著者
新居 久也 牧口 祐也 藤井 真 上田 宏
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.855-869, 2010 (Released:2010-11-01)
参考文献数
53
被引用文献数
3 4

シシャモの産卵遡上の知見を蓄積するために,超小型の電波発信機の体内装着が魚体に及ぼす影響を水槽実験により検証した。さらに,装着魚(鵡川産の雄 14 個体)の河川内行動を受信機により追跡した。装着魚と非装着魚の間に,泳力,産卵行動,生理学的ストレス指標値に差はなかった。河川内では,平均遡上速度が 3.8~17.8 cm/sec であり,流心部を避けて遡上した。定位箇所は,流速が遅く(60 cm/sec 以下),倒木等のカバーが存在した。小型の遡河回遊魚であるシシャモの遡上行動が初めて連続的に解析された。
著者
浦野 慎一 高橋 英紀 町村 尚 平野 高司 山梨 光訓 上田 宏 堀口 郁夫
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

陸地水体と生物生産の相互関係を明らかにするため、北海道の洞爺湖とその周辺を対象に水温、気温、風向風速等を観測し、貯熱量と湖効果を検討した。またアフリカのザンベジ河氾濫原で水文気象観測を実施し、氾濫原の特性と水田開発の関係を検討した。さらに基礎的研究として、様々な植生における蒸発散量を観測し、比較した。以上のことを13編の論文にまとめ、報告書(158ページ)にまとめた。得られた結果の概要は以下のとおりである。洞爺湖では、水体の貯熱量が大きいため、陸地と湖水面における有効エネルギーの季節変化に約半年の位相のズレが確認され、この位相のズレが湖効果の原因になっていることがわかった。また洞爺湖の湖効果は相対的に冬期より夏期に強く出現すること、地域的には夏期の一般風の主風向が南よりであるため北側の湖岸で強く出現することがわかった。以上のことから、夏期の生物生産最盛期に湖効果が出現する地域では、気温を考慮してその地域に適切な作目を選ぶ必要があると考えられた。ザンベジ河氾濫原では、蒸発散量は雨季終了後および冷涼乾期に大きな減少が見られなかった。これは周辺台地から供給される地下水の流れによるものと推察され、水田開発を行うにはこのような地下水流を考慮に入れる必要があると考えられた。また、基礎的研究として森林、トーモロコシ畑、牧草地の蒸発散量を比較した結果、牧草地ではデカップリングファクターが最も大きく、相対的に空気力学的作用よりも熱収支的作用の方が蒸発散量に大きく影響していることがわかった。
著者
上田 宏 堀畑 篤史 渡辺 元気 相澤 光恵 大松 恭宏 丹根 一夫
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.37, pp.285-287, 2008
被引用文献数
1

近年, アレルギー性鼻炎や花粉症, 口蓋扁桃の肥大により鼻呼吸障害を有する小児が多く見受けられ, 昨今話題の「睡眠時無呼吸症候群」と診断されないまでも, 睡眠・呼吸障害に至る可能性が指摘されつつある。その中でも口唇閉鎖機能が低いことによる安静時の長時間に渡る上下口唇の離開は口呼吸とも密接に関連し, 口腔周囲機能の不均衡から最終的に歯列や顔面の形態的変化を引き起こす可能性もある。そこで我々は口元を中心とした横顔の顔面分析結果から口元が突出した学童の上下口唇閉鎖力が弱いのではないかという仮説を基に, 小学4年生と5年生165名の学童を対象に口唇閉鎖に必要な力を測定した。その結果, 上口唇の突出度を表すNasolabial angleの計測項目による分類では, 突出群の口唇閉鎖力は標準と比べ有意に低い値を示したことから, 我々の仮説である口唇閉鎖機能が弱いまたは問題があることと前歯の前方傾斜などによる口唇前突形態が密接に関連していることを示唆した。
著者
上田 宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.127, no.1, pp.71-80, 2007 (Released:2007-01-01)
参考文献数
18
被引用文献数
4 6

Proteins having multiple epitopes can be usually measured with sandwich ELISA employing two kinds of antibodies, which permits high sensitivity as well as a wide working range of more than three orders of magnitude. On the other hand, so-called monovalent antigens with MW less than 1000 are not susceptible to sandwich assays due to their small size and have almost always been measured in competitive assays. However, while a competitive assay needs only one antibody due to the principle of ratiometric measurement, optimization of the reaction conditions is necessary to attain suitable sensitivity and working range, which are often inferior to those of sandwich assays. As an alternative immunoassay for small antigens, here we propose a noncompetitive “open sandwich” immunoassay, which is based on the principle of stabilization of the antibody variable region Fv upon binding with antigen. Using ELISA to detect labeled VH fragments bound to immobilized VL in the presence of sample in microplate wells, various small molecules with MW around 200—300 can be measured with a superior detection limit and working range compared with those achieved with the corresponding competitive assays. The results indicate a common antigen recognition mode of anti-hapten antibody and wide applicability of the assay to the sensitive and handy analysis of low molecular-weight substances in areas such as environmental analysis and clinical diagnostics.