著者
伊藤 賢太郎 中垣 俊之
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.178-181, 2011 (Released:2011-07-25)
参考文献数
10

The origin of information processing is a fundamental problem in evolutionary biology. True slime mold, Physarum, has become a model organism for study of problem solving by single-celled organisms. Here we report its ability to find a smart network by describing its aptitude in maze solving, multi purpose optimization for transportation network and risk management in a spatio-temporally varying field. We discuss these results in the context of a risk management strategy.
著者
中垣 俊之 小林 亮
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

アメーバ生物である粘菌変形体は、何ら分化した器官を持たないので、環境のセンシング・判断・運動を体全体で渾然一体となって行う。感じる体、判断する体である。その体は高度に均質なサブシステムからなっている。したがって、均質な要素からなる系の集団運動から情報機能が創発するしくみを解明するにはまたとないモデル系である。この利点を最大限に活かして、粘菌の最適化アルゴリズムの抽出に取り組み、以下の成果を得た。1)小さい餌場所を数個程度あちこちに配置すると粘菌はネットワーク形態を成して全ての餌場所にありついた。このネットワークは、全長が短くなるような性質を有しており、時々、真に最短なルートしめした。これにヒントを得て、一般的なスタイナー問題(平面上に任意の個数の点が任意の場所にある場合、全ての点を結ぶ最短経路を求める問題)を解く計算法を考案し、パラメタサーチと性能評価をくりかえし、ソルバーを提案できた。2)都市間交通(道路や鉄道など)ネットワークの持つべき性質である、全長の最短性、任意の二つの餌場所間の連絡性、事故による管の断線に対する連結補償性に関して、これら三つの性質の重みを変えて自在に設計するような粘菌型計算法を提案できた。粘菌の計算能力はまだまだ底が知れないこともわかった。今後、この実験系をさらに利用することにより、新たな生物型計算法のヒントが得られるものと期待できる。そのような発展的糸口を与えることが、本萌芽研究により成し遂げられた。
著者
中垣 俊之 手老 篤史 小林 亮
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.911-934, 2010-03-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
手老 篤史 中垣 俊之 小林 亮
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, 2007

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。研究会報告
著者
上田 哲男 中垣 俊之 中垣 俊之 高木 清二 西浦 廉政 小林 亮 上田 哲男 高橋 健吾
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

巨大なアメーバ様細胞である真正粘菌変形体の特徴を活用し、細胞に秘められたる計算の能力を引き出す実験を行うと共に、その計算アルゴリズムを細胞内非線形化学ダイナミクスに基づいた数理モデルを構築し、解析・シミュレーションした。(1)粘菌による最短経路探索問題(スタイナー問題、迷路問題)の解法:粘菌を迷路内に一面に這わせ、2点(出入り口)に餌を置く。粘菌は餌に集まりながら迷路内に管を形成するが、迷路内の最短コースを管でつなぐ(迷路問題を解いた)。粘菌を限られた領域内で一様に広がらせて、何箇所かに餌を置き、領域内部での管パターンの形成を見る。2点の場合、最短コースで結ぶ管が、3点の場合、中央で分岐したパターンが、4点の場合、2箇所で3つに分岐するパターンというスタイナーのミニマム・ツリーが形成された。(2)粘菌における最適ネットワーク(最短性、断線補償性、連絡効率)設計問題:粘菌の一部を忌避刺激である光で照射し管形成をみた。粘菌は危険領域を短くし、丁度光が屈折(フェルマーの定理)するように、管を作った。このように管パターン形成には環境情報をも組み入れられている。複数個に餌を置くと、最短性のみならず、一箇所で断線しても全体としてつながって一体性を維持する(断線補償性)という複数の要請下で管形成をすることがわかった。(3)管構造の数学的表現と粘菌の移動の数学的表現:振動する化学反応を振動子とし、これらが結合して集団運動する数理モデルを構築した。全体の原形質が保存されるという条件、粘菌の粘弾性が場所により異なるという条件を入れることで、粘菌の現実に合うような運動を再現することができた。(4)アルゴリズム:管は、流れが激しいとよりよく形成され、逆に流れが弱いと管は小さくなっていく。この管形成の順応性を要素ダイナミクスとして取り入れ、グローバルな管ネットワーク形成の数理モデルを構築した。迷路問題、スタイナー問題、フェルマー問題等実験結果のダイナミクスまでもシミュレートできた。
著者
小林 亮 中垣 俊之 三浦 岳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

真正粘菌が鉄道網のような輸送ネットワークと等価なネットワークを形成する能力があることを実験的に示し、その数理モデルを構築することによって、ネットワークの新しい設計手法を提案した。また、卵割初期における空間的配位の決定や、肺や血管網の分岐構造の形成において、情報がどのような機序で働いているかを記述するモデルを提案した。これらの研究を通して、生物の構造形成と情報を結ぶしくみを記述する数理的手法を開発した。
著者
中垣 俊之 山田 裕康
出版者
一般社団法人日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.244-246, 2001-09-25
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
中垣 俊之 三枝 徹
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

生物システムは天与の情報機械であり、その動作原理の解明は、基礎科学として興味深いばかりでなく、また新規情報技術の創成にもつながり社会的にも重要である。本研究では、単細胞生物である粘菌変形体を主なモデル生物として、その情報処理能力、特に時間記憶能の最も基本的なあり方を実験的に評価し、情報処理のアルゴリズムを考察した。細胞レベルで既に周期的なイベントの予測と想起の能力があること、それは代謝反応の多重リズム的な運動から表れることをつきとめた。同様な能力が、原生生物界から動物界、植物界にいたるまで広く共通して見られることを示唆できた。