- 著者
-
安藤 裕明
- 出版者
- 金城学院大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
オープンソースの教育支援システムMoodleに,携帯電話からの利用を想定したMoodle for Mobileを導入し,携帯情報端末(PDA)と携帯電話を組み合わせて利用可能な,薬学部用の授業支援システムを構築した。また,一般教室での利用を想定し,PDAから無線LAN経由で同時に接続できる台数や,携帯電話からの接続に関する検証を行い,授業における応用の可能性について検討した。具体的には,パソコンでの利用を前提としたMoodleに,携帯電話に対応するためのMoodle for Mobileをアドオンしたサーバを準備し,また,薬理学分野の問題をデータベース化して登録し,ミニテスト機能に応用できるようにした。このサーバに対し,PDAおよび携帯電話からの接続性,ミニテスト問題等の視認性,使いやすさ等を,主に学生アンケートを元に分析した。携帯電話からMoodleを使用する場合は,一般的にパケット通信を行うために費用が発生する。そこで,学生の所有する携帯電話について,パケット通信費用に関する調査も実施した。実験の結果,携帯電話からMoodle for Mobileへの接続は,URLを直接入力する方法ではミスが頻発した。しかし,QRコマドやURLを明記したメールを準備する事で,トラブルを回避することができた。携帯電話からのアクセスでは,利用できる機能や表示できる文字数に制限があり,○×問題以外は実用的ではなかった。PDAからは,Moodleの全機能を利用できた。しかし,画面の解像度が低いために,複雑な投票や問題は回答し難い事が明らかとなった。PDA単独の利用を想定した場合は、PDAの故障等,様々なトラブルを考慮する必要があるが,携帯電話は,これを補完するツールとして有用である。ただし,利用する際には,機種毎に大きく異なる画面サイズや,パケット通信に伴う費用の発生等の問題を考慮しておく必要がある。