著者
佐藤 卓己
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.230-235, 2012-06-01

デジタル・テクストとして物理的存在を欠いた電子ブックの普及は,「書物」の再定義をせまっている。しかし,電子ブック登場以前から,書物はすでに大きな変容を遂げてきている。本稿では比較メディア論の視点から,書物の変容を1920年代のラジオ放送開始,1930年代のペーパーバック革命において検討した。それは「書物のラジオ化/雑誌化」,すなわち「書物の広告媒体(メディア)化」の系譜である。こうした「書物のメディア化」の最終段階として,広告料収入で運営されるメディア企業,Googleによるライブラリープロジェクトが登場する。ウェブ2.0時代のコミュニケーション状況において「書物のデジタル化」がもたらす問題点を整理した上で,電子ブックを既存の書物のリテラシーに接合する必要性を指摘した。
著者
名和 小太郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.260-265, 1995-06-01
被引用文献数
3

著作権制度は情報の改変・断片化技術はありえないという前提のもとで構築されており,したがって,テジタル著作物を管理するためには不具合なルールを含んでいる。このために,既存の制度はアドホックな制度改正,デファクトな業界慣行による補完を行わないと機能しなくなった。
著者
倉田 敬子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.132-137, 2010-04-01
被引用文献数
1

オープンアクセスとは何なのか,その全体的な見取り図,概略図を示すことが本稿の目的である。最初に,基本的なオープンアクセスの定義,その前提となること,実現するための手段について概略した。次に,生物医学分野の2005年と2007年におけるオープンアクセスの現状を簡単に紹介し,機関リポジトリや著者支払いオープンアクセス雑誌だけで,現在のオープンアクセスが実現されているわけではないことを示した。最後に,従来とは異なるより広い文脈において,オープンアクセスを再検討した。本来の理念としてのアクセスの改善という観点から,オープンアクセスの対象の拡大,各種制約・制限を撤廃するのではない方向の検討を行った。
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012-11-01

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。
著者
小林 麻実
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.52-57, 2006-02-01

アカデミーヒルズ六本木ライブラリーの創設は, 誰からも理解されず賛同も得られなかった個人の夢を, 諦めずに粘り強く抱き続けて現実に移した苦闘の歴史である。既存の海外・国内の図書館の事例を全く真似することなく, ゼロベースでライブラリーの本来あるべき姿・存在意義をただ一人で研究してきた個人のクリエイティビティの帰着点ともいえる。したがって独自のアイデンティティを構築しているのは当然である。このようなアイデンティティの構築過程においては, いまだ誰も見たことのない世界, および想像のつかない顧客層を自ら作り出していく信念を維持できるか, 与えられた環境をその信念とどのように適合させていくことができるか, という2点が鍵となる。
著者
仲本 秀四郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.217-227, 1983-05-01

The studies of Bradford's Law published in these fifty years are reviewed in this paper, which contains also personality of Bradford, his management of the Library and promotion of UDC. It describes formulations by Brookes and Leimkuhler, Wilkinsons method, droop, practical data, stochastic approach and relations with Zipf's Law and information theory. The progress of the studies in a half century has been characterised by mathematical analysis, which expresses regularity of the Law. The paper introduces that irregularity is very important to understand behavior of information based on empirical analysis on droop. The author expects further studies both theoretical and empirical should be developed to establish fundamental aspects of information science.
著者
本間 善夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.615-620, 2002-12-01

インターネットが急激に普及する中で,国内では携帯電話によるインターネット利用者が急増している。携帯電話は通信費が高いものの,どこでも膨大なWeb資源にアクセスできる利点を活かして教育分野でも活用が期待される。利用者が個別に調べ学習ができるほかに,教室での講義などにも利用可能である。本稿では携帯電話向けに公開されている自然科学分野のページをいくつか取り上げ,その可能性を述べる。また,筆者らが公開している化学関連ぺージについても触れ,画像やインタラクティブなコンテンツの重要性に言及する。
著者
岡本 真
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.502-508, 2006-11-01
被引用文献数
1

図書館関係者向けに行った講演をベースに,図書館がWeb2.0に対応するためにとるべき方策を論じる。前半部ではWeb2.0とは何か,という問いをBlogやRSS, SNSの具体例を紹介しながら論じ,Web2.0における重要概念であるCGMの意義を述べる。後半部では,図書館は依然としてWeb2.0以前の段階にあり,Web2.0に対応していくには,利用者を巻き込んだサービス像の転換が必要であることを指摘する。その上で一例として貸出記録を活用することで,オンライン書店Amazonに比肩する図書館サービスの実現可能性を示唆し,そのために図書館が乗り越えるべき課題を指摘する。
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.249-255, 2007-05-01
被引用文献数
3

最初のオープンアクセス出版社BioMed Centralが設立されてからすでに7年となる。その節目にオープンアクセスのさまざまな動きをまとめた。(II)では日本でも盛んになってきた大学・研究機関リポジトリ,NIH,Wellcome財団,RCUKなど研究助成機関のオープンアクセス支援などについて最近の動向をまとめた。Wellcome財団やCERNが出版社にオープンアクセスのための費用を支払う方向を示したことが注目される。
著者
尼川 洋子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.513-518, 2009-10-01

ライブラリーの活性化をはかるために,一人ひとりのライブラリアンがマネジメントの視点とスキル,ノウハウを身につけることをめざして,2004年から5回の少人数ゼミナール形式の「ライブラリーマネジメント・ゼミナール」を企画・実施した。そのプログラムの概要とゼミナールの企画,運営の実際,得られた成果について報告する。
著者
孫 媛
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.372-377, 2007-08-01

近年,研究評価に関する客観的指標への要請が高まり,ビブリオメトリックス指標に関心が向けられている。しかし,各指標はかならずしも適切に用いられているとはいえない。たとえば,インパクトファクタという指標が大学・研究機関あるいは研究者個人の研究業績評価に用いられるケースが増えているが,本来の定義・性質からは導き得ない解釈が行われることも多い。本稿では,ビブリオメトリックス研究一般について紹介した後,インパクトファクタ,h指数など,研究評価に利用される指標について,その特徴を解説する。研究評価におけるビブリオメトリックス指標を利用することの有効性と問題点についても整理する。
著者
榊原 真奈美 野添 篤毅
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-27, 2011-01-01

1990年以降,医学分野では診療レベルにおいて科学的根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine:EBM)が普及し,その考え方はEvidence-based Librarianship(EBL)/Evidence-based Library and Information Practice(EBLIP)として図書館情報学分野にも取り入れられた。本論文では,EBL/EBLIPにおける情報学的研究の例として,国内外の医学研究における利益相反(Conflict of interest:COI)調査を取り上げて概観する。医学研究分野において,COIは研究の公正さや透明性,ひいては医療消費者の生命や健康に関わる重大な問題となっている。海外では医学研究とCOIとの関連性を実証的に検証した研究が数多く行われており,これらを整理,展望すると共に,COI研究の問題点と今後の課題を考察する。
著者
伊藤 裕之
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.349-354, 2011-09-01

インターネット上に点在する学術情報資源を効率よく検索するシステムに対する需要が年々高まっている。その背景には,Googleをはじめとするサーチエンジンが学術分野へ広く浸透していることが挙げられるだろう。学術情報資源を効率よく検索するシステムの開発は以前から進められてきたが,システムを提供する側の思惑と,利用者側の期待との間には大きな隔たりがあることが浮き彫りになっている。本稿では,学術情報資源を効率よく検索するシステムとして横断検索システムと統合検索システムを取り上げ,両者の特徴および違いについて整理する。あわせて,統合検索システムの一例として,Ex LibrisのPrimoとPrimo Centralの特徴および取り組みについて述べる。