著者
中山 仁史
出版者
香川高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

現在,高齢化が進み医療現場はこれまで以上に,医療診断における精密検査などの必要性が高まってきている.これに伴い,精密検査を行うための機器がより多く用いられるようになってきた.その中の一つとして, MRI(Magnetic Resonance Imaging)が挙げられる. MRIは磁気共鳴現象を用いた分析装置で,画像撮影時には強磁場と100dBSPLを超える騒音が生じる.そのため,被撮像者はブザーを押してオペレータ室に異常を知らせるか,非磁性体によって構成されたMRI用の光マイクロフォンを用いた通信を行う.ところが,気導音である音声は雑音の影響を直接受けやすいため, MRI用の光マイクロフォンを用いたとしても明瞭な信号を得ることはできない.そこで,本研究では高騒音下でも明瞭な信号を抽出することができる骨伝導光マイクロフォンの開発を行う.本研究ではまず,骨伝導光マイクロフォンを用いた信号採取により,従来用いてきた加速度ピックアップよりも高い周波数成分を得ることが確認できた.そして,研究代表者らが提案する明瞭化アルゴリズムを用いて骨伝導光音のみで周波数特性の改善を実現し,高磁場・騒音下でもより明瞭度の高い音声抽出が可能なことを確認した.
著者
和田 仁
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.105-127, 2003-03

幕末から一歩遅れて,明治三年に結成された赤心報国党の「尊王懐夷」運動は,時勢遅れであったとの評価が一般的である。しかしそれは後世の「勤皇家」顕彰運動に伴う「政治的評価」にすぎないのではなかろうか。本稿では,赤心報国党の同志たちも幕末の尊王討幕派と同じく「草莽」の人々であったことに視点を据えて,同志の一人,篠原箭太郎の書簡等を通じて,再検討してゆくことにする。
著者
冨二原 伸弘
出版者
香川高等専門学校
雑誌
香川高等専門学校研究紀要 (ISSN:21852391)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.75-80, 2015-06

現在、科学研究費挑戦的萌芽研究において「古典文学シミュレーター」の制作を行っている。この論文は、制作決定までの概要と制作における現状及び問題点について報告したものである。
著者
宮崎 耕輔 谷本 圭志 伊藤 昌毅
出版者
香川高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,地方部における交通系ビッグデータを活用した地域公共交通計画立案の開発である.昨年度の検討結果を踏まえ,基礎集計の基礎となる利用者個人単位のデータベースの作成ならびに利用実績に着目したデータベースの作成などを行った.具体的には,「5.交通系ビッグデータから地域公共交通計画立案に必要なデータ抽出法の開発」に着手した.提案したデータ抽出法が効果的かどうかについての検討をするに際し,トライアンドエラーの繰り返しをしながら,以下のような分析を行った.抽出したデータベースをもとに,個人単位ならびに利用された駅単位などによって,利用実績を整理した.そして,クラスター分析や非負値テンソル因子分解などを用いて,グループ化し,これらのグループごとの特徴整理をすることによって,利用者の交通行動分析を行った.また,個人単位ならびに利用された駅単位などによって,整理した結果を用いて,経年変化について整理し,時系列分析の手法を用いつつ,クラスター分析等の手法を用いて,グループ化し,これらのグループごとの特徴整理をすることによって,利用者の交通行動分析を行った.以上の交通行動分析結果が適切であるか否かについての検討を行い,提案したデータ抽出法が効果的であるか否かについての判定を行った.なお,効果的なデータ抽出法の模索に時間を要し,今年度のほとんどの時間をデータ抽出法の開発に要してしまった.そのため,次年度以降については,「6.具体的な地域公共交通計画立案へのデータ活用法の開発」「7.地域公共交通計画立案に資するビッグデータの整理ならびにその項目集の作成」を実施することを目指すとともに,さらなる分析を行うことを確認した.
著者
長谷部 一気
出版者
香川高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

超対称な高次元の非可換幾何の数理を確立し、それをトポロジカルな物理系に応用する研究を行った。平成23年度は、非可換幾何の高次元、超対称の数理的構築を球、双曲多様体について行った。その数理的研究と並行して、超対称な量子スピン系、非エルミート量子力学への応用した研究を行い、端状態、隠れた秩序といったトポロジー的構造を明らかにした。平成24年度は、超対称な量子スピン系の研究を更に深化させ、量子エンタングルメントといった最近の提案された概念の実現について研究を行った。平成25年度は、非可換幾何をトポロジカル絶縁体(特にAクラス、AIIIクラス)に適応し、その物理を解析した。
著者
篠山 学 松本 和幸
出版者
香川高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

人が自身の価値に気づく機会の一つに他者との対話がある.例えば,人から尋ねられてその回答を考えることで子供のころの夢などを思い出せたり,自分の行動を俯瞰できたりする.しかし,世界的な環境の変化により,人と会って対話する機会が減少している.そのため,気づきが得られる機会を創出することは重要である.そこで,これまでに構築したインタビュー対話コーパスを用いて人が気づきを得られる対話ロボットの研究を行う.本研究により,気づきを得られる対話システムが構築でき,気づきを得た対話も収集できる.また,収集した対話を分析することで,ユーザが気づきを得るための質問文の生成方法や相槌の挿入方法などを明らかにできる.
著者
坂本 具償 財木 美樹
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.81-119, 2008-03

It is said that Chun-qiu Fan-lu(春秋繁露)was written by Don Chong-shu(董仲舒) in Han(漢)period.This Paper is a translation,annotation and consideration of Chun-qiu Fan-lu bi-ren-qie-zhi(必仁且智),jiao-yu(郊語),qiu-yu(求雨),zhi-yu(止雨).
著者
栗原 義武
出版者
香川高等専門学校
雑誌
香川高等専門学校研究紀要 (ISSN:21852391)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.69-73, 2015-06

You can study cutting-edge worldwide technologies in a certain area such as signal processing of digital recording systems while sitting in the comfort of your home, Shikoku section of Japan. Magnetic recording technology has a long history in Japan. Japan has lead magnetic recording technologies for a long time. Hard disk drive (HDD) has played a key role in the area of storage technologies. In 1977 perpendicular magnetic recording was invented by a Japanese scientist who won the Japan Prize in 2010. Signal processing technology such as PRML (partial response maximum likelihood) has studied in Ehime University since 1980's.
著者
松下 浩明
出版者
香川高等専門学校
雑誌
香川高等専門学校研究紀要 (ISSN:21852391)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.159-170, 2014-06

アルゴリズム演習での使用を前提とした教育用グラフ理論ライブラリを開発した.本グラフ理論ライブラリは,短時間で習得できるよう,比較的単純な構造をもつライブラリである.理解しやすい学習項目から難しい学習項目まで等しく対応できるよう,複数の関数群を用意した.また,グラフの形状が簡単に判別できるようにするためにグラフエディタを作成し,グラフエディタが出力するグラフデータを入出力する関数を用意した.さらに,描画関数やよく使われるグラフのクラスを整備し,アルゴリズム演習時のプログラムエラーの発見を容易にした.アルゴリズムの動作確認では,アルゴリズムの途中の実行結果が得られる関数を用意し,確認作業を容易にした.また,比較的大きな応用プログラムの作成演習にも対応できようにするために頂点,辺にデータを付加する機能を備えた.本グラフ理論ライブラリを授業で使用した結果,効果的であることが確認できた.
著者
毛利 千里
出版者
香川高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

研究目的本研究の目的は、拡張現実技術:ARによる新しい表現手法を放射線シミュレーションソフトウェアに導入し学習者の試行を重視した体験・問題解決型の安価な放射線遮へい実験に関する教材を開発することである。研究方法教材はブロック型の材料、USBカメラ、マーカー、ソフトウェア、パソコンから構成している。この教材の利点は、学習者が実際の材料に触れ、重さや質感を直感的な操作を可能である。ソフトウェアの開発環境はVisual Studioを用い、量子線計算コードEGS4とシミュレーション結果を表示するARアプリから構成されている。EGS4とは電子・陽電子・ガンマ線などの量子線に関してベンチマークの実績が豊富な電磁カスケード輸送コードである。ARアプリは画像認識技術を原理としたツールで「マーカー」と呼ばれる任意の図形を判別し、実写画像と3次元CGの合成表示できるアプリケーションである。3次元CGはEGS4の出力をAR用に変換し作成した。材料は電子密度の違う材料として、発泡スチロール、コンクリート、鉛を用い、エネルギーは原子力発電所で発生する大きさ:10MeVを中心に1MeV、100MeVの3種類とした。研究結果本システムを2010年10月に東京で行われる国際会議「SNA and MC 2010」へ日本原子力研究開発機構の協力のもと出展し、専門家らに対してデモンストレーションを行った。その時に得た知見を参考にシステムのさらなる改善を行った。さらに一般への公開として本学の学園祭と愛媛大学の理化学イベントに四国電力、日本原子力学会中国四国支部と共同で展示した。300~400名程度の人がブースを見学・体験してくれた。参加者にアンケートを実施し9割以上の人が参加したことで自然や科学・技術への興味が高まったと回答があった。これより本教材の教育的な効果の高さを実証することができた。
著者
岡野 寛 細川 敏弘
出版者
香川高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

グラファイトシートを用いて弱光時には化学電池として動作し光励起によりパワーアップするソーラーアシストバッテリーを開発する。空気電池正極のグラファイトシート中もしくは表面に酸化物半導体が分散した構造を有する。グラファイトシート中への酸化物半導体の分散方法としては,アルコキシドを利用した湿式法とスパッタ法による表面への形成が有効である。またスパッタ法では,可視光域にバンドギャップを有するNbOの作製に成功した。正極にアルミニウム,負極に銅を用い,正極表面に酸化チタンを形成した構造で光照射により約18%光電流が増加した。しかし,実用的な空気電池に適用したところ,増加率は1%に満たない結果となった。
著者
宇野 光範
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.19-35, 2009-03

Arguments on minds and machines using G?del's incompleteness results are reexamined. Starting with the so-called naive criticisms against mechanism, Benacerraf's argument is analyzed by especially making a closer attention to the assumptions of his argument. Then, Crispin Wright's argument is discussed, where he attempts to overcome a certain consistency problem through the aid of intuitionist logic. Finally, it is shown that Wright's conclusion wouldn't follow, that his argument should be taken as a half of the argument from a larger perspective, in which the other half, if completed, seems to be consistent with mechanism.
著者
宇野 光範
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.47-59, 2005-03

There is a huge gap between a sentence being undecidable and a true sentence being unprovable. Although being a Platonist, Godel had been reluctant to explain his incompleteness theorems in terms of the notion of truth. Instead, he mentions on absolutely undecidable Diophantine problems with regard to his first incompleteness. This together with his distinction of objective/subjective mathematics, Godel's intended philosophical implications of his theorems are discussed. Difficulties under subjective math, when no Platonism is presupposed, are examined.
著者
笠井 健吉
出版者
香川高等専門学校
雑誌
詫間電波工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03882926)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.5-9, 2004-06-30

In the journal of "Chemistry and Education", we can see a mathematically simple and clear derivation-method of van't Hoffs Equation about the osmotic pressure. That is, from the relation of h=h' obtained mechanically, (Po-P)/dv=II/dl results in, then II=CRT is derived. But standing on the thermodynamical logic, we can not recognize the logic of derivation true. That is, the derivation-method depends on the mechanical logic only. Then in this paper, we will show that van't Hoffs Equation can not be derived without the thermodynamical logic, and that from the thermodynamical relation of (Po-P)/dv=II/dl, II=CRT and the mechanical relation of h=h' are derived against the journal's article. Furthermore, we will show that in this phenomenon, thermodynamical free energy is converted to gravitational one.