著者
石川 治 西尾 麻由 石渕 隆広
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.2595-2604, 2021-11-20 (Released:2021-11-22)
参考文献数
10

コロナワクチン接種後皮膚副反応と診断した22例を臨床的に検討した.患者は20~60歳代,モデルナ社製12例,ファイザー社製10例で,凍瘡型6例はモデルナ社製ワクチン被接種者のみに認められ,接種6~10日後発症していた.麻疹型はモデルナ社製では2~4日後,ファイザー社製では7~22日後,接触皮膚炎型は両社製とも2~8日後であった.10例は副腎皮質ステロイド薬を内服し,22例とも治療開始後1~2週間で軽快した.皮膚副反応に関する正しい情報の発信が求められている.
著者
安田 正人 安部 正敏 田村 敦志 石川 治
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.469-472, 2002-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
10

21歳, 男性.屋外作業時の全身の無汗と皮膚の痛みを主訴に来院.初診時, 手掌, 足底, 額部, 頸部, 上胸部, 腋窩, 外陰にわずかに発汗を認めたものの, それ以外のほぼ全身の皮膚は乾燥していた.入院後施行した発汗テストで発汗はなく, 患部皮膚の病理組織学的所見ではエックリン汗腺周囲に軽度の単核球浸潤を認めるのみであった.精査の結果, 明らかな基礎疾患を見出し得なかったことから特発性後天性無汗症と診断した.ステロイドパルス療法2クール実施後に症状は軽快した.
著者
石川 治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2432-2439, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
2

膠原病・自己免疫性リウマチ疾患はしばしば多臓器を侵し,皮膚にも多彩な皮膚病変をもたらす.皮膚病変には疾患と1:1に対応をする特異性の高いものと,疾患特異性は低いが膠原病を疑うべきものとがある.本稿では,非特異的皮膚病変とエリテマトーデス,皮膚筋炎(DM),強皮症(SSc)を中心に頻度の高い特異的皮膚病変を概説した.皮膚病変を知ることが早期診断の一助となるはずである.
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
山中 正義 石川 治 高橋 昭彦 佐藤 広隆 芋川 玄爾
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4-5, pp.278-285, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15

1998年10月から2000年3月にかけて群馬大学医学部附属病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者17例に対して, 「キュレル (R) 薬用クリーム」の臨床試験を実施した。本試験剤はセラミド類似の合成脂質とユーカリエキスを配合したことを特徴とするスキンケアクリーム (医薬部外品) である。6週間の使用試験において, 17例全例において有用性を認めた。また試験剤使用部位の角層内水分量, 経皮水分蒸散量を測定したところ, 試験前と6週間使用後の平均値の差がそれぞれ13.23μS, -7.61g/m2/hr改善されており, 対照剤として用いた20%尿素軟膏との比較でも有意に改善されていた。これらの結果から, 試験剤である「キュレル (R) 薬用クリーム」は皮膚保湿性と皮膚バリア能の改善に優れ, アトピー性皮膚炎患者の無疹部に対するスキンケア剤として有用であると考えた。
著者
宮地 良樹 黒沢 元博 石川 治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

アレルギー炎症の組織修復過程においは、線維芽細胞、肥満細胞、好酸球,マクロファージなどが参画すると考えられるが、とくに肥満細胞はその発症と遷延化を考える上で重要である。従来、肥満細胞は単に即時型アレルギー反応を惹起する細胞としてのみ評価されてきたが、近年肥満細胞由来サイトカインやメディエーターが解明されるに及んで、そのアレルギー炎症過程への干渉や炎症後リモデリング過程への介在などが極めて注目されるようになった。今回の研究ではアレルギー炎症後のリモデリング過程における肥満細胞の関与を検証するため、臍帯血から樹立したヒト肥満細胞を用いて、線維芽細胞との相互作用、とりわけ肥満細胞由来トリプターゼによる線維芽細胞増殖やコラーゲン産生への影響、さらには肥満細胞が産生する各種成長因子などを検討する中で、炎症後の修復過程における肥満細胞の役割を解明した。肥満細胞と線維芽細胞の共存培養系において線維芽細胞の増殖能が亢進したことから、肥満細胞由来トリプターゼやその抗体を用いた実験で、その本態は肥満細胞由来トリプターゼである可能性が示された。また、肥満細胞は、TGF-βやbFGFなどの成長因子を産生することで線維芽細胞の増殖を制御していることも判明した。線維芽細胞と肥満細胞が相互に干渉することでリモデリングを修飾するとすれば、その制御の視点から、ステロイド剤、抗アレルギー剤、抗酸化剤などがその制御にどの程度有用かを調べることも意義深い。また、皮膚に限らず、気道炎症をはじめとする他のアレルギー炎症性疾患、肺線維症や肥厚性瘢痕を含む線維化、強皮症における硬化などの線維化疾患の序と制御における肥満細胞の役割などが今後検討されるべきであろう。
著者
石川 治 橋本 勉 中嶋 暉躬 田中 治 糸川 秀治
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.976-979, 1978-07-25

For the analysis of Coptidis Rhizoma, high-speed liquid chromatography was examined, not only for its major alkaloid, berberine, but also for its minor alkaloids. It was found that under an appropriate condition [on starch gel (LS-170), eluted with the solvent system of H_2O : MeCN : AcOH : Et_3N=80 : 20 : 0.3 : 0.745,pH 8.5], sufficient separation of berberine, magnoflorine, jatrorrhizine, palmatine, coptisine, and some other unidentified alkaloids was obtained. By means of the present procedure, content of berberine and relative content of palmatine and coptisine to berberine in some of wild and commercial coptis rhizomes were determined. Since the solvent system does not contain any nonvolatile salt, the present technique also offers the possibility of application to rapidpreparative separation of alkaloids of this type by liquid chromatography. The application to analysis of alkaloids of phellodendron-cortex is also described.