著者
鍋島 俊隆 野田 幸裕 平松 正行 毛利 彰宏 吉見 陽 肥田 裕丈 長谷川 章 間宮 隆吉 尾崎 紀夫 山田 清文 北垣 伸治
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、幼児・学童期において問題視されている心理社会的ストレスを想定し、幼若期マウスに社会的敗北ストレスを負荷し、社会性行動について評価した。幼若期マウスは心理社会的ストレスに対して、成体期マウスに比べて脆弱であり、成体期まで持続する社会的行動障害を示した。社会的行動障害モデル動物としての評価系を確立できた。この動物の社会性行動障害には、グルココルチコイド受容体の活性化、モノアミン作動性神経系およびグルタミン酸作動性神経系の遺伝子発現変化に伴って、これら神経系の機能異常が関与していることが示唆された。
著者
北口 暢哉 川口 和紀 中井 滋 伊藤 信二 加藤 政雄 酒井 一由 伊藤 健吾
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血中Aβ除去で脳内Aβを減少させるアルツハイマー病治療機器を創製するために、血中Aβがよく除去される血液透析で以下の検討を行った。1) 血液透析患者の死後脳では、非透析者に比して脳内Aβの蓄積(老人斑数)が有意に少なかった。2)横断的研究:非透析者では腎機能が低下するにつれて血中Aβは増加し認知機能は低下したが、血液透析患者では透析歴が長くなっても血中Aβは増加せず、認知機能はほぼ維持された。3) 前向研究:非透析腎不全患者5例 (平均64.0歳)は透析導入とともに、血中Aβ濃度は低下し、認知機能は改善傾向を示した。以上から、血中Aβ除去器がアルツハイマー病治療につながる可能性が示唆された。
著者
亀山 俊樹
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

イントロンの長さは100塩基以下のものから数十万塩基にも及ぶ巨大なものまで多様である。従ってスプライシング反応のイントロンが切出される際に生じる副産物<投縄状RNA中間体>の大きさもまた多様である。次世代シークエンサーを用いた癌細胞由来投縄状RNAスプライシング中間体の網羅的な配列決定には、様々なサイズの投縄状RNAから高品質のライブラリー作製が必須である。しかしながら特に巨大な投縄状RNAは生化学的にも物理的にも壊れやすく、高品質の投縄状RNAを精製することが非常に困難であった。様々なRNA抽出法を試した結果、ゲノムDNA抽出操作と同様全ての操作に物理的にマイルドな処理を行うことが重要であった。今回直面し解決した問題点に留意しながら現在高品質投縄状RNA中間体ライブラリーの作製を行っている。
著者
渡邊 悟 深井 克明 長岡 俊治 羽柴 基之 高林 彰 森 滋夫 YAMAZAKI Yoshihisa 山崎 由久 和田 佳郎
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

コンピューターグラフィクス(CG)により立体視可能なバーチャルリアリティ画像を作成し、ゴ-グル上に投影し、動的視覚刺激を行った際の立位姿勢の変化に関するを行った。体動揺の発生と前庭機能との関連を調べるため直線加速度負荷装置を用い、負荷加速度と視覚刺激CGの動きを解析することを目論んだ。平成7年度、8年度の2年間でCG作成が完成させ、更にこの間平成7年度は視覚刺激を用いない正弦波様の直線加速度負荷中の立位姿勢の変化について検討し、比較的低い負荷加速度(0.02-0.04G)では加速度に応じて体の揺れを生じるが、高い負荷加速度(0.06-0.06G)では頭の位置が安定しほぼ垂直位に固定され、前庭-頚反射の関与の大きい事が明らかにされた。解析には身体各部の動揺をビデオトラッカーにより記録し、頚部、躯幹、下肢の筋電図の記録により行った。平成8年度、9年度は専らバーチャルリアリティ画像による視覚刺激を立位姿勢の被験者にゴ-グルを介して与えた。ゴ-グルのスクリーン上に投影された運動画像の提示は姿勢動揺を誘発する。この姿勢動揺と運動画像によって生じる自己運動感覚(vection)との関係を解析した。その結果、視覚刺激の速度成分とvectionの大きさ及び体動揺の大きさにほぼ比例関係を認めた。しかし、周波数のみの変化には殆ど依存しない。正弦波刺激は予測反応がかなり早く現れる。体動揺は暗算負荷により大きな影響を受ける。この際、vectionもはっきりと減少することが明らかとなった。この様なvectionの成因には周辺視野における広い視野の運動感覚が必要であり、視野の運動が自分自身の運動と間違えるという、心理的な現象であり、引き起こされる体動揺が高次な神経活動による結果とみなすことができる。今後、更に視覚系と体動揺によって生じる前庭系との関連に関して解析を行う予定である。
著者
李 媛英
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

中部地方の自治体職員を対象とした愛知職域コホート研究対象者のうち、平成14年ベースライン時血清保存と、その後の追跡調査に協力が得られた35歳から66歳の2,846名を解析対象とした。血清GAD抗体はAlphaLISA法を用いて測定した。約10年間の追跡期間中に221名が糖尿病を発症した。GAD抗体の有無によって、性別、年齢を調整した糖尿病のハザード比:1.37 (95%信頼区間:0.92-2.04)であり、更に、閉経有無、喫煙状態、body mass index、運動習慣、空腹時血糖値を補正しても関連性は大きく変化なかった。本研究集団ではGAD抗体と糖尿病発症との関連は認められなかった。
著者
若松 一雅 伊藤 祥輔
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ヒト中脳黒質中に存在するニューロメラニン)NM)を単離し、その構造研究を行った。その結果、NMはDAとCysが約4:1で酸化重合して生成したフェオメラニンの構造単位であるベンゾチアジンを持つ部分とDAの酸化重合で得られたユーメラニンの構造単位からなることがわかった。また、脳内被殻、前運動野皮質、小脳などの非カテコールアミン作動性ニューロンにおいて新しいNM様色素が存在することを発見した。この色素は、黒質や青斑核に存在するNMと違って、DA由来でなくDOPA由来であることが化学分解法とHPLC分析により確認された。
著者
新保 寛 千原 猛 金児 孝晃 戸松 亜希子 若松 一雅 新里 昌功
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アロエエモジン(AE)は抗がん活性や抗炎症効果を有することが報告されている。我々はApcMin/+マウスの大腸腫瘍発症のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)処置の有無に対する低用量AEの修飾作用を調べた。その結果、低用量AEの混餌投与は、DSS未処置・処置の双方でMinマウスの大腸腫瘍の発生を低下させた。さらに、低用量AE投与はMinマウスの大腸粘膜の細胞増殖能を抑制した。
著者
早川 邦弘 星長 清隆 日下 守 佐々木 ひと美
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

年齢60歳以上と50歳から59歳までの腎臓で高血圧の既往または脳血管死亡の群における心停止ドナーからの腎臓は、レシピエントとして30歳未満の若年者ではなく、55歳以上の高齢者か女性に移植した方が生着率や期間などが有意に優れていると結論した。
著者
菅田 健
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

我々は免疫正常な乳幼児ロタウイルス(以下RV)胃腸炎入院患児に対し、ウイルス学的解析を実施し、抗原血症は約5日間、抗原量は第2病日をピークとし徐々に減少することの確認をした。一方で、免疫抑制状態にある患児についてのRV感染は不明な点が多いため、今回我々は造血幹細胞移植を受けた患児血清を用い同様の検討をおこなった。その結果、免疫正常患児に比して長期間、低レベルでの抗原血症が続いていることを明らかにした。
著者
高橋 奈美
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,診断から呼吸器装着前までのALS患者とその家族の支援プログラム作成を目的とした.研究の結果,ALS患者とその家族は,【告知後の精神的ショックに対するサポート】【病気の知識の提供】【病気の進行の見通しの情報提供】【経済的問題に関する相談】【制度の知識の提供】【日常生活介助が必要となった時期の在宅療養支援体制の整備】【介護時間獲得のための支援】【PEG造設の意思決定支援】,【TPPVの意思決定支援】,【療養の場の意思決定支援】の10の支援ニーズを持っていることが明らかとなった.今後,これらの支援ニーズを反映させた支援プログラム作成の必要性が示唆された.