著者
山本 順一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.9-14, 2001-01-01

本稿は, Eコマースのなかでも, とくにB to C(企業と消費者との間)のEコマースを対象として考察を加えた。このB to CのEコマースの多くは, インターネット利用の"通信販売"の姿をとっているところから, 通信販売を規律する訪問販売法の適用対象とされている。しかし, ネットショップは"出店""閉店"が容易でトラブル発生も多くなっており, 安全な取引の確保に向けていくつかの新たな試みがなされている。インターネット上のB to CのEコマース成約への手続きは, ビジネスモデル特許の対象ともなりうる。また, Eコマースの対象商品がソフトウェア, データベース, デジタルコンテンツ等の場合は著作権法や不正競争防止法でも保護され得る。最近, アメリカでは, このようなデジタル情報商品を提供する契約を規律する州法の制定を促す"統一コンピュータ情報取引法"(UCITA)が作成された。その問題点についても論じた。
著者
藤田 節子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.533-537, 1979-12-01

1976年改正された米国新著作権法の下で,著作権制度の集中的権利処理機構としてCopyright Clearance Centerが設立された。その目的は,図書館やその他の利用機関が,新著作権法で許容されている範囲を超えて,著作権のある著作物を複写して,利用する場合,その許諾料金を手軽に支払うことができ,一方,逐次刊行物等の出版者にも利益を得ることができるというものである。本稿では,C.C.C.の設立目的や機構について述べたあと,図書館やその他の機関がC.C.C.を利用する際の手続き-利用登録の手続き,許諾を必要とする記事の複写報告,使用許諾料の支払い方法等-についてその概略を紹介する。
著者
豊田 雄司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.336-343, 1998-06-01

学協会が行う学術的会議の開催にともなって発行される会議予稿集(以下, 予稿集と表記)は, 灰色文献の一つとされる会議資料のなかでも, 特に入手の難しい資料である。この種の資料は一般に査読がなされないにも関わらず, 雑誌論文と並び頻繁に参考文献として掲げられることが多い。本稿では, 理工系大学職員を対象としたアンケートの結果, 特に工学分野において, 予稿集の利用が顕著である結果を紹介し, 国内主要情報機関での同資料の収集や, データベースの現状にも触れている。さらに, 国内における予稿集の流通経路確立の可能性をも模索している。
著者
小松原 康敏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.157-165, 1975-04-01

計算機に入力されたデスクリプターに軽微なミススペル文字が含まれている場合,そのデスクリブターを,あらかじめ登録されたデスクリプター群から構成されているシソーラスファイルと突き合わせることによって,正しい綴字に自動的に修正するプログラムを作成し,小規模なテストを行なって,その基本機能が正常に働らいていることを確認した。この種のプログラムは既にINIS(国際原子力情報システム)などで実用化されているが,今回作成したプログラムによるとINISの自動修正よりも修正範囲が拡がっている。このプログラムを実際の大量の入力データ処理に利用するには,コアサイズ,ファイル型式などいくつかの問題が残されている。しかし修正法の原理は,デスクリプターの自動修正にとどまらず,辞書ファイルが作成可能な各種の文宇データの処理にも応用できるものである。
著者
肥田 康
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.467-474, 2004-09-01

写真を専門に処理するプロフェッショナル・ラボとしては,業界で初めて,1999年にデジタルアーカイブの専門部署を創設した。次世代に継承すべき歴史的な資料や文化財を恒久的に記録・保存・運用するために,これまで様々な機関のデジタルアーカイブ構築に携わってきた。本稿ではこれまでの経験をもとに,デジタルアーカイブで制作された電子画像情報の保存について考える。さらに,画像情報のより積極的な利用のために開発した研究支援ソフトウェア「iPalletnexus^<TM>(イパレットネクサス^<TM>)」について解説し,画像情報の「利用」と「保存」の相対的な関係についても考察する。
著者
河村 宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.421-424, 2004-08-01

情報技術の進化は,それ自体が障害者へのより良いサービスを保証するものではなく,常にアクセシビリティーに留意した技術の開発が必要である。障害者の権利としての情報アクセスを保証するための留意点と,分かりやすさにまで踏みこんでアクセシビリティーの充実をはかる切り札とも言えるSMILの可能性について概説する。
著者
黒田 康裕
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.196-199, 1995-05-01

新しい企業経営とそれを支えるITの進展によって,従来型の企業情報システム(MIS・SIS)とは異なった新しい情報システムの利用が可能になってきている。特に企業のエグゼクティブにとっては,円高・価格破壊・リエンジニアリングといった今まで以上にITを駆使した経営スタイルが必要とされている。今回はエグゼクティブにとっての情報とそれを支えるITについて述べる。
著者
林 和弘 太田 暉人 小川 桂一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.145-149, 2005-03-01
被引用文献数
2

日本化学会は1989年から英文論文誌の電子化に着手し, 試行錯誤の末, J-STAGEを効果的に利用した日本独自の電子ジャーナルを構築した。その結果は多くのアクセスによる読者数の増大と高い海外比率として現れ, 投稿数の増大につながっている。また, Chemistry Letters誌は一般化学雑誌としては, 受け付けてから公開まで世界最速の雑誌であることがわかった。本稿では日本化学会での英文誌電子ジャーナルの現状と, 有料公開に向けた取り組みについて紹介し, 日本発の学術情報流通発展させるための課題と考察について述べる。
著者
TM
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.406-407, 1977-08-01
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.484-494, 2001-09-01
被引用文献数
1

高等教育における変革期の中, 英国では増えつづける電子的情報をより多く効率的に高等教育機関に提供するために, さまざまな情報提供システムが画策されている。これらのシステムの基盤になっているのが, 高等教育機関における図書館や情報提供センターについて, 財政審議会及び高等教育機関への勧告をまとめた「フォレット報告書」や高等教育機関における情報提供サービスの中心的存在である「JISC(情報システム合同委員会)」である。JISCの助成によるデータベース等契約交渉機関CHEST, 全国の高等教育機関のためにデータベースの提供・管理を行うナショナル・データセンター(BIDS・MIMAS・EDINA), 全国認証システムATHENS等からなる英国の学術情報提供システムについて, 高等教育の変化を背景に考察する。
著者
大川 丈男 松尾 浩一 細野 光治
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.188-191, 2007-04-01

1980年代から始まった図書館をシステム化するという波は,大型汎用コンピュータによる一極集中処理の形態から,データベース機能,業務処理機能,検索機能(OPAC)等を機能分けしたクライアント・サーバーシステムに移り,現在ではインターネット上にOPACを公開し, Webを通じていつでもどこからでも図書館が持つ情報にアクセスできる状況に至っている。これらの流れの中でコンピュータ技術者として実際に図書館システムの日本語化に携わった側面から,グローバル・スタンダードの大切さ特に文字コードの標準化や,またWebが主流となった情報検索の世界で図書館が果かす役割などを昔の苦労を振り返りつつ述べる。
著者
半田 正夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.254-259, 1995-06-01
被引用文献数
3

マルチメディアと著作権の関連を検討するにあたっては,(1)マルチメディア・ソフトを製作する際に素材として利用する既存の著作物の権利処理の問題と,(2)製作されたマルチメディア・ソフトを利用する際における著作権法との関わりの問題との2つに分けることが必要である。前者については,膨大な素材情報を的確に把握し権利処理を容易にするため,権利の集中処理権構の設立が急務であるし,後者については,ソフトの特質である編集・加工との関連で同一性保持権との抵触をどうするかの解決が必要であると同時に,来るべきマルチメディア時代に対応するため,アナログ方式の機器を前提として作られている現行の著作権法の大幅な手直しが必要となろう。
著者
清水 正夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.299-304, 1974-08-01

知的活動にとってドクメンテーションの知識とその技法は,とくに高等教育においては,不可欠のものであるにもかかわらず,一般に系統的な教育は実施されていないようである。筆者は1963年開校時から有明工業高等専門学校において計画的にドクメンテーションの手ほどきをしてきたので,その体験を記す。中学校卒業を入学資格とする5年制工業高専のカリキュラム中各校の特色を発揮するための選定科目の時間から,本校工業化学科では工業外国語を週当り通算5時間(1学年35週を下らないものとして)を割り当て,専攻情報受け入れの道をひろげ,かつ4年間にわたってのこの時間中に,辞書,事典類の利用,文献調査,整理検索,報文の作成にいたる一連の項目を授けてきた。図書館の構造もこの授業に便利なものとした。
著者
竹内 比呂也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.418-422, 2007-09-01
被引用文献数
2

インターネット上で利用可能なデジタルコンテンツが増加し,伝統的な意味での図書館の資料蓄積・提供機能の重要性が相対的に弱体化している環境下において,これからの図書館のあり方について考察する。図書館を構成する基本要素である,図書館という場所,資料,図書館員について,「利用者の期待」「付加価値」「インタラクティブな関係性」という観点から考察し,これらの図書館に求められる場所としての図書館の特性,インターネット空間上での図書館のプレゼンスの強化,機関リポジトリの推進,図書館員の新たな役割について論じる。