著者
片山 博貴 中山 斌義
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.362-366, 2008-01-15 (Released:2009-03-28)
参考文献数
14

チタン(Ti)あるいはTi合金で作製されたインプラント材へのハイドロキシアパタイト(HAp)被膜形成は,インプラント材の生体親和性を高める技術の一つである.HAp被膜は,生体中でその性質を維持するためには高い結晶性を必要とする.この被膜の成膜法の一つとして,レーザーを用いたパルスレーザー堆積(PLD)法がある.PLD法によるHAp被膜形成では,被膜を結晶化するために成膜中,基板を高温(500~800℃)で加熱する.しかしながら,一般的なHAp被膜形成の場合,水雰囲気中で成膜するため基板上に酸化層が生成される.この酸化層は,HAp被膜とTi基板との間の密着強度を弱める.我々は,PLD法を改良したレーザーアシスト・レーザーアブレーション(LALA)法を開発した.本研究ではLALA法で作製したHAp被膜の密着性の原因について調べた.その結果,LALA法はTi基板に酸化層を形成しないことがわかった.さらに,基板表面を粗面化することがわかった.これらから,LALA法は,HAp被膜の密着強度を高める優れた方法として期待できる.