著者
川崎 賢一 藤村 正之
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.601-613, 2005-12-31 (Released:2010-04-23)
参考文献数
9

本稿の目的は, 1992年11月に出版された『社会学の宇宙』 (川崎賢一・藤村正之 (共編), 恒星社厚生閣) という社会学テキストがどのように編集・出版されたのかを, 編者自身がその当時に考えていたことにできる限り忠実に, 紹介することである.その当時は, バブル経済崩壊直後の日本社会にあって, 社会学教育自体にも変革の波が押し寄せようとしていた.その波への1つの回答として, 編者たちが念頭に置いたのは, 大まかにいうと, 従来考えられていた〈教養としての社会学〉から, 〈普通に使える社会学〉あるいは〈DIY (Do It Yourself) の社会学〉へ, 大きくその方向を変えることを目指そうということであった.その意図がうまくいったかどうかはわからないが, 少なくとも, その後の社会学のテキストはさまざまな種類のテキストが出版されるようになった.その意味で, われわれのテキストが果たした何がしかの役割があったのではなかろうか.
著者
藤村 正之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.1, pp.84-97, 2004-05-31 (Released:2012-09-24)
参考文献数
39

21世紀初頭の現在,20世紀に浸透した福祉国家化の価値のとらえ直しが進行しつつあり,そこに福祉社会学がマクロ社会学あるいは社会理論として取り組むべき課題があると考えられ,本稿ではその論点を整理する.その際福祉に関わる価値を社会学的に対象化・相対化し,諸価値が錯綜し立体的に配置される福祉観としてとらえるべく,福祉の価値空間という視点をもちながら考察を進めていく.本稿では,そのような福祉の価値空間の変容をとらえるため,社会構想,社会制御・社会形成,問題把握という分析上の3点を設定し,各々について論点を整理していく.社会構想の視点としては,自由と拘束をめぐる福祉の規範理論が活発化しているが,それを関係性の4象限として整理しなおしつつ,社会学における共同性への強い関心の自覚化と相対化の必要性を論ずる.社会制御と社会形成の視点からは,福祉国家にひそむ国家中心主義の時代的困難が進みつつあり,再編の可能性としてある福祉社会論福祉政府論福祉世界論の論点を確認したうえで,近年福祉国家と福祉社会の架橋を期待される福祉ガヴァナンス論の動きについてふれる.最後に,問題把握の視点として,必要の議論が再浮上してきているが,同時にリスクや自己決定など新たな視点も錯綜しつつあり,福祉領域の独自性と領域間の連関を確認することが求められている.
著者
副田 義也 藤村 正之 畠中 宗一 横山 和彦 本間 真宏 岩瀬 庸理 樽川 典子 岡本 多喜子
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

戦後日本における社会保障制度の研究を、毎月二つずつ主題をさだめ、研究代表者の統括のもとで、研究分担者二人がそれぞれの研究をおこない、代表者、分担者全員参加の研究会でこれを発表し、討論をしてもらい、まとめてきた。今年度の毎月の主題はつぎのとおりであった。4月、近代国家の形成と内務省の行政/『厚生省50年史』の作成について。5月、内務省の衛生行政/『厚生省50年史』の作成について(2)。6月、内務省の社会行政、労働行政、社会保険行政/社会保障研究の諸論点。7月、厚生省の創設と厚生行政/戦時体制下の厚生行政。9月、戦時下の衛生行政と社会行政/施設内文化の研究。10月、戦時下の労働行政と社会保険行政/『厚生省50年史』の編集について。11月、戦後復興期の厚生行政/『厚生省50年史』の編集について(2)。12月、戦後復興期の衛生行政/占領政策と福祉政策。1月、戦後復興期の社会福祉行政/社会福祉史の研究方法について。2月、戦後復興期の社会保険行政/老人ホーム像の多様性と統一性。3月、高度成長期の厚生行政(予定)。以上をつうじて、総力戦体制がわが国の福祉国家体制の厚型をつくったこと、明治以後の内務行政と敗戦以後の厚生行政に一部共通する型が認められること、衛生、労働、社会保険、社会福祉の四分野の進展に顕著なタイム・ラグがあることなどがあきらかになり、それぞれの検討が進みつつある。
著者
藤村 正之 二方 龍紀 石田 健太郎 玉置 佑介 フングン ユウ
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

時間配分は、生活の質の向上とも関連して、日常生活のみならずライフスタイルや社会心理と相互に規定しあう重要な社会学的な事象である。本研究では、(1)基礎的な文献研究、(2)家計・消費行動に関する2次データの分析、(3)生活時間と生活の質の関連に関する調査票調査の実施・分析を行った。実証研究から、24時間の基本配分としての仕事と家事、それに影響する性別・家族構成・就業状態、その残余として諸行動が派生するという構造が確認された。
著者
藤村 正之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.5-24, 2017

<p> 本講演の主題は,福祉社会学の研究において,もう一度社会学や社会科学の</p><p>問題関心を意識しながら取り組んでみてはどうかということである.福祉社会</p><p>学の登場は,業績主義が浸透する社会において,1960 年代以降,性・年齢・</p><p>障害・エスニシティなどの属性要因に基づく問題が浮上してきたことと軌を一</p><p>にするといえよう.その際,人間の内なる自然への関心として福祉社会学が,</p><p>人間の外なる自然への関心として環境社会学が登場したと位置づけることがで</p><p>きる.福祉社会学が取り組むべき現代の社会変動として少子高齢化,リスク社</p><p>会化,グローバル化の3 つを考えることができる.それらの事象を分析するた</p><p>めの社会学的認識をあげるならば,中間集団の栄枯盛衰,経済と社会への複眼</p><p>的視座,資源配分様式(自助・互酬・再分配・市場交換),関係性の社会的配</p><p>置(親密性・協働性・公共性・市場性),社会科学の原点としての規範と欲望</p><p>の相克・相乗などの論点が考えられる.21 世紀に向けては,生とグローバル</p><p>の対比,福祉社会や共生社会などの理想モデルの探索,公共社会学との接点の</p><p>検討などが福祉社会学の課題となっていくであろう.</p>
著者
川崎 賢一 藤村 正之
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.601-613, 2005

本稿の目的は, 1992年11月に出版された『社会学の宇宙』 (川崎賢一・藤村正之 (共編), 恒星社厚生閣) という社会学テキストがどのように編集・出版されたのかを, 編者自身がその当時に考えていたことにできる限り忠実に, 紹介することである.その当時は, バブル経済崩壊直後の日本社会にあって, 社会学教育自体にも変革の波が押し寄せようとしていた.その波への1つの回答として, 編者たちが念頭に置いたのは, 大まかにいうと, 従来考えられていた〈教養としての社会学〉から, 〈普通に使える社会学〉あるいは〈DIY (Do It Yourself) の社会学〉へ, 大きくその方向を変えることを目指そうということであった.その意図がうまくいったかどうかはわからないが, 少なくとも, その後の社会学のテキストはさまざまな種類のテキストが出版されるようになった.その意味で, われわれのテキストが果たした何がしかの役割があったのではなかろうか.
著者
江原 由美子 樫村 志郎 西阪 仰 藤村 正之 山崎 敬一 山田 富秋 椎野 信雄 坂本 佳鶴恵
出版者
東京都立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

初年度においては文献研究と研究計画の決定のための研究活動をおこない、第二年度においてはその研究計画に基き調査を実施した。最終年度においては、それらをもとに、研究成果を論文化することを主要な課題とし、研究報告書の作成に着手した。本研究の性格上、収集したデータの分析は、今後も継続して行われると思われるが、報告書作成段階において得られた知見を以下に挙げる。第一に、対面的相互行存状況においては、状況内にある参与者の身体(視線、顔、身体の向き、参与者相互の身体配置等)が相互行存進行の上で非常に重要な意味をもっていること。第二に、特定の制度的文脈においては、特定の相互行存的特徴がみられること.第三に、特定の制度的文脈において発生する会話トピックには、一定の範域があり、その範域をコントロールしようとする参与者の実践がみられること。第四に、それらの特定の制度的な文脈における相互行存の特徴は、相互行存参与者の、「協働的達成」として成立していること。これらの知見は、社会秩序それじたいが、行存者の「協働的達成」として成立していることを明らかにしている。社会秩序の「協働的達成」のための身体技術に関しては、その一部を報告書において明らかにしたが、今後さらに詳細な研究が必要である。
著者
副田 義也 樽川 典子 加藤 朋江 遠藤 惠子 阿部 智恵子 株本 千鶴 嶋根 克己 牧園 清子 鍾 家新 藤村 正之 樫田 美雄 阿部 俊彦 時岡 新 村上 貴美子 藤崎 宏子 小高 良友 野上 元 玉川 貴子 坂田 勝彦 柏谷 至
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

戦後内政の主要分野を、戦前期に内務省が専管した行政の諸分野に注目して、ひとつの統一的性格をもつものとして研究した。旧来、1947年の内務省解体は、連合国総司令部が強行した、否定的に評価されるべき事態として語られがちであった。しかし、その分割があったからこそ、その後の半世紀以上にわたる日本の福祉国家としての歩みが可能になったのである。すなわち、厚生行政、警察行政、建設行政、自治行政を担当する省庁の分立と発展、政策の複合による内政構造の拡大、深化である。
著者
副田 義也 樽川 典子 嶋根 克己 藤村 正之 牧園 清子 小高 良友 株本 千鶴 樫田 美雄
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

社会的行為としての死の研究。医師、看護師、メディカル・ソーシャル・ワーカー、近親者などと死にゆく者との相互作用のなかで、死を観察、分析、研究した。とくに、緩和ケアのありかた、医師と看護師の役割分担、医療スタッフと近親者とのコミュニケーションに焦点をあわせつつ、聞きとり調査をおこない、事例研究をおこなった。制度としての葬儀の研究。国内では、高度成長期以降の葬儀業界のありかたを、葬祭業者の専門職化と資格の制度化を中心に、調査、研究した。また、創価学会で近年注目される友人葬の事例を収集し、研究した。外国では、フランスにおける葬祭業の成立と展開にかんする歴史社会学的研究、中国の客家人の葬儀と死生観の事例研究をおこなった。文化としての追悼の研究。太平洋戦争時における市民から出た大量の死者を追悼する施設の調査・研究に主力を集中した。東京・沖縄・広島における戦争博物館の比較考察、対馬丸記念館の調査・研究がおこなわれた。ほかに、沖縄の陸軍病院壕、周南市回天記念館は、軍人戦死者の追悼施設として追加調査された。死の社会学の全体構想の研究。以上の3部門の研究をふまえ、内外の死の社会学的研究文献の分析・総括をあわせて、死の社会学の体系化が試みられた。全体社会、組織・集団、相互作用、社会制度、文化、パーソナリティ、社会的行為の7つの主要概念の有機的連関を利用して、死の社会学の7部門が構成された。(研究成果報告書、11ページ参照)。