著者
呑海 沙織
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-16, 2010-03-31

本研究は,大正7年(1918)の大学令下における私立大学設置に際して大学図書館に求められた要件について考察を行い,大正期の私立大学図書館の実態を明らかにするとともに,大学令が私立大学図書館に与えた影響についても考察を行うものである。私立大学図書館に関する認可要件は,「大学設置認可規定(秘)」によって規定されているが,本研究によって私立大学の多くは設置認可時にこの要件を充たしていなかったことが明らかになった。一方,大学令は私立大学図書館の礎を築くとともに,大学図書館の必要性を浸透させる役割を果たしたといえる。
著者
溝上 智惠子 清水 一彦 歳森 敦 池内 淳 石井 啓豊 逸村 裕 植松 貞夫 宇陀 則彦 永田 治樹 長谷川 秀彦 石井 夏生利 呑海 沙織 孫 誌衒 松林 麻実子 原 淳之 井上 拓 佐藤 翔
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、大学教育の実質化を進展させるための学習支援サービスの1つとして、大学生の主体的学習を促進させる実空間「ラーニング・コモンズ」 (Learning Commons)に着目し、その現状と課題を明らかにした。1990 年代に、北米地域から導入・整備が始まったラーニング・コモンズは、現在各国の高等教育改革や大学図書館の状況を反映して、多様な形態で展開しつつあること、学習成果の視点からの評価はいずれの国でもまだ不十分な段階にあることが明らかになった。
著者
呑海 沙織 溝上 智惠子 赤澤 久弥 羅 秋芬 陳 佳琛
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は,学習支援空間における学生アシスタントの意義を明らかにし,その育成プログラムについて検討することである。北米の大学図書館では1990年代頃より,ラーニング・コモンズ等の新しいタイプの学習支援空間が普及している。その構成要素は,①施設・設備,②資料,③人的支援に大別することができる。本研究では,人的支援の中でも学生アシスタントに焦点をあて,高等教育機関を対象とする質問紙調査および先進的な学習支援空間の現地調査を実施することによって,学習支援空間および学生アシスタントの実態を明らかにするとともに,学習支援における意義について考察し,育成プログラムについて検討を行った。
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.60-64, 2009-02-01
被引用文献数
1

本稿は,図書館コミュニティにおける自発的キャリア形成の特徴について論考するものである。図書館コミュニティにおける自発的キャリア形成の実際の場として,全国の国公私立大学図書館員を中心とする自主的・実践的な研究団体である大学図書館問題研究会をとりあげ,その概要,運営方針,設置背景,主要な活動について概観する。また,図書館コミュニティにおけるキャリア形成の特徴について,1)自己啓発,2)コミュニティの維持・発展,3)継続的なキャリア形成,をあげ,それぞれについて論じる。
著者
呑海 沙織 溝上 智恵子
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.2-15, 2011-05-01

大学図書館における学習支援空間に着目し,主として北米で発展した学習図書館からインフォメーション・コモンズ,ラーニング・コモンズまでの学習支援空間の変遷について考察を行った。学習図書館は,学部学生数の急速な増加等を背景に,1950年代より北米で発達した学部学生用図書館であるが財政難を理由に,1970年代半ばをピークに衰退していった。インフォメーション・コモンズは,情報通信技術の急速な発達を背景として1990年代以降普及し,その後,学習支援サービスをワンストップで提供するラーニング・コモンズへと変容しつつある。
著者
呑海 沙織
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.176-185, 2006-09-01

JISC(Joint Information Systems Committee)は,高等教育における学術情報基盤として1993年に設立された機関である。しかし,英国の教育・職業訓練政策のもと,1999年にJISCの対象は,継続教育まで拡大されることとなる。本稿では,これをJISCの「学術情報基盤」から「知識情報基盤」への転換と捉え,その過程の分析を行う。また,2000年の『JISC再考(A Review of the Joint Information Systems Committee ; JISC)』及び,2005の『高等教育及び継続教育におけるJISCの有用性(The Value of the Joint Information Systems Committee to higher education and further education : Back-ground Paper)』を中心に,知識情報基盤としてのJISCの社会的意義について考察する。