著者
中原 啓太 籔脇 健司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.52-60, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
32

要旨:本研究の目的は,地域在住高齢者の健康関連QOLに対して,作業参加,環境因子,運動量がどのように影響するか統計学的に検証することである.対象は,地域活動などに参加している高齢者105名とした.横断研究デザインを用い,先行研究に基づいて作成した仮説モデルを構造方程式モデリングで検討した.結果,最終モデルの適合度は基準を満たし,標準化係数は環境因子から作業参加が0.574,作業参加から健康関連QOLが0.574,運動量から健康関連QOLが0.312となり,全て有意となった.地域在住高齢者の健康関連QOLに対して,環境因子と因果関係にある作業参加を促進することが,運動量のみに焦点を当てるよりも強い影響を与えることが明らかとなった.
著者
宗形 敦樹 佐藤 真平 中原 啓貴
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLDM-186, no.4, pp.1-6, 2019-01-23

画像認識の分野で広く利用されている畳込みニューラルネットワーク (CNN : Convolutional Neural Network) は重みの数や乗算数が多いという問題がある.これらを解決するため,本論文では雑音付加と point-wise (1 x 1) 畳込みを組み合わせた雑音畳込み層を用いる.既存研究の解析から,雑音畳込み層だけでは入力データは偏っているため認識精度が低下することが判明している.本論文では,k 層までを既存の畳込み層で実現し,k +1 層以降を雑音畳込み層で実現する Noise Convolutional Neural Network (NCNN) を提案する.これにより,大部分の畳込み層を 1 x 1 畳込み層に換えることで重みの数と乗算数を削減しつつ,雑音を加えることで認識精度劣化を抑えることができる.NCNN と既存 CNN の認識精度とパラメータ (重み) 量の比較を行った.CIFAR-100 データセットに関して,AlexNet ではパラメータを 88%,ResNet - 18 では 96.2% 削減できた一方,認識精度に関しては AlexNet では 2.2%,ResNet - 18 では 1.8% に抑えることができた.また,本論文では提案する NCNN を効率よく実行するアーキテクチャについて述べる.NCNN では k + 1 層以降は point-wise 畳込みのみ行われるため,複雑なメモリアクセスアーキテクチャは不要であり,単純かつ高速なアーキテクチャで実現可能である.提案 NCNN を Xilinx 社 ZCU102 FPGA 評価ボード上に実装した結果,クラス分類タスクに関しては Binary CNN と比較して同程度の速度を達成しつつ,認識精度が約 10% 優れていた.
著者
仲谷 健吾 平山 裕 飯沼 泰史 倉八 朋宏 中原 啓智 岡崎 英人
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1149-1154, 2017-10-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
13

【目的】今回著者らは,ロタウイルスワクチン接種(RV)後の腸重積症(本症)における臨床的特徴をもとに,その治療方針を検討したので報告する.【方法】2008年1月から2016年12月の間に本症と診断し,治療を行った生後6か月以下の18例を対象とした.これらをRV歴の有無,手術の有無をもとにRV/OP群(2例),RV/non-OP群(3例),non-RV/OP群(5例),non-RV/non-OP群(8例)の4群に分類し,①発症時の日齢,②発症から初回の高圧注腸整復法開始までに要した時間,③高圧注腸整復法の最大整復圧,④初診時の血中尿素窒素値(BUN),⑤RV/OP群とnon-RV/OP群の術中所見の違いについて検討を行った.【結果】RV/OP群では他群よりも発症時の日齢が低く,高圧注腸整復までの時間が短い傾向があった.また,最大整復圧はnon-RV/non-OP群で低い傾向があった.BUNについてはRV歴の有無にかかわらず手術群で高く,非手術群で低い傾向を認めた.RV/OP群に共通した術中所見として,最大径18~20 mmの回盲部リンパ節(LN)腫大を認めたが,non-RV/OP群では10 mmを超えたLN腫大は1例のみであった.なお,RV/OP群では2例とも初回接種後おおよそ2週間以内(4日後・15日後)の発症であった.一方,RV/non-OP群は全例2回目以降の接種後発症であった.【結論】初回RV後2週間以内の発症例は,急激に生じるLN腫大が整復を物理的に妨げる可能性があるため,手術治療を積極的に考慮すべきである.また,2回目以降の接種例においては非観血的整復法が比較的有用であると考えられた.
著者
中原 啓 武田 一哉 藤井 慶輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS15b04, 2022 (Released:2022-07-11)

近年、測定技術の向上に伴い、野球の応用的なデータ分析が広く行われるようになった。グラウンド上のあらゆるプレーが定量的に評価され、個人やチームの戦略に大きな影響を及ぼしている。個人の打撃貢献を表す指標としてwOBAという指標がよく知られているが、wOBAは走者状況や点差などの試合状況を考慮しない。しかしながら、実際の試合において試合状況を考慮して複数の打撃戦略を使い分けることは一般的であり、その効果は未知である。これは、打者の戦略を第三者が取得できず、効果の推定が困難であるためだと考えられる。そこで本研究では、反実仮想シミュレーションによる効果推定方法を新たに提案する。これを実現するため、打撃戦略の変更にあたって妥当な打撃能力変換を行う深層学習モデルを提案する。本手法によって、実際の試合データでは難しかった、様々な戦略の効果推定が可能となる。検証の結果、打撃戦略のスイッチングコストを無視できる場合、戦略の使い分けが得点を増加させることが明らかになった。また、スイッチングコストを考慮する場合、得点が増加するための条件は限定的であることが明らかになった。
著者
中原 啓介
出版者
The Resources Processing Society of Japan
雑誌
資源処理技術 (ISSN:09124764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.68-73, 2003-06-01 (Released:2009-06-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In order to construct a resources recycling society, waste reutilization as resources is attracting increasing attention. Vitrification treatment has possibilities of not only utilizing waste as civil construction materials, but also recovering valuable chemical components through high temperature treatment. Proposed process recovers phosphorus from incinerator ash of sewage sludge. This process both produces highly utilizable slag, and recovers yellow phosphorus from sludge incinerator ash by vitrifying it in a reducing atmosphere and volatilizing phosphorus. This report verified effectiveness of the phosphorus recovering vitrification process for incinerator ash of sewage sludge.
著者
中原 啓貴 知識 陽平 岩井 一正 中西 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.325, pp.1-6, 2013-11-20

電波望遠鏡は天体から放射される電波を受信し,解析を行う装置である.分光器は受信した電波に対してFFTを行い,周波数スペクトルを出力する,太陽電波バーストは極めて短時間に変化する現象であるため,時間分解能に優れた高速なFFTが必要である.本論文では,Six-Step FFTアルゴリズムに基づく並列FFT回路の実現法について述べる.提案FFTはN点FFTを6ステージのパイプライン処理で実行する.第1,3,6ステージは転置回路で実現する.第2,5ステージはP並列√<N>点FFTで実現する.第4ステージはP点ひねり係数回路で実現する.提案回路は転置回路を必要とするが,N点FFTを√<N>点FFTに分解するため,FFT回路の面積を押さえることができ,並列化実現に向く.提案並列FFTをXilinx社Virtex 7 VC707評価ボードに実装して既存手法と比較を行い,提案並列FFTは4.52〜22.64倍高速であった.