
鬼武 光子 嘉本 キミ 広瀬 高
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.184-187, 1969-06-01

前報では,企業名を仮名文字でコード化する際,企業名を固有部分と企業形態部分とに分け,これを3〜4文字で表わすことを提案した。この省略法を用いた場合,限られた産業分野でどの程度の企業名の重複が起るか,実際に化学の分野を対象とし,会社で集めた特許資料について調査した。結果は前報と大差なく,前報を支持した。本調査で企業別にとった特許件数の相対累積曲線が,文献複写における雑誌別件数の相対累積曲線とほぼ傾同を同じくすることを見出した。この事実から,企業名の省略にあたって,特許件数の多い企業を単独のコードとすることが,利用する上から便利であること及び,このように一部企業を単独コード化すると,たとえ重複が起っても,特許件数の少ない企業間で重複が起るので,実用上困らないことが確認された。
著者
嘉本 キミ 広瀬 高
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.19, no.12, pp.379-385, 1969-12-01

前報までに,わが国の企業名の省略法について明らかにしたが,本報では外国の企業名の省略について検討した。外国の場合には,しばしば企業名の表現に混乱が起るので,まずその原因を明らかにし,取扱い上の対策を示した。つぎに前報に準じ省略法を検討し,(1)国別の分類を併用する,(2)著名な企業は国際的に情報が出ることおよび情報量が多いので単独にコード化する,(3)前報までの省略法を用いないまでも,少なくとも「語」に分け,それから略語を取ると分離結果がよい,(4)省略のための辞典(省略すべき語・用語統一・法人形態名の省略・省略上の注意など)を用意する,(5)企業名・慣用名・企業名の変遷を知る用意をすることが省略を進めるうえ,および利用するうえから必要であることを示した。 なお本報告の最後に,企業名の単独コード化するのには,どのような方法がよいか,企業名の省略はどのようた進め方をすべきかについて検討している。
著者
野村 直之
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.507-512, 2010-12-01

Web2.0と総称されたITへの人々の関わりとIT自身の変化により,前世紀にはありえなかったスケールの情報爆発が起こった。新興Webサービスに押される形で,先に変化した顧客側に引っ張られる形で企業が「2.0」的変革(エンタープライズ2.0ともグランズウェルとも呼ばれる)を起こし始めた。ライフログに象徴される大量の行動履歴や不定形のクチコミ,多量の写真や動画が一般ユーザからネットに投稿されるようになり,もはや産業界で,メタデータによる交通整理が待ったなしの状況になっている。本稿では,そこで必要となる5W1Hメタデータ自動抽出技術,その応用としての自動匿名化やカレンダー自動連携サービス,ツイッターを初めとするソーシャルメディアのサービス向上の可能性,そして,パーソナル広告など,関連の将来市場について論ずる。
著者
深見 嘉明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.501-506, 2010-12-01

図書館情報の関係者においては以前から重要視されてきたメタデータ,しかしその存在は専門家の間だけで認識されてきたものであった。しかし,ウェブの普及がこの状況を一変させた。e-commerceにおける商品レビュー,ソーシャルブックマークや写真共有サイトにおけるタグの活用など,一般生活者が自覚的にメタデータを生成,共有,活用するようになったのだ。本論文ではウェブというインフラの進化によって,日常生活にいかにしてメタデータの利活用が広がったのか,そのプロセスを概観するとともに,この変化への対応について検討する。
著者
加藤 俊一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.611-621, 1993-07-01
被引用文献数
1

本稿では,画像の内容検索を実現する視覚的対話機能の一般的な枠組みを紹介する。具体例として絵画を対象に,画像・画像型の客観的規準による例示画検索,文字・画像型の主観的規準による感性検索のアルゴリズム等を紹介する。例示画検索では,絵画の構図に相当する概略画を,人間の視覚特性を考慮した画像処理により作成し,概略画索引とした。利用者が提示するラフスケッチとの柔らかなマッチングにより,オリジナルの絵画や類似の構図の絵画を検索する。感性検索では,利用者の感性モデルを,印象語間の相対的関係,印象語と絵画の色彩特徴の相関等を多変量解析を用いた統計学習で構築する。利用者が,主観的な印象語を提示すると,それに相応しい色彩の絵画を推定して検索する。
著者
手嶋 毅
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.266-271, 2006-06-01

博物館・美術館は,美術工芸品をはじめ歴史資料などきわめて広い分野にわたり貴重な文化財を保存修復展示している。われわれは,これらのコレクションがさまざまなメディアで広く紹介されることによって,はじめて博物館・美術館へ出かけて本物を観る楽しみへと誘われる。このように所蔵作品の情報公開は,博物館・美術館にとって極めて基本的な活動の一つと位置付けられるようになってきた。近年のデジタルアーカイブ化とインターネットのブロードバンド化の動向により,博物館・美術館の所蔵作品デジタル画像を従来の限られた専門分野のみに提供するのではなく,広く商業的なさまざまな用途へとその利用範囲を広げる先行的な事例が始まってきている。この画像ライセンス事業の事例を報告するとともに権利処理について概観する。