著者
林 博史
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.54, pp.51-70, 2013-01

対日戦犯裁判の打ち切りのイニシアティブをとったのはニュージーランドだった。ニュージーランドは東京裁判に判事と検察官を送り込み、日本占領にも参加したが、東京裁判におけるアメリカ人首席検察官の訴追指揮のまずさや不必要に長期化する裁判の現実を前に、自らはBC級戦犯をおこなっていなかったニュージーランドが戦犯裁判終結を提起していった。その結果、極東委員会での「勧告」決議となり、対日戦犯裁判は終結を迎えることになる。
著者
橋本 健広
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.57-63, 2014-07

本稿は、2011年度本学の英語の授業内で行った語彙習得に関わる授業実践を記録した教育実践報告である。補習として授業外で学習した英語の単語について、学習した語彙を振り返りまた定着の度合いを計るためのボキャブラリービンゴゲームを考案した。覚えてきた任意の単語を学生が升目に書き出し、任意に指定された学生がキーワードとなる単語を一人一単語ずつ読み上げて、最初に縦、横、または斜めの列がそろった学生が勝ちとなるゲームである。このボキャブラリービンゴは、遊びの要素と学生主体の実践という要素が特徴であり、学生は語彙を社会的な協同行為として習得する。
著者
林 博史
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.3-16,

第2次世界大戦において心理戦は重要視され、特にアメリカは日本兵捕虜への尋問や没収した文書の分析を通じて、日本人の意識分析をおこなった。その際の重要なテーマの一つが日本人の天皇観であった。本稿は、アメリカの戦時情報局海外士気分析部臨時国際情報サービスが作成した『日本の天皇』と題されたレポートを手がかりに、戦中の日本人が自らのアイデンティティと天皇をどのように重ね合わせていたのかを分析したものである。その結果、個々人が自らの願望を天皇に投影させ、自らの考えの正しさの根拠を天皇に託するというあり方を明らかにし、そうしたあり方が天皇の戦争責任追及がなされなかった一因としてあり、さらに今日にいたるまで日本人の主体形成上の大きな問題となっていることを指摘している。
著者
林 博史
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.51-67, 2008-07

アジア太平洋戦争において、アメリカは対日戦を進めていく上で、日本人の意識分析をおこない、それを心理戦に活用していった。そこでの分析は、戦闘を有利に進めるためだけでなく、戦後の対日占領政策とも密接に関連するものであった。そのために戦闘のなかで捕獲した捕虜の意識分析をおこなっていたが、サイパン戦の結果、米軍は初めて多数の日本民間人を収容し、民間人の意識分析をおこなうことができた。その調査報告書の全文を翻訳し紹介する。この報告書の内容は、まだ予備的な内容で十分に深められているとは言えないが、民間人が米軍への投降を拒む理由が、けっして愛国的な熱情や天皇への崇拝などではなく、米軍に捕まると殺されるか拷問されることへの恐怖であることがはっきりと示されている。
著者
伊藤 明巳
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.75-90,

本稿では、ウルトラマンというポピュラー文化を沖縄で読む試みを文芸批評的にではなく、オーディエンス論から考察する。テレビ番組などの視聴体験は、社会的なアイデンティティの差異によって異なる読みが生み出される可能性が指摘されているが、ウルトラマンは、それにかかわった沖縄出身者との関係から、読むという実践をアイデンティティを強化しながらおこなうことを可能にする素材となる。その事例分析として、沖縄にてウルトラマンを読むことを素材にしたフォーカス・グループ・インタビューによる調査を行った。その結果、沖縄出身か否かで読みの差異がみられたことが観察できたが、その差異は従来のオーディエンス論調査の事例とはまた異なり、社会的カテゴリーよりも社会的境遇による共感を重視したものであった。
著者
富塚 祥夫
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.107-123,

本稿では、戦前の一憲法学者である佐治謙譲の国家理論・憲法理論を取り上げ、その中で展開された日本的独自性強調の論理について考察する。佐治は、普遍性の研究のみならず特殊性の研究もまた学問上重要であることを説いたうえで、彼が高く評価する上杉慎吉の憲法理論を一歩前に進めることを自分の使命とみなし、当時のフランス人憲法学者レオン・デュギーの方法論にも依拠しつつ、日本国家の独自性の歴史的実証的解明にもとづく憲法理論の樹立をめざした。しかし、その主張内容には、天皇を西洋の君主とは質的に異なる存在だとする論理や権力を濫用するのは天皇ではなく天皇を補佐する者だとする論理、さらには日本的独自性は本来普遍性をもつもので、他国の模範となるべきものだとする論理が含まれていることに注意する必要がある。
著者
細谷 実
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.1-25, 2014-07

本稿では、絵画や写真などの視覚的表象が何らかの弊害をもたらす条件およびその弊害の査定について考察する。表現は、一方で、あれこれの弊害をもたらすとされ、批判や規制の対象になっている。他方で、表現の自由は、近代社会における大切な原理として尊重されている。J.S.ミルを代表とするリベラリズムの考え方では、「言論の自由市場」での批評や非難はともかく、法的禁止という強い措置をおこなうには他者危害の存在が要件となる。他者危害として、自然・社会環境の破壊のような社会への危害を主張する論者もいるが、本稿では、個人への、しかも心理的な危害に焦点化して論じる。また、特定個人を名宛人にする加害には名誉棄損や侮辱での刑罰があるが、「女性」や「韓国人」といった一般名詞あるいは広範囲の集合への加害については、数的考慮によって問題視しないのが、従来の司法判断である。この点についても批判的考察をおこない、視覚的表象による個人に対する危害とそれへの対応について論じる。
著者
伊藤 秀彦
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.75-97, 2011-01

本稿は、生成文法理論に基づき受動化と繰り上げについて考察するものである。1章では受動化について考察する。その結果、能動文とそれに対応する受動文とでは意味が異なる場合があるということ、受動文は「併合」と「移動」という文法操作を経て派生されるということ、主要部と補部の「親密さ」が受動化の可否に影響を与えているということが理解できる。2章では繰り上げについて考察する。その結果、主語繰り上げ構文は格フィルターとθ役割の付与で説明できるということ、目的語繰り上げ構文では主文の動詞が補部の指定部に目的格を付与しているということ、受動化と繰り上げは「項の移動」という1つの操作にまとめられるということ、いくつかの文法操作により、ある種のThere構文と進行形の文の派生を統一的に説明できるということがわかる。
著者
伊藤 秀彦
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.75-97, 2011-01

本稿は、生成文法理論に基づき受動化と繰り上げについて考察するものである。1章では受動化について考察する。その結果、能動文とそれに対応する受動文とでは意味が異なる場合があるということ、受動文は「併合」と「移動」という文法操作を経て派生されるということ、主要部と補部の「親密さ」が受動化の可否に影響を与えているということが理解できる。2章では繰り上げについて考察する。その結果、主語繰り上げ構文は格フィルターとθ役割の付与で説明できるということ、目的語繰り上げ構文では主文の動詞が補部の指定部に目的格を付与しているということ、受動化と繰り上げは「項の移動」という1つの操作にまとめられるということ、いくつかの文法操作により、ある種のThere構文と進行形の文の派生を統一的に説明できるということがわかる。
著者
種村 剛
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.99-128, 2012-01

まちづくり、地域貢献、社会貢献の文脈において地域イベントの重要性が指摘されている。本稿は、釧路市でおこなわれている朗読会(釧路朗読会)を事例として、地域イベントを通じた地域貢献活動について考察する。釧路朗読会の運営は、地域の人々のネットワーク、高専・図書館・喫茶店・お寺などの地域の機関、地域メディア、地域の文化資源を用いながら、自発的・継続的におこなわれていた。結論として、地域の社会関係資本を活用しながら朗読会が運営されていること。そして、朗読会活動が、地域の社会関係資本を強化するように機能していることを示す。
著者
種村 剛
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.52, pp.99-128, 2012-01

まちづくり、地域貢献、社会貢献の文脈において地域イベントの重要性が指摘されている。本稿は、釧路市でおこなわれている朗読会(釧路朗読会)を事例として、地域イベントを通じた地域貢献活動について考察する。釧路朗読会の運営は、地域の人々のネットワーク、高専・図書館・喫茶店・お寺などの地域の機関、地域メディア、地域の文化資源を用いながら、自発的・継続的におこなわれていた。結論として、地域の社会関係資本を活用しながら朗読会が運営されていること。そして、朗読会活動が、地域の社会関係資本を強化するように機能していることを示す。
著者
種村 剛 小林 泰名
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 : 関東学院大学経済学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.61-104, 2012-07

札幌のインディーズ・ミュージシャンがおこなった、USTREAMを用いたライブイベント、UST ROOM FESを事例として、ミュージシャンとライブ配信サービスの関係について考察した。本稿の中心となる問いとして「なぜ札幌のインディーズ・ミュージシャン達は、UST ROOM FESを企画し実践したのだろうか」を設定した。問いに対する仮説として、UST ROOM FESを、地方から全国への音楽活動をプロモーションする手段として考えているのではないか(1)、UST ROOM FESのメリットを、楽曲のダウンロード販売につながる点にあると、考えているのではないか(2)、の二つを提示した。仮説の検証のために、フェスを企画した、札幌のミュージシャン3名にインタビューをおこなった。インタビューの結果、1)ライブ配信サービスを、全国の人びと、地域の人びと、地元のミュージシャンに対する音楽活動のプロモーションとして用いていること、2)実際に観客にライブ会場に足をはこんでもらい、CDを販売したいと考えていること、を明らかにした。最後に、以上の考察をふまえ、地域レーベルの可能性について検討した。
著者
安田 八十五 菊地 直人
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.44, pp.21-36, 2008-01

日本ではゴミ(廃棄物)を衛生的に処理する手段として焼却処理が広く普及してきたが、近年焼却処理の際に発生するダイオキシンが問題となっている。ダイオキシンの発生源の約8割が一般廃棄物の焼却施設とされており、排出を削減することが緊急の課題となっている。厚生省(当時・現在は環境省)は小型の焼却施設を大型の焼却施設に集約するごみ処理広域化計画を進めているが、広域化には様々な問題点があり見直しを始めている。特に、まとまったゴミの集まらない人口低密度地域では広域化に伴う弊害が多い。本研究ではこれら人口低密度地域において環境や経済性の面からその地域特性に応じたごみ処理システムを明らかにすることを目的とする。ことに、廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuels:RDF)化政策を導入した政策代替案を提案し、その総合評価を行う。本研究では研究対象地域を茨城県北西部地域の15市町村とし一般廃棄物処理のうち、可燃ごみの収集から中間処理、最終処分までを分析範囲とした。まず、15市町村の現状分析を行いその結果をもとに可燃ごみの収集、中間処理、最終処分の各段階で政策代替案を設定した。政策代替案では全ての中間処理施設を厚生省の定める最も厳しいダイオキシン排出規制値を達成できるものとした。政策代替案ごとに財務分析、LCA分析、社会的費用便益分析を行った。茨城県北西部地域では財務分析の結果から広域化処理の方が自治体の費用負担が少なくなることがわかった。LCA分析によると可燃ごみの収集運搬時よりも中間処理段階の方が電力や燃料消費量が遙かに多くなるため、広域化処理で焼却場を1箇所に集約した方が環境負荷量は少なくなった。しかし社会的費用便益分析では広域化を行わず現在の焼却施設の改造、更新を行った方が社会全体として費用負担が少なくなることが明らかとなった。ごみ処理広域化を行う場合は、焼却施設を統合する市町村、広域処理事務組合間で現在の焼却施設の更新時期が重なれば社会的費用が少なくなる。しかしながら、焼却施設の更新時期が重ならない地域は減価償却が終わった焼却施設においてはガス化溶融炉に更新し、終わっていない焼却施設については排ガス処理施設を設置して対応するのが最も望ましいと言える。本研究ではプラスチック類の分別は想定しなかったが、ダイオキシンの発生源となる塩化ビニール系のプラスチック類を分別しマテリアルリサイクルすることでダイオキシンが抑制でき、ダイオキシンを抑制するために莫大なプラント建設費が不要となる上、無理な広域化をする必要もなくなることから将来の選択肢として検討の余地があるといえる。