著者
上田 泰久 上條 史子 大竹 祐子 大川 孝浩 千代丸 正志 望月 久
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-5, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
16

〔目的〕高齢者における立位姿勢の安定性と頭頸部肢位・足趾筋力の関係について検討することである.〔対象と方法〕対象は健常高齢男性30名とした.立位姿勢の安定性は姿勢安定度評価指数(IPS)で評価した.重心動揺計を使用して開眼・開脚10 cmの立位で,頭頸部肢位(中間位・屈曲位・伸展位・側屈位・回旋位)でIPSを測定した.また足指筋力測定器を使用して端座位で左右の足趾筋力を測定した.〔結果〕IPSは屈曲位と側屈位間でのみ有意な差が認められた.全ての条件におけるIPSと足趾筋力はそれぞれ有意な正の相関が認められた.〔結語〕立位姿勢の安定性は屈曲位より側屈位で低下した.またIPSが高いと足趾筋力も大きい傾向であった.
著者
上田 泰之 浦辺 幸夫 山中 悠紀 宮里 幸 野村 真嗣
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.323-328, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

〔目的〕本研究は,上肢挙上運動時にさまざまな負荷を与えた際の肩甲骨および体幹の運動を分析することにより,どの程度の負荷量が肩甲骨上方回旋,後傾運動および体幹伸展運動を増大させるかを明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は肩関節に疼痛の訴えがない健常成人男性15名とした。〔方法〕無負荷,2 kg,4 kg,6 kgを上肢に負荷した状態での上肢挙上動作を,デジタルビデオカメラにて撮影し,肩甲骨上方回旋角度,肩甲骨後傾角度,胸椎伸展角度,腰椎伸展角度,骨盤前傾角度を算出した。〔結果〕肩甲骨上方回旋角度は上肢挙上角度150°以降で6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。胸椎伸展角度は上肢挙上角度60°,90°で4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きく,上肢挙上角度120°以降では2 kg,4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。〔結語〕負荷を与えた上肢挙上動作では,肩甲骨上方回旋に加え,胸椎伸展運動も大きくなっていた。
著者
中村 良一 中原 元和 石井 紀明 上田 泰司 清水 千秋
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.757-762, 1979-06-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

The relations between the accumulation-elimination of radionuclides and the constituent materials of marine algae were studied to determine more precisely the mechanism of the radioactive contamination of marine organisms. This will increase the information about the behavior of radionuclides in marine organisms in relation to the environmental conditions (temperature, physico-chemical state of radioisotope, and so on) and the biological conditions (feeding habits, species, and so on). Eisenia contaminated by 137Cs and 106Ru-106Rh was fractionated by solvent extraction into 6 fractions. The largest portion of 137Cs was in the boiling water fraction; 106Ru-106Rh was most extracted by 24% KOH solution. Elution patterns by Sephadex G-100 gel-filtration of samples differed largely from each other, both among the 3 kinds of radionuclides and between the 2 species of the algae. Therefore, the accumulation of the radionuclides by the marine algae was proved to be not only due to a physical adsorption to the surface of the algae but also to the biological combining of the radionuclides with the constituents of the algae. Furthermore, it was found that radionuclides which combine with a few constituents of alga are not eliminated equally. This is considered to be useful for the physiological analysis of elimination curves.
著者
杉山 健治 上田 泰久 鈴木 泰之 逸見 旬 浅見 優 木暮 一哉 田村 岳久 齋藤 智幸 鈴木 明恵 平塚 尚哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI1250, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 上位頚椎と下位頚椎は解剖学的構造や機能に異なった特徴を持っており,さらに頚椎と肩関節複合体との解剖学的連結も強いことが数多く報告されている。臨床においても肩関節可動域制限を有している症例に対して頭頚部からの介入により肩関節可動域が変化することを経験する。しかし,頭頚部のアライメントと肩関節可動域の関係性を示した報告は少ない。そこで,本研究では,頭頚部のアライメント変化と肩関節の可動域との関係を検討することを目的とした。【方法】 対象は肩関節・頚部・顎関節に整形外科疾患の既往のない健常成人男性12名(年齢24.8±2.8歳)とした。被験者の利き手はすべて右利きとした。測定肢位は,頚部を正中位にした背臥位(以下,頚部正中位)・頭部を右側屈位にした背臥位(以下,頭部右側屈)・頭部を左側屈位にした背臥位(以下,頭部左側屈)・頚部を右側屈位にした背臥位(以下,頚部右側屈)・頚部を左側屈位にした背臥位(以下,頚部左側屈)の5肢位とした。頭部の左右側屈位は,下顎下端中央と剣状突起・左右ASISの中点の3点を結ぶ線(基本軸)と左右外眼角の中点と下顎下端中央を結ぶ線(移動軸)のなす角度が10度になる肢位とした。頚部の左右側屈位は,頚切痕と剣状突起・左右のASISの中点の3点を結ぶ線(基本軸)と左右外眼角の中点と頚切痕を結ぶ線(移動軸)のなす角度が10度になる肢位とした。測定内容は,肩関節の水平内転・2nd positionでの内旋・2nd positionでの外旋の自動運動時の関節可動域とした。関節可動域は,日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が制定する「関節可動域表示ならびに測定法」に準じて被検者の右上肢で測定した。なお,頭頚部の左右側屈位のアライメント設定および関節可動域の測定は同一検者が行い,代償動作の確認を他検者と2名で行った。測定肢位と測定運動はランダムに実施し,頭頚部の5肢位における肩関節可動域の変化を調べた。統計処理はSPSSを用い,一元配置分散分析後に多重比較(Bonferroni)を行い,有意水準は5%未満とした。【説明と同意】 本研究の内容を書面と口頭にて十分説明し,同意書に署名を得た上で行った。【結果】 水平内転では,頚部正中位53.8±7.7度,頭部右側屈60.4±7.2度,頭部左側屈48.0±6.6度,頚部右側屈52.1±6.9度,頚部左側屈52.1±8.9度であった。頭部右側屈は他4肢位と比較して有意に可動域が増大した(p<0.05)。また,頭部左側屈は頚部正中位より有意に可動域が減少した(p<0.05)。 2nd positionでの内旋では,頚部正中位102.5±9.7度,頭部右側屈107.9±10.5度,頭部左側屈93.3±10.1度,頚部右側屈98.8±13.3度,頚部左側屈100.8±11.6度であった。頭部右側屈は頭部左側屈・頚部右側屈・頚部左側屈の3肢位と比較して有意に可動域が増大した(p<0.05)。 2nd positionでの外旋では,頚部正中位101.7±10.1度,頭部右側屈106.3±9.6度,頭部左側屈95.4±11.8度,頚部右側屈97.9±10.3度,頚部左側屈94.6±11.0度であった。頭部右側屈は頭部左側屈・頚部右側屈・頚部左側屈の3肢位と比較して有意に可動域が増大した(p<0.05)。 頚部左側屈と頚部右側屈では,各測定運動において可動域に有意差は認められなかった。【考察】 頭部側屈位は,頚部側屈位と比較して肩関節可動域に大きく関与していることが示唆された。頭部側屈位は環椎後頭関節や環軸椎関節の上位頚椎の運動が主であり,頚部側屈位は下位頚椎の運動が主である。頚椎の側屈には回旋が伴なう複合運動(coupling motion)があることが報告されており,頚椎の複合運動により上位頚椎および下位頚椎に付着する筋の作用が異なるものと考えられる。上位頚椎および下位頚椎に付着する筋には僧帽筋上部線維や肩甲挙筋などがあり,これらは肩甲帯へ付着する。そのため,側屈の運動様式が変わることが肩関節複合体に影響を与えたものと考えられる。以上より,上位頚椎の機能障害や位置異常が肩関節機能を最大限に発揮することを制限する一因になると考える。今後,筋硬度等も含めて引き続き検証をしていこうと考えている。【理学療法学研究としての意義】 上位頚椎および下位頚椎の動きが肩関節に関係していることが認められた。肩関節に可動域制限を有する症例に対して,頚部の評価・治療を考慮した理学療法展開が必要であると考えられる。
著者
上田 泰史 鈴木 則彦 古川 徹也 竹垣 友香子 高橋 直樹 宮城 和文 野田 孝治 廣瀬 英昭 橋本 智 宮本 彦四郎 矢野 周作 宮田 義人 田口 真澄 石橋 正憲 本田 武司
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.110-121, 1999
被引用文献数
8

1994年9月4日の開港から1996年12月まで, 2年4カ月の調査期間における関西空港の検疫人員は11, 44a534名であり, 検疫時に下痢を申告したものは22, 187名であった。そのうち9, 299名について下痢原因菌の検索を行い, 以下の成績を得た.<BR>1) 下痢原因菌が検出されたのは3,096名 (33.3%) であった.これらの症例から検出された病原菌は<I>Plesiomonas shigelloids</I>が最も多く2,066名 (66.7%), 次いで<I>Aeromonas spp.</I>484名 (156%), <I>Vibrio parahaemolyticus</I>358名 (11.6%), <I>Shigella spp.</I>291名 (9.4%), Salmonella spp.183名 (59%), <I>Vibrio choleraenon</I>-O1 121名 (39%) の順で検出された.下痢原因菌検出例のうち, この6種類の病原菌が検出されなかった症例はわずか2.8%であり, 上記の6種類が海外旅行者下痢症の主原因菌であると考えられた.なお, <I>enterotoxigenic Escherichia coli</I>については検査対象としなかった.<BR>2) 2種類以上の下痢原因菌が同時に検出された症例 (混合感染) が502例みられ, 下痢原因菌検出例の16.2%を占めた.<BR>3) 1995年2月~3月に, インドネシア (バリ島) 旅行者に集中してコレラ患者 (13例) が発見されたその他は, 各菌種とも検出頻度に季節的な大きな偏りは認められなかった。<BR>4) <I>Vibrio spp</I>.の推定感染地はアジア地域に限定され, <I>Shigella spp., Salmonella</I> spp.および<I>P.shigelloides</I>の感染地は広範囲にわたっていたが, <I>Shigella spp</I>. ではとくにインドおよびインドネシアに集中していた.<BR>5)<I>Shigella spp</I>.のうちわけは, <I>S.sonnei</I>が最も多く, 次いで<I>S. flexneri, S. boydii, S.dysmteriae</I>の順に検出された.また, インド・ネパール旅行者から<I>S.boydii</I> provisional serovar E16553が検出された.<BR>6) <I>Salmonella</I> spp.の血清型では, <I>S.</I>Enteritidisが最も多く検出され, 49例 (25.7%) を占めていた.<BR>7) 薬剤耐性株の頻度は<I>Shigella</I> spp.89.2%, <I>Salmonella</I> spp.27.2%, <I>V.cholerae</I>O195.0%であった.<BR>8) <I>V.cholerae</I>01はすべてEI Tor Ogawa型コレラ毒素産生株であった.<BR>9) <I>V.parahaemolyticus</I>の血清型は03: K6が最多数を占めた.耐熱性溶血毒遺伝子 (tdh), 易熱性溶血毒遺伝子 (trh) 保有株がそれぞれ89.8%と14.6%に確認された.