- 著者
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趙 宏偉
下斗米 伸夫
- 出版者
- 法政大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
日本国内での研究活動のほかに、中国、ロシア、台湾を訪問し、研究活動をこなし、主な成果物として『東アジア地域統合の歩み-文献・考察・年表』をまとめ上げた。東アジア地域は、狭義的には日本、中国、朝鮮半島、及び関連地域を指し、広義的にはそれに東南アジアのアセアン10力国を加える地域を指すが、2005年12月に開かれた第1回東アジア首脳会議に上記の諸国のほかに印度、オーストラリア、ニュージーランドも加わった。東アジア地域統合ないし東アジア共同体は、1990年12月にマハティールマレーシア首相が最初に呼びかけたとき、「夢物語」と思われるほどであったが、その15年後に前述したように現実のプロセスとなっている。東アジア地域統合のプロセスには、アセアン諸国が先頭に立ってきたが、日米中印露など大国の思惑も交錯してきた。例えば日本が米、豪、印との連携を作ろうとしてきたのに対して、中露は「新国際秩序」を唱えて印度を巻き込む中露印協調体制の構築を目指してきた。この研究は1990年12月〜2007年1月の東アジア地域統合のプロセスを詳しく調べ、文献・考察・年表という形に纏め上げた。趙宏偉は研究代表として指導、監修等を担当したほか、関連分野の論文及び発表等をも行った。趙ゼミの学部生8人は「現代中国と東アジア研究会」メンバーとして資料の収集、字習と研究、年表の作成を取り組んだ。上記のほか、ロシアで講演とロシア語の論文発表を行った。講演は中ロ印協調体制の始動とその後の紆余曲折について分析を行い、ロシア語論文は中国の外交理念という視点から上海協力機構、中ロ印協調体制、日中日ロ関係について論じた。