著者
竹内 比呂也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.72-77, 2012
参考文献数
24

日本の紀要,特に大学紀要の現状について,その定義の困難さ,歴史,掲載論文の特性,質についてのこれまでの議論に着目してレビューした。紀要が学会誌や専門誌に取って代わられなることなく継続して刊行されている理由を,特に人文社会科学における研究や研究者の意識などから検討した。また紀要の電子化について,機関リポジトリの発展および大学図書館間のILLの状況を踏まえて現状を述べた。最後に,学術情報メディアとしての紀要の質の確保と,紙媒体と電子版が共存するハイブリッド環境下において書庫狭隘化に直面している大学図書館における合理的な紀要管理の方向性について議論した。
著者
竹内 比呂也 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.2062, 2020 (Released:2020-04-28)

本稿は今日の日本の大学図書館に求められる機能の変化を実現するために必要な人材という観点から新たな大学図書館員の育成について論じるものである。過去40年間の大学図書館機能の変化とその際に大学図書館員に必要とされた新しい知識やスキルを明らかにした上で,それらを現職者がどのように獲得してきたかを記述する。その上で,学習(修)支援・教育活動への直接的な関与と研究データ管理という新しい機能について,これらを実現するために大学図書館員が獲得すべき知識,スキルを育成するプログラムの内容を紹介するとともに,その実現に向けた課題を考察する。
著者
佐藤 義則 小山 憲司 三根 慎二 倉田 敬子 逸村 宏 竹内 比呂也 土屋 俊
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.506-514, 2013-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
8

国内45機関の参加・協力の下,2011年10月から12月にかけ電子ジャーナルの利用に関するアンケート調査を実施し,広範囲の主題領域の研究者(教員,博士後期課程大学院生)から3,922の回答を得た。これらのデータを多方面から分析した結果,電子ジャーナルの利用がより広範囲にかつ深く浸透するようになっただけでなく,利用者の読書行動や意識(選好)も大きく変化していることが明らかとなった。また,電子ジャーナルの利用度の違いは国際文献と国内文献のいずれを主に利用しているかに密接に関係しており,印刷体と電子情報資源に対するそれぞれ別個のサービスモデルの維持を避けるためには,国内文献の電子化の遅れの解消が必要であることがあらためて確認された。
著者
溝上 慎一 竹内 比呂也
出版者
京都大学図書館機構
巻号頁・発行日
2011-10-11

会期・会場: 2011年10月11日(火)13:30~16:50 : 京都大学附属図書館3階ライブラリーホール ; 主催: 京都大学図書館機構. 共催: 国立大学図書館協会近畿地区協会. 協賛: 大学図書館近畿イニシアティブ.
著者
竹内 比呂也 川本 一彦 白川 優治 國本 千裕 岡本 一志 姉川 雄大 藤本 茂雄
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学図書館による学習コンテンツの提供,ラーニングコモンズおよび学習支援サービスの有機的結合によって形成される新しい学習環境が学生の学習行動,情報探索行動にどのように影響を与えるかを明らかにし今後の学習環境整備の方向性を示すことを目的として,千葉大学アカデミック・リンクを対象に学際的なアプローチの下,定量的,定性的調査分析を実施した。その結果,新しい学習環境が学生の多様なニーズを満たしていること,また,間接的ながら,学習成果に影響を与えていることが示唆された。
著者
竹内 比呂也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.45-50, 2023-02-01 (Released:2023-02-01)

デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは,単に既存の業務をデジタル技術によって実行するものに置き換えるのではなく,デジタル技術を用いることで,これまでの業務にかかる制度,組織,ビジネスモデル,文化等の変革を誘導するものと考えられている。本稿では,大学図書館におけるこれまでのデジタル化,学術コミュニケーションの動向や教育研究のデジタル化の動向など踏まえながら,DXに向かう道筋を,大学図書館機能を構成するコンテンツ,空間,人的支援の領域に分けて,デジタイゼーション,デジタライゼーション,DXという段階を踏まえて提示する。
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
土屋 俊 竹内 比呂也 佐藤 義則 逸村 裕
出版者
国立情報学研究所
雑誌
Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-49, 2007-03

本論文は,NACSIS-ILL と名付けられた図書館間相互貸借(ILL) リクエストメッセージ送付システムによって1990 年代半ばから実現されてきた大学間の図書館協力サービスに関する基本的事実を記述するものである。この研究は,NACSIS-ILL によって記録された1994 年から2005 年までのデータに基づいている。本研究の主要な調査結果として,以下の諸点を挙げることができる。すなわち,1) 日本の大学におけるILL においては「外国雑誌」に掲載された論文のコピーに対する要求が1990 年代にはきわめて支配的であるという点が特徴的であること,2)皮肉にも,特に看護学分野の雑誌に顕著に見られるように「国内雑誌」に掲載された論文に対する要求の増加が,2002 年に始まったコンソーシアム体制下のサイトライセンスによってオンラインで利用可能になった「外国雑誌」掲載論文に対する要求の減少を埋め合わせるかのように顕著になったこと,3)図書に対する現物貸借の要求は,それが要求全体に占める割合は小さいとはいえ,NACSIS-CAT という総合目録データベースの成長に従って増加してきたこと,4) 充足率は現物課貸出,複写提供のいずれにおいても安定的に高く,ターンアラウンドタイムの平均も概ね1週間以内であり,システムはきわめて効率的であるということ,5) システム本来の目的は相互に受益者となるような協力システムの構築にあったが,実際には主に要求するだけの図書館と供給するだけの図書館が存在しており,これは部分的には1970 年代に指定された「分野別外国雑誌センター」館に起因するものであること,6) いくつかの中小規模の図書館が近年供給を始めておりこれが顕著な動きを示していることである。
著者
竹内 比呂也
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.72-77, 2012-02-01 (Released:2017-04-18)
参考文献数
24
被引用文献数
1

日本の紀要,特に大学紀要の現状について,その定義の困難さ,歴史,掲載論文の特性,質についてのこれまでの議論に着目してレビューした。紀要が学会誌や専門誌に取って代わられなることなく継続して刊行されている理由を,特に人文社会科学における研究や研究者の意識などから検討した。また紀要の電子化について,機関リポジトリの発展および大学図書館間のILLの状況を踏まえて現状を述べた。最後に,学術情報メディアとしての紀要の質の確保と,紙媒体と電子版が共存するハイブリッド環境下において書庫狭隘化に直面している大学図書館における合理的な紀要管理の方向性について議論した。
著者
竹内 比呂也 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.114, 2020

本稿は今日の日本の大学図書館に求められる機能の変化を実現するために必要な人材という観点から新たな大学図書館員の育成について論じるものである。過去40年間の大学図書館機能の変化とその際に大学図書館員に必要とされた新しい知識やスキルを明らかにした上で,それらを現職者がどのように獲得してきたかを記述する。その上で,学習(修)支援・教育活動への直接的な関与と研究データ管理という新しい機能について,これらを実現するために大学図書館員が獲得すべき知識,スキルを育成するプログラムの内容を紹介するとともに,その実現に向けた課題を考察する。
著者
竹内 比呂也
巻号頁・発行日
2016-07

研修: 平成28年度大学図書館職員長期研修 主催: 筑波大学 期間: 平成28年7月4日~7月15日 会場: 筑波大学春日エリア情報メディアユニオン2階情報メディアホール等
著者
松村 多美子 DORIBAL T. SIMMONS D. ZHAODONG L. RAHMAN M.D. KANAKAMANI T OPENA M. HUNG T.B. BUDIHARDJO U NETTAVONGS K MILNE L. DINH D.N. TORRIJOS D.E 竹内 比呂也 谷口 祥一 永田 治樹 常磐 繁 内藤 衛亮 原田 勝 小野 欽司 猪瀬 博 LAHIRI A. YEE J. NEES J.M. DORJBAL T NETTAVORGS K NEES T.M. DORJBAL T. KANAKAMARI T 根本 彰 緑川 信之 山田 尚勇 CHEVAPRAPANA O ISMAIL M.S. SHRESTHA K. WIJASURIYA D
出版者
図書館情報大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究はアジア・太平洋地域諸国が参加し,ユネスコ総合情報計画/ASTINFOの枠組みにおいて実施する国際共同研究である。これらの諸国は情報インフラストラクチャはもとより経済的発展段階,分化・歴史・社会制度などきわめて多様性にとんでいることから,本研究を効果的に進めて行くために研究分担者が集まり全体的な実施計画並びに方法について討議を行う必要があった。そこで平成6年10月11-14日に図書館情報大学において第1回国際ワークショップを開催した。これには海外から,インドネシア,タイ,フィリピン,ベトナム,オーストラリア,ユネスコ地域アドバイザーが参加し,調査研究の全体計画と方法論を討議し,さらに平成6年度の具体的実施計画を策定した。この結果研究方法としては,1)質問紙による調査を各国の研究分担者を中心とするナショナルチームが実施する。2)質問紙調査データ集計処理は日本チームが行う。3)現地調査は日本からの派遣研究者と当該国の研究分担者及びナショナルチームが共同で実施する。4)このため各国に研究分担者を中心とし,関連情報機関を網羅する組織(ナショナルチーム)を設置する。この研究方法はその後の実施を通じてきわめて有効であることが立証され、成果報告の場においても高く評価された。また,質問紙調査の調査項目についても討議を行い本研究を通じて使用する質問紙(英語)を作成した。平成6年度にはベトナム,インドネシア、フィリピン,タイにおいてそれぞれ研究分担者と共同で主要な情報センター,国立図書館,大学・研究所図書館など中心的な役割をもつ情報機関を対象に訪問調査を実施した。また,情報政策に関連する政府機関で関係者と意見交換を行うことができた。ベトナムでは研究分担者を中心にベトナム研究班を設置し,Information Infrastructure and Servies in Vietnam:Stuational Reportを作成し,わが国の派遣研究者を加えてハノイ市で全国セミナーを開催し,国立情報センター,国立図書館,文書館,通信関係者など情報関係者が集まり活発な討議を行った。平成7年度には8月21-25日に図書館情報大学において,第2回国際ワークショップを開催した。これには海外からバングラデシュ,ニュジーランド,フィジ-,フィリピン,ベトナムが参加した。ここでは1年間の研究実績をレビューし,平成7年度の研究計画について最終討論を行った。また,既にを完了したフィリピンからナショナル シチューション リポートの報告があり,フィジ-,バングラデシュ、ニュージランドからはカントリーレポートの発表が行われた。現地調査はバングラデシュ,フィジ-,ニュージーランド,モンゴルについて実施した。バングラデシュではベトナムと同様にナショナル シチュエ-ショナルレポートがほぼ完成しており,全国セミナーを開催して討議を行った。また,アジア・太平洋地域で情報基盤整備が進んでいるシンガポールについて特にInformation2000の情報政策を中心に調査を行った。平成8年度には,10月8-11日に第3回国際ワークショップを開催し,これまでの各国における調査結果の分析に基づく,クロスカントリー アセスメントリポートの発表と討議を行った。また,3年間の研究実績の評価を行い,本研究の成果を広くアジア・太平洋地域に伝えるために平成9年度に国際シンポジウムを開催することが決議された。本研究の成果の主な点は,-新しい調査研究方法の確立-情報インフラストラクチャの実態と今後の対応をまとめたナショナル リポートの刊行(ベトナク,バングラデシュ,フィリピン,フィジ-などユネスコから出版)-各国の調査結果の分析に基づき地域レベルで考察を加えたクロスカントリー アセスメントリポートの刊行-各国における調査研究能力の開発に貢献-主な出版物・Proceedings of International workshop,11-14 Octoer 1994.ULIS,1994 (SISNAP Report 1)・学術情報ネットワークの基盤構造に関する調査研究-アジア・太平洋地域における- 平成6年度 研究報告 ULIS,1995 (SISNAP Report 2)・Proceedings of the 2rd International workshop,21-25 August 1995.ULIS,1995 (SISNAP Report 3)・Proceedings of the 3rd International workshop,8-11 Octoer 1996.ULIS,1996 (SISNAP Report 4)
著者
松村 多美子 竹内 比呂也 金 容媛 田村 俊作 DEMPSEY Locan MOORE Nick DEMPSEY Loca
出版者
椙山女学園大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1998

本調査研究では、アジア・太平洋地域諸国における情報基盤整備を効果的に推進し、国際的な情報流通システムへの参加を促進するための戦略的モデルの開発に必要な情報の収集・分析を行うことを目的とした。そこで、平成6-8年度に「アジア・太平洋地域における学術情報ネットワークの基盤構造に関する調査研究」で実施した現地調査の結果を、情報基盤整備の方策策定の観点から分析し、シンガポール、オーストラリア、フィリピンを対象に選定し現地調査を行った。さらに、欧米先進国の例としてイギリスの調査も実施した。この結果、情報基盤整備に関する政策の枠組みの策定メカニズムは、それぞれの国で異なることが明らかになった。たとえば、シンガポールは政府主導で「IT200」や「Singapore ONE」などの情報化ビジョン・全国マルチメディアネットワーク構想を公表し、その構築・運営にあたり財政面はもとより推進・調整に政府が中心的役割を果たしている。これに対してイギリスでは、教育分野で教育・雇用省が「Connecting the Learning Society: National Grid for Learning」によって学習社会のビジョンと全国ネットワーク形成の行動計画を公表し、また、個人情報の保護の面では政府から独立した機関である Office of the Date Protection Registrar が活動するなど。さまざまな政策・行動計画が広範囲に展開されており、国家情報政策はこのような多様なイニシアチブの総体である。このように各国の政治・文化的背景によりアプローチはそれぞれ異なるが、同時に、調査結果の分析から情報基盤整備のためのアジェンダを構築することができ、これを用いて調査対象国の整備方策を共通の基準で比較概観することが可能となった。これは調査対象国の現状を個別に明らかにできたことと共に、本研究の大きな成果である。今後はさらに他の諸国の調査を継続して実施し、アジエンダの妥当性を検証することが必要である。