著者
高橋 恵子
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

目的:親しい人間関係の発達を理解する代表的な理論である「愛着理論」と「ソーシャル・ネットワーク理論」を理論的・実証的に吟味した上で,両者を統合する理論として筆者が構築してきた「愛情の関係モデル」を提案し,妥当性を実証的に検討することをねらいとしたものである。研究の内容:ステップ1は2理論の基本的な相違を明らかにした上で,先行研究を概観し,人間関係は愛着をその一部として含むソーシャル・ネットワークとして捉えることが有効であるという立場から,筆者の「愛情の関係モデル」を提案した。「愛情の関係モデル」は,個人が持つ複数の重要な他者からなる親しい関係の性質を正確に記述し,さらに,個々人の複雑な関係のネットワークを類型化して個別の特徴をとらえて見ようというものである。ステップ2では「愛着理論」の測定具(Strange Situation Procedure,Doll Play,Attachment Interview,Attachment style)をわが国で使用する場合の問題を検討し,「愛情の関係モデル」の測定具(愛情の関係スケール,ARSと絵画愛情の関係検査,PART)を提案した。ステップ3では幼児から高齢者までの研究協力者から得た実証的な資料について4つの研究をした。最後に,愛着の機能を認めたうえで,それをソーシャル・ネットワークの中に位置づけることの大切さ,しかも,ソーシャル・ネットワークの個人差を記述することを可能にした「愛情の関係モデル」の重要さ,について論じた。
著者
木戸 功 戸江 哲理 安達 正嗣 鈴木 富美子 阪井 裕一郎 松木 洋人
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

全国家族調査(NFRJ)18幹事会に代表の木戸が出席し、量的調査と連携して実査に臨むことを確認した(4/15)。その後、日本家族社会学会会員に本研究会(NFRJ18質的調査研究会)への参加を呼びかけ研究代表者と研究分担者を含む33名の研究会組織を編成し連絡用メーリングリストを作成した。本年度は3回の研究会を開催し、また小規模であるが量的調査チームと連携した予備調査も実施した。第1回研究会は学会大会終了後に大阪市立大学で開催し(9/11)、本調査の概要についてあらためて確認した上で、インタビュー調査班をサブテーマごとに4つ作り、班ごとに対象者と調査項目について検討した。フィールドワーク班についても対象選定の方法と、データ収集の方法について意見交換した。第2回および第3回研究会はそれぞれ2部構成として前半で招聘講師からのレクチャーと討論、後半で各研究班ごとの実査に向けた検討とその進捗状況の報告を実施した。第2回研究会はライフヒストリー研究およびそのアーカイヴ化についての専門家として小林多寿子氏(一橋大学大学院)を招き早稲田大学にて開催した(11/23)。第3回研究会は生活史研究の専門家として岸政彦氏(立命館大学大学院)を招き大阪市立大学にて開催した(1/27)。いずれの研究会においても専門的な知見の提供を受けるとともに本研究会が実施する調査に対しての実践的な助言をえた。並行して木戸がNFRJ 18の全体研究会に参加し(11/12)量的研究チームとの連携を保った。これらの研究会でのやりとりなどを通じて、対象選定の方針と調査項目の選定については具体的な案がそれぞれの班より示されるにいたった。また量的研究チームが実施した予備調査において、追加調査となるインタビュー調査への協力の可否をたずねる項目を追加するとともに、応諾者のうち9ケースの予備調査を実施した(3月)。
著者
岩上 真珠 渡辺 秀樹 宮本 みち子 米村 千代 大槻 奈巳 松木 洋人
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015

・アンケート調査の属性集計から、調査結果の全体的な要約の作成と、それを踏まえた研究分担者の各自のテーマの分析案を検討する作業を行ない、10月以降にとりまとめる予定であった。・アンケート調査の自由回答欄も分析するため、記入内容をテキストデータ化する作業を行なった(業者委託)。30代では結婚・育児に関する不安、60代では将来の経済的生活、子どもとの関係に関する問題などが比較的多く記述されていた。10月以降に、自由回答の分析方法の検討も行なう予定であった。・インタビュー調査については、調査会社と対象者の選定作業や個人情報保護の取り扱いの取り決めなどの準備作業を行ない、平成29年9~10月に約20人(平成28年度延期分を合わせて合計40名)に対し実施予定であった。・平成29年8月に研究代表者が死去したことにより研究事業が廃止となったため、上記9月以降の作業の実施をすべて中止せざるをえなかった。
著者
小城 英子 薊 理津子 小野 茜
出版者
聖心女子大学
雑誌
聖心女子大学論叢 = Seishin studies (ISSN:00371084)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.200-166, 2010-02-25

聖心女子大学専任講師(社会心理学)