著者
人見 勝人 中島 勝
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996 (Released:1996-04-01)

“生産(モノ造り)"は、人間生活の基盤、国富の形成、そして世界平和のために欠かせない社会的基本活動と考察し、現今のモノ造り状況が、製品飽和、設備過剰、工業空洞化、工場現場忌諱、資源枯渇、環境破壊などの難点・ジレンマを抱えていることを指摘した。それを克服し、これからのモノ造りの秀麗性を高揚する概念・21世紀へ向けた普遍的生産原理として、“[社会的]マニュファクチャリング・エクセレンス([Social]Manufacturing Excellence)"(生産美学)を定義し、提唱した。マニュファクチャリング・エクセレンスを具象的に遂行する基本的方策として、自動化生産(FA/CIM)、人間尊重生産、高付加価値生産、環境調和(グリーン)生産を論じた。現在の資本主義体制下の企業の過当競争でひきおこされている過剰生産、使い捨て浪費(アメリカ的文化)、そしてまだ使用可能な物品の大量廃棄による天然資源の枯渇、自然環境の汚染、ひいては地球破滅と人類滅亡を防ぐためには、仏教・道教で教える「知足」(吾唯足ルヲ知ル)の精神・原理に基づく、各企業の“社会的適正生産(Socially Appropriate Manufacturing)"の考え方を提起する。つまり、これまでの“大量(過剰)生産・大量消(浪)費・大量廃棄"型から“知足生産・知足消費・極少廃棄"型への企業・個々人、そして国家・世界の変容をうながす。この「社会的適正生産」のあるべき姿としては、最底限の性能を持つ独創性に富む完璧な製品の開発、最長寿命を保証した部品・製品の使用、資源と部品の再利用・リサイクルの考慮と極少廃棄、最底限利益の企画を論議した。
著者
脇田 滋 木下 秀雄
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

本研究は、介護労働者の雇用をめぐる現状を把握し、それを歴史的な発展のなかで位置づけるとともに、ヨーロッパを中心とする先進諸国での立法政策との比較を通じて、日本における問題の解決に向けて、法理論的な課題を明らかにしようとするものである。この目的のもと、平成7年度から平成8年度にかけて2年間にわたって在宅福祉を支えるホームヘルパーを中心に、(1)在宅福祉サービスをめぐる動向、(2)派遣型介護労働者の雇用をめぐる労働条件の実情把握、(3)比較法の視点から派遣型介護労働者をめぐる立法政策の課題を中心に研究を進めた。実態調査としては、京阪神地区以外に、金沢、岡山、福岡、横浜、東京都等の地域福祉における介護従事者についての実態調査に重点をおき、家政婦紹介所関係者、職業安定業務従事者、ホームヘルプ労働者などから「聞き取り調査」を行った。その結果、ホームヘルパーの地位は、(a)常勤の公務員、(b)非常勤の公務員、(c)社会福祉協議会等民間団体による常勤職員、(d)同登録・非常勤職員、(e)有料職業紹介による家政婦に、複雑に分化していることが確認できた。全体として「ホームヘルパは在宅介護のかなめ」と指摘されてきているが、実態は必ずしもそうした指摘にふさわしいものとなっていない。在宅福祉の要であるホームヘルパーの雇用条件を抜本的に改善するためには、日本に特有な非正規雇用による現状を改める必要がある。とくに、雇用管理をめぐる責任とサービス提供の責任との交錯をめぐる検討は皆無に近いので、この点についての本格的な比較研究は今後の大きな課題として位置づけられる。
著者
入澤 崇
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大學論集 (ISSN:02876000)
巻号頁・発行日
vol.457, pp.15-35, 2001-01
著者
佐々木 英昭
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-13, 2008

文学的趣味の東西での「矛盾」をどう考えるかという英国留学期以来の夏目漱石の課題は、数年後の大著『文学論』において、「正典」の形成とそれへの抵抗の様相を「暗示」の戦いという図式において把握するという理論に結実している。この「暗示」概念を中核とする漱石の理論をロシア・フォルマリズムやI・A・リチャーズなどの先駆的文学理論と突き合わせ、それらに先行した『文学論』の世界史的意義を考察する。
著者
上山 大峻
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大學論集 (ISSN:02876000)
巻号頁・発行日
vol.421, pp.88-121, 1982-10
著者
川角 由和 中田 邦博 児玉 寛 岡本 詔治 森山 浩江 若林 三奈 松岡 久和 潮見 佳男
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

本研究の目的は、第一にEU域内市場の拡大・展開を受け、EUレベルで進行する私法の統一化の動きを全体として跡付けてその特質を解明すること、第2に、こうした動きを基礎づける近代ヨーロッパ私法の原理(とくに契約法にみられる原理的共通性)や統一私法典の構想等を分析し、わが国の私法への影響を考察することにある。今回の研究期間内には、とくにこうしたヨーロッパ私法統一の動向そのものの分析と、日本法に対してそれがどのような影響を及ぼすのかを比較法的手法を用いて解明することに重点を置くものとした。この期間内には、本研究の中核メンバーによってヨーロッパ契約法原則の意義を明らかにし、それが日本法にどのような影響を及ぼすかを検討するシンポジウムを、比較法学会において開催した。また、こうした研究作業の基礎資料となる「ヨーロッパ契約法原則」についての翻訳プロジェクトに取り組み、すでに潮見佳男=中田邦博=松岡久和『ヨーロッパ契約法原則I・II』(法律文化社、2006)の刊行を終わり、IIIの刊行を予定している。また、これまでの研究成果を集大成した『ヨーロッパ私法の展開と課題』の刊行が予定している。以上のように、本研究は、さらなる展開を示しつつあるヨーロッパ私法・契約法の全体像を解明するために、さまざまなプロジェクトにおいて深化し、またすぐれた研究成果を挙げている。
著者
近藤 倫生
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

数理モデリングの手法と食物網のネットワーク解析を組み合わせることで、生物を特徴づける適応的行動の、食物網構造やその個体群動態への影響を研究した。主な成果は以下の通りである:(1)捕食者の適応的採餌や被食者の適応的対捕食者防御によって、食物網における複雑性-安定性の間に成立する関係が質的に変化することを理論的に示した;(2)食物連鎖長とその生態系生産性への反応は適応的採餌の結果として理解が可能であることを理論的に示した;(3)自然食物網は適応的餌選択から予測されるようなネスト構造をもつ栄養モジュールの集合として理解できることを明らかにした;(4)自然生態系における捕食者と被食者の脳サイズにはいくつかの特徴的なパターンが見られることを発見した;(5)カリブ海の食物網は複数の栄養モジュールが、そこでの生物多様性を維持するような規則に従って配置されていることを発見した。
著者
松居 竜五 奥山 直司 橋爪 博幸 安田 忠典 小峯 和明 千本 英史 横山 茂雄
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究では南方熊楠の未公刊資料のうち、書簡、日記、ノート類など自筆原稿に関して、翻刻およびデータ編集をおこなった。またその結果に基づいて論文、展観、シンポジウムなどのかたちで南方思想の学際的かつ国際的な研究を進めた。このことにより、南方の比較説話学、仏教学、環境思想などに関して、従来よりも幅広く精緻な像を示し、今後の研究の方向性を切り開くことができたと考えている。
著者
大柳 満之 中沖 隆彦 中野 裕美 青井 芳史
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

積層不規則構造をもつナノ粒子の構造規則化と結晶配向、焼結の相関および、それに影響を及ぼす条件・因子に関する研究を行った。焼結パラメーターや添加材(CにはB、BNにはホウ素酸化物など)を変えることで、ナノ粒子の構造規則化・結晶配向・緻密化に及ぼす影響を調べた。積層不規則構造を保ちながら緻密化した焼結体と結晶配向の著しい焼結体を作り分けることに成功し、それらが特異な性質を示すことを明らかにした。
著者
宮永 昌男
出版者
龍谷大学
雑誌
社会科学研究年報 (ISSN:0288481X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-13, 1985-03-31
著者
福島 至
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

適切な公的検死(死因究明)制度を構築するためには、独立性・中立性、公開性、専門性、標準化の基本要素が不可欠であるとの結論に至った。独立性・中立性は、政府や自治体の各機関や当事者などの影響を受けないようにして、死因特定の結論が歪められないようにする。公開性とは、最低限のプライバシー保護をしつつも、得られた知見を事故等の再発防止に役立てる。専門性とは、法医学に精通した者が判断に関与することである。標準化は、全国的に等しいサービスを提供することである。
著者
中村 尚司 津田 守 広岡 博之 河村 能夫 鶴見 良行
出版者
龍谷大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993 (Released:1994-04-01)

本年度は、2年目であるため報告書のまとめ方を念頭において、4回にわたる研究会を開催した。5月27日の第1回研究会では、津田守が「ピナトゥボ大噴火にともなう災害とルソン島中部の地域開発」について報告し、自然災害に対する救助活動の国際比較をまとめることにした。6月27日の第2回研究会では斉藤千宏「貧困・ニーズの充足・指標--80年以降の諸理論の比較検討」について報告した。あわせて中村尚司が「参加型農村開発の諸問題」を取り上げ、コロンボ大学との共同研究案を紹介した。第3回研究会は、9月8、9の両日に原グループと合同で福岡にて研究合宿を行った。川村能夫が「貧困概念とその指標について」、広岡博之が「社会経済指標の再検討について」報告した。10月17日に行なった第4回研究会では、斉藤千宏が「民衆科学運動と政府の相互作用--インド・ケララ州の事例--」、中村尚司が「海の交易と経済システム」について報告した。12月16日に、食道ガンの予後が思わしくなかった研究分担者の一人である鶴見良行が急逝し、共同研究を続けることができなくなった。まことに残念である。最終回の第5回研究会は、2月13日から15日まで長浜市において合宿し、報告書の執筆内容について各自が概要を報告し、その研究内容について討論した。この研究会の報告書は、鶴見の執筆を得られないものの、次年度の総括班の刊行物として印刷される予定である。
著者
石塚 伸一
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

この3年にわたる調査研究、とりわけ、薬物依存に関する治療共同体や米国のドラッグ・コートの調査を通じて、われわれは、日本においても大胆なダイバージョン・プログラムを導入し、依存症回復のためのプログラムを開発する必要があるとの結論に到達した。そのためには、(1)依存症者自身が回復の主体であること、(2)その支援は非政府組織や地域社会を中心に行われるべきこと、そして、(3)再使用は回復のためのステップであることについて、司法、医療および福祉の関係者が前提理解を共有することが必要であること、なども明らかになった。その成果は、『日本版ドラッグ・コート〜処罰から治療へ〜』(日本評論社、2007年)の刊行や国際シンポジウムや学会報告を通じて公表した。この間、刑事施設の運営および社会内処遇の改善のための立法作業が進められていることもあり、われわれの「日本版ドラッグ・コート」構想にも関心が寄せられ、多くの理解者を得ることができた。しかし、この構想を実現するためには、(1)法的諸問題の精緻化、(2)社会的コストの算出、(3)効果的な回復モデルの開発、(4)関係機関・団体のネットワークの構築など、新たな課題も発見された。今後もその実現のための実践的な調査研究活動を継続していく予定である。
著者
川端 正久 勝俣 誠 原口 武彦 大林 稔 落合 雄彦 望月 克哉
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1997-04-01)

平成9年度は日本側研究者とナイジェリア側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとナイジェリア」および「世界の中の西アフリカとナイジェリア」であった。日本側研究者とナイジェリア側研究者は共同研究シンポジウム(1997年12月、ナイジェリア国際問題研究所)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施した。西アフリカにおけるポスト構造調整への移行、ナイジェリアにおける民政移管の進行、ナイジェリアの状況(ビジョン2010、民政移管のプロセス、ナイジェリア経済の現状、日本・ナイジェリア経済関係、ナイジェリアの政治経済社会、市民社会の形成など)について分析した。平成10年度は日本側研究者とコートジボワール側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとコートジボワール」および「世界の中の西アフリカとコートジボワール」であった。日本側研究者とコートジボワール側研究者は共同研究シンポジウム(1998年9月、社会経済研究センター)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施し、日本の援助案件のサイトを視察した。西アフリカの政治経済情勢、西アフリカにおける政治的民主化と民族・部族問題、CFA と非CFA、農業産品の生産と輸出、農業経済の状況、人民経済の可能性、アフリカ・アジア経済関係、日本のアフリカ外交などについて分析した。平成11年度は日本側研究者とアフリカ側研究者2人および研究協力者の共同研究を主たる内容とした。研究項目は研究課題全体の総括的研究であった。2回の共同研究シンポジウム(1999年9月と11月、アジア経済研究所)を開催した。西アフリカの持続的開発と金融制度、民族問題と民主化、人民経済の展望、宗教と社会、市民社会と新たなアクター、西アフリカの民主化、アフリカの民主化の成果と限界などについて分析した。研究分担者および研究協力者の論文12本で研究成果報告書を作成した。内容は西アフリカにおける政治的民主化、持続的経済開発、社会的変動などについて分析した論文から構成されている。