著者
二宮 啓子 今野 美紀 谷 洋江 中村 伸枝 兼松 百合子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
神戸市看護大学紀要 (ISSN:13429027)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-57, 1999-03-31

The aims of our diabetes summer camp are to provide opportunities : to make friends and have good time with both children and adolescents with IDDM and the camp staff members, to learn that they can do the same social activities as normal children/adolescents if they can manage their diabetes adequately and to gain positive attitude and motivation for diabetes self-management. The diabetes summer camp of 8 days in 1996 was held in August with 49 IDDMs from first grade to twelfth grade and 76 camp staff members per day including 4 pediatricians, 9 nurses, 3 dieticians, 2 educational counsellors and 58 student volunteers. Our intervention to develop autonomy was promoting decision-making on diabetes self-care activities with good understanding. It included three methods : 1) self-recordings using 2 types of cards, 2) encouragement and support, 3) group lessons. Children/adolescents were encouraged to discuss with nurses to make decisions at insulin reactions and all other occasions. Our intervention were evaluated by two types of cards used in the camp, and the checklists for children/adolescents' autonomous behaviors in the camp, which were written by nurses and student nurses after the camp. The following results were obtained : 1) The younger children enjoyed card recordings. In contrast, the older children showed less interests in recordings. 2) 11 out of 49 children under 4th grade and first-time campers could expand injection and blood sampling sites. 3) From nurses' and student nurses' observation, development of autonomy was found in : (1) Preventing and coping with hypoglycemia by taking appropriate kind and amount of snacks. (2) Exercise to decrease blood sugar level. (3) Adjusting insulin dose according to blood sugar level. (4) None of them could develop autonomy in adjustment of diet. These findings suggest that new interventions other than self-recordings using cards will be needed for older children, and developing autonomy in terms of adjusting kind and amount of served food according to blood sugar level will be needed.
著者
二宮 啓子 内 正子 辻 佐恵子 丸山 浩枝 庄司 靖枝
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

家族参加を強化した学童の生活習慣改善のための一年間の介入プログラムを行い、その効果を明らかにした。参加者は22組の親子であった。介入直後の変化としては、22名中17名の子どもに改善した生活習慣があり、自己管理能力が高まっていた。7家族では、子どもと親の生活習慣の管理に対する意識が高まり、行動変容が見られた。また、介入前、直後、1年後の3時点の調査結果が得られた10組中4組の子どもは介入直後に生活習慣や肥満度が改善し1年後もそれを維持できていた。5組は介入直後に改善したが、介入1年後にはそれを維持できていなかった。1組は改善しなかった。
著者
二宮 啓子 丸山 浩枝 宮内 環 岡崎 裕子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

生活習慣に関連した健康障害をもつ学童と親に自己管理技術を高める1年間の看護介入プログラムを実施し、学童の生活習慣に関する認識・行動・肥満度の改善への効果について検討することを目的に研究を行った。小学1〜6年生37名(男子17名、女子20名)と母親を対象に、子どもにはプログラム前後に自己効力感とソーシャルサポートの質問紙調査、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接調査を行った。一方、親にはプログラム前後に健康の定義、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接、または質問紙調査を行った。介入方法としては、面接調査時に自作のパンフレットを用いて生活改善の方法を指導した。その後、月1回放課後に2時間の生活改善プログラムを10回実施した。その結果、肥満度は介入1カ月後に有意に減少していた(t=4.09,p<0.001)が、その後上昇し、プログラム終了時には有意差は見られなかった。プログラム前後では、やせ1→0名、標準20→24名、軽度肥満9→5名、中等度肥満5→7名、高度月満2→1名に変化していた。自己効力感は、プログラム後に有意な増加は見られなかった。ソーシャルサポートは、親の得点がプログラム後に有意に増加する傾向が見られた(Z=-1.64,P=0.10)。プログラムの子どもへの効果として、「運動するようになった」「食事・おやつの量が減った」「栄養のバランスがよくなった」等の運動、食事行動の変化、「走ってもしんどくなくなった」「体重が減った」等の身体の変化、「低カロリーのおやつを選択」「体重測定をする」「自分の食べる量が分かる」「運動と食事のカロリー消費との関係を考える」等の健康の自己管理の認識の変化、「前向きになった」「決めた目標に向かって張れた」等の自己効力感の変化に加え、「親子の会話が増えた」が抽出された。本プログラムは肥満度の改善に対する短期・長期効果があると言えよう。
著者
山本 かよ
出版者
神戸市看護大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,人工呼吸器装着後の療養生活においてALS患者が体験している痛みを明らかにすることである。調査の結果,以下の内容が明らかとなった。1.対象者の概要:ALS患者4名(男2名 女2名)2.ALS患者が体験している痛みの様相:ALS患者は,からだ全体に及ぶズキズキした痛みと首や足の指、骨,カニューレが引っ張られるなど【からだ全体と局部の痛み】を体験していた。痛みはー日中じわじわと続いているが,一端寝てしまうと感じなかったり,天候や季節,午後から強くなるなど1年,1日を通して【強弱の波がある】ことがわかった。このような辛い痛みは同じ姿勢が長くなると特に強くなり,体位調整やマッサージ,ストレッチをして患者の【からだを動かすと楽になる】と3名が語っていた。しかしながら,1名の患者は何をしても痛みが【楽になることはない】と感じており,痛みによる例えようのない苦痛を体験していた。また,患者らは痛みのほかにも全身や痛みのない筋肉の痙攣,からだの位置が決まらないことに対する苦痛など【痛みだけではない】苦痛を体験していた。3.考察:ALS患者においては,痛みなどの感覚障害は陰性徴候に含まれる。しかし,本研究結果から耐え難い痛みをALS患者は体験していたことが明らかになった。がん患者においては、痛みをとることが最優先課題であるが,ALS患者の場合は,呼吸・栄養管理とコミュニケーション技術の工夫に注意が集中し,痛みに関してはいまだ重要視されていない。日常生活全般の援助を要するALS患者にとって看護師によるケアは必要不可欠であり,看護師は,患者の訴えを最も敏感に察知できる医療従事者である。看護師が痛みにもっと着目し,患者の体験している痛みを共感的態度で傾聴するとともに,痛みに対する緩和ケアを積極的に提供することの重要性が示唆された。また,痛みの原因はALS自体の症状,別の原因,四肢麻痺による不動に分類されるため,看護師が痛みの要因を的確にアセスメントし,適切なケアを提供することも重要である。本研究結果は,平成19年8月に開催された第12回日本難病看護学会学術集会にて発表した。また,月刊雑誌「難病と在宅ケア」へ投稿した(2008年6月号に掲載予定)。
著者
川越 栄子 ステイーブン ライアン 笠井 隆一 鈴木 隆夫
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

医療系学部のためのeラーニング英語教材を研究開発した。(1)世界の医療事情(2)速読(3)医療英単語を各ユニットに入れ、50 ユニット作成した。阪大・神戸大・大阪市大の各医学科、神戸市看護大で使用した。その結果医学科で、wpm(一分間に読める語彙数)は、半期で30~40%伸び、医療英単語は1年間で約1200 語習得した。また世界で活躍中のトップレベルの医学者からのメッセージも組み入れ英語学習へのモチベーションを高める事が出来た。
著者
松葉 祥一 河野 哲也 廣瀬 浩司 村上 靖彦 本郷 均 加國 尚志
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、2008年に生誕100年を迎えるモーリス・メルロ=ポンティの哲学とくにその身体論に焦点をあて、これまでの研究を総括するとともに、新たな展開の可能性を探究することにある。彼の身体論は、哲学にとどまらず、社会学、精神医学、心理学、美学、教育学、看護学などの分野に刺激を与えてきた。近年さらに認知科学や脳科学、ロボット工学などの分野にも影響を与えている。そこで本研究では、2008年11月25・26日立教大学における国際シンポジウムを始め講演会や研究会、書籍などを通じて、こうした彼の身体論研究の深まりと広がりを総括し、新たな発展のための基盤を築いた