著者
近藤 春生 コンドウ ハルオ KONDO HARUO
出版者
西南学院大学学術研究所
雑誌
西南学院大学経済学論集 (ISSN:02863294)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.103-124, 2014-12

我が国では,特にバブル崩壊後の1990年代に景気対策として公共投資が積極的に用いられてきたにも関わらず,景気回復が思わしくなかったこともあり,公共投資の有効性や,社会資本の効率性について懐疑的な見方がなされるようになって久しい。しかしながら,2012年の総選挙で約3年ぶりに政権に復帰した自民党は「国土強靭化」をスローガンに,再び公共投資を増額する意向を示している。少子高齢化を背景に,我が国の財政状況はより厳しくなることが予想され,効率的な予算配分を実現するためには,公共投資(もしくは社会資本)の質を高めることは喫緊の課題であるといえる。また,不況局面に入ると,特に公共事業への依存度が高い,非都市圏において,地域経済対策として公共投資を求める声も依然として聞かれ,公共投資(社会資本)が地域経済にどのようなインパクトを与えているかを分析することは今なお重要であると考えられる。公共投資を含む公的支出や社会資本と地域経済の関係について実証的に分析したものとしては,例えば,土居(1998),林(2004a,b)や近藤(2011)があげられる。これらの研究では,都道府県単位のパネルデータを用いて,社会資本を含んだ生産関数の推定や,ベクトル自己回帰(VAR)モデルによる分析を行っている。ただし,公共投資の効果や社会資本の効率性は,その内容(産業基盤か生活基盤か,道路か住宅か)によっても大きく変わるであろう。そこで,本稿では,地域経済への貢献がしばしば期待され,事業規模が最も大きい道路に着目して,社会資本ストックとしての道路資本と地域経済との関係について,都道府県単位のパネルデータを用いたVARモデルによって明らかにすることを試みる。具体的には,道路資本と生産量,民間資本,雇用との相互関係を明らかにする。また,道路の種類による違いを考慮すべく,国道と地方道に分けて分析するほか,地域および時期による違いも考慮に入れるべくサブサンプルを用いた分析も行うこととする。本稿の構成は,以下の通りである。第2節では,社会資本や道路資本の経済効果に関する先行研究を概観し,論点整理を行う。第3節では,実証分析の枠組みとデータを説明し,推定結果について述べる。第4節はまとめである。
著者
大西 英雄 網島 ひづる 金井 秀作 近藤 敏 今泉 敏 細羽 竜也 古屋 泉 細川 淳嗣 ONISHI Hideo AMIJIMA Hizuru KANAI Shusaku KONDO Satoshi IMAIZUMI Satoshi HOSOBA Tatsuya FURUYA Izumi HOSOKAWA Atsushi オオニシ ヒデオ アミジマ ヒヅル カナイ シュウサク コンドウ サトシ イマイズミ サトシ ホソバ タツヤ フルヤ イズミ ホソカワ アツシ
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.111-120, 2009-03

報告Reports本研究の目的は,ICT(information communication technology)を活用した効果・効率を高めた教育-学習システムを構築しその評価を行う。そのシステムは,教員が授業内容として作成したコンテンツをインターネット上にあるサーバーにuploadを行い,コンテンツを教員・受講生ともに各自のPCからインターネット経由でサーバーにアクセスを行う。同時にSkypeTMによるWebカメラとヘッドホーンを利用した双方向のリアルタイム音声・画像システムを利用して,対面授業を行う。授業内容は大学院(保健福祉学専攻)レベルとした。研究参加に同意した受講生を対象に本システムを活用した模擬授業を行い,その有効性及び特異性などについて質問紙調査を実施した。その結果,遠隔地からでも受講可能であること,対面授業による学生と教員のコミュニケーションの効果や受講生が自由にインターネットでコンテンツにアクセスすることで予習や復習ができることなどから学習意欲が高まるなどの評価が高かった。しかし,SkypeTM使用における通信スピードの低下などによう画像劣化や音声の劣化など今後の対策が求められた。The purpose of this study was to construct and evaluate a Web-based education and learning system, which enhances the effects and the efficiency of learning by the use of ICT (information communication technology). The system allows class contents to be uploaded to an Internet server, and to be simultaneously accessed by both the teacher and students using PCs. An interactive lesson could be held by means of a real-time audio and visual system using Skype™ with Web cameras and headphones. The class contents in our study were graduate-school level (Faculty of Health and Welfare). Having obtained consent for our research from the participants, we conducted a class utilizing the system and conducted a questionnaire survey about its efficacy and specific qualities. The results indicated a high evaluation of the system in that learning was facilitated by the capability of the system which allowed students to prepare and review lessons, to access contents even from distant locations, and to participate in interactive lessons with the teacher. However, future measures to deal with problems including image distortion, poor sound quality and slowness in Skype™ communication speed are required.
著者
植田 喜久子 滝口 成美 宮武 広美 吉野 純子 飯村 富子 野村 美香 近藤 真紀 中信 利恵子 藤田 佳子 永井 真由美 五嶋 育子 成田 伸 ウエダ キクコ タキグチ ナルミ ミヤタケ ヒロミ ヨシノ ジュンコ イイムラ トミコ ノムラ ミカ コンドウ マキ ナカノブ リエコ フジタ ヨシコ ナガイ マユミ ゴトウ イクコ ナリタ シン
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
日本赤十字広島看護大学紀要 (ISSN:13465945)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.55-63, 2002

本研究の目的は、日本人の壮年期にある女性の健康的なライフスタイルを査定する質問紙を開発し、その信頼性と妥当性を検討することである。 最初に4段階のリッカートスケールをもつ47項目からなる質問紙を開発した。質問紙は、ブレスローやペンダーの理論や日本人の壮年期にある女性に関する研究を基礎として作成した。予備調査の後、2001年5月から6月に本調査を行い、572名の女性から回答を得た。信頼性や妥当性をクロンバックのα係数、主成分分析、ライフスタイル総得点の分布、ライフスタイル得点と森本のHPI得点との相関係数により検討した。その結果、クロンバックのα係数は、0.88であり、7つの下位尺度と29項目が得られた。これらの下位尺度と因子分析前の下位尺度には、「食事」、「運動・休養」、「健康への関心」では一致がみられ、構成概念妥当性はある程度確保されていると考えられた。このライフスタイル指標は、ある程度の信頼性や妥当性を得ており、日本人の壮年期女性のライフスタイル指標として、心理的、社会的な側面や価値観を考慮した尺度であると考えた。今後の課題として、日本人の壮年期女性の体験をふまえながら、洗練したライフスタイル指標を作成していく必要がある。