著者
宗政 五十緒 寺谷 隆
出版者
龍谷大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1・円光寺(京都市左京区一乗寺)の現存する木製活字の調査・研究を行なった。その結果は『円光寺の文化財ー伏見版木製活字などー』(円光寺.1991年5月刊)の「円光寺木製活字とその付属品」(『円光寺所蔵 伏見版木活字関係歴史資料調査報告書』[京都府教育委員会.1991年3月発行]の再録)の論文として発表した。これに引つづいて、本年度は円光寺現存木製活字(以下、円光寺活字と略称する)と、伏見版以外の活字版との関係について,研究を進め,これにより,円光寺活字のもつ近世初期の文化史上の意義が解明できることになった。円光寺活字と最も関係の深いものは徳川家康が駿河で出版を行なった駿河版(金属製活字を使用した活字版)との関係である。この金属製活字は鋳造活字であるので、鋳造するための字母を必要としたはずである。この字母は木製で、円光寺活字を彫造した慈眼・台林・半右衛門らによって製作されたものあると、私は推定する。2・諸種の古活字版を調査するに、東福寺版に円光寺活字を使用したのではないかと推測されるものが存する(例えば,『十九史略通考』)。また、片仮名活字はこれまで、伏見版に使用された例が発見されていないが、円光寺現存の片仮名活字は確かに使用されたと推測できることから、伏見版以外の活字版を製作した際に貸出されて使用されたことが考えられることになった。片仮名交りの『東鑑』などと考えあわせて、今後、更に調査・研究が行なわれねばならない。3・本研究によって、古活字版の出版者が、軍一の形態の活字のみならず、複数の形態の活字を所有していて、注文主に応じて,所在活字をさまざまに利用して、出版物を製作していたことが明瞭に把握できることになった。その一例は、円光寺活字の彫字工台林の出版活動である。彼が刊行した『課抄』はその具体的なものである。
著者
浜井 浩一 辰野 文理
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

近時、日本では、凶悪犯罪の増加など治安の悪化が大きな社会問題として取り上げられている。マスコミには、凶悪犯罪が起こるたびに、凶悪犯罪が多発しているといった枕詞に続いて、認知件数や検挙率といった警察統計が頻繁に登場するようになった。多くの国民にとって治安の悪化は疑問の余地のないもののようにとらえられている。しかし、認知件数は、あくまでも警察に事件が届けられ、警察が犯罪として認知したものを計上したもので、警察の対応によって大きく数字が変化するなど、犯罪発生をそのまま反映したものではない。本研究プロジェクトは、こうした警察統計の持つ問題点を克服し、正確な犯罪動向を測定するため、日本版犯罪被害調査を開発することを目的としている。具体的には、日本だけでなく英米などの警察統計等を詳細に分析し、その犯罪指標としての特徴、限界等を明らかにすると共に、英米での犯罪被害調査の実情及び成果について調査研究を実施した。この部分の成果については、2006年1,月に『犯罪統計入門(日本評論社)』として刊行した。そして、その成果を踏まえつつ、2006年度からは、日本の犯罪事情を正確にとらえることのできる犯罪被害調査の開発に取りかかった。また、本研究では、新たに調査票(質問紙)を作るだけでなく、調査の実査方法についても検討した。調査対象者を二つのグループに分け、一つのグループについては、従来から日本の世論調査等でよく用いられている訪問面接方式によって調査を実施し、もう一つのグループについては訪問留置き方式によって調査を実施した。これは、近時、個人情報に対する国民の意識の高まり等によって、世論調査・社会調査の実施環境が著しく悪化し、調査の回答率が低下したことに加えて、調査実施に対する苦情も増大しつつある現実を踏まえてのものである。さらに、回収率の低下が調査の信頼性にどのような影響を与えるのかを検討するため、無回答者に対して、質問項目を絞った簡易質問紙を郵便で送付する追跡(二次)調査を実施し、その結果を訪問調査の結果と比較した。今後は、この成果を踏まえ、個人情報保護下における犯罪被害調査のあり方について検討する。
著者
木坂 順一郎
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.28-76, 1993-03