著者
高橋 和雄 藤井 真
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.567, pp.33-52, 1997-06-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14

雲仙普賢岳の火山災害では, 当初198年前の寛政の噴火当時に生じた眉山の崩壊を警戒した避難計画が策定された. 今回の災害では土石流および火砕流が頻発したため, これらの発生に備えた避難対策や博報伝達体制が導入された. しかし, 火山噴火災害の事例が少ないこともあって, 避難対策および博報伝達体制に数多くの課題が生じた. 本報告では, 雲仙普賢岳の火山災害における情報伝達体制および住民の避難対策を詳細に調査した結果をまとめる.
著者
恩田 光子 今井 博久 正野 貴子 高田 百合菜 藤井 真吾 七海 陽子 荒川 行生
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-11, 2016-08-31 (Released:2016-09-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2

ほとんどの在宅療養患者には,複数の薬剤が処方されており,政府は薬剤師による在宅ケアへのさらなる参画を推進している.しかしながら,副作用(副作用の疑い)(Adverse Drug Reactions: 以下 ADRs)の発生に関する情報はほとんど存在しない.本研究の目的は,在宅療養患者における薬物治療に伴う ADRs の発生状況,ADRs との関連要因について明らかにすることである.調査対象は全国の保険薬局とし,当該薬局において訪問サービスを実施している薬剤師に対して,訪問対象患者に関する調査票への記入を依頼した.主な調査項目は,患者属性,内服薬の品目数,ADRs の有無とその具体的内容,訪問サービスに係る薬剤師の業務量とした.1,890薬局から5,447人分の患者データを収集した結果,薬剤師が訪問時に ADRs を発見した患者割合は14.4%であった.10件以上報告された ADRs は12症状分類で全体の85.2%を占め,上位5症状分類は,めまい・ふらつき・立ちくらみ等,消化器障害,臨床検査値異常,意識障害,皮膚症状であった.被疑薬は,上位12症状分類のうち7症状分類において,催眠鎮静剤・抗不安剤,精神神経用剤,その他の中枢神経系用薬のいずれかが被疑薬の上位3項目に含まれていた.また,ADRs との関連要因として,患者の性別,居住形態,内服薬の品目数等が抽出された.日本の在宅医療における ADRs の割合は,諸外国と比較し大差はないが,被疑薬に占める中枢神経系用薬の割合が高いことが示唆された.また,ADRs の発生と多剤併用の関連も実証されたことから,医師と薬剤師の協働による中枢神経系用薬の減薬に取り組む必要がある.
著者
藤井 麻湖(藤井真湖)
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究はモンゴル・フォークロアにおける馬の隠喩を『チンギス・ハーンの二頭の駿馬』をもとに考察したものである。チンギス・ハーンと密接な関係にあるため、モンゴルの古典『元朝秘史』研究と連動していることが本研究の特徴である。黄河湾曲部のオルドス地域は当該伝承の中心の地であるが、『元朝秘史』によればこの地を賜ったのはタタル部のイェスイ妃である。馬が女性、とくに非正妻を意味するという観点から二頭の馬をみるとき、チンギス・ハーンの非正妻であるタタル部出身のイェスイ妃とイェスゲン妃の二人の姉妹がモデルとして浮上してくる。
著者
恩田 光子 今井 博久 七海 陽子 平野 章光 藤井 真吾 荒川 行生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.3, pp.519-527, 2015 (Released:2015-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 8

A nationwide survey was conducted to verify relations between the workload of home-visiting service by community pharmacists and outcomes. Data were collected on 5447 patients from 1890 pharmacies. Most (61.9%) pharmacists visited patients' homes twice monthly, spending there a net average of 20.6 work minutes. At the time of the survey, 29.8% of the patients had improvement of adherence compared with at start of home visits; 65.5% had no change, and 1.4% had gotten worse. Similarly, 41.6% had decreased unused medications, 54.4% had no change, and 2.3% had increased. Home-visiting pharmacists found adverse drug events (ADEs) caused by drug administration in 14.4% of their patients. They dealt with 44.2% of these cases by discontinuing administration of the responsible drug, 24.5% by reducing the dosage, and 18.3% by changing drugs, with a total of 88.1% having been improved. Prescription changes intended to correct problems occurred in 37.1% of the patients. In patients whom the pharmacists visited more often, a higher percent had ADEs, had their prescription changed to correct problems, and had improved adherence and unused medications. The average actual work time was longer in patients whose outcomes improved than in those whose outcomes did not. A higher involvement in homecare by pharmacists was found to improve outcomes of drug treatment.
著者
高橋 和雄 藤井 真
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.567, pp.1-17, 1997-06-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
3

長期化・大規模化した雲仙普賢岳の火山災害における道路および鉄道の被害, 代替交通, 復旧対策および交通途絶の影響を明らかにした. 島原半島は地形的に道路が不足しており, 従来から大きな課題であったが, 災害時にその脆さのために孤立状態となり, 地域に大きなダメージを与えた. 本報告では, 道路・鉄道における応急・緊急対策, 恒久対策への取組みを詳しく報告する.
著者
高橋 正樹 藤井 真人 柴田 正啓 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.1036-1044, 2009-07-01
被引用文献数
1

ゴルフ中継番組で利用可能なティーショット軌道表示システムを開発した.広角で撮影したカメラの実映像上へ軌道を表示できるため,軌道の把握が容易である.また1台の放送カメラから得られる情報のみを用いて軌道を作画できるため,撮影機材や人員を追加する必要がなく,運用性に優れている.2005年日本オープンゴルフ選手権中継にて,放送応用を実現した.しかしショット直後や着地直前のボール追跡が困難なため,打点,着地点,静止点を手動指定する必要があり,「軌道表示まで時間を要する」,「バウンド軌道を表現できない」などの課題も残った.そこで本論文では,全区間の軌道を全自動・リアルタイムで作画可能な新たなティーショット軌道表示システムを提案する.提案システムは,背景輝度に基づくしきい値の自動切換機能,三次元実空間での位置予測による着地タイミング推定機能,過去方向への映像再生による打点までのボール追跡機能を備える.実験により,提案システムが速度,精度のバランスにおいて優れており,即時性,信頼性が要求されるゴルフ中継での運用に適していることを確認した.
著者
長 秋雄 国松 直 金川 忠 藤井 真希 横山 幸也 小川 浩司 田仲 正弘
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7-8, pp.413-447, 2009-08-05 (Released:2013-08-05)
参考文献数
36
被引用文献数
2

初期地圧は,地下岩盤開発における地下構造物の建設・維持の安全性に必要な情報として,これまで測定されてきている.しかし,過去に実施された測定結果は非常に貴重なデータにも関わらず,データベース的な意味でそれらを収集整理した文献は見当たらない. 本論文では,過去に公表された75 論文に掲載された初期地圧測定結果について,初期地圧の値とともに初期地圧状態の考察において必要と思われる項目(例えば,測定位置の被り深さ,岩種など)を収集・整理した.また,可能な限り測定位置の応力状態が理解できるように,公表されたデータから三次元主応力とそれらの方向余弦・6 応力成分・水平面内主応力・鉛直応力等を計算し,データベースとしての視点のもとに一覧表形式で表示した. 収録データをもとに,初期地圧と被り深さとの関係,初期地圧と測定標高との関係,初期地圧と岩級との関係などについて,岩種を区分(堆積岩,火成岩,変成岩)して検討を行った.
著者
望月 貴裕 蓼沼 眞 藤井 真人 伊藤 崇之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1729-1739, 2005-08-01
被引用文献数
3

本論文では, 検索対象データベース(DB)に出現頻度の高いテクスチャ及び色集合(代表テクスチャ, 代表色)を用いて描画した問合せ画像による画像検索手法を提案する. 代表テクスチャは, DBの画像特徴ベクトル集合のクラスタ分析により抽出する. また, 代表色は, DBのHSVヒストグラムに基づき求める. 更に, 提案手法によるユーザインタフェースを試作し, これを用いた画像検索実験により, 利用者の検索意図を反映した良好な結果が得られることを確認した.
著者
高橋 和雄 藤井 真
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.567, pp.53-67, 1997-06-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10

地震, 風水害などの一過性の災害と異なって, 火山災害は長期化する特性をもつ. 火砕流に対して人命を守るために, 市街地で初めて警戒区域が設定された. わが国の災害対策は主として一過性の災害応急対策および被災者対策を対象としているために雲仙普賢岳の火山災害では被災者対策, 住宅対策, 生活再建計画などに多くの教訓と課題が生じた. 行政は, 現行法の拡大解釈および弾力的運用による21分野100項目の自立支援対策, (財) 雲仙岳災害対策基金および市町の義援金基金等によるきめ細かい被災者対策を行った. しかし, 災害対策システムの見直しなどの根本的な課題の解決はまだこれからである, 本報告では, 雲仙普賢岳の火山災害における被災者対策をまとめている.
著者
望月 貴裕 藤井 真人 篠田 浩一 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.1009-1023, 2010-06-01
被引用文献数
2

スポーツ映像から特定シーンを効率良く検索する技術の実現が強く望まれている.我々は,シンボル列化したシーンの離散HMMを用いた学習による,野球映像の各シーンのプレイ種識別手法を提案した.しかし,出塁及びアウトカウント増加の起こる7種の「打席完了」プレイ種のみを識別対象としていたため,打席の完了しないプレイ種(投球のみ,ファウル,牽制及び盗塁)を識別対象に加えた場合,十分な識別精度が得られなかった.そこで本論文では,我々の従来手法に対し,新しく2種の「プレイ種相関度」を識別尺度として加えた野球映像のプレイ種識別手法を提案する.プレイ種相関度の一つは,シンボル列を構成するシンボルの中の「代表シンボル」の出現頻度に関するものであり,シンボル列全体ではなく個々のシンボルに注視した特定プレイ種との相関の強さを表す.もう一つは,投球ショット間隔に関するものであり,投球ショット間隔の長さのプレイ種との相関の強さを表す.学習用シーンのシンボル列を学習したHMMによるプレイ種ごとの出力ゆう度と,2種のプレイ種相関度を重み指数を付加して掛け合わせて各プレイ種の総合的なゆう度を算出し,識別を行う.そして本論文では,MLB放送映像を用いた実験により,打席完了プレイ種だけでなく,打席の完了しないプレイ種を含めた11のプレイ種を従来手法よりも高い精度で識別可能であることを示す.
著者
藤井 真一 海上 道雄
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.231-237, 1965-07-25
被引用文献数
1

長野県南佐久郡南牧村野辺山の東京教育大学農学部附属八ケ岳演習林で、1961年5月23日に発生した霜害について、地形・気象とカラマツ幼齢木の被害との関係を調査した。1)調査地区の南端部にある矢出川の流れの低地に強い冷気湖が発生している。この冷気が岡囲にあふれ、被害の地域を広めているものと考えられる。2)被害は、カラマツの葉や頂芽および樹皮に現われた。特に樹皮の凍傷痕は、地上20cmほどの下部に多数みられ、これが幹の全周に及ぶときは、幹の枯損を招く原因になることを認めた。3)矢出川低地に近い地域は被害激甚で、樹皮の被害が多く、霜害発生3年後には全く枯死した。その他の地域では被害程度によって生存木もあるが、その後の生長にかなりの悪い影響が現われている。
著者
服部 良久 青谷 秀紀 朝治 啓三 小林 功 小山 啓子 櫻井 康人 渋谷 聡 図師 宣忠 高田 京比子 田中 俊之 轟木 広太郎 中村 敦子 中堀 博司 西岡 健司 根津 由喜夫 藤井 真生 皆川 卓 山田 雅彦 山辺 規子 渡邊 伸 高田 良太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

23人の研究分担者が国内外の研究協力者と共に、中・近世ヨーロッパのほぼ全域にわたり、帝国、王国、領邦、都市と都市国家、地方(農村)共同体、教会組織における、紛争と紛争解決を重要な局面とするコミュニケーションのプロセスを、そうした領域・組織・政治体の統合・秩序と不可分の、あるいは相互関係にある事象として比較しつつ明らかにした。ここで扱ったコミュニケーションとは、紛争当事者の和解交渉から、君主宮廷や都市空間における儀礼的、象徴的な行為による合意形成やアイデンティティ形成など、様々なメディアを用いたインタラクティヴな行為を包括している。
著者
藤井 真理
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.55, pp.21-34, 1999-12-20 (Released:2010-04-30)

La Compagnie française des Indes, crée en 1719, obtint le privilège de la traite des noirs en Afrique occidentale, depuis le Cap-Blanc jusqu'au Cap de Bonne-Espérance. En 1726, elle abandonna son droit exclusif sur la Guinée, régions situées au sud de la Sierra Leone, et elle continua son administration de la concession du Sénégal jusqu'à 1767, date de sa liquidation.Le premier point d'analyse: la différenciation de la situation du commerce entre Sénégal et Guinée. Depuis la deuxième moitié du 17e siècle, les français entretinrent des comptoirs et des escales qui constituèrent leurs réseaux commerciaux au Sénégal tandis qu'ils n'eurent qu'une position isollée, Juda, en Guinée. La traite des noirs se concentra essentiellement au Sénégal.Le deuxième point: l'administration de la concession du Sénégal par la Compagnie des Indes. Le présent article étudie le Journal d'un voiage fait en Bambouc en 1744 par Pierre David, directeur général de la concession. Celui-ci, après les difficultés surgirent au début des annees 1740, négocia avec les bakélis, maîtres du commerce de Galam, et les saatigi, chefs de caravane indigène. Ses contacts directs lui permirent de reconstituer les liens commerciaux et donnèrent de la vigueur aux réseaux du transport des marchandises. La traite des noirs crût en nombre et le commerce du Sénégal par la Compagnie fut à son apogée pendant les années 1745-1755.Le maintien de la sphère commerciale et les liaisons administratives francosènègalaises furent assises du monopole de la Compagnie.
著者
小林 まおり 藤井 真治 岩谷 幸雄 坂本 修一 鈴木 陽一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-97, 2011-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
25

The perception of the spatial location of an auditory stimulus can be captured by a spatially disparate visual stimulus, a phenomenon known as the ventriloquism effect. Many studies have shown temporal and spatial dependency of this phenomenon but its temporal dynamics are not fully understood. In this study, we presented participants with a three-minute of audio-visual stimuli, consisting of a pair of light and sound noise with a spatial disparity of either 0, 5 or 10 degrees. Ten participants were instructed to observe the audio-visual stimuli, and to report their position consistency of stimuli by pushing one of two bottoms, which indicated "same" or "different" respectively. The time series reported were analyzed as perceptual transitions. The results showed that (1) the mean total duration of the "same location" response increased as the disparities between noise and light decreased, (2) the percept switched during the stimulus presentation in all disparity condition after initial build-up of perception of "same location", and (3) the mean transition times varied depending on the disparity condition. These results show that the ventriloquism effect varies with observation time, suggesting that audiovisual spatial integration have time-varying nature.
著者
鈴木 淑恵 小畑 寿 藤井 真理
出版者
宮崎県畜産試験場
雑誌
宮崎県畜産試験場研究報告 (ISSN:09187278)
巻号頁・発行日
no.15, pp.57-59, 2002-12

乾田直播き栽培において点播または条播により発芽・苗立ち率が向上した。除草対策試験では、乾田時のスタム乳剤と入水後のクリンチャーバスME液剤を組み合わせた調査区で最も効果があった。ラップサイレージ調整時に半日の予乾・尿素の添加と条件を変えて調整したものを、一般成分分析と山羊を使った消化試験により比較したところ、半日予乾したものの消化率が最も良く、乾物中のTDNは57.1%であった。